原初の母と問題児たちが異世界から来るそうですよ? (リメイク)   作:御粥

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 FGO続編が嬉しくて衝動的に書きました! そして、僕は問題児をアニメでしか知りません。
 なので、この物語も続くかどうか分かりません!
 新学期に入ればさらに難しくなるでしょうから、もしもこの作品に何かしら好感情を持つことがあるようでしたら申し訳ございません。
 まだ始まったばかりで、オリジナリティに欠ける、脈動感がないと感じてしまうかもしれませんが。
 どうぞよろしくお願いいたします。


第一節 敵情視察

――彼女は歩んだ――

 

――虚数世界より出で、母に回帰するために――

 

――自身を追い出す者(子供達)を殺し――

 

――自身を殺す者(子供達)を殺す――

 

――そして、新たに子を産むことで――

 

――彼女は母へと返り咲く――

 

「Aa……Aa……」

 

 ……だが、それは叶わなかった。

 ビーストⅡは、今一歩のところで殺される。

 ビーストⅡは全力で抗った。

 チャンスを逃さないために。

 だが、だめだった。

 何故?

 自身が真の姿に変わった時に、ともに治った頭脳のもと悩むが、その答えを導き出すことができない。

 でも、これだけは実感させられる。

 この者達を知らなければ、次も回帰を阻まれる。

 治ったばかりのはっきりしない脳で、ほぼ無意識の状態で考える。

 知りたい、母に回帰する方法を。知りたい、子供達に邪魔されない方法を。

――知りたい、子供達のことを。

 

 薄れ行くビーストⅡは、眩い光と共に、身の内の願望器もろとも姿を消した。

 

 

――2015年12月26日:学校――

 

 

 私は今、学校の部活に来ている。

 私は、子供のことを知りたい。子供が何を考えているのか、どう行動を起こすのか。歌や音楽が心を表すと言うのならば、音楽部が私の入部するべき部活だろう。

 クリスマスの次の日から、すぐに部活をすることに不満を持つ子と、そもそも部活動自体が面倒だと思う子、それと部活が好きで来ている子と友達に会うために来ている子、見た感じこんなところだろうか? 私は、最後に当てはまると思う。

 歌うことは嫌いではない、この日も特に用事はなかったので不満を持つことはなかった。

 そして私は今、同じ部活に入部している友達の話を聞いている。友達というのは……よく分からないが、私に話しかけてくる子を観察するのは、嫌いではない。

 他の同じ音楽部の子の話も聞き相槌を打ち、それを部活動の始まりまで続けた。

 

「Aa~♪ Aa~♪」

 

 初めのうちは上手く歌えず、デバフ(気分を悪く)してしまう子が出てしまい。一時期、ジャイアンというアダ名で呼ばれていたが。友達に指導をうけた今の私ならば、皆とそれ程大差ない声を出せる。子供は成長するのだ。

 子供達と一緒に歌う合唱には、どことなく喜びを感じる。自分のために歌う子と、聞く子のために歌う子。そこに違いがあれど、皆が一様に上手く歌えるように意識している。ちなみに、私は聞く子のために歌った方が好きだ。友達が見せてくれた、アニメには驚かされた。架空の物だと教えられていなければ、探しに旅に出ていたかもしれない。新しい子供ができた時には、そのアニメを見せてあげようと思うほどだ。

 

「はい、これで部活道を終わります。皆さん気をつけて下校してください」

 

 顧問の先生の終了の合図と共に、喜びの声を上げる子、体の力を抜いて脱力する子、黙々と後片付けをする子、真っ先に友達に話しかける子、まだ楽譜をにらんでいる子、楽器を触っている子、我先にと音楽室を出る子。

 私はこの場合、そのどれにも当てはまらない。友達に話しかけられることはあるが。私は1人残り、ただじっと子供達が帰るところを観察する。

 最後の一団が出る時に私も音楽室を出て、カギをかける。カギを職員室に返すために同じ音楽部の子達と別れる必要があるが、窓の外を見れば運動部の子達がまだ野球をしているので見る子には困らない。

 

 職員室にカギを返し扉を閉めて辺りを見回す、休みの日だけあって廊下を歩く子は私一人だけだった。私は運動部の子達を見るために、運動場へと歩を進めようとしたところ。

――? その私の頭に、何かが乗る。

 

 頭の上にあるものを両の手で掴み取り見てみると、それは"自身の名前が書いてある手紙"だった。私はそれを見て上を見上げるが、そこにあるのは何の変哲もない天井だけ。テレビで見た忍者という者を期待したが、どうやらもっと別の何かのようだ……。

 

 手紙を開いて中身を読んでみる。

 手紙の内容を簡潔にまとめるなら、人間かつ力を持つ者にたいしての『箱庭』という所からの招待状のようだ。招待される側は身一つしか持ち込めなず、家族や友達に富と名誉は置き去りになる。

 本来、箱庭がどこにあるか分からない以上この招待を受ける理由がない。でも、もしもこの手紙が自分のところだけではなく複数人に送られたものだとしたら……。

 

――あのマスターや、英霊達のような。身近な者とは違った、より深く知りたい(私のことを殺せるくらい)強い子供達のことを知ることができるかもしれない。

 ならば、考えは決まった。箱庭に行くことを決める。

 その私の考えに共鳴するように、持っている手紙が輝き始める。

 

 私は眩い光と共に、この世界からも姿を消した。

 

 

――箱庭:湖――

 

 

 遥か高いところから湖に落とされた……転移とは全て、こういったものなのだろうか?

