セイバーウォーズ 〜ロクでなしとのコスモ時空〜   作:アサシンと思ったうぬが不覚よ!

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再度の大幅加筆修正。
大まかな会話文は変わりませんが、その他はかなり変わっています。


プロローグ
グレンとコスモ時空


 

 

 

 アルザーノ帝国魔術学院。

 

 

 それは、名君と名高いアリシア三世によって設立された、誉れ高き魔術師たちが叡智を育む学び舎である。ここに在籍するほぼ全ての講師と生徒は、日々その魔術の研鑽に励んでいる。それは、尊崇すべき女王陛下に報いるため、この国のために。

 では、魔術師とはなんだろうか。魔術師とは、世の中の法則に反する力を行使するものである。

 彼らは研鑽した秘術を持って、その奇跡を起こす。その詠唱にて、火を出したり、水を出したり、風を起こしたりする。人を癒したり、剣をつくったり、城を浮かせたりもできる。

 

 それらは、人の深層意識を変革し、それに対応する世界法則に介入することで発動される。したがって、魔術には無限の可能性が内包されていると考え、国家がその研究を支援している。アルザーノ帝国はその典型的な例ともいえよう。また、その研究には多大なる資金が捻出されたといい、この国の財政を圧迫する要因でもあったりする。

 だが、そのような便利な魔術はごく一部の人にしか扱えない。それらの理由から、魔術師が、魔術を使えない一般市民を蔑むことが往々にして起こる。その際たるものが、この国に古くより根付く天の智慧研究会と呼ばれる組織である。彼らは魔術師による賜杯を至上とし、日々非人道的な研究を繰り返している。

 

 そのような魔術師のあり方に疑問を持った者もいた。

 

 とある有名な魔術師の著書にて、魔術師のことを世で最も傲慢な生物であると表現した。それもそうだろう。彼らは世界が"かくあるべし"と定めた法則に反するような術を行使する。物は手で持ち上げて離すと落ちる、鉄は金にはならない。そのような幼子でもわかるような道理は、彼らには通じない。

 それは、なんと傲慢で愚かしいことなのだろうか。人ならざる神か、あるいは聖者のみしか、奇跡の行使を許されていないのに。彼らは、神の御技ともいうべき奇跡を、いとも簡単に行使できるというのだ。

 

 

 だが、結果として魔術は現実に存在する。

 

 

 魔術とは、その名の通り"魔"の術だ。

 それは、奇跡などという綺麗な術ではない。人が、普通に生きるだけでは必要のない。

 人には過ぎた力だ。それは、人を魔に堕とす術だ。

 そして、これは魔術に運命を狂わせられた、とある人たちの話だ。

 

 ゆえに、これは異端な物語だ。

 

 奇跡を行使するのには代償がいる。聖者は、献身により全てを救うことができたかもしれない。かつて、こことは違う世界では、救世主と呼ばれた聖者が、己の献身をもって全ての原罪を背負ったように。

 だが、彼らは聖者ではなかった。だから、全ては救えなかった。大切な人は亡くなり、自分の故郷は失い、自分の手のひらですくった(救った)ものは何もなかった。

 それでも彼らは魔術師だから、傲慢にもその壮大な理想を夢見る。

 

 未来はいつもその手の中にある。

 だから、自分の手のひらからこぼれ落ちたものを過去という。

 人は、手のひらにある水をこぼさないように道を歩む。しかし、水は絶えずその形を変化させ、少しずつ、だが確実にこぼれ落ちていく。そして、最後に少しだけ残った水が、救いとなるのだ。

 

 夢はいつも目の前にある。

 だから、自分の手のひらが届かないものを理想という。

 人は、届きもしないのに星に手を伸ばす。遠近法より、自分の手のひらに収まったかのように見える星々も、握り締めても何も掴めない。ただ、虚しく空をきる。だから、人は、星をつかむことを諦め、星を見上げてその美しさを讃えるのだ。

 

 とある、正義の味方の話をしよう。

 

 それは、傲慢な魔術師(ヒト)の物語だ。何も取りこぼさないように、空の星を掴むために、足掻き続けた、とある愚者の物語だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プロローグ

 グレンとコスモ時空

 −Saber−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わっ────きゃああああああ──ッ⁉︎」

 

