~ウイングの部屋~
「さて、一昨日の続きの説明です」
べジータ、ゴン、キルアの3人はウイングの部屋へと来ていた
ウイングから念の使い方、べジータにとっては使われ方、を教えてもらうために
「まずは気配を消す"絶"から」スッ
一瞬でそこに居ないかのようにウイングの気配が消える
「どうですか?これが絶。オーラを絶って気配を消すことで、そこに人がいないかのように気配を消せます」
だが3人とも驚かない
「大丈夫、それはできるよ」
と、ゴンも同じく気配を消す
「そゆこと」
キルアも頷く
「…絶、は習得済みでしたか…」
ウイングは出鼻を挫かれる
「では少し難易度を上げますよ」
そう言うと、ウイングは花瓶から花を一輪抜き取る
「先日お見せした花瓶を貫く花を作ります」
ズッ、花を念で覆うウイング
「見えますか?花の周りにオーラがあるのが」
ゴンとキルアの前に花を近づける
べジータは部屋の隅から遠巻きに見ている
「なんか…花から圧力を感じるような…」
キルアが目を細めて花を見る
「周、纏と練の応用技ですがそこはまた後日説明しましょう。まずは花にオーラをまとわせているのが見えると思います」
「うん、なんとなくだけど見える」
ゴンも目を細めながら頷く
「いいですね、ではいきますよ…"隠"」フッ
急に花から圧力が消える
「どうです?見えますか?」
再度ゴンとキルアに問いかける
べジータも気になるのか、集中して見始める
「オーラを消した?」
キルアが確認するようにウイングを見る
「いいえ、オーラはそのままです」
証拠に、とウイングは花を壁に投げる
カッ
小気味良い音と共に壁に花が突き刺さる
「ほ、ほんとだ!」
ゴンが驚きの声を上げる
「これが隠。オーラを限りなく見えにくくすることで、念を使っていないように見せる」
ゴンは感心しているだけだが、キルアは汗を流す
「これを使われたら…気付かない間に殺されるね」
危惧したことをそのまま口に出すキルア
「えぇ、危険性がわかって頂けただけたようですね」
ウイングたちのやり取りを見ながらべジータは確信していた
(四次試験でのヒソカとの戦い。あのとき石が飛んでくるのは超能力だと思っていたが…念を使いオーラを隠で隠していたから仕組みが見えなかっただけか)
「では、この隠を見破る技…"凝"を説明します」
そのウイングの言葉につられ、べジータはゴンたちと同じところまで近づく
「興味が湧いてきたようですね」
ウイングはにっこりとべジータに微笑む
「ふん、少しはな」
そんなやり取りもそこそこに、ウイングは説明を続ける
「凝とは、隠を見破る技。オーラを目に集中して見えないものを見る」
ものは試しです、とまた花にオーラをまとわせて隠で隠す
「目にオーラを集中して下さい。見えないオーラが見えてくるはずです」
花に集中する3人
(なるほど、気を目に集中させれば見えるな)
即座に見破るべジータ
更に思考を加速させる
(確かによく考えられてやがる。未来のトランクスの剣も気で覆っていたな…あれを隠せば…驚異を感じずに切り裂かれるわけか)
そんな思考をしている中
「み、見えた!」
「オレも!」
ゴンとキルアがやっと見えてきたようだ
「飲み込みが早くて助かります。念能力者との戦いでは凝は必須です。常に凝の状態でいられるようにする必要があります」
今日はここまでです。と説明を終えるウイング
ゴンとキルアはお礼を言い
べジータも世話になる、と一言残して部屋を出た
~200階ロビー~
一人先に部屋に戻ったべジータと別れて、ゴンとキルアはロビーで選手インタビュー映像を見ていた
「こいつがヒソカの対戦相手か」
キルアが興味深そうに見る
"勝算がないなら戦いませんよ"
カストロと呼ばれる選手が大画面に映し出されていた
「すごい自身だよね。優しそうな男の人に見えるのに」
ゴンの言う通り、銀髪の線の細い優男だ
"2年前とは違うというところを見せますよ、我が師に誓って"
「でも…なんか凄い気配を感じるぜ…」
そう言って髪を書き上げたカストロの左頬には、厳しい修行の痕と思われる十字傷がうっすらと見えていた