ベルがサイヤ人なのは間違っているだろうか   作:ケツアゴ

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ドラゴンボールのお気に入りの動画が消えた 仕方ないが残念 アレ見てスラッグの出た話借りたのに

ジャネンバ誕生シーンがDVDでは削られて不満 倒した後で鬼になった説明ができないじゃんか


第十一話

「貴様の様な雑魚が俺を兄と呼ぶな、虫唾が走るっ!!」

 

 怒号と同時に幼いベルの腹部にベジータの拳が叩き込まれ、叩き付けられた背後の壁が砕ける。焼け付くような痛みを感じながら薄れ行く視界で見たのは自分に全く意識を向けない兄の後ろ姿。

 

 悲しいと思ったが、同時に仕方ないとも思った。生まれ持った戦闘力で地位が決まるサイヤ人に生まれ、本能的に強い敵との正面戦闘を望む心が悪いと思ったのは兄ではなく弱い自分。なので感じたのは兄とは分かり合えないという気持ち、そして圧倒的強さへの憧憬であった。

 

 

 

「……懐かしいな。前に故郷の夢を見たのは何時だっけ?」

 

 差し込む朝日によって目を覚ましたベルは漸く完成したホームの自室で目を覚ます。この星に来て、あの星での常識は別物だと理解したし、無駄な争いを好まない温厚な性格がこの星の方が良いと感じている。ただ、それでも故郷とは忘れがたい物である。たとえ勘当されようと、ベルにとってベジータ達は家族であった。

 

 目を擦り、グッと伸びをすると朝食の香りが漂ってくる。昨夜も昨夜で明らかに体積を超えた量を平らげたにも関わらず空腹を感じたベルはお腹を押さえながら起き上がった。

 

 

 

「ベルさん、お早う御座います!」

 

「お早う御座います」

 

 自室から出ると既にリビングには他の面々が揃い、口々に朝の挨拶を投げかけてくる。最後にキッチンからスープの入った大鍋を持って来たのは住み込みで働きだした家政婦のアンナだ。何故かナァーザは彼女に気を許すなと言って来たが、お人よしのベルに他人を疑えという方が無理があるので警戒をしていなかった。

 

「うむ。全員揃った事であるし、朝食にしよう」

 

 ミアハの言葉で食卓を囲み、食事が始まる。昨夜から炊事を始めたばかりのアンナはまだベルの食事量に圧倒されていたが、既に慣れたミアハ達は平然とした様子だ。むしろ慣れるしかないのだろうが。

 

 

 

「今日は探索は休むのだったな、ベル」

 

「はい。魔石を取り出す時に使っているナイフが欠けちゃったし、新しいのを買おうかと。防具を買った方が良いともアドバイザーのエイナさんに言われたのですが……流石にオリハルコンやアダマンタイトの防具には手が届かないですよね」

 

「え? 他の金属でも十分なんじゃ……」

 

 溜息を吐くベル。その様子を見たアンナの疑問は当然だろう。アダマンタイトやオリハルコン製の防具となると値段が凄まじい。幾らベルが強くても食費や持ち込める食料の問題で一日で稼げる額には限度がある。だが、それ以外の金属なら何とかなると思うだろう。

 

「だって他の金属って柔らかいですし。この前も試しに叩いてみた防具を凹ましちゃって。子供の頃も力加減が出来なくって物を壊しちゃってたし、下手な道具を持っても……」

 

「えぇ!? ベ、ベルさんって幼い頃から強いんですか!? 一体どんな修行を…‥」

 

 その防具を作った鍛冶師は落ち込んだが買い取りはしないで良いと言ってくれたので安心したとまで語るベルに対し、アンナは驚き、最後にどこか探るような口調で問い掛ける。だが、ベルが答えるより前にミアハの咳払いで中断された。

 

「これこれ、食事に落ち込む話題は止めておこう。しかしアポロンに勝った事でギルドに払う税金も増えてしまったし……」

 

「ミアハ様がベルのレベル詐称疑惑の時に税金の免除でも要求して下さっていれば…‥」

 

「いや、流石にそれはな……」

 

「ローンですかね、やっぱり。活躍していても下級冒険者じゃ前払いの内金をかなり請求されそうですが」

 

 ナァーザが非難する様な口振りでそんな事を言いだし、リリが皆が避けていた事を口にする。話題が完全に逸れる中、アンナは表情を僅かに曇らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり高いなぁ。宝石樹の宝石を換金したけど、前金も足りそうにないし…‥」

 

 やって来たのはバベル内部にあるヘファイストス・ファミリアの店。ナァーザから教えて貰って新米冒険者向きに新米鍛冶師の作品を売っているコーナーでナイフは掘り出し物を見つけたが、本店と言うべきファミリアのロゴが入った商品を取り扱っている店の商品には手が出そうにない。

 

「確か専属契約をしている相手なら持ち込んだ素材で作ってくれたりするって聞いたけど……」

 