 私と共に湖へ落ちてきた子が同じ学年くらいの3人と1匹、やはり手紙は私だけに届いたわけではないようだ。

 会ったことのある子は……よし、いない。あのマスターが呼ばれている可能性に、とんでから気づくなんて……少し注意力が落ちていたようだ。

 これからは、もっと注意を働かせないと。万が一にも人じゃないことがバレないようにするためにも、できるだけおかしな行動をとらないように周りに合わせて行動しよう。

 他の子達は、服や体の水を払っているようだ。私は濡れていることくらい気にならないけど、服を絞っといた方がいいのだろうか?

 

 服を絞りながら、子供達を観察する。

 一緒に落ちてきた子供達は、私と同じく招待された者達で間違いないだろう。ヘッドホンをつけた少年、長い髪の少女、短い髪の少女、そして茶色や白色の柄の猫。

 全員、周りを警戒しているように見える。

 

「一応確認しておくが、お前ら全員にあの変な手紙が?」

 

 ヘッドホンの少年が問いかけてくる。

 手紙というのは間違いなく、あの招待状のことだろう。内容が同じものかは分からないが、たぶん同じものなのだろう。

 

「そうだけど、私の名前は【久遠(くどう) 飛鳥(あすか)】よ。そのお前って呼び方は訂正して。それで、野蛮で狂暴そうな貴方は?」

 

 彼の言葉にいち早く返事を返したのは、長い髪の少女だった。

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で狂暴な【逆廻(さかまき) 十六夜(いざよい)】です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので、用法と容量を守ったうえで適切な態度で接してくれよ、お嬢様」

「取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ」

 

 彼の自己紹介に対し、久遠 飛鳥は嫌そうな顔をして答えている。そうか、そうか、つまり彼はそんな子なんだろう。

――それにしても取り扱い説明書というのは、いい方法かもしれない。確かにそれさえあれば、互いの関係が悪くなることはないだろう。

 私が受け取る分も作って欲しい、私の取説も新しい子供との関係を悪くしないために作るべきだろうか?

 

「それで、猫を抱きかかえてるそこの貴女は?」

「【春日部(かすかべ) 耀(よう)】以下2つ前のを参照」

「そう、よろしく春日部さん。それじゃあ最後に長い髪の貴方は?」

 

 どうやらこの猫は単体で召喚されたわけではなく、春日部 耀と共に召喚されたようだ。

この猫は……彼女にとって、家族でも友人でも財産でも世界でもない、より特別な存在なのだろうか? いや、衣服が財産に入っていない時点で、召喚時に体にくっついていたものは対象外なのだろう。

 

 次は、私の自己紹介の番だ。

 確か学校では、名前と趣味を話す子が一番多かったはずだ。

 私の趣味……と呼べるか分からないが、私のやりたいことといえば、これしかないだろう。

 友達に言われたように、少しオブラートに包んで。不用意に変なことを口から出さないよう、口数は少なく。

 

「私は【大和(やまと) ティア】。趣味は、生物観察」

 

 よし、完璧な自己紹介だ。

 

「生物観察って、鳥とか魚かしら?」

「生きてるもの、全部」

 

 要注意観察対象は神と人だけど、他の動物や昆虫に魚と植物などの生物も観察する。

 

「へ~、じゃあ……俺達も観察対象か?」

 

 ……もしかしたら、自己紹介を間違えてしまったかもしれない?

 逆廻 十六夜が睨み付けるようにこちらを見ている。

 普通は生物観察という言葉だけで、その中に人間が含まれていることに感ずかないはずなんだが……。勘が鋭いのだろうか……あのマスター達のように。

 バレているのならば、隠しても意味はない……か。

 

「うん、逆廻さん達のことを観察してました……」

 

 気を悪くするだろうか……? 変だと思うだろうか……?

 

「……へっ! 隠す気ねぇってか、俺を観察しようなんていい度胸してんじゃねぇか」

 

 これは……誉められた、のだろうか?

 逆廻 十六夜の顔には軽蔑の色はない。この子は、注目されると気分を良くする子だったのだろうか?

 とりあえず、彼は気にしてはいないようだ。彼と戦うことにならずよかった。

 

「久遠さんに春日部さんと猫さんは……気を、悪くしていない?」

 

 だが、逆廻 十六夜がよくても他の2人と1匹はどうだろうか……?

