僕の彼女はNHK!!   作:ありぺい

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プロローグ「僕の恋のお相手は」

僕には好きな人がいる。

とても可憐で、元気いっぱいで、しぐさ一つで僕の心を震わすそんな素敵な女性。

彼女は内気だった僕に、自主的に他人と関わろうとするきっかけをくれたのだ。

 

しかし僕と彼女の間には、物語ではお馴染みの身分の差というものが存在する。

ロミオとジュリエット然り、僕と彼女然り、だ。

この恋を阻むのは、そんな悲しい事情なのだ。

 

おっと、そろそろ彼女が来る時間だ。僕は早速準備に取り掛かった。

まずは片付け。とはいっても、中に招き入れるような関係ではないので玄関だけなのだが、それだけでも大分効果的だろう。

そして、玄関口から見えるキッチンにはさりげなくファッション雑誌を置いておく。ついでにその横にソーサー付きのコーヒーカップを置いておくのも大事なポイントだ。

なぜ玄関口からキッチンが見えるのかって? そんのは決まっている。貧乏人が有り金はたいて住んでいる激狭マンションだ。部屋は玄関、キッチン、そしてその奥に寝室があるだけなので、ドアを開ければちょっとだけ食卓が覗けてしまうのだ。

むしろ、敢えて少し見えるようにしている。そこに何を置くかによって、印象を良くするも悪くするも自由自在なのだから。

 

「早くしなきゃ、彼女が来てしまう」

 

急いで寝室のタンスの中から服を取り出す。マネキンコーデと馬鹿にされかねないような組み合わせだが、自分のセンスを信じるよりは幾分かはましだ。

恋は人を変えるという。彼女に見せるために買ったこの服だが、そのためだけに使うのはもったいないので友人と出かけるときに着ていったことがある。その時はたいそう驚かれた。ファッションとは無縁な僕が突然おしゃれに気を使い始めたのだから、当然といえば当然なのだが、それを機に友人が増えたのも事実だ。恋さまさまである。

それに、服に気を使うと僕はキャラを作れるみたいで、本来のおどおどした性格なんて吹っ飛んでしまう。

彼女相手でも、堂々と面を向けて話せるのはとても重要なメリットである。

 

――――――――ピーンポーーン。

 

二回目の方がちょっと長いインターホンの押し方。間違いない、彼女だ。

心躍るのを抑え、平静を保つ。上がる口角は、気合と根性でなんとか下げた。

 

「どちら様でしょうか?」

 

答えは聞くまでもない。

でも、このやり取りは形式上どうしても必要なのだ。

ああ悲しきかな身分の差。

 

「取盾鈴音と申します。NHKの集金に参りました」

 

そう、僕の片思いの相手はNHKの集金業者なのだ。




なんだこれ。

そう思ったそこのあなた。
大丈夫。私が一番そう思ってる。




というわけで始まりました。
メインで書いてる「ソフトウェアの日常単」の息抜き作です!

「ソフトウェアの日常単」は、シリアス過多でそろそろ書き手の私が限界なので、別の作品でおかしな方向に走りたくなってしまったのです!
でも、メインで書いてるのは一応そっちなので、良かったらぜひ見ていってください!!
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