詰まり始めたらそこまで…かも(笑)
今回の話を見る上でのキーワード。
人はきっかけさえあれば割と簡単に変われる。
ついにこの日が来てしまった。
本来ならば悲観するような内容ではないのだが、俺は違う。
自分が特殊だとか、そういう事を言い出す気はないが少なくとも俺が一番ダメだろう。
このままいけば最下位待ったなしだ。
「では!各々好きな人員と組み、開始しろ!」
しかもこれだ。未だにまともに俺と話す人間なんて物好きはいない。
物好きのライナーを俺から遠ざけているのだから尚更だ。
“格闘訓練”
なんだそれは。そんなものいつ使うと言うんだ。
巨人を相手に素手で戦闘を挑めとでも言うのか。ふざけるのも大概にしろ。
俺には才能がない。
その他の事は平均位にはこなす俺には明確な弱点がある。
それは、“格闘センスの無さ”だ。
このことを自覚したのは開拓地に居たころだった。
性格も現在と大して変わらないが、偶然、そう偶然だ。何だかんだで年下の少女と喧嘩になり、恥ずかしい話が負けた。
お互い子供だということもあり、ラッキーパンチの可能性が捨てきれなかったが…自然と分かってしまった。
“格闘センス”とかそういう物が関係ない子供同士の喧嘩でだ。
俺はなぜか自覚してしまった。“俺には格闘の才能がない”ということを。
不思議な話なのだが、事実その通りなのだから仕方がない。
…ともかくだ。この訓練を何とか乗り切るしかない。
センスがないとかそんなことは考えるだけナンセンスだ。成績に興味はないが、やれることをやれば問題ないだろう。
ともなれば問題は相手だ。
正直な話誰でもいい。こんな時に限ってライナーはエレンと訓練か。
ふむ。…ん?
あの金髪の少女など丁度いいのではないだろうか。
それがいい。きっと同じくらいの強さのはずだ。同じくらいの強さで戦った方が実力は伸びていくのではないだろうか。
そうと決まれば、さっそく話しかけるか。
「…すまないが、一人か?」
「え?う、うん。」
「そうか。なら、俺と相手をしてもらえないだろうか」
そう声を掛けると、周りから視線が集まるのを感じる。
小さな声だが、俺を馬鹿にするような声なども聞こえる。その感想は当然だとも思うが俺からしたら貴様らの感想など求めてはいない。
「…迷惑だろうか」
「ううん。大丈夫だよ」
「そうか。ありがたい」
「おい!」
少女と話していると、俺に話しかける物好きがいた。
視線を送ると、そばかすのある女だ。
「…」
「無視かよ」
「…お前とは話すことなんてない。失せろ」
「…ふんっ!こんな小さな女の子しか相手にできないようなチキン野郎には言われたくないね。クリスタ!行こうぜ」
「ちょ、ちょっとユミル!」
「浅ましい挑発だな。お前こそこの少女しか相手してもらえる奴がいないから必死になっているだけだろ。俺が頼み、こいつが了承した。お前の意思など関係がない」
「…なんだと?」
「…」
そばかす女は物凄い形相で俺を睨んでくるが気にしない。
いくら睨まれたところで俺の気は変わらない。
「ユミル!この人の方が先だったんだから!それに言葉もきついよ!」
「…クリスタ、こんな奴に気を使わなくてもいいんだ。見るからに根暗野郎じゃないか。こんな奴放っておけよ」
「いいの!それにそんなに悪い人じゃないって」
「悪い人じゃない…ねぇ。さっきの口の悪さを聞いてなかったのかよ…」
「もう!兎に角、今日はこの人とやるから!」
「はいはい」
そういうと、小さく舌打ちをし去っていく。
俺は別に自分にデメリットのある会話をされたわけではないので事の顛末を見守る。
少女はふぅ、と息を吐くと俺に向き直る。
「ごめんね。ユミルも悪い人じゃないんだけど…。」
「気にするな。よくわからないが、恐らくお前のことが心配だったのだろう」
「ありがとう。私はクリスタ。クリスタ・レンズ。よろしくね。えっと…」
「ハンクだ」
「うん!よろしくね、ハンク!」
