蒼樹先生に別の作画をつけたかっただけの小説   作:おもち

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久しぶりなのにも関わらず応援コメント本当にありがとうございます。
見たとき思わずにやけちゃうくらい嬉しかったです。


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ペンの動く音だけが部屋には響く。

普通であれば気にならない音であるが、他に比較するものがない空間では、唯一音を発生させるそれは目立つ。

人によっては重たく感じるかもしれないが、真城 最高はそんな空間が嫌いではなかった。

元より、小さい頃は一人で部屋に篭り漫画ばかりを描いていた真城にとっては、むしろ好ましい空間であった。

黙ってペンを進める真城であったが、時折左側へと視線を向ける。

その視線の先には赤羽の姿…黙ってペンだけを動かす姿は真剣そのもので、目の隈も相まってかなり話かけづらい雰囲気だった。

真城は絵のことで聞きたいことなどを作業しながら聞ければと期待していたが、どうやらそれは無理そうであった。

しかし、直接聞くことが出来ないのならば見て盗めばいい。

赤羽の作業している姿や、すでにトーンを貼るだけとなっている原稿から少しでも自らの身になるものを盗んでいく。

真城は高木の原稿を待たずにこの場に来ているのだ。ならば少しでも身になるものがなければ来た意味がない。そんな使命感があった。

 

(やっぱり絵に関してはエイジと比べても遜色ない…いや、画風がエイジとは大分違うから比べるのは難しいか…)

 

真城は無意識のうちに新妻エイジと赤羽を比べてしまっていた。

それはエイジが自分たちのライバルであると認識しているからでもあるし、今回のアシスタントの件について、エイジと赤羽両方からほぼ同時に誘われたことも大きかった。

それによって真城は、そもそも高木の原稿の完成を待たずにアシスタントをしていいのかということに加えて、どちらに行くのが自らのためになるのかということも考えなければならなかった。

真城はギリギリまでどちらに行くのか迷った。

最初はライバルであるエイジを直接見ておきたいという思いもあったのだが、赤羽はジャンプで今連載している中では珍しいコンビで描いている人間。

同じくコンビで連載を目指すものとしては、見ておいた方がいいだろうと真城は思った。

 

(それにしても珍しい絵柄だな…いい意味で漫画家っぽくないと言うか…絵画を見ているような気分になる)

 

冷静に赤羽の絵を分析する真城。

 

(もしかして赤羽さんはイラスト専門とかだったのかな…漫画を描き始めたのは最近みたいな感じだったし、出来ればそこら辺も聞きたいんだけど…)

 

そう思いまた赤羽をチラリと見るが、やはりというべきか話かけづらい雰囲気は継続していて、それを確認すると真城は小さくため息を吐いた。

とりあえず作業が終わらないことには話はできないかと真城が思い、原稿に目を移した時、重苦しい空気を壊す声が部屋に響いた。

 

「はー!疲れたー!先生一回休憩にしましょ!締め切りもまだまだ余裕あるしゆっくりやりましょうよ!」

 

それは赤羽のもう一人のアシスタントである加藤であった。

加藤は大きく伸びをして、机にわざとらしく倒れ込み疲れているアピールをする。

それを見て赤羽は反応を返す。

 

「そうだね…真城君と加藤さんは一回休んでいいよ。もし飲み物欲しかったら冷蔵庫に入ってるから好きなの飲んで」

 

「先生はどうするんですか?」

 

「僕はまだ描くよ。締め切りは余裕あるけど後で描き直したくなるところあるかもしれないし、進めておけるところまで進めておくにこしたことはないからね」

 

なんでもないことのように言う赤羽。それを見て加藤は残念なものを見たといった感じで、額に手を開けてやれやれと顔を横に振る。

 

「ダメですよ先生!こういうのはちょっとずつ休みを入れた方が早く終わるんです!それに先生が休んでないのに私達だけ休むなんて気を使うじゃないですか!」

 

「いやそれ本音は後半部分だよね…僕のことは別に気にしないでいいから疲れたら自由に休んでいいよ」

 

「ダメです!先生も休んでください!飲み物は私が用意しますから」

 