 空から女の子が降ってきた。

 それは、何かの比喩でも暗示でもない。文字通り、空から銀髪の女の子が降ってきたのだ。彼女のクラスメイトが見れば、まるで、女の子のような叫び声をあげているという光景に目を見張るだろう。

 それこそ、彼女にしたくないランキングで堂々と一位を獲得しているという栄光(かなしみ)から抜け出せるかもしれない。ちなみに、このようなことを彼女に言うと、頭上にカミナリが落ちてくること間違いないのでご注意ください。

 空から女の子が落ちてくるということから、今が非常事態が起こっているということは想像に難くない。その銀髪の女の子がすごくモテる、というほど非常事態だと言えばわかりやすいだろうか。

 

 どこかビームらしきものが通り過ぎたのであろう穴から落ちてきた銀髪の女の子は、何かを囁いたかと思うと、ふわり、と身を翻し、何事もなかったかのように地表に着地を決めていた。

 これも、彼女の魔術師としての腕を見込めば当然のことなのだ。その魔術師としての力量はとあるダメ講師(ロクでなし)を凌ぐほどのもので、年の割にかなりの力を有していることは想像に難くないだろう。また、下で怒ったり、ちょっぴりと自分の能力を褒めたり、落ち込んだりと表情豊かなところも年相応らしく、愛嬌がある。……まあ、側から見るとすごく変な人なのだが。

 

 

 

 

「ふん、逃したか」

 

「まーね、流石にお前相手に庇いながら戦闘は難しそうだしな」

 

 魔術学院校舎内にて、二人の男が対峙していた。彼らの間には、少しの親愛もなく、殺伐とした、いっそ殺意が紫電をもって具現しそうなほどの剣呑さで満ちていた。

 一人は、着崩したスーツに痛々しい傷が目立つ男。もう一人は、余裕ありげに立っている男。ちなみに、痛々しい方が講師側で、余裕を持っている方が侵入者側であるのだが、まさか誰も講師が先ほどの銀髪の女の子を蹴り飛ばして落としたとは思うまい。

 

 講師の名を、グレン=レーダスという。実は、彼はこの学院にて畏怖と尊敬を持ってその名を語られている。

 そのロクでなしな性格は天下に並ぶものなし。数多の授業(戦場)にて数々の問題発言(武勇)を打ち立て、もはやその名前は無双にして最強だと清掃員の中で噂になるほどだ。

 最近は金欠に襲われ、そろそろ学院長に抗議に臨もうかと考えていた所である。

 

 侵入者の名を、レイク=フォーエンハイムという。

 彼も、裏世界では、結構知られているのだが、ここでは割愛したい。

 

 

 レイクのあたりに浮遊していた剣が鳴動する。

 その切っ先は一斉にグレンの方を向いた。グレンもおもわずほおをひきつらせる。

 

「で、その剣の魔導器は俺対策か?」

 

「貴様は魔術の起動を封殺する術がある。そうなのだろう?」

 

「あちゃーッ、やっぱりバレてますか」

 

 愚者の世界。

 それが、グレンがこの場でもつ最強の切り札(ジョーカー)だった。その魔術は自分を中心とした一定範囲の魔術講師の一切を完全封殺するというもので、神秘や奇跡を否定するような性質上、初見では絶対的なアドバンテージを得る。

 だが、その最強の防壁にして攻撃手段はもう手が割れてしまった。

 

「あのジンがこうもあっさりとやられるとなってはそれしか考えれん。ならば、最初から術を起動しておけば問題ないことだ……行くぞ」

 

 さあ、準備は整った。

 今からはただ処刑の時間。断頭台へと向かっているグレンにもはやなすすべはない──そう思われた。

 

 

 それはほんの一瞬の間の出来事だった。那由多の果てまで拡張された時間の中で、急速に事態は急変させられていく。

 

 

 ──鈍、という炸裂音が、グレンの頭を掴み、前方に固定させる。

 

「───なっっっっ」

 

     鈍という爆音。

      轟たる爆風。

 前方から襲いかかる圧倒的な大気の奔流に全身が軋みをあげる。

 圧倒的な質量の落下によるエネルギーにより、校舎が絶叫をあげる。

 閃光、爆撃、衝撃───。

 世界が音を忘れ、完全なる無音へと至った。

 

 

 プシューッ、と間抜けな音を立て、ゆっくりと落ちてきた物体の扉が開く。

 

 ミテハイケナイ

 

