原初の母と問題児たちが異世界から来るそうですよ? (リメイク) 作:御粥
結構好きなアニメになったので、作者も二期を待つばかりです。
しょうがないとはいえ、男キャラすくねぇな。
ロリは沢山、ショタは少数。
ジン君以外に名前持ちのショタっていましたっけ?
いたらもうしわけございません。
作者にとって、一番最初に思い浮かぶショタって言ったらドラゴンボールの悟飯ですが。
あんなカッコイイショタキャラを、何時かオリジナル小説で書いてみたいです。
まぁ、何時の事になるか分かりませんがね……。
「よもや、後一歩のところで逃げおおせるとはな。然しもの我らが母と言ったところか」
「ハァイ、参りましたー! アイツ、やっぱりルール違反の
「それで、ビーストⅡの消息はつかめたのかロマニ・アーキマン?」
『それが、さっぱり分からないんだ⁉ あの魔力ならどこに飛ぼうと一発で分かるはずなのに! まるで、消えてしまったかのようにどこの時代を探しても異常が見当たらない!』
「ビーストⅡは、本当に生きているのでしょうか?」
『それは間違いないと思うよ、マシュ。マーリンが言うには、ビーストⅡは聖杯の効果で消滅したそうじゃないか。死の瀬戸際で聖杯に頼ってまで叶えたい願いなんて、少なくとも死ぬ事じゃないだろう?』
「聖杯に何を願ったか知らぬが、身を隠し追撃を避けるとは小癪な知恵をつけたと見える。お前たちは、カルデアに帰還しろ。聖杯もろともティアマトが消えた以上、この特異点は修正されるだろうからな」
「はい、ギルガメッシュ王! ビーストⅡは、いったいどこに行ったのでしょう……?」
――ノーネーム・書庫――
「起きなさぁぁぁい!」
「うぅん、飛鳥? あ!」
私が眠りから覚めて最初に見たものは、ジンの顔に膝蹴りする飛鳥だった。
こんな過激なのか、寝起きドッキリは?
すぐさま周りを確認し情報を集める。
この場にいるのは飛鳥とジンと耀とリリ、そしてジンを盾に使っている十六夜。
「キャー! ジンくーん⁉」
リリの叫ぶ声を聞きながら、倒れるジンを両手で抱え十六夜達に質問する。
「……何でこんな事したの?」
私が起きた場所は書庫だった。
そういうのも、私は十六夜の勧めの通り本を読んでいるのだ。
冒険の本から育児の本まで、幅広く楽しんでいる。
本を情報としてだけじゃなく娯楽として楽しめるようになってからは、とても本が好きになった。
昨日は十六夜とジンと一緒に夜遅くまで本を読んでいたので、そのまま眠ってしまったようだ。
それで起きたら、何故か先ほどの状態になっていた。
私は仲間として、友達として。
飛鳥と十六夜に事と次第を聞かなければならない。
「十六夜君ったら話しかけたのに無視して寝ちゃうんだもん。それに蹴りを入れたのだって、十六夜君なら大丈夫だと思ったからなのよ?」
「そう、じゃあ十六夜が悪い。十六夜ならジンを盾にしなくてもよかったはず」
「おいおい、俺は被害者だぜ? どう考えても寝起きにシャイニングウィザードしてきたお嬢様のせいだろう」
「……って、今はそんな事話してる場合じゃないわ! 緊急事態なのよ! この手紙を見て!」
そんな事って……。
まぁ、鼻血は出てるけどすぐに収まったし大丈夫だろうが。
緊急事態ならしかたない。
「火竜誕生祭……?」
「くそがっ! 面白そうじゃねぇか! 行ってみようかなぁおい!」
「ノリノリね」
これが、緊急事態……?
どの辺が……?
