PCの調子が悪く、なおかつ忙しい合間合間に書いてた進撃のSSです。
基本PC以外で書いて、PCに送り、投稿するつもりなので更新速度は遅いです(何回目だろうか)
なのは書けよと思った皆さん。なのははPCじゃないと書けないんで許してください。
では、どうぞ。
世界は狭い。鳥籠という表現は好きではないが、今の人類に適した表現をするのならば鳥籠の中の鳥。もしくは水槽の中の魚。
…まぁ、何かに入った何かならば何でもいい。
俺たち人類は、巨大な壁に生かされているのだ。
壁の外にいる巨大な人型の生物…通称“巨人”に人類は壁の中に追いやられた。
―壁の中は安全だ。
誰もがそう思っていただろう。
それはそうだ。人類が追いやられてから100年近く平穏無事に過ごしてきたんだ。
世界は狭い。鳥籠どころかこの壁の中は、作られた平和と自由に満ち溢れた仮初の世界だ。
こんなにも広い空と、壁の外に広がる広大な大地は、たった数枚の壁に阻まれて全く手が出せない。見たことのない世界に希望を馳せることもなく、それ以上の絶望が人類を追い詰めているせいだ。
―ふと、壁の上を見上げた時だった。
そこにはいつもあるはずの空があって、
そして、
巨人がいた。
あぁ、自由を掴む手もない俺だが、まぁなんだ。
駆逐してやるよ。奪った奴らからな。
「本日諸君らは訓練兵を卒業する…。その中で最も訓練成績の良かった上位十名を発表する。呼ばれたものは前へ」
高官は名前の書かれたメモ書きを見ながら名前を呼び始める。
そこに俺の名前がないことは百も承知だ。俺が背負っているリスクはどうやら、お偉方には“使えない奴”扱いらしい。
「主席、ミカサ・アッカーマン。2番、ライナー・ブラウン。3番…」
高官は一人一人に目を向け、本人か確認しているようだ。
ちらりと一瞬だが俺に目を向けたような気がしたが、すぐさま目を逸らしてしまう。読みあげている高官がどう思っているかは知らないが、上の奴らが全てのこの世界だ。
同情などされたくもないな。
「…10番、クリスタ・レンズ。以上10名」
高官はそう言うと、後日どこに所属したいか聞くといって俺たちを解散させた。
『その腕では使い物にならんな。よかったじゃないか、こんな時期に順位が解るなんて。貴様は“除外”だ』
…嫌な事を思い出した。
まぁいい。調査兵団にさえ入ることができれば順位なんて関係がない。本当に必要なのは技術と力だ。
「よう」
「…ライナー」
訓練兵団の期間が今日で終わりということで行われている宴の席で俺は一人、食事を摂っていた。明日からの事を考えると若干ではあるが気分が高揚しているのが解る。
周りは飲めや騒げやだが俺の周りにはあまり人がいない。近くには友人の少ない俺に気を使ってくれるライナーと騒ぎに関心のなさそうなアニくらいだ。ライナーといつも一緒にいるベルトルトは、先程までいたが今は席を外している。ライナーは案の定いつも通り一人でいる俺を見かねたのか話しかけてきたようだ。
「今日くらい騒いだらどうだ?お前とアニはそうやっていることが多いからな。せっかくの同期なんだ、最後くらい仲良くしたらどうだ?」
「…最後なんて縁起の悪い事を言うな」
「おっと、すまない。あまり聞こえのいい言葉じゃなかったな」
「…ふん」
「はぁ…やれやれ」
ライナーは口にも出しているが、見るからにやれやれと言った様子で肩をすくめて見せる。
俺の態度に対してのライナーは、いつもこんな感じなので軽く流しつつ視線を流すとアニと目が合う。