 視界が紅く染まる。全身が全力で警笛を打ち鳴らす。

 それは、お前に災厄をもたらすものだ。お前の現状を最悪なものへと突き落とす魔性の存在だ。

 

 ミテハイケナイ

 

 さあ、今すぐにその手を左胸に当てて魔術を行使しろ。全てが手遅れになる前に。

 

 ミテハイケナイ

 

 いや、今すぐ後ろを向いて逃走しろ。あいつを見たら、もう欠片ほどしかないお前のアレが消え失ってしまうだろう。

 

 ミテハイケナイ

 

 そして、完全に扉が開く。

 

 みるな、みルナ、、、、ミルナ───!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────ああ。

 それでも、見なくてはならないだろう。

 だって、元よりそれは、永劫不変に定められた因果であるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「説明は不要っ。なぜなら、不時着するときにバッチリ見せてもらいましたから!」

 

 ……

 ……

 ……

 ……運命とやらは全く空気を読む気がないらしい。

 なぜなら、そこにはどう考えてもこの状況に適合しないやつが現れたのだから。

 

 その凛然たる空気は超常のものを思わせる。また、その手に持つ苛烈にして清浄なるその赫燿は、なるほど聖剣という名が相応しい。

 

 ここまでなら良かった。

 だが、その後が問題だらけだった。

 

 金色の髪を後ろで結い上げ、黒い帽子に短パン、青いジャージの上着とマフラーが特徴的な姿。

 胸には堂々たるえっくすの文字が輝いている。

 ここまで伝えただけでも、彼女の不相応さが浮き彫りとなっているだろう。

 そして、そしてなりより───

 

「汝はセイバー、罪ありき!カリバー!」

 

 ───一番の問題は、レイクを見るやいなや、彼を瞬殺してしまったことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女がきてからはもうぐだぐだだった。

 セイバー界の真打、セイバーの中のセイバー、謎のヒロインXですっ、と名乗った直後に、システィーナが登場。何をトチ狂ったか、ナンパだと断定する白猫を撃退するために謎のヒロインX、改めエックスと臨時戦線をくみ、白猫を拘束。しっかりとお話しをして、ようやく一息つけると思ったらエックスの存在を忘れていた。

 今さら何者かを疑うにも、窮地を救ってもらった恩義から強く聞き出せない。彼女から悪意は感じられないことから、最終的に、臨時にルミア救出パーティーを組むことになった。

 

「で、そのルミアとやらはセイバーですか?」

 

「いや、そのセイバーってのが何を表してるのかわからんが多分違うぞ」

 

 ちなみに、承諾する条件として、ルミアがセイバーかどうかを聞かれた。その時の彼女の表情は、真剣そのものであり、まるで抜き身の刀を目の前にした気分になった。

 

 

 白猫は、俺の後ろでエックスと少しでも親交を深めようと懸命に話しかけている。だが白猫は、ルミアとは違い、人と親密になるのがあまり得意ではない。

 

「なら、あの変な乗り物ってなんなの?」

 

「ええ、あれは超銀河を渡る弩級霊装。サーヴァントユニーバースでたまたま中古で格安で売っていたので、ついつい買ってしまった曰く付きの品。──その名も、ドゥ・スタリオンIIです!」

 

「……ごめん、もう一度言ってもらってもいい?」

 

 このようにして、その根からの真面目な性格が災いしているのか、このようなわかりやすいジョークにもそのまま受け取ってしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな彼女らを見ながら、一方でグレンは心の中で舌打ちする。エックスと名乗った少女が言っている固有名称については、ほとんどのところ意味はわかっていない。

 

 だが、サーヴァントという名前だけは別だ。

 

 かつて、セリカの使い魔であるあの青髪の童話作家(キャスター)が言っていたではないか。

 あらゆる願い事を叶えるという聖杯を求めて争う戦争。

 聖杯をめぐり、七騎の英霊が覇権を競う戦争。

 かつて、とある都市に大災害をもたらしたと語られた戦争。

 

 

 ───聖杯戦争

 

 

 それは、魔術師が英霊を召喚し、使い魔(サーヴァント)として使役する儀式。お前はその名前を聞いたことがあるだろうに。




ちゃんとした文章を書けるようになりたかったので、少し勉強してきました。
そのため、長らく更新が止まっていたことをお詫び申し上げます。
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