「どうしたんだよ、この手紙?」
「黒ウサギが秘密にしてたのを、春日部さんがたまたま見つけたのよ」
「へぇ? 秘密にねぇ~」
「だ、ダメですよ! ここから境界壁まで、いったいどれだけの距離があると思ってるんですか⁉」
復活したジンが忠告する。
どれだけの距離かは知らない。
でも、そこには私の知らないものがある。
知っておく必要があるか――。
「こんな面白そうなお祭りを秘密にされてたんだね私達、ぐすんっ」
「毎日コミュニティを盛り上げるために頑張ってるのに残念だわ、ぐすんっ」
「ここいらで黒ウサギ達には痛い目にあってもらうのも大事かもしれねぇなぁ、ぐすんっ」
「そもそも、行かない理由が無い。この手紙を見つけた時からすでに結果は見えていたはず。黒ウサギの管理不行き届き……ぐすん」
私達が火竜誕生祭に行くのは決定。
もはや変えられない事実になる。
「よ~し! そうと決まれば紙とペン持って来い大和!」
「たしかテーブルに……あった」
テーブルの上に置いてあるペンと、自由に何かを書くために置いてある紙をそれぞれ持って十六夜の所に戻る。
「はい。それで、なんて書くの?」
「お、サンキュ。サラサラサラっと」
「……? 『黒ウサギへ。火竜誕生祭へ参加してきます。今日中に私達を捕まえられなかった場合は、四人ともコミュニティを脱退します』……本気か? 私が止めるぞ?」
脱退の危機があるのなら、私は黒ウサギ側につくが。
「冗談だって、本気じゃねぇさ。だがこれなら確実に必死で俺達を追いかけてくるはずだ」
「そうなれば黒ウサギも私達に隠し事しなくなるでしょう?」
「ちょっとやりすぎかな? とも思うけど、それが冗談でしょ?」
そうか、冗談か。
なら、それほど気にする事もないだろう。
「あの、皆さん?」
――サウザンドアイズ・白夜叉の部屋――
「さてと、それで北側に行く方法だが。北側の境界壁まで九十八万㎞くらい、それを短縮するアストラルゲートは値段が高くて使えない」
「でも、そんな事は手紙の差出人、つまり白夜叉も百も承知のはず」
「つーわけで、北側まで連れてけやコラ」
「いきなり脅迫とは礼儀を知らんな小僧」
先ほど十六夜が言ったように、私達が北側に行くためには白夜叉の手を借りるしかない。
「無論承知の上だ。じゃがその前に一つ問いたい、おんしらが魔王に関するトラブルを引き受けるという噂があるのだが真か? そして、それはコミュニティのトップとしての方針か?」
「はい」
白夜叉の質問にジンが答える。
「そうか。ところでおんしら、フロアマスターについてはどこまで知っておる?」
「私はまったく知らないわ」
「私も」
「私は、ちょっと本で読んだ程度」
「俺はそこそこ知ってる」
「階層支配者フロアマスターとは……」
――白夜叉説明中――
「ちょっと待って、その話長くなる?」
「ん? そうだのぉ、短くても後一時間程度はかかるかの?」
耀に説明を遮られた白夜叉から衝撃の事実が飛び出す。
そんなに長く話を聞いていたら、話が終わるより黒ウサギがここに来る方が早いだろう。
「白夜叉! 今すぐ北側に向かってくれ!」
「それは構わんが、依頼の件は受諾でよいのか?」
「構わねぇから早く! 事情はおいおい話す! 何より、その方が面白れぇ!」
「そうか、面白いか! それでは仕方ないの!」
話を聞いた白夜叉は、手を打ち鳴らすことで何かをする。
まさか……。
「よし、北側についたぞ!」
「「「「「……は?」」」」」
――北側・崖の上のサウザンドアイズ――
「白夜叉さんは、反則」
「ふふふ、フロアマスターとはこういうもんじゃ」
白夜叉は、あっちのサウザンドアイズとこっちのサウザンドアイズをつなげた。
瞬間移動なんて空を飛ぶよりずるい。羨ましい。
「み~つ~け~た~の~で~す~よ~‼」
この声は……黒ウサギ!