相変わらずの冷めた目だが、その瞳には呆れが映っている。なんとなく自分と似た雰囲気を持っているので見ることがあるが、同じ無表情でもなんとなく感情が読めるようになって来た。おそらく、いや、間違いなく呆れている。
俺の相変わらずの社交性の無さになのか、ライナーとのいつものやり取りを見てなのかは判断がつかないがやれやれと言った様子だろう。
視線が交錯したのはほんの一瞬で目を逸らされてしまう。見つめ合うつもりはなかったが目を逸らされるというのは意外とショックなものだ。
まぁいいけど。
「まったく、最後までそれかよハンク」
「俺はずっとこうだ」
「だろうよ。それよりもハンク。さっきのエレン演説を聞いてどう思った?」
「どうもこうもない。いつもの光景だろう」
おもむろに視線をライナーへと向けると、ライナーは口調の割に真剣な眼差しを向けている。その視線にどんな意味が込められているのかは分からないが、恐らくライナーの言う“兵士の責任”あたりの事だろう。
「敢えて言うのなら、持ってる奴と持ってない奴の差だろ」
「ほう?」
ライナーは俺の横の椅子に、どさりと座ると視線を合わせてくる。面倒な空気になった。どっちでもいいけど。
視界の端ではアニも興味深そうに視線をこちらへ向けているのが分かる。
「持ってる奴、まぁこの場合は馬面か。あいつはきっと何も失ってない。だから持ってる。持ってる奴は巨人に対して特別な感情を抱いていないんだろう。だからエレンのような持ってない側の人間の気持ちが分からない。だからぶつかり合う、喧嘩になる」
そこまで言って、コップを傾け唇と喉を潤す。
「その二種類の人間は相容れない。一概に必ずそうとは言えないかもしれないが、馬面とエレンのように両極端にいる人間は相容れないだろう。それだけの話だ。お前も理解できないわけではないだろ」
ライナーに視線を向け、一応返答を待つ。聞かれたので答えただけだが、ライナーのことだ俺とは違う考えを持っているかもしれない。どっちでもいいんだけど。
ライナーは腕を組み考えるように目を伏せる。考えが纏まったのか顔を上げこちらに視線を向ける。その目には強い意志の光が灯っていて威圧的な雰囲気すら出ている。
「そうだな。そのとおりだ。力のあるものは何かを守らなければならない。だが、自分の意志を貫き通す者は兵士ではない。―――――」
「戦士だ」
その言葉はライナーの全てを乗せたような、重い言葉だった。
『腕が…腕がぁ…!!!』
『お、落ち着いて!先生!出血が止まりません!!!』
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!!!!!!!!!!
『うぁ…あぁ…!!!』
『くっ!巨人から助け出せたというのに、命を助けられないのか!!!』
『ぁああ……ああああああああ!!!』
焼けるぅ!!!あぁぁぁぁあぁああああああああぁぁぁあああああああ!!!!
『暴れては駄目だ!出血が酷くなってしまう!!くそっ!こんな子供を助けられないのか!』
熱い!腕が!焼ける!!!!!!!
『熱いぃ!!!痛いぃ!!!!がぁあああああああああああああ!!』
『私が見よう』
『ぁ…ぁ…あ…』
『あんたは、たしか…。はっ!くっ!痛みとショックで意識が!!!んぐっ!!!!!がはっ!!!!!!!き…さま…な、にを…!』
『せ、先生!きゃあああああああああああっ、が…ぁ……。』
なんで、こんなに痛いんだ。何が、何が、何が!!!
『何があったか話せるかい?』
ぁ……あ?
