前回の鬼退治から数ヶ月が明けた。
あの日から、ちょくちょく鬼退治に行くようになり結構な頻度で桃太郎になっている。
もちろん桃太郎は頼光さんで、俺は犬かなんかだろう。ワンワン。
他に鬼退治以外にも悪霊やら物の怪の類と戦うようになり、頼光さんと2人だけでの退治なのでなかなかにハードなスケジュールを送るようになった。
平安時代物騒すぎるんですが。
とかなんとか最初は思ったが、今ではすっかり慣れてしまった。
いやでもやっぱ、悪霊とか見た時はまじびびって、チビりかけた。あの能面ヅラは怖いし鳴き声まで怖い。とにかく怖い。
とりあえず、鬼退治やらの仕事には慣れてきた。
そんな俺に、最近一つ気になることが出来た。
それは頼光さんの様子がおかしいのだ。
何がおかしいって、俺のことを避けてるような気がする。
気がするってのも、こっちからちゃんと話しかければ返事を返してくれるし、必要なことがあれば頼光さんからも話しかけてくれるのだが。
なんというか、心の距離と言いますか、物理的なものではなく。
こう、説明しがたい何かといいますか。
いい感じの例えが思いつかない。
とにかく避けられてる気がする。
頼光さんに聞こうにも確証もないので、変な人扱いされてしまう。
「頼光さん、最近俺のこと避けてますよね」
なんて、これで間違ってたら完全に自意識過剰のナルシスト野郎やん。
なので直接聞くのはなし。
ということは。
残りの手である観察をすることにした。
そこからの俺は早かった。
襖の隙間から窺ったり、半径20mぐらい離れたところから見たり、天井から覗いたり。
あれ?これ直接聞くよりやばくね?
とか気づいた時には遅かった。もう行動を起こしちゃってるもんね。仕方ないね。
とりあえず、戦況として。ストーカー行為の末、最近頼光さんのことで何か気づいたことがある。
それは屋敷の従者達が頼光さんのことを微妙に避けているのだ。
いや、なんで?
あれか、従者として1歩後ろを歩くってか。それにしてもなんかよそよそしいっていうか。あまり関わらないようにしているというか。
まぁ頼光さんが俺のことを避けている理由には関係ないと思うけど。
とりあえず、まだ理由はわからないからそこそこに観察して気づかれないようにしたいと思う。
・・・・・・これやっぱストーカーだな。
あれから数日が経った。
依然として頼光さんは俺のことを避けている(かも)。
理由はなんなんだろうか。本気でわからない。
避けられているのが勘違いならよかったのだが、ここ最近で確証も得られたと思う。多分、きっと、メイビー。
いや、あやふやなんには意味があんねん(謎の関西弁)。
俺が得た確証ってのも顔を合わせたら逸らされる程度のもんだ。
じっと見つめると頼光さんは居心地悪そうに、申し訳なさそうに逸らすのだ。
避けられてるから顔を逸らしたのか。
それとも、俺の顔面がキモすぎて逸らしたのかは定かではないが、確証って言えるには充分何ではないだろうか。
とにかく、このまま観察を続けていきたいと思う。
その日俺は鍛錬を終えて、自分の部屋に戻ろうとしていた時だ。
喉が乾いたので部屋に戻るついでにお水を貰おうと、屋敷の台所に向かっている途中、何かひそひそ音が聞こえた。
おっとおっと。これはまさかのgokiburiですかな?
いやその場合はカサカサ音か。
ヒソヒソがちょっと気になったので音のする方に足を向けてみた。
まぁ、平安時代物騒だからな。もしかしたら泥棒とかかもしれないし確認だけしとこう。こんなでっかい屋敷に入る泥棒なんているとは思えないけど。それとも物の怪類かももしれないし。そんときはこの木刀でとっちめてやりやすよ!
抜き足差足忍び足、と。
ゆっくりゆっくり気取られないように歩を進めると音源の場所に到着。
ん?ここは、従者の人たちの休憩場所だ。
なぁんだ、泥棒とか物の怪とかじゃなくて従者の人たちか。
じゃあ、このヒソヒソも従者のおしゃべりだな。
休憩場所でぐらい好きなように喋りたいもんね。
この時代って完全な縦社会だからお仕事の時っておしゃべり出来ないもんね。俺がコンビニでバイトしてた時はよくおしゃべりしたもんだけど、厳しい時代だ。
謎も分かったことだしさっさとお水貰って、部屋に戻ろう。
そう思って、踵を返した時だった。
ヒソヒソ音でそれほど聞こえなかったものがそのときだけはやけに耳に聞こえてきたんだ。
「ねぇ知ってる?頼光様って人間じゃないんだって!」
「えぇ!?それって本当なの?」
「そうらしいよ、なんでもつい一年ほど前まで、鬼子として満仲様から嫌われてたらしくて寺に預けられてたんだって」
「鬼子って、じゃあ鬼の血を引いてるとか?」
「いやいや、そうじゃなくて神様の血を引いてるんだって。私そのことを知って以来なんだか頼光様のことが怖くってちょっと1歩引くようになったんだよね」
「えぇ・・・そんなの聞いたら私もこの先どうやって頼光様と顔合わせればいいのよ」
「ははっ、でも頼光様って女からしてもとっても美人だけど、それが神様の血を引いてるって言われたら納得しちゃうよね」
「確かに、ちょっとどこか世間ズレしてるなぁとか感じてたけどそういう事なのかもねぇ」
────
キャハハと女子高生みたいなノリでその後も従者の人たちは他愛のない会話を繰り広げていたが、俺はそんなの聞いたこっちゃなかった。
え、え?どゆこと?
頼光さんが人間じゃない?
神様の血を引いてる?
・・・・・・訳わかんねぇ。
・・・・・・そんな話聞いちゃって、俺の方こそどうやって頼光さんと顔合わせればいいんだよ。
というか満仲様に嫌われてるって・・・・・・。
一年前なんてつい最近じゃん。
色々とツッコミどころが多くてついて行けねぇ。
・・・さっさと部屋に戻るか。
話の肴にされてる本人じゃないのにどこか居心地が悪くなったので俺は早々に部屋に戻ることにした。
もうお水なんてどうでもいいや。
何回でも言おう。
展開が早いと。
まぁ自己満小説だからなぁ。
あと頼光さんのことで何か間違ってたら報告オナシャス