飛び跳ねた黒ウサギが私達の近くに着地した。
「逃げろッ!」
「逃がすか!」
「――!」
あぁ、耀が捕まった……。
黒ウサギは捕まえた耀を白夜叉に向けて放り投げると、十六夜達を捕まえに崖を飛び降りていった……。
「黒ウサギがあそこまで怒りをあらわにするとは、おんし達いったい何をしたんじゃ?」
「今日中に皆を捕まえないと、コミュニティを脱退するって書置きを残した」
白夜叉の質問に答えながら、とっさに隠れた物陰から出る。
「ごめんね耀、囮にしちゃって……」
「ううん、大丈夫……」
「なるほどのぉ……事情は分かった。しかし脱退とはいたずらにしてもたちが悪いと思わんか?」
「そういうものなの? 十六夜も冗談だって言ってたよ?」
「いいか、冗談にしても言っていい冗談と悪い冗談があるんじゃ」
そうだったのか……。
でも……。
「私は、そろそろ行くね。黒ウサギの耳が十六夜達の方を向いているうちに逃げないといけないから……」
「まだ続けるきなのか?」
「うん。一度始めたゲームから手を抜いたら、黒ウサギに失礼だから……」
私は崖ではなくサウザンドアイズの階段を使い、街へと走る。
「真面目なのか不真面目なのか、いまいち分からん奴よ……」
――北側の街――
北の街は、ノーネームの街とはだいぶ違うさまを見せている。
火竜誕生祭だからか、店の前も道の上も、そこらじゅうで光り輝く飾りつけがされている。
「これが……綺麗」
こんな気持ちを抱いて、街を歩くのは初めてだ……。
これまでの私にとっては、街の風景も人を知るための一つの情報にすぎなかった。
仕事に私情は挟まないと言ったら分かりやすいだろうか?
お祭りを楽しむ気持ちも、イルミネーションを綺麗だと思う気持ちも、全部が初めての事で、それを感じる事ができるのがとても嬉しい!
でも、今は見とれている場合じゃない。
周りにいる人達が騒いでる声を聞きながら、その者達が指さす方へと目を向ける。
「……十六夜と黒ウサギ。鬼が逆転してる?」
何故か十六夜が追いかけ黒ウサギが逃げている。
……どちらにせよ、あの追いかけっこが終わったら、次は私か飛鳥だろう。
今は逃げるしかない。
黒ウサギ達とは反対へと歩を進める。
「……リリと三毛猫?」
しばらく進むと、どこか困ったように手に持っているものを見つめるリリを見つける。
「あ、ティア様。まだ逃げてるんですか?」
「うん。それって……クレープ? 三つも食べると、ご飯が食べられなくなるよ?」
クレープか……給食に出てくることもなかったから、食べたことがないな。
そもそも何かを味わって食べた事はないな。
食事は、早く済んで栄養が取れればそれでいいと思っていたから。
でも、次からは少しは味わってみるべきか……?
「えっと、さっきまで三人だったんですけど、二人とも精霊さんを追いかけていっちゃって……」
三人?
黒ウサギと十六夜はあっちにいる、という事は。
「飛鳥とジン?」
「いえ、ジン君じゃないです」
違う……。
「まさか……レティシア?」
「はい、そうです」
まずいな……レティシアは後から来た、つまり黒ウサギ側だと思っていいだろう。
飛鳥と一緒にいた事から、飛鳥はもう捕まってしまったと見るべきか……。
という事は残るは十六夜と私だけ、黒ウサギだけでなくレティシアまで来てしまえば捕まってしまうだろう……。
とりあえず、レティシアには見つからないようにしよう。
「レティシアは、あっちに行ったの?」
「……はい」
じゃあ、私はその逆に――。
「あの、もしかしてまだ逃げるんですか?」
「……? うん。日付が変わるまでがタイムリミットになっているから」
「明日まで続けるきですか⁉」
「うん」
手紙には”今日中に”と書いていた。
つまり今日の24時までこのゲームは終わらない。
「えっと、もう止めた方がいいんじゃないかな……?」
ゲームを途中で止める?
「何故?」
「だって……ほら! 黒ウサギも怒ってるし」
「……私が早くに捕まっても、黒ウサギの怒りが収まるわけじゃない。黒ウサギは今、全力で私達を追いかけている。なら、私達もそれに全力で答えるべきだと思う」
「それは、今はちょっと違うんじゃないかなぁ~……」
違うのだろうか?
