この世界で ~白くあり続ける為に~   作:璃鶯

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第12話 ~もう一つの真実~

 

翌日、私達は、ヨルコさんに話を聞く事になったけど、

カインズさんが実際には死んで無いと言う仮説は伏せて貰う事にした。

 

理由は・・・ 特に無い、 唯のカンなんだけどね。

 

そして、キリトとアスナは、ヨルコさんに詳しい事などの話を聞く為別れた。

 

私は、少し別行動。

とりあえず、生命の碑を見て来るか・・・。

 

*―――――――――――――――――――――*

 

始まりの街に転移して、

“蘇生者の間”に向かい・・・

 

「カインズさんの名前って、Kから始まるのか? それともCから?

 

 キリトを介してヨルコさんに聞いて貰おう・・・」

 

少しした後、帰って来たのは、

 

《Kainsさん、だそうだ。》

 

了解・・・

 

K、a、i、n、s、・・・

あった・・・けど・・・

 

「死んでる・・・ね・・。」

 

彼の名前の上には、2本の打ち消し線が引いてあったから・・・

貫通属性ダメージで、サクラの月22日、18時27分。

彼が死んでないって線は外れかな・・・

 

そして、他の気になってる人の名前を見て。

 

さてと・・・次は・・・

 

*―――――――――――――――――――――*

 

「姫様がおねーさんに用事とはなにかナ?」

 

「その、“姫様”って言うの、いい加減やめてよ・・・」

 

次にする事、それは、“鼠”のアルゴへの調査依頼なんだけど。

姫様なんて呼ばれるくらいなら、キリトやアスナみたいに、

“キー坊”とか“アーちゃん”って呼ばれた方がマシだと思う・・・。

“ハーちゃん”は微妙だけどね。

 

「ま、本題に入ると、

 “Kains”ってプレイヤーと、“Caynz”ってプレイヤーの事を調べて欲しい。」

 

「・・・ハ?」

 

ま、音だけ聞いたらそうなるよね・・・

 

「K,a,i,n,sってスペルのカインズさんと、

 C,a,y,n,zってスペルのカインズさんの事。だね、

 

 Kで始まる方の人は、もう亡くなってるけど、無くなった年を。

 Cで始まる人の方は、過去にどっかギルドに入っていたか。」

 

「分かったガ・・・

 あんまり危険な事に突っ込まない方が良いゾ?」

 

「了解! じゃ、宜しくね!」

 

「姫様の頼みなら仕方ないカ・・・」

 

「姫様って言うのはやめて!!」

 

*―――――――――――――――――――――*

 

「それで、聖竜連合のシュミットさんを連れて来た。と」

 

キリトから説明されたのは、

ヨルコさんに、グリムロックさんを知っているか尋ねた所、

昔彼女がいたギルド、“黄金林檎”は、

あるレアアイテムをドロップさせ、

それをギルド内で使うか、売ってコルにするかで割れた、

多数決を取った所、5対3で、売却。

黄金林檎のリーダーは、指輪を売る為、出かけて行った。

しかし、リーダーは戻って来なかった、確認した所、亡くなっていた。

 

グリムロックさんは、そのギルドリーダーの、この世界の旦那さんで、

とても仲が良かったらしい。

 

彼が犯人なら、指輪売却に反対した3人を殺す気なのかもしれない。

反対した3人は、彼女とカインズさん、そして聖竜連合のカインズさん。

 

そして、残りの2人が殺されない為に、彼女は宿屋に預け、

シュミットさんにその話をしに行った所、

彼がヨルコさんに会わせてほしいと言った為、

連れて来た。

 

「ああ、で、今からヨルコさんに会いに行くってトコだ。」

 

「了解。それなら私も付いて行って良い?」

 

「え? ああ、別に構わない・・・人は多い方が良い。」

 

私も護衛の一人になるって事か。

 

そして、ヨルコさんの泊まっている宿屋に着き、2人の対談が始まった・・・

 

*―――――――――――――――――――――*

 

暫く2人の話が続いた後、ヨルコさんが窓辺に腰かけて・・・

 

何かを言おうと口を開いた、けど、その口から声が出る事は無く。

代わりに響いたのは とん、という乾いた音だけで。

 

ヨルコさんが振り向いた時、吹いた風が彼女の髪を長し、

露わになった背に見えた、黒い棒のような物と、それを包む明滅する赤い光。

 

それは、スローイングダガーの柄。刀身は、彼女の体に埋まっている。

そして、彼女の体は、窓の奥に倒れ込み、落ちた。

 