 大抵の子は、他者に観察されるのは嫌いだと思う筈なんだが。

 

「飛鳥でいいわ。あと私は気にしないわ、観察され馴れてるから。まっ、面と向かって観察していますって言われたのは貴女が初めてよ。そういうことで、よろしく大和さん」

「私も。あと、この子は【三毛猫(みけねこ)】」

わしら猫は、人気者やからな~(にゃごにゃぁご)

 

 バレているからと、素直に頷いたのは軽率だったかもしれない。全員から少なからず、変わり者として見られてしまったようだ。

 私の正体を詮索されないためにも、できるだけ目立ちたくないのだが……。

 否定するにしても観察がしずらくなっていたかもしれないから、悪い結果というわけではないと思うのだが。

 それにしても観察されなれてるとは、彼女達は元の世界では有名人だったのだろうか?

 

 

――湖:木の陰――

 

 

(うわ~、なんだか一癖も二癖もありそうな方ばかりですねぇ……いえ、これは逆に好都合!)

 

 話に区切りをつけ周りに視線を向けてみると、誰かが物陰からこちらを見ているのをみつける。このウサギ耳の子が、私達の召喚者なのだろうか?

 

「それで、呼び出されたのはいいけどなんで誰もいねぇんだよ」

 

 逆廻さんが話を進める。

 でも、誰もいないは不適切だ。物陰だが、いないと言うほど影は薄くない。

 少し注意深く辺りを見回せば、すぐに気づくはず。いや、感の鋭い彼が気づいていないはずがないか。

 

「仕方がねぇ、そこに隠れてる奴にでも話を聞くか」

「あら、貴方も気づいていたの?」

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ。そっちのお前達も気づいてたんだろう?」

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

「私も、気づいていた」

 

 どうやら、他の2人もしっかり気づいていたようだ。これならば、私が気づいていてもおかしくはないだろうし素直にうなずいておく。

 

「よ~し出てこねぇんじゃ仕方がねぇ」

 

 逆廻さんは一言二言その子に言葉を投げかけると、待ちきれないとばかりに高く飛び上がり、一般人では出せないであろう威力で物陰を踏み壊す。

 

「よっと」

「フギャァァァッ‼」

 

 逆廻さんが跳んでくるを見て、物陰に隠れていた兎耳の少女がとっさに回避しその姿を現した。

 

「お?」

「なにあれ?」「コスプレ?」「……」

「ち、違います!【(くろ)ウサギ】は、けしてコスプレなどでは――ハッ!」

 

 黒ウサギ? さんの発言は、また逆廻さんがジャンプすることによって遮られる。

 黒ウサギさんはそれを、ゲームの【マリオ】の如き身のこなしでバク転からのバク宙をすることで木の枝に着地し回避する。

 しかしそこで、同じく木の枝に飛びうつっていた春日部さんによる追撃が入る。

 黒ウサギさんは、枝から枝へ飛び移ることでそれを回避し続けている。

 

「『鳥達よ、彼女の動きを封じなさい』」

 

 次に動いたのは飛鳥だ。彼女の声を聞いた鳥たちが、空中の黒ウサギさんの身動きを妨害する。それにより枝に飛び移るには飛距離が足りず、黒ウサギさんはやむなく地面に着地しようとする。

 さて、ここは私も黒ウサギさんの動きを止めた方がいいだろう。1人なにもしないというのは、変わった者のすることだろうから。

 

「A――」

 

 他の子達は手加減しているようだから、力を最小限に喉から声を衝撃波にして飛ばす。

 音は本来、全方位に拡散してしまうものだが。友達の教えにより鍛えらた歌唱技術により、私は前方にのみ音を集束し衝撃波を飛ばす。

 私の出した、体を軽く弾くほどの威力を持つ衝撃波が着地寸前の黒ウサギさんにぶつかる。

 

「あわわわ、ピギャッ!」

 

 衝撃波をうけた黒ウサギさんは、着地に失敗し3回ほど転がり動きを止める。

 木に頭を打ちつけた気がするが、たんこぶもなさそうだし大丈夫そうだ。

 

「うぅ~、痛いですぅ……ハッ!」

「なんだ、こいつ?」

「ウサギ人間?」

「……」「……」

「あぁ、落ち着いてくださいお4方ぁ……」

 

 黒ウサギさんが頭と腰の痛みを堪えている間に、3人が近寄っていく。私も近くによって、彼女を観察する。すると、春日部さんが黒ウサギさんの後ろに回り、その兎耳をつかんだ。

 

「……えいっ」

「ふぎゃぁ! ちょ、ちょっとお待ちを! いきなり黒ウサギのステキ耳を引き抜きにかかるとは、一体どういう了見ですかぁ!」

「好奇心のなせる業」

 

 春日部さんに続き、逆廻さんと飛鳥も、兎耳もといステキ耳を引っ張っている。

 この子達は、動物の耳が好きなのだろうか?

 ここは、私も周りに合わせてウサ耳を引っ張るべきだろう。

 

「……んっ」グィッ

「ウァァァァァァァァ‼」

 

 ん? 力加減を間違ったかな?