軽く自己紹介をすると、花が咲き誇るかのようににっこりと笑う。
よくわからないが、愛らしいとはきっとこういうことを言うのだろう。
ちなみにこの後俺はクリスタに一方的に負けた。
その様子を見ていたらしいユミルとかいうそばかす女には、同情された。
あれだけの挑発をしてきたので近づいてきたときにはどんな罵倒があるかと思ったが、まさか同情されるとは。
そんなにも無様だったのだろうか。
特に仲良くなったわけではないが、クリスタの比較的近くで食事を摂っていると喧嘩が起きた。
いつものエレンとなんとかとかいう馬面だ。
毎度毎度なぜああもくだらない内容で喧嘩が出来るのだろうか。エレンの話す内容には興味が湧くが、馬面のキレている理由がまるで理解できない。
あれでは昼間のそばかす女の方がよっぽどマシに見える。
遠目で見ているとついに殴り合い寸前までいった。だが、寸前でエレンの顔色が変わり謎の投げ技で馬面を倒した。
そして感情任せに生きるのは人間の本質ではない。仮にそうだとしてもお前はそうあってはいけない。それでは兵士ではないから、か。面白い事を言うな。
その理屈で言えば、俺ほど兵士に向いていない人間もいないんだろうな。
あの日から数日がたった。
そして本日もまた、格闘訓練だ。
正直に言って全く俺の成長が見られない。本日も元気にクリスタに連敗中だ。
体の動かし方とか、そういう次元ではないのかもしれない。
型どおりにやっても全く勝てない。
唯一格闘訓練の中でも木剣でも訓練では剣を持っていれば負けないのだが。
遠目には金髪の女とエレンが訓練をしている。
あ、また宙を舞った。
どうやらあの金髪の女は格闘技に秀でているらしく、エレンに格闘技を教えているようだ。
別に興味があるわけではないが、痛くはないのだろうか。
「どうしたの?ハンク」
「いや、何でもない」
んー?とクリスタは俺が見ていた方を見てあぁ。と納得したようだ。
「エレンとアニが気になるの?」
「…アニ?」
「もう!同期のみんなの名前くらい覚えようよ!」
「…」
「アニ・レオンハート!覚えた?」
「…覚えた」
「じゃああの金髪の子に吹き飛ばされてるのは?」
「エレンの事か?」
「そう。じゃあ女の子の方は?」
「…」
「…?」
「…」
「…聞いてなかったんだね」
「…すまん」
他人に興味のないせいか、どうでもいいと思ってしまうことは全く頭に入ってこない。
それが話したこともない他人ともなれば尚更だ。
「ねぇ」
「…?」
「あ」
噂をすれば…だ。なんとかという金髪の少女がエレンを引きつれて近づいてきた。
クリスタに用事だろうか。
俺が居ては話しづらいだろうと離れようとすると、呼びとめられてしまった。
「あんたよ。あんた」
「…俺か?」
「そう。遠目に見てたけど、あまりにもお粗末な格闘技術だからね。教えてあげようと思って」
なんだこいつは。馬鹿にしているのか。たしかにお世辞にもまともとは言い難いが、しっかり型に順じているつもりだ。
「…訓練の邪魔だ、消えろ」
「…そう言えって、この馬鹿がね」
「…エレン」
「あ、あははは」
エレンは名前を言われると渇いた笑いでごまかそうとする。
残念だが余計な御世話だ。
「…余計な御世話だ」
「…だろうね」
「は、ハンク、」
「と言いたいところだがその話、受けさせてもらう」
「え?」
エレンと金髪の少女とクリスタがものすごく驚いた顔をする。
そんなに変な事は言っていないが。
「ど、どうしたのハンク。そんな急に…」
「格闘技能なんて必要だとは思わないが…」
その言葉で金髪少女の気配が強くなる。
怒気のようなものだろうか。
「全ての物を無駄だと決めつけてしまう考えはさらに必要ない。結果的にこの経験がいつか何かに生きるかもしれないからな」
「ハンク…」
身体能力の向上にもつながる…と思うので、お願いすることにした。
