PC調子悪いです。
ただ、すべて携帯で書くことになったら失踪までありますねw
ではどうぞ。
“やつ”が顔を覗かせてすぐ、とてつもない轟音が響き渡った。ここトロスト区の住人の中には、前回の壁破壊事件を目撃したシガンシナ区の住人も多々いる。
周りの住人の中にも居たのだろう、そして壁側からの轟音。一瞬の静寂の後に誰かの口からこぼれた言葉が止めだった。
「きょ……じ…ん?」
次の瞬間、先程の“やつ”の攻撃によって起きた音に負けず劣らずの轟音が周囲を包み込んだ。それは悲鳴、悲鳴、悲鳴。
前後左右一瞬でそこは阿鼻叫喚の様相を呈していた。
だが、周りに反して俺は自分でも驚くほど落ち着いていた。それどころか気分が高揚しているのが分かる。
気分の高揚、そして周囲の騒音の中でも俺の心は落ち着いて“やつ”見据えている。それと同時に沸々と湧きあがる感情が俺の心を支配した。
―よし、殺そう。
来るんだろうな。来るんだろう。“やつ”が出たということは一緒になって来るんだろう。誰も望んでないのに来るんだろうし。
なら仕方ない。
この腕の責任も取ってもらわないと行けないしな。あぁ、思いつく限りあいつらが悪くないところを考えるが全く思いつかない。
―うん、仕方ない。殺そう。
「あれ…巨人…だよね」
「俺にはそう見えるな」
「さっきの音…壁が…」
「壊されたんだろう」
視線をクリスタへ向けると元々色白だったが色白を通り越して蒼白までいっている。
「大丈夫か?」
「えっ?あ、う、うん」
クリスタは物凄く驚いた顔をする。
この顔はあれだ。俺が人を心配した時にされる顔だ。
「安心しろ。俺は大丈夫だ。…2つの意味で」
「うん。…うん?」
「まぁいい。兎にも角にも本部に向かうぞ。この騒ぎだ、対策本部が出来ていないはずがない。それに見てみろ」
視線を先程まで超大型巨人がいた方向へ向けるとクリスタもそちらへ視線を向ける。そこには蒸気のようなものが立ち込めているだけで、超大型巨人の姿はない。
「やつは消えたみたいだし、俺たちのするべきことは本部の連中が決めるだろう」
「うん。ハンク、冷静だね」
「戸惑っている。困惑している。そんな時間はきっとない。やるべきことをやれば、最後は生き残れるはずだ」
「そうだね。本部へ行こう!」
「それともう一つ」
「え?」
「俺はわかったようなことは言うが、それが正しいとは限らない。覚えておいてくれ」
大事な事なので言っておく。無責任だとは思うが全ての責任を俺は負うことが出来ない。それこそライナーの言う兵士の責任と言う奴だ。
自分が正しいと思ったことをすれば、結果的にそれがどうなったとしても納得できるはずだ。俺としても適当な事を言う気はないが「あいつがこう言ったから」などと言われるのは心外だし、面倒事を背負い込む気はない。
「ハンクって、優しいんだね」
天使、女神、妖精。
なるほど、ライナーの言っていたことがやっと理解できた。
本部につくと駐屯兵団が仕切り、俺たち訓練兵が従うという構図になっていた。話を聞く限りだとどうやら現在は立体起動のガスボンベをある程度作ってから出るらしい。
ガスを補充している連中の方を見ると、ミカサがきょろきょろと周りを見渡している。この状況下だ、誰を探しているかなどは想像に難くない。
自分の準備などはここについてすぐ済ませたので、次の指示が来るまで遠目にミカサを眺めていると見つけることが出来たのか、エレンに近づいていく。
そのエレンはと言うと幼馴染のアルミンと一緒にガスを補充する作業をしているようだ。
だが、アルミンは遠目で見てもわかるくらい混乱しておりそれをエレンが落ち着かせるという構図だ。
さほど距離が離れていないためアルミンの混乱がよく伝わる言葉が聞こえてくる。
「巨人はその気になれば、人類なんかいつでも滅ぼすことが出来るんだ!!」
「アルミン!!」
「ッ!!」
「落ち着け!」
普段は割と激情型のエレンが知的なアルミンを落ち着かせる構図か。中々に面白いな。
まぁ、エレンは仲間思いだし当然と言えば当然か。
訓練兵団に入った時はジャンと口喧嘩しては無駄にキレていた、ガキっぽい奴だったが成長したものだ。
どうやら作戦内容は、前中後と大きく3つに分かれ前衛で出てくる巨人の迎撃、中衛は前衛の討ち漏らしの処理及び情報伝達。
後衛は精鋭班による住民の避難の補助、警護らしい。
訓練兵は中衛らしいがミカサは主席なのが理由なのか、後衛で精鋭班と一緒に行動だそうだ。
中衛か。どの程度巨人が来るかわからないが皆殺しだ。
兎に角視界に入った奴から殺そう。情報伝達が任務に入っているがこの状況下で一体どんな情報を送れというのだ。討ち漏らしを片っ端から処理するのが基本任務のようなものだろう。大体この任務はおかしなところが多い。