 

 

――湖:椅子替わりに座れる場所――

 

 

 少し勢いよく引っ張り過ぎてしまったが、黒ウサギさんのウサ耳は引き抜かれることもなく無事にすんだ。

 今は、黒ウサギさんの回復を待って、近くの座れそうな段差に腰を落ち着けている。

 私、春日部さん、飛鳥の順番で、1つ上の段に逆廻さんが座っている。

 

「あ、有り得ないのですよ。学級崩壊とはきっとこのような状況に違いないのです」

「いいから、さっさと話せ」

「はい……」

 

 黒ウサギさんが何か言っていたが、逆廻さんは待ちきれないようで本題を催促していた。

 やっと、この場所について話を聞くことがてきるようだ。これでいくつかの疑問も解決するだろう。

 

 

~~黒ウサギさん・説明中~~

 

 

 話だけでは分からないとして、黒ウサギさんから”ギフトゲーム”をしかけられた。

 

 ギフトゲーム

 ルール

 ・テーブルに並べられた52枚のトランプの中から絵札のカードを手にする。

 ・チャンスは1人につき1回1枚まで。

 

 ゲーム開始前に、皆はカードに不備がないか調べている。

 逆廻 十六夜は、トランプ1枚1枚を確認していき。久遠 飛鳥は、絵札のトランプに小さな傷をつけ。春日部さんは、猫の唾液で臭いをつけている。

 皆、思い思いの方法でゲームの勝者になろうとしている。

 私も、テレビで見たマジシャンの子を参考にカードを細工する。

 

「それでは、ゲーム開始です!」

「誰からいく?」

「それじゃ、俺から行かせてもらうぜ」

 

 最初は逆廻さん。この子は、この中で唯一カードに細工をしていない子だ。

 いったい、どうする気なのだろうか?

 まさか、持ち前の直感力によって絵札を当てることができるのか?

 

「さっきは素敵な挑発をありがとよ」

「あ、い、いえっ」

「これは、お礼だ!」

 

 そう言うと、逆廻さんはカードを選ぶ時にその手を強く叩きつけた。

 すると、叩きつけた時の強い風圧によって周りのトランプをひっくり返してしまった。

 それにより、私達にはどのトランプが絵札かが丸見えだ。

 私達がカードに細工していたのは気づいていたはずなのに、手を貸してくれるとは……まさか私達にカードの細工以上の、柔軟な発想を持たせるためにやったのだろうか?

 

「じゃあ、私これ」「私これ」「……私これ」

「ちょ、まっ!」

「ルール違反はしてないぜ?」

「……箱庭の中枢から、有効であるという判定が下されましたぁ。飛鳥さんと耀さんとティアさんはクリアです」

 

 飛鳥さんと春日部さんが普通にめくり上がったカードを取ったので、私も絵札を回収する。

 そして私達の3名は、チームプレイ? で、ゲームをクリアした。

 私は飛鳥さんと春日部さんとハイタッチを交わしながら逆廻さんが選んだ手の下のカードに目を向ける。

 ルール上、ひっくり返すにしても必ずどれかのカードを選ばなければならなかった。

 なぜなら、選ばずにカードをひっくり返せばその時点で複数枚のカードを選んだことになりルール違反になるからだ。

 まぁ、逆廻さんは迷いなくカードを選んでいたように見えたから何かしら確信があるのだろう。

 

「おいおい、俺を誰だと思ってるんだ?」

 

 黒ウサギさんは逆廻さんのこと、そんなに知らないと思うが……?

 私がその言葉をすんでの所で飲み込んでいるうちに、逆廻さんは手の下のカードをめくると見事に絵札のカードを手にしゲームをクリアした。

 

「いったい、どうやって⁉」

「覚えた」

「え?」

「全てのカードの順番をな」

 

 カードの順番を覚える記憶力に、シャッフル時のカードの移動をとらえる洞察力。

 私の友達にはできないことだろう。

 私はできる、トランプよりそれを扱う子の方を見ていたいが。

 

「おい、黒ウサギ」

「は、はい!」

「早速だが、言うことを聞いてもらおうか。俺の聞きたいことはただ1つ、この世界は……面白いか?」

 

 逆廻さんは、この世界に娯楽を求めてやって来たのだろうか?

 逆廻さんにとって、逆廻さん達にとって。

 異世界はそれほどに魅力的に見えたのだろうか?

 私には、逆廻さん達の考えが分からない。目的もなく身を危険にさらすなんて。

 だけど、それが召喚された子にとっての普通なら。

 私も受け入れて、この世界で娯楽を探そう。

 

「――Yes! ギフトゲームは、人を越えた者だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は、外界より格段に面白いと黒ウサギは保証いたします!」

 

 

――箱庭内側・入口――

 

 

 私達4人は今、黒ウサギさんのコミュニティへと向かって歩いている。

 落ちている時に見た、亀の甲羅のようなデコボコした建造物の中にあるようだ。

 建造物の入り口に、少年が立っている。

 彼を見た時の黒ウサギさんの表情が喜びを表していることから、どうやら知り合いであるらしいことが分かった。

 

「【ジン】坊っちゃ~ん!」

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性3人が?」

「イエース!こちらのお4人様が……て、あれぇ⁉ 十六夜さんは?」

「十六夜君なら世界の果てを見に行ったわ」

 