言葉にも出したが、本当に必要なのないのは何もせずに何でもかんでも必要ないと決めつけてしまうことだ。
というわけで、
「…よろしく頼む。…」
「…?」
「あ、アニ」
「…ふん。まぁいいや。ここじゃ手狭だから向こうへ行くよ。…ハンク」
「…ふふっ。じゃあエレンは私とやろうか」
「…?あ、あぁ」
「やけに楽しそうだな、クリスタ」
「んー?だって、知ってる中じゃ初めてハンクから名前を呼んだんだよ?なんか嬉しいんだよ」
「オレにはよくわからないけどな」
「あ、手加減してよ?アニを相手にしてるつもりでやられたらどうしようもないからね」
「分かってるよ」
「本当にセンスが皆無なんだね」
「…」
開始してすでに数日経ったが、全く歯が立たないいろんなことに挑戦してみたが、当然全く勝てる見込みがない。
空中をくるくると回りまくっている俺はすでに曲芸の域だ。実際にやって見ると、アニの技量の高さが良く分かる。エレンはよくやっていたと褒められるべきだろう。
現在はまだ訓練中だが、アニが一旦休憩にしてくれた。
それでも露骨にサボっていれば咎められるため、軽く動きながらなのだが。
「まったく。…そういえばあんたはいつも一人だけど、なんで?」
休憩中、軽く拳を合わせるかのように動きながら休んでいると唐突にそんなことを言い出した。
難しい質問だな。
「…なんで、か。そういうお前もずっと一人だろう。仲の良い女友達の一人でもいるのか?」
「そう言われると返答のしようがないね」
そら見たことか。
同じ空気の人間だとは思っていたさ。
「…俺は、他人に興味がない」
「…」
「自分でこういう言い方をするのは変かもしれないが、他人に興味が湧かないんだ」
なぜだろうか。開拓地に居た時もそうだった。誰とも話さず、誰とも関わらない。
その生き方は、楽だった。
それに、俺の居た開拓地では俺の腕の事を馬鹿にする奴らばかりだったしな。
というか、なぜ俺はこんなことを話しているのだろうか。
俺に近いものを感じるからか…?
「それに、俺はこんな感じだ。気味悪がる連中ばかりなのもあるかもしれん。この腕だ、開拓地では役立たずと罵られる事も多かったしな。…作業量は同じだというのに」
義手を見せ、鼻で笑って見せる。
「…やっぱりあんたは馬鹿なんだね」
「…なに?」
「あんたは勘違いしてる。あんたの考えや生き方は分からないけど、少なくとも過去のあんたよりは少しは変わったんじゃない?」
「どういう、意味だ」
「どんな目に会ったか知らないけど、その腕を見れば普通じゃないことくらいわかるよ。その腕を見て、引かれて、他人に色々言われるのが怖い?」
「…怖くなど、ない」
「だろうね。あんたはここに居る連中の中じゃ強い方だから」
「…」
「それでも、私の言ってることが全て間違いだったとしてもあんたは変わってるよ」
何を言っているのか、分からない。いや、分かるのだが…言葉がしっかり入ってこないというのだろうか。
少なからず胸が苦しい。歯を食いしばり、アニの言葉を待つ。
「そう、あんたは変わって来てる。あんまり踏み込んだことはいいたくないんだけど…少なくともエレンやクリスタの名前を覚えて話すあんたは、昔とは違うんじゃない?」
「…そう、なのか?」
アニは俺の目を覗き込むように見ると、さらに言葉を繋げる。
綺麗な目に射ぬかれて、少し心拍数が上がる。
「それに、私の名前を呼んだでしょ」
「それも、自分から」
「それは成長なんじゃないの?」
スーっと心が楽になった気がする。呼吸もスムーズだ。
それだけアニの言葉は心を軽くしてくれた。
「…あー、柄にもないことしちゃった。忘れて」
「…忘れはしないさ」
「…嫌なやつだね」
「お前ほどではない」
「…ふん」
「アニ」
「…」
「…一応、感謝しよう」
「…ふん」
そういうアニは、照れたように顔を背けた。
あの後微妙な空気になってしまったが、今後も格闘訓練を一緒にやる約束をした。
これも、成長なのだろうか。
