GIRLS und PANZER SISTER‘S   作:海野入鹿

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最終章の決勝は聖グロリアーナだと思います。
だったらいいな。


ぐうたら姫 大洗に着艦する

 田尻美沙姫が姉と母の勧めにより、見事茨城県立大洗女子学園に合格し、引っ越しも無事終了してから一週間が経っていた。

 最初両親は美沙姫を寮へ入れようと計画していたのだが、姉の「それではぐうたら癖が治りませんわ」と言う神の一言で通常のワンルームマンションでの一人暮らしとなっている。

 しかし思慮深さでは超高校級のダージリンでさえ、田尻美沙姫と言う少女を見誤っていた。

 彼女のぐうたら癖は八十八ミリ砲クラスの破壊力を持っていたのだ。

 大洗学園艦に来てから一週間、彼女は一歩も自宅から出てはいなかった。

 薄いよれよれのTシャツに、下はパンツ一枚の姿で、ずっとベッドの上でもぞもぞして過ごしていた。

 艶やかなプラチナブロンドの髪は手入れもされずぼさぼさで、食事にいたっては全てシリアル。

 それもミルクなど一切入れずに。

 そんな感じで七日間を過ごし、今日もそんな感じで過ごそうと美沙姫は決めていた。

 今の彼女には全てがどうでもいい事だったから。

 たどり着きたい未来も無く、進みたい道も無い。

 全てを投げ出し諦めてしまっていた若干十五歳の少女に残っていた僅かな光、それは戦車道。

 しかし、この大洗女子学園にはそれすらも無かった。

 だから放棄した。

 全てを。

 考える事さえも。

 少しでも頭を働かせればあの言葉が浮かんでくるから。

 ディンブラと言う名前が。

 だから美沙姫は今日もぐうたら過ごすと決めていた。

 しかし世の中そんなに上手く事は運ばない。

 美沙姫、少し離れてみると大きなエノコロ草に見える彼女が寝返りを打つと、不意に背後から聞きなれた声がした。

 

「起きなさい」

 

 姉の声が聞こえる。

 しかしそんなはずは無い、ここは大洗の学園艦だ。

 聖グロリアーナに居るはずの姉がいる訳が無い。

 美沙姫は、自分自身の心の弱さが聞かせる幻聴だとの考えにたどり着く。

 だが、もう一度あの声が美沙姫に語りかける。

 

「起きなさい」

 

 ああ、此処まで自分の心は弱っていたんだと美沙姫は悲しくなった。

 

「……お姉ちゃん」

 

 美沙姫はポツリと呟く。

 その瞬間、うつぶせで布団にくるまっていた自分の背中に何かが勢いよく乗って来た。

 

「ふぎゃ!」

 

「お姉さま。そう呼ぶように言ったでしょ、美沙姫」

 

 美沙姫はエビに仰け反り自分の背中に乗っている人物を確認する。

 そこには聖グロリアーナの制服を纏った実姉、ダージリンの姿があった。

 

「あら、あなたは大洗女子に入学したものと思っていましたが、入学したのは雑技団でしたのね」

 

 ダージリンは背中から降りようともせず、愉快そうに言葉を投げかけた。

 そしてこう言葉を続ける。

 

「出かけますわよ」

 

「……はい?」

 

「出かけます」

 

「………………いや」

 

「で・か・け・ま・す」

 

「いーや!」

 

「出かけます、美・沙・姫!」

 

 そう言ってダージリンは美沙姫のパンツを思いっきり引っ張った。

 

「いーやー!」

 

 この行動によって美沙姫の同年代の少女達よりも育った臀部と股間にパンツが喰い込んだ。

 美沙姫は悲鳴を上げるが、ダージリンは手を離す気配は無い。

 それどころか、美沙姫の綿の白パンを見つめながら呆れた様な言葉を漏らす。

 

「あら、何この三枚千円の様なショーツは。淑女は下着にも気を配りなさいといつも言っているで、しょ」

 

 弾む様な声と共にダージリンは、さらに下着を引き上げた。

 

「ひゃうん! だ、だって三枚千円だもん! わたし中学生だもん! 巡航戦車に乗ってると、すぐ穴が開くんだもん! マチルダと違うもん! チャーチルじゃ無いもん! クルセイダーだもん! 離してだもん! お姉ちゃんだもん!」

 