死ぬほど熱くて死ぬほど痛くて狂いそうだった俺は、そう死ぬほど優しい声で正気に戻ったんだ。
すると痛みはぶり返す。
だけどなぜか必死で、痛みに堪えながら俺は…話すことを選んでいた。
『で、かい、きょじんが、お、れのう、でを……』
『腕を…?』
『く……』
鮮明に思い出されるビジョンは巨人を突き飛ばそうとした俺の腕を一瞬で食いちぎる巨人の姿だった。
『食いやがった!!!!!!!』
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
『これで君は、生き残る。使い方は、彼らの記憶が教えてくれる。だから、』
そう言うと優しい声をしたそいつは俺の腕に注射を撃ったんだ。
『生きなさい』
次の瞬間、全身が、
頬に衝撃が走る。
目を開くとそこには、平手を打った体勢のライナーが心配そうな顔で俺を覗きこんでいた。
さっきのは、夢、か。
「大丈夫か?ものすごいうなされてたが」
「…そうか」
「普段は死んだように寝てるから呻き声を聞いて驚いたぞ」
「すまない」
「…」
ライナーに心配をかけたことを謝ると目を見開いて驚いている。
そんなに不思議な事をしたつもりはないが。
「お前に謝られる日が来るとはな。ちょっと気味が悪い」
「なら早くどけ。いつまで俺の上に乗っているつもりだ。もう少し近づいていたら斬り殺していた」
「…いつも通りか」
ゆっくり起きあがると、鏡の前に立つ。
そして自分の姿を確認すると、思わず笑ってしまう。
肩口まで伸びた癖のない金色の髪に、色白の肌。大きな水色の瞳は垂れ下がっていて愛嬌がある。
自分で言うのもなんだが、女顔だといわれるのは納得がいく。
死んだような意志を感じさせない目は、一切の感情を封じ込めている。
「無様だな」
その言葉は鏡に映る自分自身への戒め。そして激励。
引き締まった体の強烈な違和感。
肘から先が“何もない”両腕を見つめる。
「…ハンク。そろそろ時間だぞ」
「あぁ」
鏡の前から動き、両腕に立てかけてある義手をはめる。付けてすぐはかなりの違和感があるがこの違和感にももう慣れた。
数分もすれば通常の腕として扱えるだろう。
訓練兵団の制服に着替え、今日の仕事をこなす。
今日は班ごとに分かれて別々の作業を手伝わされるらしい。俺の班の仕事は野菜などの食料を運ぶ事だ。
班員は俺、クリスタを含む8人だ。正直クリスタ以外、対して話したこともない奴らなのでこちらから話しかけることは一切ない。
その辺は女神クリスタにでもお願いしよう。どうせ向こうも俺に話しかけてこようなどと思わないだろう。
クリスタのおかげで何事もなく食料を運ぶ事が出来始めている。
俺には必要のない事だが、社交性が高いと便利そうだ。
「ねぇ、ハンク」
「なんだ」
「腕、大丈夫?」
「問題ない」
「そっか、よかった」
「…よかった?」
「うん」
背中に手を回しくるりと振り返りながら笑顔で話しかけてくる。
なるほど、天使…ね。
「ハンクが強いのは知ってるけど、やっぱり重いものとか持ったりしたら大変なんじゃないかと思ってさ」
なるほど、女神…ね。
「俺が強いのは刃物を持った時だけだと知っているだろう。体格、腕力で勝っている俺がお前に格闘訓練では一度も勝てなかった」
こと格闘に関してはクリスタ以下なのは同期ならば周知の事実だ。現在はどうかわからないが、当時は自身のセンスの無さを自覚していた俺は真っ先にクリスタに近づき周りから厳しい目で見られたものだ。すぐにそんなこともなくなったが。自虐的な笑みを浮かべてそう言うと、クリスタはあははっと天使の笑顔(ライナー談)で笑うと楽しそうに言葉を紡ぐ。
「そうじゃないよ。心の強さっていうのかな、そういうの」
「…わからん」
「本人は分からなくても、私はわかってるから大丈夫!それに、ライナーやアニだって分かってるよ!」
「そういうものか」
「そういうもの!それに格闘訓練だってアニに頑張って立ち向かってたじゃない。今ならきっと強くなってるよ」
「一日何回宙を舞ったことか」
思い出すだけで体が浮遊感に襲われる。
クリスタはまた、楽しそうに野菜の入った箱を抱きながら笑顔を向けてくる。
「よし、じゃあ運んじゃおう。話してると怒られるしね」
「そうだな」
そういうと俺も箱に手をかけたその時、人類のトラウマを掘り起こす轟音が耳に響いた。
ゆっくりと壁に視線を向けると、
いつか見たそいつが、
こちらを覗いていた。
巨人のSSはどんなふうに書いていいか悩んだので、いろいろ拙いです。
兎にも角にも誤字脱字等報告お願いします。