訓練場の森の中、いくつも飛びまわる人影がある。
それは訓練兵たちであり、巨人の項をいかに正確に削ぎ落すかの訓練中であった。
訓練兵の中でも頭角を出しているのは、ミカサ・アッカーマン、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、アニ・レオンハート、ジャン・キルシュタイン、コニー・スプリンガー、サシャ・ブラウス、エレン・イェーガー、そして…ハンクと呼ばれる少年である。
そんな面々を見て、教官は評価を付ける。
その一部をお見せしよう。
当然ミカサやライナーといった頭角を出している人物の評価は高く、それ以外は軒並み“並”という評価だ。
ハンクの評価はこうだ。
・ハンク・×××××××
通称ハンク。ほぼ全ての訓練において平均的だが、座学では時折恐ろしく鋭い意見を発するという。そして兵士の最重要課題である立体起動での訓練においてはミカサ・アッカーマンと同等の評価を叩きだす。
ただし格闘技能は壊滅的であり、体格などにおいて勝っているはずのクリスタ・レンズにも敗北するなど評価するべきところがない…のだが、本来評価の低い格闘訓練への参加態度は非常に優秀である。
しかし、その格闘技能もなぜか刃物を持った時のみミカサ・アッカーマンと互角の動きを見せるが完全に格闘ではなく攻撃方法が殺傷のため評価できない。(刃物によって行動を制限させ、首を断ち切るように攻撃するなど。)
さらに問題を上げるとすればその人格である。
非常に他人への関心がないためか、まともな交友関係を持たず仲間からの信頼はほぼゼロである。(正確にはゼロではないが、大局的な意見を聞いた時ほぼゼロとなる。)
しかも義手というハンデがあるため、評価にマイナスが付くことも多い。
格闘術3
行動力10
頭脳戦7
協調性1
刃物11
総合評価A-
・教官の分析
立体起動、及び刃物を持つことでとてつもない戦闘力を誇る代わりに大きなハンデを持つとてつもなく惜しい人材。こういう言い方は卑怯かもしれないが、両腕が健在で人格がもう少しまともであればミカサ・アッカーマン以上の人材だったのかもしれない。
評価の数字とかのアレは公式ファンブックを参考に捏造。
今回の解説。技量が上がらないから一々こんなこと書かなきゃいけないんでしょうね(笑)
と、ともかく…ハンクとアニの関係性。
ハンクがアニに似た空気を感じ、なぜか話さなくてもいいことを話してしまうようにアニも同じく余計なこともまで話してしまっています。
似た者同士はすぐ仲良くなれる!これは本当に世界の法則だと思う。同族嫌悪はお互いのことを認められないから起こるわけで、認めちゃえばすぐに親友ですよ!親友!
ハンクの仲良くなった順番。ライナー(?)→エレン→クリスタ→アニ。
アルミンが格闘術2だったのでとりあえず3に。クリスタが6だったのでまぁこれくらいかな、と。
アルミンくらいならさすがに腕力一辺倒でねじ伏せられそうですし。
行動力10はまぁ…作中でエレン守ろうとした次のシーンでは殺そうとしたりとか。
頭脳戦。意外と賢い。鋭いけど作戦立案とかそういうのに向いてない。
協調性。ハンクに最も足りてないもの。アニが3だったのでそれ以下で教官とかからの目線となると1かなって。ライナーとかエレンあたりから言わせれば3くらいは有るのかもしれないけど…。
刃物11 特に言うことはないけど、これがなければハンクはちょっと賢い役立たず。これありきのハンク。これがハンクのすべてと言っても過言ではない。
教官の分析 机上の空論。
ハンクのハンデ。戦闘中及び壁外調査中に義手壊れたらいろんな意味でやばい。だから評価的にはマイナス要素。どんな頑丈なものでも必ず壊れるから仕方ない。
というわけで見てくださった方々、ありがとうございます!
誤字脱字、あると思います!報告と感想、評価などなどお待ちしております!!
でわでわー!