キリトは、彼女の体を掴もうとするけれど、間に合わず。

 

その時、窓の外に見えた、黒いローブを纏った人影。

 

「セツっ!! 乗せて!! 追いかけて!!」

 

そう叫びながら、キリトの隣から外に飛び出る。

私のビルドは7:3で敏速寄り。セツと共に建物の屋根に飛び乗る事は可能。

 

先に建物の上に巨大化して着地しているセツの背に飛び乗ると、

すぐにセツも人影を追って走り出してくれる。

 

しかし、人影の手に光る青い光を放つのは

 

「転移、結晶っ!!」

 

仕方ない・・まだあんまり使える段階じゃないんだけど・・・

私の投擲武器! チャクラムっ!! (命中率70%)

 

命中率が心元無いから、実戦で使うのは先だけど。周りに他の人いないし、仕方ないっ!!

 

で、結果。  

見事外れました。

 

 

70%なのに・・・外れるとは・・・

帰って来たチャクラムを掴みながら、

せめて、転移先でも聞こうと思ったけど、

その瞬間。彼の声は鳴り響いた鐘の音に打ち消され、音がやんだ時には転移が終わってた。

 

*―――――――――――――――――――――*

 

帰りは、道を歩いて宿屋に向かった、

先ほどの窓の下に、スローイングダガーが落ちているので、拾った。

 

だけど、それだけしか落ちてない・・・

カインズさんの時と同じ。他の物は何も落としてない。

 

はぁ、何なのさ・・・

 

そして、部屋に入ると、キリトとアスナに剣を向けられ、

ついでに、

 

「バカっ!!」

 

とアスナから。

 

「無茶するなっ!!」

 

とキリトから。

 

怒られた・・・

 

カインズさんは、頭を抱えて震えている。

そりゃそうか・・・さっきの話で、幽霊とかって出てたし。

 

「ごめんって・・・でも、アスナはともかく、キリトの場合、私が行かなかったら

 キリトが追いかけてたと思うけど?」

 

「うっ・・・」

 

「はぁ、2人とも余計な事言い合わないっ!! 

 それで、どうだったの?」

 

「転移結晶で逃げられた・・・行先は不明。あと、これが彼女に刺さってたナイフだと思う。」

 

宿屋の中は、システムによって保護されている。危険は無いと思った。

だけど、相手は圏内を無効化して見せた相手だと、どうして気づかなかったんだ・・・

 

キリトが、怒りに任せてか、壁を殴る・・・が、

《Immortal Obiect》と言う紫の字が出るだけ・・・

何で今は働くんだよ・・・。

 

「あのローブはグリセルダの物だ・・・あれは、グリセルダの幽霊だ・・・ 

 俺達全員に復讐に来たんだ・・・

 

 ははっ、幽霊なら、圏内でPKするぐらい楽勝だよな・・・

 

 あははははっ・・・ あっはっははは・・・」

 

「違う・・・・ 幽霊じゃない、幽霊だったら、結晶を使う訳が無いもの。」

 

「ああ、この圏内殺人には、絶対的なシステム的ロジックが存在するはずだ・・・」

 

「うん、“絶対”。 あるはずだよね。」

 

*―――――――――――――――――――――*

 

その後、シュミットさんを聖竜連合まで送り届け、

グリムロックさんを探す為に張り込みをする事に・・・

場所は、彼が昔から大好きだったというNPCレストラン。

 

「でもさぁ、キリト、私達、グリムロックさんの顔知らないよね?」

 

「ああ、だから、ハク。似たような背格好の人見つけたら教えてくれ。」

 

「それ教えたらどうするの?」

 

「無言でデュエル申請する。」

 

「「はぁ!?」」

 

確かに、デュエル申請すれば、相手の名前を知る事が出来るはず・・・だけど。

それってノーマナー行為も良い所だよね・・・

 

「はぁ、キリトは・・・ま、間違えてたら一緒に謝るの手伝ってあげるよ。」

 

「あははは・・・ そりゃどうも。 と言う訳で、ハクはしっかり見張ってろよ!」

 

「りょーかいっ!」

 

*―――――――――――――――――――――*

 

張り込みを初めて数分後。

 

「腹減った・・・」

 

は?