 逆廻さんは、黒ウサギさんとの出発と同時に単独行動を開始していた。

 召喚された時に空から見た分には、逆廻さん1人でもきっと大丈夫だろう。

 私もついて行きたかったが逆廻さんの速さに合わせると、加減が分からなくなりそうだったから諦めた。

 それに、おそらく逆廻さんよりも飛鳥達の方が人として一般的な行動をとっているだろうと思うから。

 

「なんで止めてくれなかったんですか⁉」

「止めてくれるなよ、て言われたもの」

「どーして、黒ウサギに教えてくれなかったのですか⁉」

「黒ウサギには言うなよ、と言われたから」

「十六夜さんが心配にならないんですか⁉」

「全然大丈夫」

「嘘です、ぜーったい嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょうお3人さん!」

「「「うん」」」

 

 私は嘘をついていないのだが、2人合わせてうなずいておく。

 その後黒ウサギさんは逆廻さんを迎えに、私達はジンさんに建造物の内部へと案内された。

 

 

――箱庭内側・飲食店――

 

 

 箱庭の種族などの話を聞きながら、食事をとるために飲食店へ入る。

 部活終わりゆえにお腹は空いている。

 そういえば、ここは今何時なのだろう? 日が沈むには、今しばらくかかりそうだが。

 

「えっと、紅茶を2つに緑茶を2つ。あと……」

ねこまんまを頼むわ(にゃぁ)

「はいはーい、ティーセット4つにねこまんまですね」

「――三毛猫の言葉、分かるの?」

「そりゃ分かりますよ、私は猫族なんですから」

おねぇちゃん可愛い耳と尻尾しとるわぁ(うにゃぁうにゃ)

「やだもー、お客さんったらお上手なんだからぁ」

 

 注文を取りに来た猫の獣人のウエイトレスが、上機嫌に去っていく。

 元の世界では、周りに猫の言葉が分かる子はいなかったから黙っていたが。私も猫の言葉が分かると言った方がいいだろうか?

 いや、なぜ分かるのかと聞かれたら答えられないな。母だから、なんて言うわけにもいかないし。

 

「箱庭はすごいね、私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいるよ」

「そう、春日部さんには素敵な力があるのね。羨ましいわ」

「けど、久遠さんも同じ能力」

「飛鳥でいいわ。私は鳥達と話したわけじゃないの」

 

 どうやら鳥達と会話せずに、行動してもらっていたようだ。

 この世界の鳥は、飛鳥とは初対面のはず。

 まさか、言葉を交わさずとも心を通わせることができる能力だろうか?

 いや、もしそうなら会話の必要がないから春日部さんを羨む必要はない。

 なら、彼女の能力は……。

 

「私の力は――」

 

 飛鳥が自分の能力について話す前に、大柄な男性が私達のテーブルに同席する。

 少し、狭い。4人テーブルに無理やり同席されたせいで窮屈に感じる。

 

「おやおや最底辺コミュニティ、名無しのリーダージン君じゃないですか」

「どなたかしら?」

「はじめまして。私はコミュニティ【フォレス・ガロ】のリーダー【ガルド・ガスパー】以後、お見知りおきを。お嬢様がた、よろしければ黒ウサギ共々私のコミュニティに入りませんか?」

 

 

~~ガスパーさん・説明中~~

 

 

 なるほど、生活水準や規模などあらゆる面においてジンさんのコミュニティに勝っている。

 ならば人数も、それぞれの力量もそちらの方が高いのだろう。

 黒ウサギさんが逆廻さんを迎えに行く時に見せた力をこの辺りの個人の力量と仮定し、それがノーネームの人数のおよそ数倍存在すると考えるならば、確かに生物観察を目的とする私はフォレス・ガロに入る方が普通なのだろう。

 だけど召喚された子の常識としては、どちらに入る方が普通なのか、飛鳥と春日部さんの反応を見てから決めた方がいいだろう。

 

「結構よ。貴方のコミュニティには入らないわ、ジン君のところで間に合っているもの。春日部さんはどうするの?」

「私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

「あら、そうなの。なら私が友達1号に立候補していいかしら?」

「うん……!」

「大和さんは?」

「友達……? よく分からない……同じコミュニティに入るから友達になれていたら教えてほしい」

「えぇ、よろしくね大和さん」

 

 飛鳥が入らず、春日部さんもフォレス・ガロには入らないだろう。

 ということは、普通はフォレス・ガロに入らないものだということだ。

 ならば私もノーネームに入ろう。それに逆廻さんも、こちらに入る可能性が高いだろうし。

 友達になる方法は、まだ分かっていない。

 元の世界でも、友達と呼べる子は1人いたが。

 あの子の方から話しかけてきて、いつの間にか友達ということになっていたから、よく分からなかった。

 

「私は全てを捨ててここに来たの。今さら恵まれた環境に入れられて喜ぶとでも思う?」

 

 貧乏に憧れをもつ、富豪のようなものだろうか?

 それとも山に行くなら、宿泊施設よりもテントの方がいいと考えるようなものだろうか?

 まさか、私はまだ子供達の考えを理解できていないのか……。

 

「しかし!」

「『黙りなさい』」

「――ッ⁉」

 

 ……立ち上がってまで反論しようとしたガスパーさんが、飛鳥の言葉を聞くと即座に黙った。

 これが飛鳥の能力だろう。

 そしてこれが友達の言っていた、異議あり‼ 却下‼ の流れだろうか?