「うーん……そこまで言うなら僕もちょっと休むよ…」

 

加藤の強気な様子に赤羽も折れたようでペンを置いて、固まった肩をほぐすように軽く回す。

それを見て加藤は満足気に笑って、上機嫌に鼻歌を歌いながら冷蔵庫のある台所に移動する。

真城はそこで一番後輩である自分が黙って座っているのは悪いと思い、席を立って手伝いに行く。

 

「僕も手伝います」

 

「真城君…?ありがとね。じゃあコップ用意してもらおうかな。棚のところに入ってるやつ好きに選んで持ってきて!」

 

「はい…わかりました」

 

真城は指示に従い、コップを棚から無作為に選んで行く。

 

「これでいいですか?」

 

「うん…ありがとう!あとさ真城君…」

 

他にも何かあるのか加藤は少しだけ考えるような素振りをして間を開ける。

 

「他にも何かやることありますか…?」

 

「うーん…いや!そうじゃなくてさ…真城君先生に何か聞きたいことあるんでしょ…?」

 

それを聞いて真城は目を見開いた。

思っていたことをピンポイントで言い当てる加藤に、真城はなぜ分かったのかと驚いた。

そんな真城の言いたいことに気づいたのか、加藤はくすりと笑いながら答えた。

 

「あんなに先生をチラチラ見てたら流石に気付くよ」

 

「もしかして赤羽さんも気づいてます…?」

 

加藤に分かったのなら赤羽にも…そう思った真城は疑問を口にするが、それは即座に否定される。

 

「先生は絶対気付いてないから安心して!先生は原稿しか見てないから!」

 

その理由を聞いて、まだ赤羽のことを全然知らないはずの真城は、赤羽らしいなと思ってしまった。

それは赤羽の目にはっきりと刻まれた隈や、週刊連載だと思えないほどに描き込まれた絵から、なんとなく描くことが大好きな人なんだなと、真城は思っていたからだ。

 

「そうですか…よかった」

 

「それでね…聞きたいことあるなら休憩中に聞いといた方がいいよ。先生描いてる時はすごい集中してるから聞きづらいでしょ?」

 

「…!それで休憩しようって言ってくれたんですか?」

 

「ふふ…それを言ったのは本当に休みたかっただけでーす!さぁ!飲み物汲み終わったから早く先生のところ戻ろ!」

 

加藤はいたずらが成功した時のような…少しだけ悪い笑顔をうかべて赤羽の方へと戻っていった。

真城にはそれが本当なのか確認するすべはないが、なんとなく…嘘だなと思った。

 

「先生コーヒー持ってきましたよー!ソファーで一緒に飲みましょー!」

 

「加藤さんありがと…真城君も手伝ってくれてありがとね」

 

「いや…僕は何も…」

 

3人は仕事場から少し離れたところにあるソファーに座り、話し始めた。

折角の話せる機会…真城は気になっていたことを聞こうと思うが、聞けるのは休憩が終わるまで、何を聞こうか少し迷う。

そうやって迷っていると、痺れをきらしたのかわざとらしく加藤は話題を提供した。

 

「あー!そういえば先生今週は何位だったんですか?」

 

読者アンケートの順位…漫画家にとって切っては話せないそれを加藤は聞いた。

何事もないかのようにそれを聞く加藤に、真城は驚いた。

順位というのは作家にとって一番気を使うところだからだ。悪い順位ならば当然いいづらいし、アシスタントに言いたくない人も多いと思ったからだ。

しかし、そんな真城の心配をよそに、赤羽は普通に答えた。

 

「今週は13位だったよ」

 

それを聞いて真城はさらに驚く。それは自分が予測した順位よりも大分低い順位だったからだ。

 

「13位…なんでですかねー?私は先生の漫画すごい好きなんだけどなー」

 

「うーん…今週は大分時間かけて描いたんだけどね…次からはもっと描き込み増やさないとダメかな…」

 

「いや…これ以上増やしたら先生死んじゃいますよ…」

 

「そうは言ってもね…僕には描くことしか出来ないし…何か青木さんに有益なことが言えればいいんだけど…ストーリーはさっぱりだから…」

 