いや、今はそれよりも。
「どうして……リリは私に捕まってほしいの? 脱退は、冗談だって分かってるはずなのに」
「それは……。黒ウサギはね、四人が来て本当にうれしそうだったの」
……。
「四人が来るまでは、黒ウサギの笑顔は何だか無理してるみたいだった。でも、四人が来てから見せてくれた黒ウサギの笑顔は、本当に心からの笑顔に見えたの」
「……」
「そんな黒ウサギに笑顔をくれた四人が、冗談でも脱退するって言って、黒ウサギはきっとすごく怒ってる。そんな時に全力で逃げたりなんかしたら、今度はとっても不安になると思うの……」
……そういうものか。
「分かった。今度黒ウサギ達に会ったら、素直に捕まる事にしよう」
「はい!」
私は、もう少しで仲間の心を傷つけるところだったんですね……。
私は感謝を伝えるべく、彼女の頭に手を置いて、優しくなでながら感謝の言葉を伝える。
「教えてくれてありがとう、リリ」
「……いえ、感謝されるような事じゃ。えっと、そうだ! クレープ食べませんか? 一人で三つはちょっと多いから」
「うん」
三つある内の二つをリリが食べ、一つを私が食べる。
それは甘くてクリーミーで、こんなクレープを食べられる私は、きっと幸せ者なのだと感じました。
私は逃げるのを止めて、クレープを食べながらリリとサウザンドアイズに帰る。
「……甘い」
――北側・サウザンドアイズ――
「お帰り。三毛猫、ティア、リリ」
「ただいま、耀」
サウザンドアイズにはまだ、耀がいた。
「街を見に行かないの?」
「ううん、これから街へ行くところ」
「そう。街は見ての通りきらびやかに飾られて、見る者を楽しませてくれる。耀も楽しむといい」
「うん。私はこれからギフトゲームがあるから、その後にじっくり見るよ」
ギフトゲーム?
いつの間に……と言っても私達が逃げている間にだろう。
「どんなギフトゲームに参加するの?」
「【造物主達の決闘】……創作系のギフトが参加条件」
「創作系のギフト、その木彫りの首飾り。応援する」
「ありがとう。絶対優勝するから!」
白夜叉も絶賛する程のもの、並大抵の相手なら負けないだろう。
「うん。思いっきり楽しんでね」
――サラマンドラ――
「捕まえたのですよ、ティアさん!」
「うん、ごめんね黒ウサギ。貴女の気持ち、私は理解していなかった」
黒ウサギを抱きしめながら、今日あったことを思い出す。
今日のギフトゲームは、耀の勝利に終わった。
だけど、今日の分はあくまでも準決勝まで。
決勝は、後日改めて執り行われる。
そしてその準決勝後、黒ウサギと十六夜がギフトゲームで建造物を破壊したとしてサラマンドラのリーダーの下へと連れ出される事になった。
「何だ、まだ捕まってなかったのか大和」
「うん。十六夜が標的になっていたから、それに黒ウサギだけなら衝撃波で場所を選べば捕まらなかった。でもリリに黒ウサギが不安になるって聞いて、逃げるのを止めた」
「ティア様は、日付が変わるまで逃げ続けるつもりだったので……」
「はははっ! 確かに、黒ウサギの心が折れちまいそうだな!」
「笑い事じゃありません、このおバカ様!」
合流時にそんな会話をして、サラマンドラのリーダーの下へと向かう。
「私からはこの件に関しては、不問とさせていただきます」
今私達に判決を言い渡したのが、サラマンドラのリーダーで北側の新しいフロアマスター【サンドラ・ドルトレイク】
ジンと同い年の11歳で、リリとも友達のようだ。
「ジン、リリ! ひさしぶりー!」
自身の兄以外の配下を下がらせると、サンドラは元気いっぱいに駆け寄ってくる。
先ほどよりも気安い反応、こちらが彼女の本性なのか?
「でも驚いたよ、サンドラがフロアマスターだなんて――」
「気安く呼ぶな、小僧!」
ジンがサンドラの名を呼ぶと、サンドラの兄である【マンドラ】がジンに切りかかる。
私は衝撃波を出そうとするが、十六夜に止められる。
ジンに迫る剣は、十六夜が代わりに足で止めた。
どうして私まで止めるの、十六夜!