「…」
「…」
これからの任務の事を考えているとアニと目が合う。目があったのはほんの数瞬のことでこちらへ近づいてくる。さほど距離も離れていなかったこともあり距離が近づくとおもむろに話しかけてくる。
「この状況が楽しい?」
「…?その質問の意図が理解できないが」
「そう。じゃあ理解しなくていいよ」
そう言うと俺の頭の両端を持ち、顔を近づけてくる。
恋愛などしたことがない俺だが、恐らくアニは美人であろう。そのような少女に急にこんなことをされれば、思考が停止してしまう。
だが、そんな下賤な想像とは裏腹に唇どころか頭部にかなりの衝撃が襲った。
「っ!…なにをする」
「普段生気の無いような眼をしたあんたが、こんな状況下ではニヤついていたから。本当は蹴り飛ばしてもよかったんだけど、こんなところで転げまわられても困るし」
頭突きをしたアニは珍しくしたり顔でこちらを見ている。
復讐などと言う言葉を使う気はないが、普段と比べると確かに少し気分が高揚していただろう。思うがままに気に食わない敵を屠る事が出来るのだ。少しくらいはいいかとも思うのだが、人類の危機であることは変わりがない。
この場合はアニが正しいだろう。
「そうか。多少不謹慎だった」
「昨日ライナーに言った言葉をそのままあんたに使ってもよかったんだけどね」
「返す言葉もないな」
「それでも無駄に悲観してる奴らよりはマシだと思うけど」
視線を班分けを行っている方向へ視線を向けると大多数が暗い表情をしている。
恐らくもう死ぬんだと諦めている顔や、わずかな希望に縋り付くかのように奮起している者など様々だ。
しかし、それでも訓練兵の大体は絶望顔だ。
「…仕方がない。ほとんどの奴の目的は、俺やエレンとは違う」
「大多数の人間があんたたちと同じになったら、それこそ終わりだと思うけどね」
「それはどういう意味だ?」
「普段はそうじゃなくても、こうなった時考え方が死に急ぎ野郎になるあんたや、普段から死に急ぎ野郎なエレンみたいなやつばかりになったら、皆が皆調査兵団に入って死んでいくんだろうと思うとね。それこそ終わりでしょ」
全く、返す言葉もない。だが、それはそれで人類の可能性は広がるとは思うが極論だろう。
「違いない。だが、アニ。お前は大丈夫なのか?」
「は?」
俺の言葉に驚いたのか、視線を俺に戻すアニ。俺はさっきの頭突きの仕返しとばかりに思いついた皮肉を言ってやることにする。
「か弱い乙女なんだろ?この状況下は乙女には厳しいと思ってな。かく言う俺もお前のことは戦闘以外ではか弱いと思っているからな。問題があるなら言った方がいい」
「…」
こう言う時はどや顔と言うやつがいいらしい。決め顔としても有効らしい。
顔の筋肉の動かし方が分からないのでとりあえず通常通りでいいだろう。
「まさか本当に心配される日が来るとは思わなかったよ」
「…」
「気を使ってくれたのには感謝するけど、あんたも死なないようにしなさい」
「あ、あぁ」
アニはくるっとまわって「じゃあね、ハンク」と言い残し去っていく。
アニには死なれたくないものだ。訓練兵団時代から付き合いのある友人だからな。
兎に角、そんなことにならないように巨人はすべて殺してやろう。
現実は非常に残酷だ。今いる世界の残酷さは息をしているだけで全身に襲いかかってくる。
この世界のシステムはこの世界の住人にとって最も悲惨なものだ。
耐えられなければ死ぬ。そんなシンプルなシステムは弱められることもなく常に人類を殺しにかかっているから性質が悪い。
本部から送り出されてからどの程度たっただろうか。俺以外の班員は“全滅した”
俺と一緒にいるよりは、と思ってクリスタを外したのは正解だっただろう。
最初は必ず生き残るんだ!と騒いでいた連中は一人死んだ段階で弱気になり始めた。何回か助けもしたが、助けた次の瞬間には別の巨人に殺された。さきほどまで一緒だった班員はそんな世界のシステムに絡め捕られたんだろう。
「悪夢だな」
不意に伸ばされた巨人の手を屋根から飛び降りることで回避する。回避したはいいがそのままでは地面に叩きつけられてしまうため、アンカーを巨人の右肩に発射する。
アンカーを巻き急速に接近し、その勢いを利用することで背後に回り込む。どうやらこの辺までたどり着いている巨人の数自体は大したことがないらしく、先程数を減らしたのでそこまで周囲を気にする必要はない。
そのまま巨人の弱点である項を削ぎ、巨人を殺す。
殺した後はアンカーを使い再び屋上へ上る。
