なんか気がついたら1カ月以上たってました。
あ、この話からルートの一つに入ってます。
条件とかは終わった後にでも話します。
では、どうぞ。
「…あー、だるい」
口を開けば出るのは体のダルさと頭痛のうっとおしさくらいのものだ。
“どういったわけか気が付いたら朝だった”まではいい。別に特に支障があるわけじゃない。
“よくわからないがライナーとベルトルトの余所余所しさ”だってどっちだっていい。そんなもの犬に食わせて捨てておけ。
問題は――――――――
「どうしたの?大丈夫?」
「――――」
朝食を食べに出てきて遭遇してから、俺にくっ付いて離れないアニだ。
頭痛がする。周りの目などあまり気にしたことがないが、なんだこれは。
別に問題があるわけではないのだが――――いや、ある、のか?
細かいことは良い。問題は一見いつもどおりなのに体を密着させて来たり、俺をやたらと心配してくるこいつだ。
極めつけは、
「ハンク、大丈夫?食べさせてあげようか?」
などと言ってくる始末。
何が大丈夫?だ。それはこっちのセリフだ。それに俺は一度たりとも自分で食事を摂れなかったことはない。
ここ数年同じ釜の飯を食っているというのに一体何を見ていたというんだ。
…興味がなかったと言われればそこまでだが。
「どうしたの?」
「…なんでもない」
悪意の無い顔で覗き込んでくるアニの行為を無下にも出来ないが、食べさせてもらうなど洒落にならない。
アニの行動は正直奇行だ。
周りを見ても俺という周りから見てもよくわからない存在と、アニの奇行のせいで誰もこちらを見ていない。
いい現実逃避だ。俺もできるなら夢にしてしまいたいほどだ。
ミカサとアルミンを発見した。
何となくミカサと目があったので目に精一杯力を込めて、“助けろ。”と送って見る。
伝わったのか伝わっていないのか、謎のガッツポーズを返してくれた。
ミカサのガッツポーズを見て今度はアルミンと視線が合う。今度こそ…と“助けろ。”と送っておく。
アルミンはというと…照れたように顔をそむけやがった。ダメだあいつ。完全にアブノーマルな方向だ。近づかないようにしよう。
何とかミカサに…と思ってミカサを見ようとすると、頬にそこそこの痛みが走るので振り向くとアニが目を細めてスプーンの柄の部分を俺の頬に当て、ぐりぐりと抉っているではないか。正直痛い。
「ねぇ、食べないの?それとも…ミカサが良いの?」
「―――――」
別に誰が良いとかではないため、返す言葉はない。
「いや、別に―――」
「まさか…アルミンが良いの?」
「それはない」
おい、アルミン。聞こえたのかもしれないがそんなことは万に一つもないから黙って食ってろ。
「じゃあ―――」
「俺はもういい」
「え?」
そう言うと一つ嘆息する。このままここに居ても事態は好転しないだろうからな。
そのまま席を立つと、部屋に戻ることにする。
「よ、よう、ハンク」
「―――」
部屋に戻って見たら今度はうっとおしさ50%増の巨漢が居た。
いつものフランクさはどこへ行ったのか謎の馴れ馴れしさで肩を組んだりしてくる。
うざい。
「どうした」
「どうもしてねぇよ。お前こそ調子はどうだ?」
「別にどうもしない」
「あっはっはっはっは!そうかそうか!」
ばしばしと俺の背中を馬鹿力で叩き始める。何が楽しいのか笑ってやがるのが腹立つ。
痛い。
とりあえずムカついたので顔面に拳を叩きこんでおく。
ぐえとかいう唸り声を上げて倒れたが、あの巨体なのだ大丈夫だろう。
今日は昼過ぎに所属兵団を決める。
調査兵団志望は変わらないので特に覚悟も何もない。
時間はまだある。頭痛もするし違和感もある。どう言った理由かは分からないが、大抵のことは眠れば治る。
どうせ睡眠不足だろうと勝手に判断し昼まで眠ることにした。
「ハンクの様子はどうだ?」
鼻を赤くした巨漢の少年―――ライナーは訊ねる。
「…なんか、おかしいよね」
それに答えるのはライナーより背丈だけ見れば一回り大きな少年――――ベルトルト。
「…だよな」
ハンクの様子はおかしかった。
二人の少年は人類を滅ぼそうとした巨人であり、その内密な会話を昨晩ハンクに聞かれ、殺されかけた。
アニという存在がなんらかしろの影響をハンクに与え、ハンクは意識を失ったためその場では特に何もなかったが朝になれば嫌でも顔を合わせることになるのだ。
正直な話、気まずい。というか、自分たちの命が危険だ。
調査兵団含め、壁の中の人員は超大型巨人、そして鎧の巨人は巨人の亜種くらいにしか捉えていない。
ハンクの普段の行動を鑑みるに、周りの人間が信用するとは思えない。
酷い言い方だが、彼の人望の無さは知っている。
冷酷、無慈悲、無関心。
興味がなければ話など聞こうともしない、敵であるならば仲間であっても腕を切り落とすくらい簡単にする。
目的意識が高いと言えば聞こえはいいが、同じ目的を持つエレンとは天と地の差をつけられるほどの人望の差がある。
しかしそんなエレンとハンクが仲が良いのが不思議なものだ。
