~現実時間 200階 宿泊ゾーン~
(カストロの部屋はこの辺りか…)
足音を立てず、気配を消しながらカストロの部屋に近づくキルア
(いる!)
ドアの隙間からカストロを確認したキルア
そこへカストロから声がかかる
「入って来ていいよ、キルア君」
キルアの方を振り向くこともなく、カップに口を付けながら呼ぶカストロ
「…なんで、わかった…?」
キルアはポツリと口に出す
「君ほどの使い手が急に気配を絶ったら気にするのは当たり前じゃないのかな?」
微笑みで返すカストロに渋々ドアをくぐるキルア
「そんなところに立ってないで…」
フッ
「こっちに」
キルアの眼前から消えたカストロがキルアの後ろに立ってた
「どうしたんだい?いま紅茶を入れるよ」
そう言ってキルアの背中をテーブルへと押す
見回してもカストロは一人しかいない
「双子…とかじゃないよな?」
キルアは振り返って尋ねる
「あぁ、ダブルのことどこかで聞いたのかな?」
笑顔のままズズッとカストロがブレる
「なっ!?」
驚愕するキルア
「これは私の分身を作っただけさ」
簡単そうに言いながら続ける
「でも君の後ろに立ったのはダブルの能力じゃない、ただのスピードだよ」
キルアは何も言えずに佇む
「…私の師はこんなレベルではなかったがね」
押し黙ってしまったキルアにカストロは反応を見るためか話を続けた
「君もいつか私の師に出会うことだろう。さて、紅茶は何がいいかい?」
キルアは首を横に振る
「いや、いいや。本当に凄いのがわかったから今日は帰るよ」
「そうかい?じゃぁバトルオリンピアで待っているよ」
そこまで聞いたあと、キルアは部屋をあとにした
~100階 ゴンの部屋~
「おかえり。どこ行ってたの?」
「…カストロのとこ」
「えぇ!?カストロっていまからヒソカと戦うあの選手!?」
驚くゴン
「うん。相当ヤバかった」
「そんなに…?」
あぁ、と続けるキルア
「いつの間にか後ろを取られてたし、自分の分身を涼しい顔で作り出したんだぜ」
分身…とゴンが呟く
「でもそれだけじゃないはずなんだ。ダブルって呼んでた分身の技をあんなに軽々しく見せるなんて…」
「それ以上の技がある、ってことかな…?」
そうだと思う、と頷くキルア
「と、とりあえずオレたちが戦うわけじゃないんだしさ!いまからの試合でそれが見れるんだからいいじゃん!」
立ち上がって明るく声をかけるゴン
「…そうだな。とりあえず試合を見ればわかるか」
キルアも立ち上がる
「じゃぁべジータさん呼んでヒソカ戦見に行こう!」
ゴンの言葉と共に二人は部屋をあとにした
カストロの力を目の当たりにしたキルア
そしてヒソカとカストロの戦いが始まる