「
「やっぱり嫌か?」
今度、
を討伐する事になり、先ほどその作戦会議が終わった所・・・
「嫌ってだけならそりゃぁ嫌かな・・・やっぱり人だと思うとね・・・
だけど、野放しにしとく訳にもいかないしさぁ、
まぁ、出来る限り殺さずに
これは心からそう思う。
モンスターと同じように殺す事は流石に出来ないし
殺すより監獄に行って欲しい。
「ハクも前衛だったよな?」
キリトの確認して来た事、それは今回の作戦での、立ち位置。
今回の作戦は、ラフ・コフのアジトとなっている洞窟に、
前衛がまず攻め込み、出来る限りラフ・コフのメンバーを無力化・・・
つまり、手足を切り落として縄で縛るなどして行く。
前衛が逃がした人がいたら、後衛が、捕まえる・・・
また、前衛の人でHPが減って来たりした場合、後衛と入れ替わる。
と言う作戦を取る事になった、
そして、私もキリトも、前衛として戦う事になっていた・・・
「うん、2人とも前衛になったねぇ、キリトも頑張ってねっ!」
「ハクもな。」
「りょーかいっ!」
まぁ、この作戦を聞いた時、キリトはともかく私は前衛が確定だと思っていた。
私の武器はリーチがあるし、チャクラムも遠距離武器。
人ごみの中で使った場合討伐メンバーに当たる危機もある。
それに、使い魔達の事もある。
キリカは回復を、敵に隙を見せず回復してくれるし、
セツ、アサギの使える遠距離からの魔法もある。遠距離攻撃は、
後方で使えば見方にも当てる危機のある攻撃だけど、
先頭で使えば先制もできて強力な攻撃となる。
遠距離系の攻撃も出来て、使い魔達も遠距離攻撃が得意。
前衛の、更に先頭となる理由は十分だった。
作戦としては、
とりあえず包囲してる旨を伝え、降伏を要求、
吞まなかった場合、私と使い魔達と他の遠距離攻撃使いで遠距離攻撃をして、
敵の士気とHP自体を減らす。
そして、他の前衛達がHPの減った敵を捕獲。
HPが減っている討伐メンバーには、キリカにヒールを掛けさせる・・・。
と言う物。
キリトは、他の前衛として私達が攻撃した敵を捕獲する役割を受けた。
無事に終われば良いけど・・・
*―――――――――――――――――――――*
さてと・・・討伐本番だねぇ・・・
普段より多くの回復結晶。
取り出しやすい所にいれたポーション類。
リズに研いで貰った“雪月花”に“金環ノ輪”
金環ノ輪が取られた場合も考慮して、予備のチャクラムも幾つか持っている。
投擲も修練したから、もう命中率ボーナスが付かなくても100%当たるし。
白い和服に白髪をパタパタさせるのは、洞窟の中では目立つし邪魔だと言う訳で、
黒い羽織を着て、髪を中にいれた。髪をしまうのは久しぶりだね・・・
キリトは・・・いつも通り・・・じゃないね。
投擲用ピックはいつもより多く持ってたし、ポーチだっていつもより膨らんでる。
装備は普段と同じ真っ黒だから目立たないだろうな・・・
「2人とも、今日は宜しくねっ!」
「アスナか。後衛の指示の方、頑張ってねっ!」
「うんっ!ハクも気を付けてっ! キリト君もね!」
「了解!」
「取って付けたような言い方だな・・・。」
アスナは、後衛の隊長として指示を出す事になっている。
血盟騎士団副団長、人に指示を出す事の的確さは流石と思うし、適任だね。
私も、一応“前衛攻撃部隊隊長”とかになっちゃったけど、先頭だからって理由だけだし、
実質指示を出す事は無いと思う。
そして、血盟騎士団団長“ヒースクリフ”
ユニークスキル“神聖剣”をもっていて、HPがイエローになった事は無いとか・・・
彼は、後衛として入る事になっていた・・・
遂に、その彼の声で洞窟へ向かう事になった。
*―――――――――――――――――――――*
「なっ・・!?」
投降はして来なかったし、彼らは死ぬ事も、殺す事も恐れてはいなかった・・・
だけど、作戦は成功していた。
後衛から、“囲まれた”“嵌められた”などと言う声が聞こえて来るまでは・・。
作戦会議に参加していた人の中に、ラフ・コフのスパイがいたって事。かな・・・。
退路である後方は完全に塞がれて、
前衛は前から、後衛は後ろからの敵の相手で精一杯。
明らかに不利だった・・・
相手の士気は上がる一方、こちらの士気は下がる一方・・・
転移結晶で離脱する人も出てくるかもね・・・
だとしたら、やる事は1つ。目標を達成する事。
彼らのリーダー“PoP”
彼を捕らえれば、他のラフ・コフの士気も大きく低下するはず。
後方から、ポゴリンの砕け散る音が聞こえて来た・・・ラフ・コフの物か、討伐隊の物か・・・
どちらか分からないけど・・・
“殺さなければ殺される”か・・・。
“捕らえなければ殺される”そう思って来たけど・・・捕らえる余裕、あるかなっ?