そんなハンクが急に「ライナーとベルトルトの正体が巨人。」と言いだしても信用されるかどうかと言われれば、それは否だ。
ライナーもベルトルトも成績上位者ということと合わせて、かなりの人望を持っている。
ライナーに至っては下手をすれば同期の中では一番信頼されているのではないだろうか。
そんな真逆の人望の二人のどちらを信用するかと言われれば回答など火を見るに明らかだ。
ハンクの妄言として即座に吊るし上げをくらうだろう。
だが、そんなことはハンクは分かっているだろう。ハンクは頭が良い。…というよりかは勘の鋭さと普段見せない興味を一点に集中させているからなのか集中力がすごいのだ。
他人に出せない答えを“なんとなく”“そうなんじゃないか”などといって答えを出すことが出来る。あとは遠慮がないので教官に対してもズバズバと質問をしていた事が二人の記憶には新しい。
そんなハンクが自分のこととライナー達のことを比べてそんな結論に至らないわけがない。
だから二人は考えていた。
――――おかしい。
ハンクの行動はおかしかった。
目を覚ましたハンクは、特に警戒するわけではなくいつものように目が覚めていない様子でふらふらと起きあがると平然と「ん、んー…ふわぁ~…だる。」などと言葉を残して顔を洗いに行った。
戻って来てからもライナー達が警戒しているのを察したのか視線を向けてきて小首を傾げたかと思うと「…馬鹿なのか?」と毒を吐いてきた。
そのあともどういうわけかハンク以上におかしな行動をとるアニに呆然としながらもハンクを見ていると違和感の正体に気付いた。
というよりかは気付いていたのだが、警戒しすぎて結論を先延ばしにしていただけである。
――――おかしい。
ハンクは、“あまりにも自然すぎる。”
先程もいつもよりテンションがおかしくなったライナーの顔面にパンチを叩きこんだことと言い、“いつも通りすぎる。”
…ライナーはここまで思い返して自分の扱いの酷さに軽くショックを受けたがそれどころではないので詳しい事はいいとしよう。
「…私はもう協力しないって言わなかった?」
金髪の少女―――アニは嫌悪を隠そうとせず言葉を紡ぐ。
「…そういうな。ハンクの事に関しては、俺たちは情報が欲しい」
「気持ちは分からなくはないけど、私はもう関係ない」
「本当にそう思うか?」
「…」
「いくらお前が無関係になっても、お前が俺たちと協力関係にあったという事実は変わらない。ハンクの不自然さも気になる」
「…だから?」
「ハンクについての考察に参加してくれ」
「…はぁ」
アニは溜息をつくと、壁に背を預ける。
ライナーの発言が馬鹿すぎて呆れ果てているのだ。
ベルトルトすら呆れ顔なのだから相当だろう。
「なんだ、その反応は」
「…はぁ」
もう一つ嘆息。切羽詰まっているのか元々馬鹿なのか。
いや、ここに入って出会った男はみんな馬鹿だ。…一人を除いて。と、自己解決して向き直る。
「まぁいいわ。協力しろとか言ってたら自滅覚悟で全ての情報を流してやろうと思ってたけど…それくらいなら付き合ってあげるわ」
「さらりと怖い事を言うな…」
「ま、まぁ、アニも協力してくれるって言うんだし、少ない情報で頑張ろうよ」
「…とは言ってもねぇ…」
ハンクの行動がおかしいと言っても、その理由を結論付けるのは難しい。
いつも通りの行動をしているのにそれを不自然だと感じるのは、自分たちに後ろめたいことがあるからなわけであり…それを証明できるわけもなく、本人に直接訊ねることもできない。
変な話、誰にも証明できない事を考察して結論付けようと言うのだ。
「…はぁ」
アニはここでもう一つ嘆息。
やっぱりライナー達の案に参加したのは無駄だったかもしれない。
証明できないことを考え続けるなど時間の無駄だ。
――――やっぱり、馬鹿ばっかり。
とはいえ、時間を掛ければ仮説の一つくらいは立つかもしれないし…と真面目に考える。
きっと無駄だろう。
まぁ、いいけど。と思考を切り替えるアニであった。
目を覚まし、同期が集合している場所へ向かう。
数刻ほど経つと集合を掛けられ、先日会話を交わしたエルヴィンが演説を始める。その内容は調査兵団の現状を含め、正直調査兵団への兵士を募る内容としては最下級だ。
あんな話を聞けば、入ろうとする奴などかなりの数に絞られるだろう。
だが、それと同時に重要そうな話が混じっていた。
エレンの実家の地下には何かある。
それだけ。たったそれだけ。
だが、それだけのことが重要なのだ。
エレンという希望はそれだけでは何の役にも立たない。
彼単体で出来ることなど知れている。エレンが居れば巨人がなんなのかわかるのか?答えは否だ。エレンが居れば壁の秘密が解けるのか?答えは否だ。エレンが居れば巨人を駆逐できるのか?答えは否だ。
足りない物が多すぎる。情報も、力も、先を見るための希望も。
エレンの地下に何かあるなら、それは十分な可能性だ。
それに…エルヴィンのあの目。
何かを探っている?