 

「実は私、1つ気になっていることがあるの。貴方は『そこに座って、私の質問に答え続けなさい』」

 

 

~~飛鳥・質問中~~

 

 

「素晴らしいわ。ここまで絵にかいたような外道には早々出会えなくてよ、エセ紳士さん」

「こ、この……ッ小娘がぁぁぁぁぁ‼」

 

 飛鳥が能力を解除するとガスパーさんは、その姿をより獣に近い状態へと変えた。

 肌は内側からはち切れ体毛が生え、体が大きくなったため着ていた上着も破けてしまった。

 こちらが、真の姿だろうか?

 

「喧嘩はダメ」

「……ッ!」

 

 変身し、飛鳥に飛びかかたガスパーさんを、春日部さんが地に組み伏せる。

 まさか、これで終わりだろうか?

 少し、あっけないように感じる。

 ガスパーさんは、実は頭脳派のつもりなのだろうか?

 

「私達とギフトゲームをしましょ。貴方たちフォレス・ガロ存続と、私達ノーネームの誇りと魂をかけて」

 

 え? 私の魂も?

 

 

――黒ウサギさん・逆廻さん合流――

 

 

「フォレス・ガロとギフトゲームをする⁉ なぜそんな急展開な⁉」

「「「腹が立ったから後先考えずに喧嘩をうった。反省はしていない」」」

「このお3バカ様!」

 

 飛鳥と春日部さんと共にボケをすれば、黒ウサギさんからハリセンでのツッコミが返ってくる。

 どうやら黒ウサギさんは、逆廻さんを説得できたようだ。逆廻さんも、ノーネームに入ることに決めたらしい。

 良かった。ただでさえ戦える子が少ないのに、逆廻さんまで何処かへ行ってしまっては困る。

 少しでも強い子の情報を手にいれないといけないからな。

 そんな逆廻さんは世界の果てで【水神】と戦い、打ち倒すことで水樹を手に入れたらしい。

 水も遠くから汲んでくる必要があったらしいノーネームにとって、とても助かることだ。

 

「まぁ、いいです。フォレス・ガロ相手なら十六夜さん1人でも――」

「俺はでねぇぞ?」

「――へ?」

「あら、分かってるじゃない」

「もう好きにしてくださいぃ……」

 

 フォレス・ガロより逆廻さんの方が上?

 箱庭の戦闘派が黒ウサギさんほどの力があるなら、つまり逆廻さんは500人以上の黒ウサギさんを、たやすく蹴散らせるほどの力があるということか。

 逆廻さんの真価をフォレス・ガロとのギフトゲームで見極めるのは難しいようだ。

 現状で逆廻さんについて分かっているのは、鋭い感と黒ウサギさん以上と思われる身体能力くらいしか分かっていないからな。

 今回のギフトゲームでは、逆廻さんが出ても身体能力くらいしか見せてもらえないまま終わってしまって新しい情報は手に入らないだろう。

 逆廻さんの力はいつか見るとして、今は飛鳥さんと春日部さんに少しだけ忠告しよう。

 どれだけ実力差が開いていようと、死ぬときは死ぬだろうからな。経験者は語る、と言うものだ。

 

「だけど、油断はできない。先ほどのガスパーさんはコミュニティのリーダーなのに、あっさり倒されすぎている。おそらく、第2第3の形態があるに違いない。段階的な変身は、変身ものの基本だから」

 

 友達が見せてきたものには大抵あった、私にも覚えがある。

 ガスパーさんは、頭脳派にしては余裕が感じられなかったからな。

 やはり戦闘派で、力を大きく消耗するから普段は見せない最終形態でもあるのだろう。間違いない。

 

「そうなのジン君?」

「い、いえ。ガルドにそのようなものがあるなんて、聞いたことないです」

「え? ――ではやはりガスパーさんは、あの大きな体とは裏腹に頭脳派……」

 

 飛鳥の質問に対してのジンさんが答えにより、私の憶測は外れているとみて間違いないだろう。

 頭脳派でありながら稚拙ながらも体を鍛えるとは、ガスパーさんは努力家だったのだな。

 余裕が無かったのは、護衛してくれる仲間が近くにいなかったからか。それで罪を告白させられたことと一緒に動揺し焦ってしまい、冷静さを欠いてしまったと言ったところだろう。

 

「ガルドってヤツは、そんなに弱かったのか?」

「そうね」「瞬殺だった」「私は必要なかった」

「えぇ⁉ 本当ですか、ジン坊っちゃん!」

「はい! 問題は、相手がガルド1人じゃないと言うことですね……」

 

 やはり、ガスパーさんはフォレス・ガロでも最弱……。

 私達は、フォレス・ガロとのギフトゲームのことや。箱庭についてのことなどを話ながら、次の目的地へと歩を進めた。

 

 

――コミュニティ【サウザンドアイズ】・入口――

 

 

「皆さん! あれが超巨大商業コミュニティ・サウザンドアイズです」

「やっほぉぉぉぉぉ! 久しぶりだな黒ウサギぃぃぃぃぃ!」

「イヤァァッ!」

 

 黒ウサギさんが、サウザンドアイズから出てきた和服に身を包んだ少女と共に川に落ちた。

 あのような分かりやすい愛の表現の方が、子供にはうけがいいのだろうか?