ここまで巨人がたどり着いているということは前衛はすでに壊滅したのだろう。たどり着いている数的に討ち漏らしたという数ではない。
この作戦の変なところは後衛に精鋭を置くという、討ち漏らしが出ることが前提の作戦だというところだ。たどり着かせないように初めから優秀な精鋭を前衛に置き、確実に倒しておくのがベストだっただろう。調査兵団が外へ出ているとはいえ戻ってきてくれるまでの時間稼ぎよりは倒すだけ倒して時間稼ぎと並行すればいいとは思うがな。
さすがに上の考えは理解が出来ないから何とも言えんが。
「また来たか」
今度も1体か。数体同時に来られるよりは確実に倒せていいが複数体を殺し尽くすというのも中々だ。
サイズは13Mほどか。かなり大きいが巨人は巨人。必死に俺に向かって抱きしめるように両手を伸ばしてくれるので、無防備な額にアンカーを飛ばし近づく。俺が近づいたことで喜々として口を開ける馬鹿面は見ていて腹が立つ。
「俺が近づいて嬉しいか」
このまま突っ込むと口の中に飛び込むため体勢を立て直す。口に入る寸前歯を叩き折る気持ちで蹴り、勢いを殺すと顔を駆けあがる。
「悪いが俺は、気分が悪い」
駆け上がりながら両目を刃で切り裂き視力を奪うと頭部へ立ち、アンカーを回収する。
巨人に痛覚があるのかどうかは知らないが、回復するとはいえ人体と同じ機能を果たしている巨人に眼潰しは非常に有効な手段だ。
そのまま無防備な項を通り抜けざまに切り落とし、殺す。
「だから、死ね」
もはや定位置となった屋上へ上り、周りを見渡す。すると、一時撤退の鐘が丁度鳴り響いた。撤退命令が出たのだ、丁度“二本目の”立体起動のガスも補充の頃合いだったことだし、さっさと補充して壁を登ろう。
無理をして死ぬなど最も愚かな選択肢だ。まだ4分ほどあり余裕があるといえばあるが、この程度でも任務に支障をきたす可能性を考えれば万が一を考え補充すべきだろう。
本部に近づくと、その途中で想像以上に多くの同期が残っている。
一時撤退の鐘が鳴ったのだから、さっさと帰還すればいいものをどうしたというのだろう。
本部近くの一角で、一際多くの同期たちが集まっているのが見える。
本部は…なるほど。本部の現状はともかく、同期たちに近づいてみる。
俺が屋根に降り立つと、多くの奴らは俺を見て驚いた様子だ。死んだと思われていたのだろうか。
「ハンク、生きてたか」
「当然だ」
俺に真っ先に声をかけてきたのはライナーだ。どうせ俺に声をかけてくる奴なんて、一部しかいないがな。
「他の班員はどうしたんだ?」
「死んだ」
ライナーに視線を向けると、悲痛そうな顔をして視線を逸らす。優しいライナーらしいな。
「…そうか」
「ずいぶんと暗いな」
「仲間が死んでんだぞ!!!…いや、お前の事だ。そういう意味ではないんだろ」
「…」
「俺たちのほとんどがガスが少ない。だが、本部は見ての通りで補充が出来ないから壁を登れないんだ」
なるほど。たしかに俺みたいな例を除けばそろそろガスが切れてくる頃か。当然だな。
「で、お前たちはどうするんだ?」
「お前たち…?ずいぶんと落ち着いてるな」
「俺はガスがあるからな」
その言葉を聞いた瞬間周りの連中は一斉に俺に視線を向けた。その視線は羨望の眼差しが多く、中には殺気を出している者もいる。当然と言えば当然か。この発言は、最低一人は確実に助かるということだ。
「おい!お前ら!!」
ライナーが察して周りを止めるも、名前も知らない恐らく同期の誰かが突っ込んでくる。
「ガスを…よこせぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「ハンク!!!」
格闘では弱い俺だが、一つだけ周知の事実がある。こいつが知っているのかどうかは知らないが、我を忘れたんなら思い出させてやろう。
そいつは刃を振り下ろすが、俺は切り上げるようにそいつの両腕を肩から斬り飛ばす。
「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ハンク!」
「止血すれば大丈夫だ」
「そういうことじゃないだろ!!」
「こっちは殺されそうになったんだ。生かしてもらっただけマシだと思うが。それに、知っていたなら思い出したんじゃないか?そいつも」
ライナーには悪いが、俺はそんなに優しくはないつもりだ。
俺がガスを余らせていると言っても、たいして気にも留めなかった数名はそれを知っていたんだろう。特に成績上位の連中はよく一緒にいたから尚更だ。襲うだけ無駄だと判断したんだろう。
―悪いが、刃物を持った俺はミカサ級だ。
とりあえず投稿です。
意外と更新できますね。
誤字脱字、後感想とか評価とかあるとうれしいです。