ベルがサイヤ人なのは間違っているだろうか   作:ケツアゴ

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十七話 尻尾関連の付け足し有ります


第十九話

「この短期間でランクアップをしたのかい!? いったいどんな功績を……いや、今更か」

 

  遠征中に発生した強力な敵との大規模な戦闘による被害から撤退を決めたロキ・ファミリアだが毒妖蛭(ポイズン・ウェルミス)の大群に襲撃された。耐異常のスキルを持っても耐えられない強力な毒に大勢がダウンし、今はベートが貴重な解毒剤を買いに地上に戻っている。

 

 そんな折、不足していた食糧を大量に持って来たベルは無事だった幹部達から歓迎され、救護を受けている者や、その世話の邪魔にならないようにとフィンのテントに案内された。その中での会話でベルが自身のランクアップについて話したのだ。

 

「どうやってかは、その……」

 

 口止めは口止めをされていること自体隠せるのなら隠す物、ましてや宇宙からやって来た破壊神に踊りを見せて世界を救った、など荒唐無稽が過ぎる。フィンも単身でアポロン・ファミリアを潰し、Lv.5のティオナに打ち勝った事による経験値でもランクアップはしなかったが、それだけやればギリギリまで貯まっており、説明するのが躊躇われる程に些細な事でランクアップに至っても不思議ではないと考えていた。

 

(いや、下級冒険者、それも恩恵を得て半年もしないでって考えれば不思議なんだけどね)

 

 ギルドの調査で不正の有無は確認されており、本来ならばスカウトしたかも知れないが、あの食事量を考えれば遠征には連れて行けないと断念するフィン。だから次の話、団長として聞いておくべき事を口にした。

 

 

 

 

「……一つ聞かせてくれ。君はティオナとの(恋人)関係を理由に僕に挨拶に来たけど……本当に彼女が好きだと言えるかい?」

 

「はい! 僕はティオナが(友達として)大好きです」

 

 威圧感すら感じる視線、テントの中で見守るティオナ、そんな状況でベルは迷い無く答える。但し、双方の認識に大きな違いがあったが。

 

 

「……うん。僕は神じゃないけど、君が嘘をついていないって分かるよ。将来的なことは後々考えるとしよう」

 

「ベルー! あたしも大好きー!!」

 

「わっぷっ!? テ、ティオナっ!? む、胸が顔に……」

 

 ベルの誠実さが伝わって安心するフィン。ファミリアが違う者同士の結婚は子供の所属で揉めるが、互いの規模の違いや主に行う事の違いから大きな問題にはならないだろうと確信し、仲を咎めはしない。これでアイズならロキが猛反発しただろうが。

 

 そしてティオナはティオナで嬉しさのあまりベルに飛びついて抱き付く。好きな相手に好きだと言って貰えた嬉しさは、今まで色恋のいの字も知らなかった少女には自分を律する事が出来ないほど大きい。横にいた姉であるティオネも安心しつつ、自分もフィンに同じ事をするタイミングを伺うのであった。

 

 

 

 

 

 だが、もう一度言おう。互いの認識に大きな食い違いがあると。

 

 

 

 

 

 

 

 

「海、ですか? どうしてまた……」

 

「ああ、最近は色々あって皆疲れているし、売り上げも好調だ。此処は一度慰安旅行に行こうと思ってな」

 

 

 

 ロキ・ファミリアの野営地から戻った後、二人も特に怪我がないからと速攻での帰還が決められた。言い出したのはアスフィで、彼女が言うには神がダンジョンに居続けるのは非常に拙いので気付かれる前に出ようとの事。但し、問題が一つ。ヘスティアとヘルメスは一般人程度の体力しかないので足手纏いになることだ。

 

 だが、これは直ぐに解決した。

 

 

「あっ、だったら僕が全速力で飛んで運びますよ」

 

 ベルの提案に対し、空を飛ぶということに興味が湧いていた二人は喜んだ。……但し、飛んでから数分後には言葉を発することすら出来ないグロッキー状態。ベルの全速力はあまりにもキツかった。結局、慌てたベルがバベルの入り口で騒いだためにギルドにバレて両方のファミリアに罰則が与えられるのだが、今は関係ない話だ。

 

 閑話休題、その日の夕食時にミアハからなされたのは皆で遊びに行こうというもの。ナァーザが驚いていない所を見ると一緒に前々から計画していた様だ。

 

「でもミアハ様、神が都市外に出るのは面倒な手続きが必要では?」

 

 リリが言うとおり、オラリオは有力な冒険者の流出を避けるために主神を都市の外に出したがらない。要するに人質ならぬ神質だが、ミアハは何時の間に手続きをしたのか許可書、それもファミリア全員分の許可を取っていた。

 

「ベルの疑惑の件やイシュタルの一件でウラノスに貸しが出来たからな。前々からの計画を話したら直ぐに許可が出た。破壊神とやらについて二人で話したのだが、奴はどうも存在を知っていたらしく、大変だっただろうから楽しませてやれ、だそうだ。向こうでは好きなだけ食べれば良い」

 

 その際、ミアハは驚きの真実を聞かされたのだが、世界の命運を急に担わされたベルを労ってやろうと心に決めた。幸い、口止め料をたんまり貰ったのでベルの食費も恐らく問題がないかも知れない。

 

 

 

 

 

 

「……それにしてもミアハ様、少し逞しくなられましたね。昔の貴方なら貸し借りなんて気にしなかったのに」

 

「私も驚きだ。神も成長出来るものだな」

 

 

 

 

 

 この二日後、ロキもとある目的のためにギルドに出向いて外出の許可を取ろうとしたのだが……。

 

 

 

「はぁ!? 何で手続きが出来んのやっ!?」

 

「申し訳御座いません、神ロキ。イシュタル・ファミリアの解散に伴うトラブルで立て込んでいまして、通常業務は少しの間制限させて頂いているんです」

 

 この事でロキ達がベル達の目的地である港町メレンに向かうのは予定より少し後になってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んげぇ!? 激怒兎(ベルセルク)ゥゥウウウウウ!?」

 

 メレンに到着後、宿の場所を聞こうとアマゾネスの少女に話し掛けた一行だが、ベルの顔を見るなり開口一番に叫んで飛び退く。流石のベルも傷付く中、少女は一目散に逃げ去っていった。

 

「……僕、何かしましたっけ?」

 

「あの方って、確かイシュタル・ファミリアの眷属の中に居た人ですけど……気にせず宿を探しましょう、ベル様っ!」

 

「そ、そうだな。彼処で釣り具の貸し出しもやっているようだし、皆で釣りでもしよう」

 

 本人からすれば不本意な事にアポロン・ファミリアとの戦いで付いた異名はランクアップによって正式な二つ名として採用されてしまった。ベルは落ち込んだが、ミアハは弱小ファミリアへの扱いとして眷属に痛々しい二つ名を付けられるケースが大半なので安心していた。

 

 落ち込むベルを励ましつつ、何とか見つけた宿屋に荷物を置いて釣りに出掛けた一行。その姿を遠くから先程の少女が眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「絶対目を付けられるよねぇ。なんで連続で厄介な神様に関わっちゃうんだろう」

 

 少女は自分と視線の先のベル達の不幸を嘆いていた。そして同時刻、同じ様に不幸な目に遭っている者が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとギニューさん! 破壊神から貴方への苦情が届いていますがどういう事ですかっ!? 暫く寝てから直接文句を言いに行くと手紙に書いているのですよっ!」

 

「えぇっ!?」




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