「確かに…先生が一人で書いたやつすごいつまんなかったですもんね!絵がいいだけにギャップが凄かったです」

 

「失礼なこと言うね…事実だから言い返せないけど」

 

赤羽は失礼なことを言う加藤を少しだけジト目で見る。

そんな赤羽の視線から逃れるように、加藤は真城へと話を振った。

 

「真城君はどう思う?先生の漫画の順位なんとか上げれないかな?」

 

「そうですね…正直ジャンプには合わなかったってことだと思います」

 

それを言って真城はなんでこんなことを言っているんだと後悔した。

明らかに上から目線の発言…これから色々と聞こうと思った人をこれで怒らせてしまえば、聞きたいことも聞けなくなってしまう。

なぜそんなことを言ったのか、それは真城が本気で漫画家を目指す人間だからだった。

漫画については正直でありたい…そんな思いが漏れてしまった。

そんな真城の発言を聞いて、赤羽は身を乗り出して真城の肩を掴んだ。

流石に怒られるかと真城は思ったが、赤羽から出たのは全く違うものだった。

 

「真城君…!それ詳しく聞いてもいいかな!」

 

「え…?怒らないんですか?」

 

「怒る?なんで?真城君は質問に答えてくれただけでしょ?というか…それよりもだよ!ジャンプにあってないってどういうこと?詳しく聞かせて欲しい。参考にしたいんだ」

 

赤羽はなぜか興味津々といったようで、真城の顔を見つめてきた。

そこまで言われては真城も答えないわけにもいかず、多少失礼だという自覚はありながらも思ったことを全て言うことにした。

 

「赤羽さん達の作品…確かによく出来てると思います。ファンタジー的な話に赤羽さんの絵柄がマッチしていて漫画というよりか…もっと高尚なものを見てるんじゃないかって錯覚してしまうくらいです。

でも、話自体が最近はファンタジーっていうよりメルヘンによりすぎてると思います。動きが少なくて精神的な葛藤とかが多くて画面があんまり切り替わらない。最初は完成度の高さで気にされてなかったところが読者が慣れてきたことで浮き出てきたんじゃないですかね」

 

「…なるほど…でもそうだとすれば僕はどうすれば…」

 

「僕が言ったことが絶対正しい訳じゃないです。というかそこら辺のアドバイスは担当さんが言ってくれるんじゃないですか?僕達の担当の方はそういったところ言ってくれますよ」

 

「相田さんはこれ以上順位が下がるなら変えていった方がいいとは言われたよ。でも下手に変えて作風が壊れてもしょうがないし、現状はこのままでいいっていう感じかな」

 

「そうですね…下手に変えたくないっていうのはわかります。完成度でいえばすでに高い。だからこそ後は好みの問題というか、漫才が好きか落語が好きかみたいな問題ですね。少女漫画なら多分このままでも人気は出ると思いますけど、ジャンプだと多分今のままだと厳しいと思います。僕だったら話のベースはそのままで動きを増やしたり、少しだけアクションとかもいれますかね」

 

「確かに…誰が読んでるかを考えるっていうのも重要だよね…あ、そうだ!それなら男の子が好きそうなキャラとかも色々描いてるんだ。カッコいいキャラクターなら男受けもいいはずでしょ?真城君ちょっと見てよ」

 

赤羽はそう言うと、作業机の引き出しを開けて、大量のスケッチブックを取り出した。数にすると数十冊…一人だと一度には運びきれないほどの量だった。

それを赤羽はソファーの前の机へと広げる。

 

「うげー…凄い量ですね…先生いっつも原稿描いてるのにこんなに描く時間あるんですか?」

 

「まぁキャラクターを考えるのも大事なことだしね。それに連載が始まってから描いたやつだけじゃなくて、僕が漫画家になろうと思った時から描いてるやつだから」

 

そう言いながら赤羽は膨大な数のスケッチの中身を確認していく。

 

「えーと…これは関係ないやつで…キャラクターだけまとめたやつがどこかに…」

 