…この前俺が話した内側の敵の事か。
ぐわりと視線が揺らぐ。立ち眩みのような感覚だ。
体調は万全だ。少なくとも急に立ち眩む理由など無い…と思う。
頭が痛い。味方に…敵…?
いない…とは言えない。…そんなことは分かってる。
だが、なんだ?…くそ、違和感が拭えない。
迷うな。決めたんだろ、ハンク。
俺の敵は、俺の自由を阻むもの全てだ。巨人も、人間も関係ない。目の前の障害全てが敵だ。
一つ、深呼吸。小さく息を吸い、小さく吐く。
深呼吸にしては小さな呼吸。でも、それで十分。迷うな。この違和感の正体が、何であろうと。
エルヴィンの演説はほとんど聞き流していたが、周囲を見渡すとほとんどの者は顔を顰めている。
当然と言えば当然なんだが、過剰に反応しすぎじゃないかと思う。
たしかに先日巨人に壁を破られて死の恐怖をその身に味わったという事実は同情に値する。だが、そんな世界だからこそ先を見通せる力と恐怖との折り合いをつけて生きていかなければならないと思う。
真っ向から否定するつもりは当然ないが、もう前例が出来てしまった以上“無関係でいることが安全”ということはなくなったのだ。
…まぁ、別にいいけど。
終わって、結局残ったのは十数名。おおよそ予想通りのメンバーだ。
意外だったのはあれだけ内地志望だと騒いでいた馬面と…アニ。
あとは成績上位の面々と、アルミンなどの目的意識のある奴ら。後は知らん。
「……皆…」
「あぁ……クソが…最悪だチクショウ…調査兵団なんて…」
「…う…嫌だよぉ…こわいぃ…村に帰りたい……」
「あぁ…もういいや…どうでもいい」
「泣く位ならよしとけってんだよ」
エルヴィンの声が響く。
「第104期調査兵団は敬礼をしている総勢22名だな」
22人…意外と残った、というべきか。
「よく恐怖に耐えてくれた…君たちは勇敢な兵士だ。心より尊敬する」
頭に血が上る。きっと俺は今、怒っているのだろう。
間違ったことをしているつもりはない。目の前に居るこの野郎をぶっ飛ばしてやりたい気分だ。
きっかけは単純な事。エレンに絡んでいた馬面にイラついて口を出したからだ。
「お前、ミカサを殺そうとしたらしいな?それは一体どういうことだ?」
「違う。エレンはハエを叩こうとして…」
「お前には聞いてねぇよ」
「ミカサ一人くらいなら事故の範囲だろ」
「…あ?」
「偶然ミカサがそこに居ただけかもしれないだろ」
「…てめぇには聞いてねぇんだよ、根暗野郎」
「どうした馬面。口先だけか?俺は自分の意思でエレンもミカサもアルミンも纏めて殺そうとしたんだ。事故かもしれない事象に文句を言ってる暇があったら改善点の一つでも出して見ろ」
「事故…だと…?殺そうとしたのも許せねぇが…自分で何を言ってるのかわかってるのか?」
「貴様こそ何を言ってるのかわかっているのか?」
「…なに?…俺たちは自分の命をエレンのために使うことになるんだ。その辺しっかりさせておくのが」
「そんなことは聞いてない。今まであれだけエレンの事を馬鹿にしておいてちょっと自覚を持ったら説教か」
「…」
「イラつくんだよ。分かったようなこと言って、自分の都合だけ押し付けて」
「…うるせぇ」
「お前の言いたいことが分からないでもないが…今のお前は認められない」
「…ハンク、言い過ぎ」
「いいか馬面。お前がどう思おうとも、エレンがどう思おうともお前がエレンにぶつけてきたものは無くなりはしない。良い事言って、正しい事を言っただけじゃ割り切れないんだ。お前が一言エレンに言うまで、お前にエレンに言葉を掛ける資格はない」
「…良く喋るな」
「ハンク、ジャンの言うことも聞いてあげて」
「…エレン。この馬面はお前にしっかりしろと言いたいらしい。いいか、この馬面は気に食わないが言っていることは間違っていない。いいか、“お前次第だ”」
馬面には悪いが、どこで誰が何があろうともお前はエレンに謝るべきだ。
俺も言いすぎたかもしれないが…いや、いつも通りか。
嫌われようがなんだろうが、別にいい。
正直ジャンの都合のいい立場はあんまり好きじゃないです。
言ってることは正しいけど、だからってそれまでのことが無しになるとは思いません。
ともかく、次はできるだけ早めに…
誤字脱字あると思うので報告お願いします。
後感想評価まってまーす。でわでわー。