前回のあらすじ。
卜部季武ことタケと碓井貞光ことミツが仲間になる!
だけど今回の話は数年後の話!
その数年間の話はまた幕間として別に出すよ!
タケとミツはまた今度に!
突然だが源頼光や渡辺綱などの頼光四天王はあまり有名ではない。知名度的に言うとオタクの人がゲームとかで名前よく見るよねぇ、ぐらい。
日本史を覗いてみると、平安時代活躍してるのは父である源満仲だったり、弟の頼信だったりする。
実際問題、政治問題に関わってるかと言うとそうでもないし(関わってるちゃ関わってるけど武勇の方が有名)、弟の頼信にスポットライトが当たる理由も分かる。なんせ弟の子孫が源義経やら頼朝と時代的に有名どごろであるからだ。
源頼光が活躍するのは御伽噺のなかであり、話的に登場する御伽草紙やら今昔物語集や宇治拾遺物語なんか一般的な人たちは見たことなんてないはずだ。もちろん古典とかでちらっと見かけることはあるかもだけど。
とにかく言いたいことは俺らマイナーじゃね?ということ。
卜部季武ことタケや碓井貞光ことミツを名前だけ知ってる人はいるけれど、何した人なの?と問われると黙ってしまう。(温泉見つけたり、大蛇倒したり、坂上田村麻呂の子孫だったり本当はすごい人たちです。)
源頼光こと姉さんは、あぁあれでしょ鬼倒した人でしょ、ぐらいの知名度はあるけどね。
だがしかーし。なんと、そんなマイナーな俺らの中には知名度ナンバーワン(諸説あります)の桃太郎さんとタメ張れる有名な人がおります。
ひとたび力を振るえば熊をも倒し、マサカリ担げば童謡が続く。そんな彼の名は。
金太郎こと坂田金時!!!ででん!!
ちなみに某ゴリラが書く国民的マンガの登場人物ではありません。
CMで出演中の濱〇岳さんが演じられているあの金太郎が我々の期待の星なのです。
そんな金太郎は雷神の子であり、名前は必ずと言っていいほど耳にするほど有名。
さてさてその金太郎なのだが、我々頼光四天王の一員である。
頼光四天王に加入するのが、歳で言うと金太郎が20のときぐらい。源頼光と足柄で出会いその熊をも倒す力が認められて家来となる。
これもいろいろと諸説があるが概ねこういった感じで仲間になる。
ここで重要なのが成人の年齢で姉さんと出会って家来になるというところ。
・・・実は俺が今生きて生活しているこの平安時代は、どうやらそのところが曖昧な模様。史実の年代めちゃくちゃだし、姉さん女だし、タケとミツとの年齢関係とか違ったり。どうやらこの世界は少しおかしい様子。
もちろん金太郎に関しても例に漏れなかった。
「ってなわけで拾ってきた訳っす」
「・・・どういった意味で拾ってきたんだよミツ」
今俺の目の前にはミツこと碓井貞光が金髪で青い眼をした美少年を連れて俺へと説明をしてきた。
説明はこう。ミツはココ最近武者修行にハマっており、休暇を貰ってはあっちへ行ったりこっちへ来たりとちょくちょく旅に出ていた。その旅のさなか立ち寄った足柄山で人喰い山姥に遭遇。が、なんのこれしきと「死ねぇぇぇ!!」っとサクッとやっつけてしまう。
しばらく足柄山で過ごすと熊と相撲をとる子供を発見。これはすごいぞとその子供をスカウトする。
だが子供はお母さんがいると言い、そのスカウトを断ってしまう。
ミツは思った。こんな自然の山奥で母親などいるのかと。そこでよくよく考えてみると、ミツがサクッと倒してしまった山姥が唯一の山の住人だと思い当たり、もしや山姥がお母さんなのかと考える。
その旨を子供に伝えると、考えが当たりそうだと答えた。
これはいかんとミツは考え、素直にお母さんを倒してしまったと伝え、そのお詫びにうちで家来にならないかと再度スカウトをした。
子供はそれなら仕方ないと、ミツのスカウトを了承し山を降りる。
そして今に至るというわけだ。