どうやらキャラクターだけを描いてるだけではないらしく、キャラクターだけのものと別のもので仕分けていく。

それ以外のものに何が描いてあるのか…真城は少し気になった。

そして気になったのは真城だけではなかったらしく、仕分けをする赤羽の横から手が伸びてきた。

 

「おー!これ先生が描いた漫画ですか?なんか漫画っぽくない絵柄だから…始めの頃描いてたやつっぽい!レアものだ!」

 

「ちょ…!それ高校の時に描いたやつだから見ないで!恥ずかしいから!」

 

慌てて赤羽は加藤を止めようとするが、赤羽の手をするりとかわして加藤はページをめくり続ける。

赤羽もそんな状態の加藤を止められないと悟ったのか、諦めたようにソファーに座り直して仕分けを続ける。

 

「絶望的なまでにストーリーがつまらない…絵が上手いだけに凄い違和感…原作の人見つけてよかったですね先生…」

 

「うるさいなぁ…ストーリーが作れないのは自覚してるよ…それに最近はもうちょっとマシになってるはず…」

 

「それって私によく見せてくるやつですよね?あれも今連載してるのと同じ作品って思えないくらいつまんないですよ」

 

そう言うと加藤は、スケッチブックの中から比較的綺麗な状態のものを取り、中身を確認した。

 

「あ!そうだこれこれ!真城君も見てみてよこれ!」

 

お目当てのものを見つけたようで、若干テンションが上がる加藤。

そのテンションのまま、スケッチブックを真城へと手渡した。

渡された以上は読まないという選択肢はない…真城自身も赤羽が描く作品が気になっていたこともあり、赤羽に若干悪いと思いながらも読み始めた。

 

それは、赤羽が今連載してるものと同じ設定の、誌面ではまだ見たことがないものだった。

しかし、加藤が言うように話自体ははっきり言ってつまらなかった。

コマ割りもぐちゃぐちゃで、プロの作家が描いたものだとは到底信じられないレベルだ。

 

「つまんないでしょそれ…」

 

赤羽は仕分けを続けながら自虐的にそう言った。

そんな自虐に真城はどう返すべきと迷う。

そんな真城の困惑が伝わったのか、赤羽は一人で話しを続ける。

 

「正直僕が描いたストーリーが採用されることなんてないだろうから、無意味なことしてるなって思ってるんだ。でもね…絵しか描けない僕だけど、少しでも青木さんの力になれたらって思うんだよね。打ち合わせの時にもさ…相田さんと青木さんの話を聞いてるだけじゃなくて、僕も中に入って作品のことを話しあいたいんだ。その為にもストーリーを考えることもしないとダメだなって思って描いてるんだ。今のところ無意味に終わってるけど…」

 

赤羽のその独白に、真城は同じだと思った。真城自身も、高木から離れてアシスタントをしようと思ったのは、少しでも情報を持ち帰って高木を手伝いたかったからだ。

そんな自分と赤羽が重なっているように真城は感じた。

 

「無意味じゃないと思います…」

 

無意識に真城はそう呟いていた。

 

「え?」

 

「作品を良くしようって思いが無意味だと僕は思いません」

 

短い言葉であったが、赤羽には伝わった。

それは赤羽自身も真城と境遇が似ているという自覚があったからか、真城からの言葉は他の人からの言葉よりもすっと入って来るように感じていた。

 

「ありがとう真城君…そう言ってもらえると嬉しいよ」

 

それっきり二人は黙って、真城はスケッチブックを読み、赤羽は仕分けをしていく。

そんな中で、赤羽の作品を、そして漫画を面白くしたいという思いが昔の自分を思い出させていた。

あの頃の自分は、こんなふうにスケッチブックにコマ割りまでして漫画を描いていた。

今思えばクオリティも高いとは言えないそれらだが、その中に役立つものがあるのではないか、そんな風に真城は思った。

まるで天啓が降りたようだった。

今話に行き詰まっている高木に、きっと昔自分が考えていたものが役に立つものがある…そんな確信があった。

そんな確信を元に今すぐにでも家にスケッチブックをとりに行きたい衝動に駆られるが、流石に今日来たばかりでそんなことはできないと思いとどまった。

 