「いい加減にせんかマンドラ。ティアもその殺気を沈めよ」
「……」
(何じゃ、こやつの殺気? ここまでの殺気を放つとは。ルイオスの時といい、十六夜以上に正体不明よ)
「ティアさん、僕は大丈夫ですから!」
「……ジンがそういうなら」
その後は、白夜叉から魔王が現れる預言があったと聞いた事以外特に何もなかった。
白夜叉達と共に耀さんと合流し、サウザンドアイズへと帰還する。
「にしても、凄い殺気だったな! この箱庭に来て一番だったぜ!」
「当然。数少ない大切な者だから、必ず守る」
「へぇ? 仲間がピンチの時は本気出すって事か、それを聞いて安心したぜ」
――北側・サウザンドアイズ――
「飛鳥さん、お怪我をされたとは本当でございますか⁉」
「飛鳥、怪我は大丈夫?」
「待て待て、黒ウサギとティア! 家主より先に入浴とはどういう了見だぁ!」
サウザンドアイズにへと帰還した私達は、飛鳥がネズミの大群に襲われて怪我をした事をレティシアに聞く。
飛鳥は怪我を治す事のできる露天風呂に入っていると聞いたので、皆で向かった。
「大丈夫。ここのお湯につかったら、すぐに治ったわ」
「何なら、ここら中のネズミを全て駆逐する……」
「き、気持ちだけ受け取っておくわ」
そうか。
あまり頑張りすぎると、ネズミより危険な者達に目をつけられる可能性もあるからな……今回は見逃してやる。
「ふぅん、飛鳥とティアは15歳とは思えん肉付きじゃのぉ……」
「は?」
「鎖骨から豊かな発育をしておるのに~(白夜叉熱弁)」
「何、白夜叉ってこんな人なの⁉」
褒められたのだろうか?
でも、飛鳥は白夜叉に桶を投げつけた。
何故だ……まあいいか。
飛鳥達に魔王襲来の預言の事を話し、十分に湯につかったらお風呂から上がる。
すると、先に男湯から上がっていたジンと十六夜が座って待っていた。
「おお、こりゃなかなかいい眺めだなぁおチビ様」
「はい?」
「黒ウサギと大和とお嬢様の薄い布の上からでも分かる~(十六夜熱弁)」
あ、今度は十六夜が黒ウサギと飛鳥から桶を投げつけられた。
「変態しかいないのここには⁉」
「白夜叉様も十六夜さんも、皆おバカ様です!」
――話合いできそうな部屋――
「それでは……第一回黒ウサギの審判衣装をエロッ可愛くする会議を――」
「はじめませんッ!」
私達七人は、明日の事を話し合うために場所を移した。
そして白夜叉からもたらされた明日の情報は、黒ウサギに耀が出ているギフトゲームの決勝の審判をしてほしいというものだった。
黒ウサギはこれを了承、でも審判衣装をエロ可愛くする事には断固拒否した。
耀の決勝の相手を白夜叉に聞くが、決勝に残ったコミュニティの名前しか聞く事はできなかった。
耀の【ノーネーム】に【サラマンドラ】、そして【ウィル・オ・ウィスプ】と【ラッテンフェンガー】だ。
十六夜とジンが言うには、ラッテンフェンガーは【ハーメルンの笛吹き】らしい。
そして過去に箱庭には、魔王に仕えていたハーメルンの笛吹きという名のコミュニティがあったらしい。
これから襲撃してくる魔王がハーメルンの笛吹きかは分からないが、もしそうだったら私達が戦うのはハーメルンの笛吹きという事になる。
さて、どうやら話す事はもうないようだ。
ならば、最後に私の話を皆にしよう。
「もう話す事がないのなら、白夜叉さん以外に伝えたい事がある」
「ぬ、私はお邪魔か?」
「そうでもない」
白夜叉に聞かれても困るような事じゃない。
これはただ、この街に来てから思った事だ。
「ジン、黒ウサギ、十六夜が、私に仲間の事を教えてくれなかったら、そして飛鳥と耀が友達になってくれなかったら、私はこの街を、お祭りを楽しむことができなかった。でも今は、楽しい事が楽しい」
この街で楽しむ事ができた時に感じた、私の感情だ。
少し前までの私では、楽しい事を楽しいと思う事ができなかった。
ジン達は、私のものの見方を変えてくれた。
大切な人になって、楽しい事を楽しむ心のゆとりをあたえてくれた。
そんなジン達に、私は感謝の言葉を送らずにはいられない。
「「ティアさん……」」
「へ、楽しい事が楽しいね……」
「大和さん……」
「ティア……」
皆の顔を見ながら、伝えたい言葉を心から捧げる。
「ありがとう」
皆に会えた幸運に、ありがとう。
この街に一緒に来た仲間達に、ありがとう。
そして、ノーネームの全ての
「てっ、ちょっとまてーい!」
そこで白夜叉がまったをかけてきた。
私としては、皆に感謝を伝えられたから満足なのだが。
何かおかしなところでもあっただろうか?