・・・・・・どないなわけやねん。
「なぁミツ。それ自分で言っててかなりむちゃくちゃだなって考えなかった?」
「ん?むちゃくちゃっすか?自分は人喰いの山姥を倒して、その子供を保護したって感じなんすけど」
「確かにそう聞くといいことした感じになるけど、その子の母親倒しちゃったわけだよね」
「例え母親だろうと悪なら倒す。それが普通じゃないっすか?」
・・・出た、平安クオリティ。
今まで生きてきて、幾度となくぶつかってきた現代で生きてきた俺と平安の人たちとの価値観の相違。
はぁ、こればっかりは仕方がない。
「・・・そうだな。お前が正しいよ」
「そっすよね!自分間違ってないっすよね!」
ほら、自分が正しいっす!とわちゃわちゃ言ってるミツは放っておいて、俺はミツが連れてきた子供に近づく。
というかミツ本当に俺より歳上なの?タケと比べるとどうしても歳上って感じしないんすけど。いやタケもタケなんだけどね。
まぁそれはおいておいて。
ミツの話を聞く限り、この子はどう考えても金太郎こと坂田金時だ。足柄山や母親が山姥、熊と相撲をとったりと思い当たる節がありすぎるからな。
でもまぁ自己紹介ぐらいはしてもらおうと思う。
「こんにちは、僕の名前は渡辺綱。そこで騒いでるお兄ちゃんと一緒で姉さ────じゃなくて源頼光って人の家来をやってる。よかったら君の名前を聞かせてくれないか」
なるべく不審がられたり怖がられたりしないように子供の目線でしゃがみ笑顔で言って返事を待つ。
そうすると子供から返事が返ってくる。
「おう!俺の名前は坂田金時!熊と友達なゴールデンな奴さ!よろしくな、ツナの兄ちゃん!」
ニカーッと眩しいほどの笑顔でピースしながら自己紹介をする金太郎こと坂田金時。
・・・ミツやタケのときも思ったが、他の頼光四天王はなんでこんなにキャラが濃いんだ。
あとゴールデンって、この時代南蛮と交流なんてなかったと思うんですけど。
それと兄ちゃんって言い方すごいグッときた。
ミツとタケたちと出会ってから数年が経ったある日俺は元服を済ませた。元服の際はかなり大々的に式を挙げ、平安の凄さを思い知ったものだ。
数年の間ではかなり色んな出来事があり、姉さんやミツやタケなどとかなり交流を深め命を預けられるほど仲間として成長した。
姉さんとは姉と弟として本当の家族のようになり(ときどき俺を見る目がギラギラしてる事があるけど)、ミツとタケは最初年上ということもありさん付けなどで呼んでいたが、あの時の決闘を境に徐々に敬語を無くしていき今ではタメ口で話せるようになった(これには理由があり、ミツとタケが思いのほかダメな年上で、ミツは好戦的な性格のまま成長、タケは天然朴念仁ということに気づいてしまい敬うのも馬鹿馬鹿しいなと思ったからだ)。
他にも、腹黒暗黒イケモンから妖術の類を教えてもらったり、文学とは名ばかりのBLに走る妹分が出来たりととてもリアルが充実したものとなった(腹黒暗黒イケモンや妹分に関しては話したくはないがいつか必ず話します)。
ここらで俺の近況報告を終えて話を戻すが、坂田金時(これからは金時と呼ぶ)のことだ。
家来になるのはほぼ確定のことだが、如何せん姉さんみたいに急なことであり、母親を突然失ってここに来たのでとりあえずは姉さんにいろいろ相談をしたいと思う。
「どう思いますか姉さん。」
金時にはちょっと上の人と話してくるからと、庭の方で、金時とミツが連れてきた熊と戯れながら待っていてと言い姉さんの部屋へとやって来た。
というか熊連れてくるのおかしくない?ミツはなんの疑問も抱いてなかったっぽいけど。これがやっぱり平安クオリティなのか。
「・・・そうですね。ミツも責任をとろうとその坂田金時という子供を連れてきたわけですし、この際そのまま家来にしてしまうのが1番いいのかもしれません」