 あの戦争遊戯(ウォーゲーム)で名は売れたので見つかるだろうが、見極めてからじゃないと損をするし、直ぐに解約すれば信用にも関わる、と、ナァーザから聞いているし、見付けるアテもない。せめて鍛冶系ファミリアに知り合いか、知り合いの知り合いでも居ればと思いながらバベルを後にした時、物陰から呼び止める声が聞こえてきた。

 

 

 

「クラネルさん、少し良いですか?」

 

「あっ、えっと……」

 

 話し掛けて来たのは緑の髪のエルフだが、直ぐに思い出せない。何処かで会ったことは確かだと悩み、漸く思い出した。

 

「あっ! 確か豊穣の女主人の…‥」

 

「ええ、ウェイトレスのリュー・リオンです。少しお尋ねしたいことが有りまして。……アンナ・クレーズさんについでです」

 

 何故その様な事を? と疑問を顔に出したベルに対し、リューは事情を話し出した。

 

 

 

 

「借金のカタに奪われたっ!?それって人身売買じゃ…‥」

 

「しっ! 声が大きいです。兎に角相談をしてきた父親は脅される形で娘を借金の担保に入れる事を承諾したらしいのですが、交易所から今度は歓楽街のカジノのオーナーに買われたとまで判明したのですが…‥」

 

「それが何で家政婦に…‥?」

 

 カジノについてはリリから聞いている。鴨にされるから絶対に行くなと保護者のような注意も込めてだ。オラリオ外の国や都市から娯楽の為に招集されておりギルドも介入できない治外法権。特にアンナを買った者のカジノ『エルドラド・リゾート』は高級店であり、ガネーシャ・ファミリアの団員に警備を任されているとの情報を今リューから得た。

 

 わざわざ働きに出す程に給金は出ないと疑問に思うベルに対し、リューはそっと彼を指さした。

 

「恐らく貴方の情報を得るのが目的かと。集めた情報からして前々から狙われていたらしい彼女ですが、家政婦募集を知り、潜り込ませるには最適だと思ったのでしょう。……下級冒険者でありながら一人でアポロン・ファミリアを倒した貴方の強さの秘密は高く売れるでしょうから」

 

「……あっ、そう言えば昨日はステイタスの更新の結果を口で教えられたから変だと思ったんです。ミアハ様も薄々気付いてたんでしょうか?」

 

 朝食時も話題を変えたが、それなら説明が付く。だが、ベルは逆に困っていた。知られたとして、真似が出来ない理由だからだ。それよりもギルドや助けてくれそうな他のファミリアに駆け込まない理由に思い当たってしまった。

 

「もしかして両親に何かするって脅されているんじゃ…‥」

 

「その可能性は有ります。彼女自体は潜入中は安全ですが、何時まで安全か分かりません。……くれぐれもご注意を。それと私が関わった事は…‥」

 

「は、はい! もちろん秘密にします!」

 

 素直に承諾するベルにリューは安堵しながらも、今度は顔に出そうで心配になる。

 

(見立てた通り彼は善人のようですが、これは早く動かなければいけませんね…‥)

 

 去って行くベルの背中を見ながらリューは悩むのであった。

 

 

 

 

 

「……成る程。真偽は定かでないが、恐らく本当だろう。だとすれば私達も見張られている可能性があるな。ガネーシャやギルドに相談に行けば警戒される可能性がある。だが、他にも犠牲者が居るかも知れんし放置は出来んな」

 

 街中で売り歩きをしていたミアハと遭遇したベルは共に喫茶店に入り、今は周囲に見張りが居ないのを確認して先程の話をリューの部分は省いて説明した。薄々気付いていたミアハも納得が行ったらしく考える。どうすればアンナを救えるのかと。 

 

 

 そんな悩みを抱えながらベルが帰宅すると、作業所で回復薬(ポーション)の作成をしていたリリが一冊の本を差し出してきた。

 

「ベル様、剣姫様から報酬のお裾分けだそうです。自分はそれほど働いてないからだそうですよ……まーた何か厄介事に首を突っ込んだのですか?」

 

 ティオナと探索に出た時に遭遇した一件は極秘の依頼が関わっているらしく、アスフィから秘密にするように頼まれているのでリリは知らない。だからこそベルが何かやらかしたのではと思っているようだ。

 

「ですが、これで高い装備が買えますね。何せこれは……」

 

「へぇ、この本って高く売れるの?」

 

「ええ、何せ魔導書(グリモワール)です…から……」

 

 魔法の強制発現装置と言うべきこの本は物によっては億単位の値が付く。攻撃魔法が出てもベルなら意味がないし、だから売ってしまいましょう、そう言い掛けたリリの目の前でベルは本を開いて読み出していた。

 

 

 

 

 

「ベル様、正座」

 

「えぇっ!?」

 

 

 

 

 

 

 そしてこの日の夜、別の星の荒野でベルはある人物と相対していた……。

 

 

 

「へへーん! お前みたいなカスはとっとと掃除してやるぜ。お命頂戴、とおっ!」




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