200階でゴンたちが見た子供は、橙色の胴着を着た子供で、頭は丸坊主で、額に6つの点がありました。
顔は女性用の下◯を被っていたので良く見えなかったみたいです。
~ウイングの部屋~
「これが"念"です」
花瓶の側面に花の茎を突き刺し、説明を始めるウイング
「念とは、体から溢れだすオーラという生命エネルギーを自在に操る能力のことです」
「気と同じじゃないのか?」
いぶかしむようにべジータが問う
「えぇ、仰る通り本質的には同じものです」
ウイングはべジータに頷きながら続ける
「そもそも、皆さんが習得している気のコントロールとは"選ばれし者"だけが扱うもの、とされています」
「選ばれた者?」
キルアが不思議そうに尋ねる
「えぇ。もう800年以上前の話と言われています」
ウイングは少し長くなりますが、と前置きをして話始める
「武術の神と言われるカリンという方が編み出したわざだと言われています。それを受け継いだのが"武泰斗"と呼ばれる武術家でした。そして、その流れを更に受け継いだのが亀仙人こと武天老師様と、鶴仙人と呼ばれる方です」
「あのおじいさん凄い人だったんだね…」
ゴンがポツリと呟く
「800年も前からでありながら、"気"がこれだけの方にしか受け継がれていないのには理由があります」
ウイングの言葉に引き込まれるキルアとゴン
「それは、気と念の違いにあります。どちらも、体の細胞から溢れるエネルギーを源としますが、念とはエネルギーで体を包みます。気とはその細胞一つ一つをエネルギーで包み込むと言われています」
「そんな話が何の役に立つ」
少しイライラしてきたべジータが話を急かす
「これは大きな違いですよ。細胞を包み込むということはそれだけで生命体としての格が上がるということです」
「格?」
どういうことかとキルアが口を挟む
「そうですね、イメージで伝えると。気とは全身を細胞から鋼に変えるもの。念とは、細胞はそのままで全身を鋼で覆うもの。といった感じでしょうか」
「それなら気のほうがいいんじゃ…」
ゴンがウイングにそろっと尋ねる
「もちろん。気の方が優れています」
当然です、と頷くウイング
「だから!じゃぁ何でだよ!」
キルアも段々と語気が強まっていく
「それは先程の、"選ばれし者"という話に行き着きます」
いいですか?と一度止めたあとまた続ける
「誰しもがエネルギーを気として扱えればいいのですが、過去からの達人がずっと研究し続けても、細胞を一つ一つ包み込むような芸当は一般人にはできませんでした」
その語りに3人は静かに続きを待つ
「そこで、なんとかそれに似せようと研鑽し続けて編み出されたのが念です。エネルギーを生み出せても、細胞にまとえず発散してして意味がなくなってしまう。それならば、細胞ではなく体の周りに着るようにまとわせられないか、と」
「でもさ、それならやっぱり気を使うオレ達のほうが凄い、ってことになるんじゃないの?」
「だったらなんでヒソカやオレの兄の念が苦しく感じるんだよ」
そこまで聞いたあとにゴンがウイングに尋ね、それにキルアが被せるように言う
そこへしばらく静かに聞いていたべジータが口を開く
「なるほど。"才能"というわけだ」
「えぇ、やはり貴方にはわかるようですね」
べジータへ向けてウイングは頷く
「ゴン君、キルア君。貴方たちは気を使えてるようで使えていない。生み出すエネルギーのほんの一部だけしか細胞を包み込むのに使えず、ほとんどは霧散してしまっています」
「と、いうことはオレ達には才能がないって?」
キルアが少し目付きを細めてウイングを見る
「…はい。恐らくは」
一瞬静かになる部屋
「なーんだ。やっぱり亀仙人様がちゃんとした弟子にしてくれなかった理由あったんだ」
その沈黙を破ってゴンの明るい声が響く
「いやいや!悔しくないのかよゴン!」
噛みつくキルアに、まぁまぁ、と宥めながらゴンは言う
「だってさ、あれだけ修行しても悟空さんやヒソカの力に近づけなかった理由がわかったんだよ?」
「それじゃ負けを認めてるのと一緒じゃんか」
拗ねたようにキルアは口を尖らせる
「ふん、だからこその"念"だろう」
そんなキルアにべジータが口を出す
「そういうことです。ゴン君もキルア君も、いまから念を習得してもらいます。それで今まで霧散していたエネルギーを使えるようになるので、ぐっと力は増すでしょう」
べジータの一言を引き継いでウイングが肩に手を置く
「…わかってるけどさ」
何とも言えない顔でキルアは横を向く
「おい、それだけでなく念とやらの特性についても聞けるんだろうな」
さっそくゴンたちの念の習得にかかろうとするウイングにべジータは今一度確認する
「もちろんです。2人が念を使えるようになったあと、そのお話も致します」
それを聞いたべジータは壁に寄りかかって黙り込む
そしてウイングの言葉で念の習得が始まる
「では、ゴン君キルア君。はじめますよ」
すみません!
水見式まで辿り着けず!
次回をお楽しみに!