 

なんだ、キリトか・・・

 

「「はい。  ・・・?」」

 

見ると、アスナも私と同じように何かの包みを差し出してて・・・

 

キリトは、私とアスナの2つの包みを、交互に見てて・・・

 

「えっと、2つとも貰って良いのか?」

 

「い、良いんじゃない・・・? ね、アスナ?」

 

「え、ダメよっ!! 1人一個まで!! ハクのを食べるなら、私の方はハクにあげる!!」

 

「え、ええ!?」

 

「はぁ、じゃあ、キリト、アスナの方貰っておけば?また食べたい時作ってあげるから。

 私のは、アスナ、食べる?」

 

「あ、ええ、じゃあ、貰うわ! 代わりに、ハクには私のもう一個をあげる!」

 

「ありがと・・・ じゃ、いただきます・・・」

 

アスナの包みの中は、野菜や肉などが入ったサンドイッチだった。

私が作ったのは、おにぎりだから、反対だね・・・

 

「うそ・・・ コレ、おにぎり?

 お米や海苔なんて何処で・・・ NPC売りの訳が無いし・・・」

 

「それを言ったら、アスナのこのサンドイッチだって、美味しく作れてると思うよ?

 あ、ちなみに、右の、海苔無しのが塩味、その隣の、魚型に切った海苔が乗ってるのが鮭。

 更にその隣の、梅の花型の海苔が付いてるのが梅干しで、左端が昆布。」

 

「え? これ、アスナの手作りだったのか?」

 

キリト・・・気付けバカ・・・。

 

「ちょっと待ってよ!コレ、本当に塩とお米じゃない!!

 何処で見つけたのよ!! ハクっ!!」

 

「あ、アスナ、少し落ち着いて・・・

 塩は、味覚パラメータを解析して作った。お米は、6層で売ってた・・・」

 

「海苔は!?」

 

「岩場の海岸に生えてるのを、伸ばして乾かして作れる・・・

 その他、鮭は赤身の魚がいたので塩で味付けしたらこうなったし、

 梅干しは梅の実を塩付けにして乾燥、昆布は海の中っ!!

 だから掴んで揺するのやめて!!」

 

「ハク・・・今すぐ塩のレシピとその食材等の詳細や場所を教えなさい・・・」

 

「断るって言ったら?」

 

「私とデュエルしなさい! 私が勝ったら、教えなさい!」

 

アスナ・・・目が怖いよ・・・

でも、アスナとのデュエル・・・ 楽しそうだね。

 

「私が勝ったら? 」

 

「有り得ないわ。でも、もしハクが勝ったら、コレをあげる。どう?」

 

そう言って、アスナが取り出したのは・・・  チャクラム?

 

「ハクが最近チャクラムを上げ始めたのは知っているわ。

 コレは、47層ボスのラストアタックボーナス、“金環ノ輪”

 知り合いの鍛冶師に、魔剣級の承認は貰ってるし、

 欲求筋力値は低め、敏速値にボーナスも付くし、

 何より、命中率30%アップのボーナス付きよ。 どう?」

 

「なっ!?」

 

命中率30%上がれば、100%になるじゃない!!

やけに破格の条件だね・・・そんな武器、売ればかなりのコルになるのに・・・。

 

「良いよ、アスナが其の武器に愛着湧かない内に貰った方が良い?」

 

「言ったわね・・・」

 

「ちょ、ちょっと待て、2人とも!! 

 せめてやるなら、この事件が終わったらにしてくれ!! 」

 

「「・・・了解・・・」」

 

キリトの制止により、勝負は解決後に・・・

金環ノ輪か・・・楽しみだな・・・

 

 

*―――――――――――――――――――――*

その後、暫く張り込みを続けた所、

 

アルゴからメッセージが届いて・・・

 

《From:Kirito》

 調べ終わったゾ

 “Kains”は、去年の4月22日、18時27分に亡くなっている。

 “Caynz”は、昔“黄金林檎”ってギルドにいた事がある。以上ダ。

 料金は今度あった時もらうからナ!    《To:Arugo》

 

予想的中って事だよね・・・

 

なら、全部説明が付く。

あとは、2人に説明しなきゃね・・・

 

「2人とも、もう張り込みの必要無くなったよ。」

 

「「え?」」

 

キリト達に、そのメッセージを見せると。

 

「どう・・・言う事なの?」

 

「そのままの意味だよ、私が生命の碑で見たのは、

 Kで始まるカインズさんが、4月22日18時28分に貫通属性ダメージで亡くなったって事。

 そして、私達が見たカインズさんは、Cではじまるカインズさん。

 ヨルコさん達に騙されちゃったんだよ、私達。

 

 アスナ、ヨルコさんとフレンド登録してあるでしょ?」

 

