セイバーウォーズ 〜ロクでなしとのコスモ時空〜   作:アサシンと思ったうぬが不覚よ!

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少し短めです。


行間〜その後〜

「──────」

 

 精神を統一させ、思考を己の中に埋没させる。

 イメージするのは剣。ただひたすらに己の中のそれにへと意識を傾けていく。

 

「《鍛造(フォージ)開始(セット)》」

 

 そう言って男──シロウ=センジ──が一節をつぶやく。

 たった一節。それで目の前に置かれている金属塊が三次元的理解を超えたかたちで理想の設計図が描き出され、あとは機械のように正確に目の前の金属塊を刀へと仕上げていく。それは自身の魔術特性(パーソナリティ)である《剣の鍛錬・鋳造》を固有魔術(オリジナル)レベルまで昇華した魔術である。

 

 それは言ってしまえば理想の設計図がすでに頭の中に入っているという状況に近い。脳裏にはその光景が鮮明に浮き出されていく。

 

 

──それは、赤く紅く燃える己の故郷。

 

 

 操作を間違え、目の前の金属塊が粉々に砕けていく。制御を間違えた魔力が行き場をなくして暴走し、破裂したからだろう。幸い、逃げることに成功し、けがはなくて済んだようだが危うく学院に通えなくなるところだった。

 

「はぁー。やっぱりなかなかうまくいかないな。集中できていないからか?」

 

 その理由は否応なしに自覚せずにいられない。綺羅星のような美しく、気高い金髪の髪。鈴の音色が聞こえてきそうな凛とした佇まい。

 少し言動があれだったりしたが、昨日のあの自己紹介はシロウにとって忘れられない日々だった。

 

 そう、あの日、運命(Fate)に出会った。

 

 その邂逅は当然で、彼らの間に会話の一つもない。だが、シロウは一瞬だけ垣間見た彼女の本質らしきものに憧れ、夢見たのだ。

 

「うん、俺もまだまだだな」

 

 そう言って自嘲する。

 いまならできるとでも思ったのだろうか。そんなはずあるわけないのに。

 

「さて、今日も朝ごはんの準備を始めますか」

 

 この家には一人。両親はすでに亡くなり、その顔すらも思い出すことができない。

 それほど前の出来事だったのか、あるいはその後の人生がそれらを打ち消すくらい壮絶な人生だったのだろうか。

 ……いや、それはあり得ないな。おそらくあの火災によって全ての記憶が文字通り焼き尽くされたのだろう。

 

 

──燃える火の中、ただ一人彷徨う少年

 

 

 幼馴染を探そうとしたけれども、彼女の父親が切られて死んでいた。あの日、手を差し伸べてくれたのは遥か東方の島国から来たという俺の養父だった。

 

 ああ、いけないいけない。そろそろ行かないと遅刻をしてしまう。そそくさと朝食を口の中にかけ入れて、素早く教科書をカバンの中に詰める。

 周りの荷物を確かめる。教科書は完了。

 

 

──行ってきます。ムラマサおじさん

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

「おお、おはよう。もう完全に風邪は治ったみたいだな」

「おはよ、昨日ぶりだねシロウ。休んでた時のノート見る?」

「ああ、おはよう。ガッシュ、セシル。もう完全に元気そのものだ。あとセシルはノート授業前に写させてもらう」

 

 どうぞ、と小柄な体型のセシルがノートを貸してくれる。いつもなら貸す側に回るのに今日はその逆、それはどこかむずかゆい印象を受ける。

 

「そういや、今日も昼食を自分で作ってきたのか?」

「ああ、今日はちょっと多く作りすぎちゃってな。ちょっと食べるのを手伝ってくれないか」

 

「ちょっと待ったー!その話、聞かせてもらいました。余っているのなら是非私に恵んでもらえませんか!」

 

 いきなり、金髪の転校生が割り込んできた。彼女は自己紹介のときのインパクトもあってか転校してから二日目なのにエックスという愛称ですでに親しまれている。

 

「あ、うん。なんなら一緒に食べるか?」

 

「えぇ、是非ともお願いしますとも!さて、今日のおかずはなんなのですか?」

 

「えーと、その前に。カッシュ、セシル。すまない、ちょっと一人増えるが構わないか?」

 