姉さんは俺から話を聞くと吟味を始め、答えを出した。
まぁ、そりゃそのまま家来にするよな。金時を山に返すわけにもいかないし。
「それじゃ、そういうことで金時の受け入れを始めるね」
「はい、よろしくお願いしますねツナ。」
「別にこれぐらいならミツとタケの問題に比べると楽なものだよ」
「ふふ、そう言ってくれと心強いですね。」
いやまじで、ミツとタケに比べると楽すぎるから。
ミツの無鉄砲さでどれだけ町の被害を俺が直したか、タケに関してはあの色恋の朴念仁の恋の被害を俺がどれだけ取り持ったか。
あ、考えたら腹たってきたな。
だがここは抑えて抑えて。俺は頼光四天王筆頭なんだからな。
「あ、そうだ私も今すぐその子供に会いに行きましょう。」
「え、いやまぁ構まわないけど仕事はどうするの?」
「そんなのもうとっくに終わってます。」
おぉ流石姉さん。ときどきポンコツになるけど普段は尊敬するすごい人なだけある。まぁ俺を見る目をちょっとだけ変えて欲しいけど。
「それでは、行きましょう!」
「はいはい了解」
てな訳で、金時がいる庭に到着。
庭を見てみると熊と相撲をとっている金時がいて、ミツは行司をしていた。
熊は小熊と言えるほど小さく全長は140cmほど。だが小熊でも熊。その力は並の子供をも遥かに上回るもののはずなのだが、金時はその小熊より小さいはずなのに力で圧倒していた。
まさしく金太郎の名に恥じぬもの。庭に到着して間もないがその相撲の試合に魅入ってしまう。
ほどなくして決着がつき。勝者は金時。熊は残念な顔をして金時を讃えていた。
て、おい。ちょっとまて。その熊おかしいぞ。
なにミツと金時は仲良く熊と肩組んでるんだ。もっと思うことあるだろ、なんでそんな表情豊かなんだとか。あれかくまみこか、あ?
現代だと熊見ただけで捜索されて射殺されるんだからな?
まぁ平安クオリティと言ってしまえばそれまでだけど。
「あれが金時ですよ姉さん」
あの熊に関しては今後じっくり調べていきたいと思うが、今は姉さんが金時に会いに来たんだ一旦熊は置いておく。
「・・・・・・」
が、姉さんはなんの反応もしなかった。
「ん?姉さん?」
もう一度姉さんを呼ぶがそれでも反応なし。
「おーい姉さん。ねぇーさーん。姉さんってば」
続けざまに呼びかけるが姉さんいっこうに反応なし。もしやたまに起きるポンコツモードが作動してしまったのか。
いや多分あれだ。金時は傍から見たら金時碧眼の美少年だから、見とれていたんだろう。俺も男だけでかなり綺麗な顔立ちをしていると感じたからな。
・・・頼光四天王はイケメンしかおらんのか。
おっといけないいけない。黒いオーラは抑えて抑えて。
「ツナ。」
と、そこで姉さん起動。俺の名を呼ぶ。
「どうしたの姉さん、ぼーっとしてたみたいだけど。もしかしてあれ。金時にみとれてたとか────」
「────あの子の腕。あれは。」
姉さんは俺の言葉を遮って言葉を紡いだ。
ん?金時の腕?
俺は姉さんが言った言葉を理解するために金時の腕を見てみる。すると、よーく見てみると金時の腕は赤かった。
あれれ?金時が自己紹介をしたときには腕は普通に肌色で赤くなんてなかった。どういうこと?
はーん?と首を傾げる俺。
そんな俺は姉さんがボソッと呟いた声を耳に捉えたのだ。
「────まさかあの子も────」
その時の姉さんの顔は数年前俺と姉さんが姉弟になったあの日のような真剣な顔をしていた。
まさかのまたシリアス突入?
これを機に投稿するのがグンッと遅くなると思います。なんやかんやで書き溜めみたいなことはすると思うんですけどね。やっぱ受験に集中しないとなぁ・・・。
それと暗黒イケモンや妹分に関してはいつか絶対書きます!
それとまたおかしな所があったら報告してくださると助かります。