「え? えぇ・・・  ・・・今、19層のフィールドにいるわ。」

 

「なら、あとは彼女達が何とかするはずだよ・・・

 と言うか、私達に出来る事は無いよ。」

 

「ちょっと待て、ハク、最初から何があったのかを説明しろ!」

 

「了解ー 何処かゆっくり話せる所でも行こうかっ」

 

 

*―――――――――――――――――――――*

 

「で?どういう事なの?」

 

「つまり、最初から圏内殺人なんか起こって無いんだよ。

 最初に、カインズさんが死んだ時、あの時、あの槍が削ってたのは、彼のHPじゃ無く、

 鎧の耐久値を削ってたんだ、

 

 そして、鎧の耐久値が切れる瞬間、彼は転移結晶でテレポートした。

 そうすると、死亡エフェクトによく似た、だけど別のエフェクトが発生する。

 

 ヨルコさんの時、私が追いかけたのは、ローブを着たカインズさん、

 ヨルコさんは、最初からダガーを刺したまま、話をしていて、

 服の耐久値が切れる時、カインズと同じように転移結晶で転移したって事。」

 

「2人とも生きてるって事か?」

 

「最初からそう言ってるでしょ、

 たぶん2人の目的は、シュミットさんに指輪事件の事を聞く為とかだと思うよ。

 

 シュミットさんは、グリセルダさんに謝りに行ったんじゃないかな?

 

 そして、それを聞く為に、ヨルコさんは19層にいるんだろう、

 きっと、其処にはグリセルダさんの墓か何かがあるよ。」

 

「ハク、お前、良くもまぁそんな事に気づいたな・・・

 さてはリアルの探偵か?」

 

「んな訳無いでしょ。学生だよ。・・・(たぶん)普通の・・・

 

 まぁ、それは良いか・・・

 で、さっきも言ったけど、今頃彼らはシュミットさんの話を聞いてると思うから、

 後の判断は彼らに任せて良いと思う・・・」

 

「成程ね・・・」

 

「まんまとヨルコさん達の目論見どうり動かされちゃったな・・・」

 

「ま、嫌な気分じゃないから良いよね・・・」

 

「だな。」

 

「そうだね、 

 ねぇ、 もし君達だったら、超級レアアイテムがドロップした時、何て言ってた?」

 

アスナが、そんな事を聞いてきたけど・・・

 

「そうだなぁ、俺はもともとそう言ったトラブルがあるのが嫌で、

 ギルドとか入って無い所もあるし、SAOに来る前にやってたMMOじゃ、

 レアアイテムの隠匿とかでギルドがギスギスしたし、崩壊まで行った経験も結構あるから・・・」

 

「私は、自分に役に立つ物とか、使える物だったら取って置いて、

 自分にはあんまり使えなくても、周りの友達とかが使う場合は使うか聞いて、

 それでも使えなかったら売る。だしなぁ・・・

 ギルドには入った事無いし、キリトとPT組んでる以上、

 そこまで問題になるような事にはならないと思うよ、

 

 最終的には、ジャンケンで決めた事あるし。」

 

「あぁ、あの時か・・・」

 

「君達はお気楽だねぇ・・・。

 

 うちは、ドロップした人の物、そういうルールにしてるの。

 パーティプレイでランダムドロップしたアイテムは、

 全部それを拾ったラッキーな人の物になる。

 

 だって、SAOはコンバットログが無いから、誰に何がドロップしたとか、全部自己申告じゃない。

 ならもう、隠匿とかのトラブルを避けようと思ったら、そうするしかないわ。

 

 それに・・・」

 

お気楽って、せめて穏やかとか言ってくれても・・・なんて考えてると。

 

「そういうシステムだからこそ、この世界での“結婚”に重みが出るのよ、

 それまでなな隠せた物でも、結婚した途端隠せなくなる。

 逆に言うと、一度でもレアドロップを隠匿した人は、

 もうギルドメンバーの誰とも結婚できない。

 

 “ストレージ共通化”って、凄くプラグマチックなシステムだけど、

 同時にすごくロマンチックだと私は思うわ」

 

ああ、アスナは結婚に憧れてるのか。

アスナは、私と大幅に歳が離れてるって事は無いだろう。

この年頃の女の子は、結婚に憧れる物なのかな・・・。

 

私は、随分前に結婚に夢なんて持たなくなっているからなぁ・・・

“ロマンチック”かぁ・・・

 

 

・・・~もう一つの真実には気付かずに、今はその夢幻を見る~・・・

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