「どうしたの、白夜叉さん?」
「おんし! 私への感謝の言葉は、持ち合わせておらんと言うのか⁉」
なんだ、そんな事か。
「白夜叉さんは、ノーネームじゃないよ?」
「それはそうじゃが……はぁ、もうよい。これにて今日は解散じゃ、各自部屋で休むがよい」
――次の日・ギフトゲーム決勝――
「勝者【アーシャ・イグニファトゥス】!」
『ウォォォオオオオオ‼』
耀はギフトゲームで、ウィル・オ・オィスプに敗れた。
私と飛鳥と十六夜とリリと白夜叉は、サラマンドラのメンバー達と一緒の場所でその一部始終を観戦した。
途中までは優勢に見えたが、敵の【ジャック・オー・ランタン】と呼ばれる者が積極的に動き出した事で炎に囲まれ降参した。
耀がその窮地を乗り越えて勝利するところが見たかったが、誰もかれもが出来る事ではないようだ。
「おい、ありゃなんだ?」
「……?」
唐突に十六夜が空を見上げ、何かを見つける。
それに続いて私も空を見上げ対象を見つけるが、あれは黒い紙吹雪だろう。
「紙吹雪。祝いの時に使用するもの……初めて見たけど、大きくて黒いものはさらに珍しい。流石祭り」
「いや、紙吹雪を使うなど予定に入っておらん。そもそも、あんな紙吹雪があるわけないじゃろう!」
白夜叉が言うには、あれは紙吹雪ではないらしい。
では、あれはなんだ?
「プレイヤーはここにいる全コミュニティ――」
十六夜が、自身のところに降ってきた紙吹雪モドキを掴み読みだした。
<ギフトゲーム>
勝利条件
・偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げる。
・魔王を倒す。
重要なのはこの二点か?
『魔王が、魔王が現れたぞー!』
『キャー!』
『かーちゃーん!』
観戦客……いや、街中がパニックになっている。
どうやらこの黒いギアスロールは、魔王の代名詞となりうる強制参加のギアスロールのようだ。
それが街中に、そして大量にばらまかれている。
「何と大胆な……うおッ!」
今度は、白夜叉に異常が起こる。
その全身を覆うように黒い風のようなものが発生し、近くにいた私達を吹き飛ばす。
十六夜が飛鳥を、リリを私が抱きかかえ小型衝撃波で勢いを殺し着地する。
落下先で、ジンと黒ウサギと耀とレティシアと三毛猫に合流する。
「街の騒動と白夜叉の事、頼むな。ちょっくら挨拶してくるぜ、魔王様によ!」
言うが早いか、十六夜は魔王の下へ跳躍する。
街の周囲にそびえ立つ壁から降りて来ていた三人の内一人に、十六夜がぶつかったのが分かった。
「相手は複数、私は魔王の所へ向かう!」
レティシアは十六夜を追うように飛び立つと、十六夜とは別の相手と戦い始める。
私達は残りのメンバーの内、私とジンと飛鳥と耀と三毛猫が白夜叉の救出に向かい。
それ以外のメンバーが、住民の避難誘導をしに向かう。
「私を封印した方法は恐らく――」
「はぁい、そこまでよ!」
白夜叉の下へ向かい白夜叉から情報を得ていると、背後からの声で遮られる。
その者は手に楽器を持ち、多数のサラマンドラのメンバーを引き連れて現れる。
裏切者……いや、操られているのだろうか?
