50階でズシと出会ったべジータたち
更に上の階を目指して次のバトルを申し込んでいた
「さ、これで申し込みも終わったし控え室に行こうぜ」
キルアがゴンとべジータを先導して控え室へ向かう
「あれ?キルアさんたちっすか?」
控え室に入ったとたんにズシから声をかけられる
「ズシも?オレたち3人も今日2回目のバトルするんだ」
「ゴンもべジータも、全員ノーダメージだったからな。連続バトルOKって。ズシもだろ?」
「そうっす!早く出番が来ないか待ち遠しいっす!」
そんな会話をしていると対戦呼び出し放送がかかる
"王子様、ズシ様、57階A闘技場へお越し下さい"
「べ、べジータさんとっすか!?」
(つ、強そうに見えるっすけど…)
「ふん、運が悪かったと思うんだな。ゴンとキルア、上の階で待ってるぞ」ニヤリ
そしてべジータとズシは闘技場へと向かって行った
~57階A闘技場~
「さぁ!皆様お待たせ致しました!」
アナウンサーのマイクと共に歓声が上がる
「拳法家の少年と謎の王子様、異色のバトルです!」
しかし、と続ける
「甘く見ては行けませんよ!二人とも1階で素晴らしい戦いをして一気にこの50階へ上がってきた強者です!」
そして会場の大型モニターにVTRが流れる
「少年、ズシ選手は200kgもある巨漢を拳法で無傷ダウン!対する王子様は他の選手のバトルに乱入!同じく巨漢の、しかも二人を同時にボディーブローで吹き飛ばしました!」
そこまで捲し立てたあと、ギャンブルスイッチのアナウンスが流れる
『ズシ:1.905/王子:2.005』
「おおっとー!僅差ですがズシ選手の方が優勢と見られている模様です!」
(舐めやがって…)
べジータはイラつきを隠さず観客席を睨む
アナウンサーは、それでは!と一瞬溜めたあと
3分3ラウンド、ポイント&KO制
50階クラスのバトルがスタートする
身構えるズシ
ポケットに手を突っ込んだまま観客席を睨むべジータ
(こ、この雰囲気…ただ者じゃないっす…。練を使うしかないっす)ザッ
ズシが構えを変える
(ほう、気のコントロールが出来るらしいな。オレ様も少しだけ気を出すか…おっと、出しすぎか。微妙に合わせるのも難しいもんだ)
薄く笑うべジータ
その頃、観客席ではウイングが汗を流していた
(なんとも言えないこの不安感はなんだ…?さっき顔合わせをしたべジータとかいう選手、オーラの増減量が半端ない…なんだというんだ…)
ウイングが不安を感じはじめていたとき、舞台の上で審判員が二人に声をかける
「今回は私が審判員だ。はじめるよ。準備はいいか?それでは…はじめっ!」
掛け声がかかった瞬間
ズドン
ズシがお腹を抱えて倒れ込む
「き、君!大丈夫か!?」
審判員が駆け寄る
「もう意識などはありはしない」
べジータは冷たく言い放つと舞台から降りる
そして審判員は腕を×にしてコールする
「ズシ選手、KO!王子選手の勝ち!」
~60階控え室~
「遅かったな」
しばらくしてからやってきたゴンとキルアにべジータが声をかける
「なぁ、さっきズシが気を使ってたよな?」
「それがどうした?」
キルアの問いに何が問題だと聞き返すべジータ
「ねぇ、そんなに気のコントロールって誰でもできるものなの?」
ゴンも尋ねてくる
べジータはそういえば自分も昔はできなかったな、と思い出しながら考える
「さっき、ゴンと60階に上がるときにさ、ズシとウイングさんが話してるの聞いたんだよ」
キルアが話を切り出して続ける
「そこでさ、ウイングさんが言ってたんだ。"レンを使って負けたなら仕方がない"ってさ」
「レン…だと?」
べジータは何か思い出しそうな気がしている
「オレも聞いたよ"更にレンを磨いていく必要がある"って」
「…!ネン、ではないのか!?」
はっ、とべジータが顔を上げる
「ネン?」
「あぁ、四次試験でヒソカの野郎が気を上げたときにそんなことを言ってやがった」
「でもさっきはレンって確かに聞いたぜ?」
べジータとキルアたちの聞いた言葉の差異
悩む二人にゴンが提案する
「ズシに聞いてみればいいじゃん」
早速向かおうとするゴンとキルア
べジータは喉が渇いたと言いながら自販機で150ゼニーのジュースを買い、二人についていった
~ズシの部屋~
「あ!どうしたんすかお二人とも!」
ズシが出迎えてくれる
「もう大丈夫なの?」
ゴンが心配そうに駆け寄る
「大丈夫っす!一発で意識が飛んだだけでダメージはそんな、なかったっすから!」
そしてドア付近でそれを見ていたべジータは、ズシに何かを投げる
パシッ
「こ、これはジュースっすか…?」
「ふん、急に渇きが収まったんでな。捨てるくらいならやろうと思っただけだ」
「あ、ありがとうございますっす!」
嬉しそうに受けとるズシ
「んで、そろそろいいか?」
キルアが間に入る
「オレたちはさ、ズシに"レン"を聞きに来たんだ」