 いや、愛を向けられた黒ウサギさんが和服の子を投げているからそうでもないのだろう。

 投げられた和服の子は、軽く横回転しながら頭からこちらへと飛んでくる。

 避けるべきだろうか……いや、飛んでくる人がいたら受け止めてあげるのが力を持つ人の常識だろう。

 

「おお、これは! 誰かは知らんが、いい乳しとるぞぉ」

 

 さて、どうしようか?

 黒ウサギさんのように放り出すのが普通なのだろうか……。

 いや、この子は愛に飢えているゆえに、このような行動にでているはず。

 私も、子供からの愛に飢えていた。

 ここは普通など気にせず、愛に飢えた者同士のよしみで胸を貸してあげよう。

 私は、胸に顔をうずめて頬ずりしている子の頭を右の手で優しくなで、左の手は背中にまわし、心臓のリズムで優しく叩く。

 

「おお……おお……おおう……」

「うぅ、私まで濡れることになろうとは……てっ、【白夜叉】様⁉ ティアさんに何してるんですか!」

「黒ウサギが投げた先に大和さんがいて、大和さんの胸に飛び込んだんだけど……」

「うん、完全に子供扱い」

 

 川から上がって来た黒ウサギさんに、飛鳥と春日部さんが状況を説明する。

 

「ティアさんも、嫌なら引きはがしますよ!」

「私は、別に気にしない」

「これじゃあどっちが偉いヤツなのか分からねぇな」

 

 白夜叉さんのスキンシップ(セクハラ)は、時間がないと黒ウサギさんが止めるまで続いた。

 

 

――サウザンドアイズ・内部――

 

 

「さて、改めて。私はサウザンドアイズ幹部の白夜叉だ。そこの黒ウサギとは縁があってな、ちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女である。その水樹を持っていた白蛇の神格も、私が与えてやったのだぞ」

「――へぇ? じゃあお前はあの蛇より強いのか」

「当然だ。私は東側のフロアマスター、最強のホストだからの……ん?」

 

 白夜叉さんの話を聞き、逆廻さん達が挑戦的な笑みを浮かべて立ち上がる。

 私も立つが、白夜叉さんに挑戦するつもりなのだろうか?

 

「最強のホストか、そりゃいいな」

「ええ、ぜひともお相手願いたいわね」

「ちょ、ちょっと皆さん⁉」

 

 自身の力が、箱庭でどの程度通用するか見極めたいのだろうか。

 ならば私も、自身の力をどの程度発揮すればいいか、ここで見極めることにする。

 

「よかろう、じゃが1つ確認しておくことがある。おぬし達が求めるのは挑戦か? ――もしくは決闘か?」

 

 白夜叉さんは私達にそう問いかけながら、袖から1枚のカードを取り出す。

 すると、部屋が和室から白夜叉さんの持つゲーム盤の内の1つに切り替わった。

 空、山、とても広そうだ。

 確かにここならば、暴れても大丈夫なのだろう。

 

「私は太陽と白夜の精霊、白夜叉。箱庭にはびこる魔王の1人よ」

「ま、魔王⁉」

「今1度問う。お前たちが望むのは試練への挑戦か? それとも、対等な決闘か?」

 

 今の人の私では、白夜叉さんにはかなわない。

 人間のまま死ぬことはないと思うが、そこまでして戦いたいとは思わない。

 

「まいった、やられたよ白夜叉。これだけのものを見せてもらったんだ、今回は黙って試されてやるよ」

「……よかろう、それではゲームに移ろうか。おんし達には、あれの相手をしてもらおう!」

 

 白夜叉さんが山の方に目を向けると、その方向から上半身がワシで下半身が獅子の子が飛んでくる。

 

「あれは、グリフォン!」

「いかにも、あやつこそ鳥の王にして獣の王。ギフトゲームを代表する幻獣だ」

 

 ギフトゲーム

 ルール

 ・グリフォンの背にまたがり湖畔を1周する。

 

~~ギフトゲーム・挑戦中~~

 

 このゲームは無事、春日部さんがクリアした。

 勝者となった春日部さんは、グリフォンさんに認められることで友達になり、その種としての力を手に入れ、無限二段ジャンプができるようになった。

 私も、翼なしで飛べるようになりたいものだ。少し羨ましい。

 ……ん? 春日部さんがグリフォンと同じ方法で飛べるようになったのなら、グリフォンは翼なしでも飛べるということか。ならばあの羽根は、あくまで飛行を補助するためのものなのだろう。 速く飛ぶためには、翼が必要なのだろうか?