「お邪魔よ、あんた達」
「「「Guooo!」」」
「……!」
「A――」
サラマンドラのメンバー達が彼女の意思で襲い掛かってくるも、何かの動物から貰っていた耀の風を起こすギフトと私の衝撃波により飛ばされる。
サラマンドラのメンバーも、ペルセウスと変わらずギフトを使用してこない。
操られているからなのか、やはり箱庭ではギフトは貴重なのか。
創作系のギフト一つにしても、高いのか、作るのが難しいのか、昨日の準決勝までに全部壊してしまったのか見当たらない。
「あら、やるじゃない。でも……~♪」
敵が、持っていた笛の吹き始めた。
「あ、頭が……ッ!」
「……ッ!」
「お、お嬢……ッ!」
「大和さんはっ、何ともないの……ッ⁉」
「うん、効かない」
洗脳系のギフトの対策はしてある。
すると、その音色を聞いた飛鳥とジンと耀と三毛猫が苦しみだす。
「ふ~ん、人並み以上の聴覚があだになったって感じね? そして、貴方には私のギフトが効かないようね……」
「そういうのが効くのは、格下だけだって聞いた……」
「へ~、貴女は私よりも格上だって言いたいのね。でも、まいいは。貴女の仲間の子は私の手駒、笛を吹くのを止められなかった貴女の敗因よ」
私には効かないが、耳がいい耀にはとても効果があったようだ。
誰より苦しんでいる耀は、相手の手駒になってしまうだろう……このままならば。
「『春日部さんを連れて、黒ウサギの所へ逃げなさい!』」
「……分かりました」
「ああ? 逃がすと思ってるの⁉」
「『全員、そこを動くな!』」
操られなかった飛鳥のギフトにより、ジンは耀を担ぎ離脱。
続くギフト使用により、ジン達を追おうとした敵達全てが動きを止める。
敵の笛吹きならまだしも、サラマンドラのメンバー達はしばらく動きを封じられるだろうか?
「はぁーっ!」
「この、小娘がッ!」
「くぅっ……!」
動きを止めた敵めがけて飛鳥が剣を突き出すが、すんでのところで動けるようになった敵に弾き飛ばされる。
「A――!」
「くぅー! ふふっ。吹き飛ばすだけじゃぁ、私は倒せないわよ?」
倒れた飛鳥の前に立ち、敵を衝撃波で吹き飛ばすがそれだけだ。
近づかせない効果はあるが、ダメージにはならない。
この攻撃は、壁にぶつけるか高く飛ばし落とすかでダメージを与えるもの。
あくまで敵を遠ざけるためにあり、また消耗させる効果しかない。
今いる吹き抜けの観戦席では壁は後ろにしかなく、本来期待される一階への落下は敵が飛行を可能にしているから望めない。
これからは、翼が無くても飛べる敵が当たり前のように出てくるのだろう。
やはり……衝撃波だけでは決定打に欠ける。
「……」
チラリと足元に落ちている、飛鳥の剣を見る。
これを使えば、足りない攻撃面を補える。
私は、頭の中で作戦を立てる。
でもこの作戦を成功させる為には、もう少し敵に近づいてもらわなければならない。
敵は、遠距離から対象を操ることができる。
わざわざ近づいてくる理由が無い。
何もしなければ、先ほど苦しんでいた飛鳥も操られる危険性がある。
ならば……。
「もう少しだけ、本気だす!」
この小説を読んでくださり、ありがとうございます。
相変わらずのできですが、皆様の暇を潰せていれば幸いです。
この小説もそろそろ、急展開がほしいところです。
次回はアニメの終わりまで書けると思います。
いつ次の話が投稿されるかも分からない、そんな小説ですが。
完結を目指し一歩一歩頑張りますので、気が向いたら見てください!