(スケッチブックのことを思い出せただけでも来た意味はあった…だからこそそれに気づかせてくれた赤羽さんのことにも真剣に向き合わなきゃいけない)

 

真城はそう決意を固めた。

そんな真城を見て、加藤は優しく微笑んだ。

 

 

 

 

 

その後二人の作戦会議は日が暮れるまで続いた。

それにより原稿は全然進まなかったが、赤羽は満足気だった。

赤羽の部屋には一応仮眠部屋もあったので、そこで寝泊りすることになるかとも思ったが、そんなことはなく、定時になったら二人は赤羽によって帰された。

 

その帰り道…真城は加藤に誘われて途中まで一緒に帰ることになった。

二人間に会話はない。それは、真城があることを考えるのに必死だったからだ。

 

(スケッチブックにきっと僕達の描きたいものがある。今すぐにでもアシスタントを辞めて描き始めたい…だけど、赤羽さんとあんだけ話しこんでおいてすぐ辞めるっていうのも…)

 

もちろん最優先は自分たちの作品だというのは真城も分かっていた。しかし、通すべき義理があるというのも真城は分かっている。

そんな風に相反する思いに真城が悩んでいる時、横にいる加藤が声をかけた。

 

「真城君…先生に遠慮することないからね」

 

「え…」

 

真城の悩みをわかっているかのような発言。

本日二度目であるそれに、真城はそこまで自分は分かりやすく顔に出ているのかと、少しだけショックを受けた。

 

「そんなに僕って考えてること顔に出てます…?」

 

「ふふ…別にそんなことないよ……ただね、真城君と先生って似てるんだよ。だからわかるの」

 

「そうなんですか…」

 

「まぁそんなことは置いておいて…真城君は自分の作品描きたいんでしょ?だったらそう言えばいいよ。先生なら分かってくれるから」

 

「本当にいいんですか?人手が足りないからアシスタント増やしたんじゃ…」

 

「それは大丈夫だよ!先生は人手が足りなくたってなんとかしちゃう人だから」

 

「それは本当に大丈夫なんですか…?」

 

真城は加藤のいい草に心配になるが、加藤はそのことについては答える気がないようで、すぐに話題を変える。

 

「とにかくさ…本気で漫画描きたいなら先生のところからは早く離れた方がいいよ。じゃないと漫画家になりたいなんて思えなくなっちゃうかもしれない」

 

「え…それってどういう…?」

 

加藤の予想だにしない発言に真城は目を見開いて驚いた。

 

「私もね漫画家になりたくて、でもすぐに連載なんて出来るほど力がないから先生のところにアシスタントに来たの…なんだけどさ、今は漫画家になりたいなんて思えなくなっちゃった。だって私は先生ほど漫画に全てを賭けられないから…先生くらい才能ある人が全てを賭けないと漫画家ってなれないんだなぁって思っちゃったから…真城君なら心配ないのかもしれないけどさ。私は先生見てると、私なんて到底敵わないなぁっていつも思うんだ…」

 

だから真城が真剣に漫画家になりたいのならばそれに集中すべきだと加藤は言った。

 

「加藤さんはそれでいいんですか…?」

 

真城も天才というのは見ている。自分たちと同じ歳ですでに連載を持っている新妻エイジ…そんな才能の塊である存在を知っても、真城達は諦めることをせずに、真正面から向き合うつもりだった。

そんな真城には、加藤の気持ちは分からなかった。しかし、それで漫画家を諦めてしまうのは酷く悲しいことのように真城は思った。

 

「全然いいよ!むしろ中途半端に目指し続ける方が後悔してたと思うから…だから早めに気づけてよかったって思ってる。それにね!私は先生のアシスタントが好きなんだ。先生の絵は私の理想だから、それを近くで見れるのが嬉しいんだ」

 

加藤は満面の笑顔でそう言った。

それは後悔を微塵も感じさせない晴れやかな笑顔だった。

そんな彼女の笑顔に、真城は少し見惚れてしまった。

 

 

 

 

翌日…真城は赤羽に辞めることを告げ、それを赤羽は受け入れ、笑って送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は蒼樹さんとの話を書ければなぁなんて思ってます。
ちなみにまだ200字しか書けてません…
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