 その後、ゲームをクリアした報酬として白夜叉さんからカードのようなものを貰う。

 

「まさか、ギフトカード⁉」

「何それ、お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「お土産?」

「違いますよ! 顕現しているギフトを収納できるうえに、各々のギフトネームが分かるといった超凄い恩恵です!」

 

 なるほど、それは便利だ。

 後で、たくさんしまっておこう。

 私は、自身のギフトカードに目を落としギフトネームを確認する。

 他者に見られても大丈夫そうなものだったので、気にせず懐にしまう。

 

「へぇ、じゃあ俺のはレアケースなわけか」

「なに?」

 

 【正体不明(アンノウン)

 

「正体不明だと? ギフトカード【ラプラスの紙片】でも判別できんとは……ふふっ面白いのぉ」

 

 

――ノーネーム・入口――

 

 

「ここが滅ぼされたノーネームの……」

「土が死んでる」

「魔王なら可能です……」

 

 周りはたった3年の月日で、200年程の荒れ模様を見せている。

 植物が育たず、土が枯れはて、そこにあるものは触れただけでボロボロに崩れ去る。

 まるで、ここだけ時間が飛んでしまったようだ。

 魔王と戦う時、私は人のままでいられるだろうか……。

 

 

――ノーネーム・枯れた貯水池――

 

 

「では、いきますよぉ」

 

 逆廻さんが狩ってきた水樹を使って、この枯れ果てた大地を今1度水で潤すらしい。

 

「わぁ~!」

「これが、水樹の力!」

 

 水樹から大量の水が流れ、あっという間に貯水池一面に水がはる。

 まるで海のようだ。いつか、逆廻さんに水樹の所有権を貰えないか聞いてみよう。

 

「これなら生活以外にも水が使える! ギフトゲームに参加しなくても、着実にコミュニティを大きくしていける!」

 

 ……。

 私は今のジンさんの発言を聞いて、そちらへと目を向ける。

 視線の先では私以外にも飛鳥と逆廻さんが、ジンさんの顔を見ていたが当人は気づいていない。

 逆廻さんが面白くなさそうに顔を背けるのを見て、私も目を目の前の水に戻す。

 日が傾いている……。

 

 

――ノーネーム・会議室――

 

 

 お風呂に入り着替えをすませた私達は、春日部さんの、ノーネームの会議室から話し声が聞こえるという言葉を聞き会議室へ向かう。

 会議室は明かりがついていなかったが、月明りでそこに2人ほど誰か立っているのは分かる。

 明かりをつけて、その人物を確認する。

 ――逆廻さんとジンさんだ。

 

「お二人とも、いかがされましたか?」

「あ、あっその……」

「もしかして、何かもめてるの?」

「何、男同士で熱く語り合ってただけだ。な、おチビ」

「え? あ、はい……」

「……ボーイズトーク」

「カールズに比べると、規模が半分」

 

 明らかに何か隠している。

 今も耳元でコソコソ話し合っているし。

 ――なるほど。

 今回のギフトゲームで勝てば、逆廻さんが元ノーネームの仲間を助ける約束をしているようだ。

 私は口の動きを見て内容を把握したが、耳がいいと思われる黒ウサギさんと春日部さんは聞き取れただろうか?

 

「負けたら俺、コミュニティ抜けるから」

「はいっ……え?」

 

 逆廻さんの知恵と力があれば、このコミュニティの成長速度は飛躍的に向上するだろう。

 そうなれば、個人の成長にも影響を及ぼすかもしれない。

 それに、逆廻さん自体も貴重な観察対象でもあるし、今回のギフトゲームは負けないようにしよう。

 

 

――翌日・フォレス・ガロ――

 

 

 ギフトゲーム

 ルール

 ・指定された武具でガルドを討伐。

 

 私達は、ジャングルとかしたフォレス・ガロ本拠を進んでいる。

 敵の影も指定武具も見つからない状態で、とりあえず1度ガルドの下へ向かう。

 ガルドの手下は誰もいない、そして罠さえも仕掛けられてない。

 フォレス・ガロ内部のガスパーさんがいると思われる部屋に踏み込むと、全身が白い獣へと変化したガスパーさんがうなり声を上げていた。

 あ、第3形態。

 

「あれです! あの壁に刺さっているのが恐らく指定武具です!」

 

 ジンさんが指さした先を見ると、確かにそこには十字の剣が壁に突き刺さっていた。

 ――ガスパーさんを唯一殺せる武具。あれを手に入れるまで、ガスパーさんがただ待ってくれるわけもない。

 

「Gaaaaa――――!」

「『止まりなさい!』」

 

 ガスパーさんが、私達めがけて飛び掛かってくる。

 とっさに飛鳥がギフトを使用し停止命令を出すが、ガスパーさんが止まる様子はない。

 今のガスパーさんが飛鳥のギフトより強いのか。ギフトによる直接的な干渉は、指定武具による討伐のルールにひっかかるのか。

 どちらにせよ、このくらいで私達は負けるつもりはない。




 どうでしたか?
 疑問やツッコミどころがあると思いますので、ここで少し解説します。
 ・音楽部では、音の衝撃波の出し方は教えていません。ティアが友達に見せてもらったアニメの真似をして独自に身につけた技術です。
 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
 作者の一言
 もっと笑いが欲しいが、クール系主人公じゃ難しかった!
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