 美沙姫は早口で言葉を吐き出す。

 だが、相手はダージリン。

 ちょっとやそっとでは攻め手が緩む事は無かった。

 

「お姉さま。でしょ?」

 

 そう言って掴んだパンツをぐりぐりと揺らす。

 

「あひゃひゃ! 離してダー様!」

 

「ダージリンお姉さま」

 

「離せー! 紅茶格言!」

 

 美沙姫のこの言葉にダージリンの形の良い眉がピクリと跳ねた。

 そして同時に………………あり得ない程の力でパンツを引き上げる。

 美沙姫の股間に食い込むそれは、もはや紐と言える物になっていた。

 

「あーーーーー!」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「うう、ひっく」

 

「何時まで泣いているの」

 

「だって、だって」

 

 ダージリンと美沙姫は、部屋での百合百合なイチャコラを終え商店街へと続く道を歩いていた。

 前を歩くダージリンは部屋と同様に青を基調とした聖グロリアーナの制服を着用しており、後からベソをかきながら付いて行く美沙姫はめでたく入学が決まった大洗女子学園の制服を纏っていた。

 緑をメインカラーとしたセーラー服が大洗女子学園の制服だ。

 しかし、同年代の少女達よりも若干発育が良い美沙姫が着用すると、長く艶やかな金髪と相まって何と言うかコレジャナイ感が微妙に滲んでいた。

 

「もう、いつまで泣いているの。何か買ってあげるから泣きやみなさい」

 

 ダージリンは自分のしでかした事を棚に上げ、うんざりした様な声で美沙姫に語る。

 美沙姫は美沙姫で、何か買ってもらえると言う甘い言葉ですぐに機嫌を良くし欲しい物を声高らかに姉におねだりした。

 

「じゃぁ、キャデラック!」

 

「………………。行きますわよ」

 

 実妹の残念な発言をスルーしてダージリンは優雅に進んで行く。

 無視された形になった美沙姫はとぼとぼと後に着いて行くしかなかった。

 目的地も知らずに。

 キョロキョロと辺りを見回しながらダージリンは歩いて行く。

 部屋を出てからそれなりの時間が経っているのだが、どうやら目的の場所は発見できない様であった。

 どうしようかと思い悩むダージリンの前に、少女が二人こちらに向かって歩いて来るのが見えた。

 一人は、明るいオレンジ色にも見える茶髪をセミロングの長さで整えたふわふわした如何にも女の子が好みそうなワンピースを着た少女。

 もう一人は艶やかな黒髪を腰辺りまで伸ばした凛とした空気を纏ったパンツ姿の少女。

 恐らくはこの学園艦に住んでいる少女達だろうと思い、ダージリンは声をかける事にした。

 

「もし」

 

「わっ!」

 

「はい?」

 

 突然声をかけられた事に茶髪の少女は驚きの声を上げる。

 だが、黒髪の少女は落ち着いていた。

 この反応の差から、話しかけるは黒髪の少女だとダージリンは確信する。

 

「もし。この辺りに美容院は無いかしら?」

 

「「美容院?」」

 

「ええ」

 

 ダージリンの問いかけに二人は同時にオウム返しに言葉を返して来る。

 だがすぐに頭を巡らせ答えを返してくれた。

 

「この辺りには無いとおもうよ」

 

 ダージリンの最初の印象とは違い、答えて来たのは茶髪の少女だった。

 

「そうですわねぇ、美容院はもう少し商業部の方へいきませんとぉ」

 

 黒髪の少女が補足を入れる。

 

「そう」

 

「あ、でもぉ」

 

 黒髪の少女が何かを思い出したように口を開いた。

 

「この道を入って行った辺りに床屋さんがあった様な……」

 

「ああそう言えば」

 

「床屋……。ありがとう御座います。美沙姫、行きますわよ」

 

 もたらされた情報にダージリンは何かを決め、優雅に一礼すると美沙姫を引き連れその場所を目指した。

 二人の姿が視界から消えると茶髪の少女が口を開く。

 

「ねえ華、今の人聖グロリアーナの生徒だよね」

 

「制服から見ますとー。でも一体何用なのでしょうか? もしかして殴り込みとか?」

 

「後の娘がウチの制服着てたから普通に遊びに来たんじゃない」

 

 そう言って笑い合いながら二人は歩きだした。

 




次話では美沙姫、あの床屋へ行きます。
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