 そう尋ねたが、二人とも少し離れた場所で俺たちのやり取りを呆然と見ていた。カッシュに至っては生暖かい視線で俺のことを見つめている。

 

「ああ、俺にはわかってるぜ。俺ら二人のことは心配いらねぇ。存分と二人で楽しんできてくれや」

 

「うん、あの数多の女子にアピールされても(なび)くことのなかったシロウに春が来るとはね。僕も微力ながらサポートしてあげるよ!」

 

 ぐっ、と親指を立ててサムズアップをするカッシュと胸元で小さな手で拳を握ってファイトというセシル。

 

「え、あーなんか事情があるのか?から俺たち二人で食べることにするよ」

 

「ちなみに私の希望は麺類などを期待しているのですが!」

 

 四人。否、二人とその他野次馬の織りなす騒がしくも輝かしい色彩は、日常という流れの中に消えていった。

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

「ああ、これでよかったのだろうか」

 

「どうしたグレン、朝日を見ながらたそがれるとかまた高度なことをしているなー」

 

 いつのまにか背後に現れていたセリカの方に向かう。にしてもどうしていつも自分の背後から話しかけるのか、ストーカーか?ストーカーなのか?

 

「グレン?また変なこと考えてないだろうな」

 

「い、イエ。滅相もございません」

 

「フン、いつもの行動の賜物(たまもの)だろうな。いつまでもストーカーまがいのことをことをしてるからそうなるんだ!」

 

 そうやっていつのまにかセリカの横に青髪の少年が立っていた。

 

「なんだ、キャスターいたのか。ならちょうどいい、一つ聞きたいことがある」

 

 ここまで言えば目の前の厭世家はすぐにでも答えを導き出せるだろう。

 

「ああ、あの金髪コスモ族のことだろ?もうわかっているんだろう、俺たちと同じサーヴァントだ。しかも俺みたいな本棚の隅にでも放り込んでおくような三流サーヴァントでなくて、極め付きの一流サーヴァントだな」

 

「な、やっぱりそうなのか!けどあいつはお前のように誰かが召喚したわけではなさそうだぞ」

 

 童話作家はハンッと笑ってその先を話す。その仕草は妙に人をイラつかせる効果でもあるらしい。

 

「そもそも、英霊召喚とは抑止力の召喚であり、抑止力とは人類存続を守るもの」

 

「ああ、阿頼耶識のことだな」

 

「そう、我らはそれらを型落ちさせた個人に対する英霊(へいき)だな。まあ、今のところあいつの目的は不明だが」

 

「ふぅーん、ならキャスターも英霊と呼ばれるほどの作家ならなんか書いてくれませんかねー?今月はちょっとセリカとの賭けでスられちまって」

 

「それこそ自業自得だな!いいか。作者にとって本とは魂の切り売りなんだ。そうやすやすと次の作品を書けるか!そもそも今の依頼も終わっていないんだぞ」

 

 そこをなんとか!ともはや恥も外聞も捨てて目の前の童話作家に土下座をして助けを乞う。それは、見よう見まねによっては子どもに必死で土下座をする変態に見えて──

 

「先生、ちょっとここの問題がわからないってシスティが…………えっ?」

 

「ちょっとルミア!それは言わないって約束でしょ…………えっ!」

 

 かちんとやってきた二人の女子生徒の動きが固まる。

 

「《この・何やってるのよ・変態》!!!!」

 

「うわぁ──ッ!誤解だ────ッ!!!!」

 

 そうやって屋上でも騒がしい日々が過ぎ去っていった。




そういえば、この小説を書き始めたきっかけは謎のヒロインXがガチャで10連で出てきたからなんですよね。
もはやこれは天啓が降りたと思い、ノリとかその他各種で書いていた次第です。


ちなみにこれも余談ですが、本作のシロウはどちらかというと村正士郎のそちらより。その中であの運命の夜を表現できたらなと思います。要するにダブル主人公のつもりです。
シロウ&エックスペアとグレン&システィ+セリカ&アンデルセンみたいな。したがって本作ではセリカの設定改変がありえそうです。まあ、まだ予定なので構想を進めていくつもりですが。

次話もどうかお待ちください!
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