前衛の人達は、前から迫り来る敵との相手で精一杯。HPがイエローになっている人もいる。
勢力自体は五分五分。
だけど、こちらは後衛の様子も分からず、精神的には不利・・・
退路が無いってのは、結構キツイからね。
「アサギ、氷槍。」
氷槍は、敵の士気を下げると言う点ではかなり効果がある。
だけど、寒さ程度で屈するような人たちでは無いからね・・・
魔法を使うと、疲弊するようで、セツもキリカもアサギも必至だった。
これ以上戦わせたくないな・・・
突っ込むか? 行くしか無いよね!
「前衛に告ぐ、私が突撃、敵の手を落とす。HPがイエローに入った者は回復を、
戦える者は私に続き私が無力化した敵を捕獲して。」
命令なんてしないと思ってたけど、仕方ないかっ!
「りょ、了解っ!」
その声を筆頭に、了解をと言う声が聞こえた。なら、行くか!
“金環ノ輪”は、腰に吊るし、背負った“雪月花”を抜く。
「行くよっ!」
ラフ・コフの人達の前に躍り出て、剣を構えてるその腕を落とす。そして後方に蹴り飛ばす。
時には武器を破壊したりしながら、
ただ敵の剣をかわして腕を落とし、蹴り飛ばす。
その繰り返し。後ろを確認したいけど、そんな余裕無いし、
一度腕を落として蹴った相手は、もう出会って無いから、ちゃんと捕らえてくれてるはず。
キリトも腕を落としたりする側に入ってくれたから、少しは楽になったけどねっ!
かわす、切る、蹴る。それを何度も何度も繰り返しながら進んでく。
途中、HPが残り少なかったのか、手を切った瞬間ポゴリンとなって砕けたプレイヤーもいた。
馬鹿・・・回復位しておいてよ・・・
人を殺す・・・相手のカーソルがオレンジだから、何も変化は無いけど、
相手がグリーンだったら、カーソルはオレンジへと変化し、殺した事で永久に戻らなくなるだろう。
それでも、やめる訳にはいかない。私が引く事は、他の討伐隊の士気にも、命にもかかわるから。
だから、唯ひたすらに、かわし、切り、蹴る。一連の動作。
しかし、それは唐突に終わった。
かわした後、切ろうと振った剣はかわされ、相手の剣がまた此方に振り下ろされる。
咄嗟にそれを避け、その剣の使い手を見る。
黒いポンチョで全身を包み、持つ剣は包丁のような大型のダガー。
「・・・PoP・・・。」
「イッツ・ショウ・タイム 楽しませてくれよ?白姫様よっ!」
「彼方を楽しませる為じゃない。貴方を捕らえる為、だよっ!」
流石に強いね・・・剣は避けられ、合間に繰り出される剣を避ける。
唯ひたすらに、避け合うだけ、
「避けるだけしか出来ないのか? お姫様はっ!」
剣を合わせるのは流石に嫌かなっ!もともと合わせる形状の剣じゃない。
何より・・・
「貴方のその恐怖を与えるだけの剣を、私の剣で受けたくないだけだよっ!」
「姫の剣だって、人を切りながらココまで来たんだろう、
今更何を言う、その剣だって十分恐怖を与える剣だろう?」
「ちg・・・っ!」
横から飛んできた投擲用のダガー・・・避けるとPoPの剣が振り下ろされる。
「2対1・・・ですか・・・?」
ダガーが飛んできた方を見ると、頭陀袋のような黒マスクをした人・・・
「ジョニー・ブラック・・・。」
「白姫様には使い魔とやらがいるんだ、俺とヘッドの2人位、相手にして見せろよっ!」
セツもアサギも限界まで魔法攻撃をしていたせいで、殆ど体力を使い果たし、
今は後方で休んで貰っている。
無理してるのに気が付けなかった私のせいだね。
キリカは、一応ついて来てくれているけど、疲れてるっぽいから、隠蔽で隠れて貰っている。
彼女の隠蔽は高いから、簡単には見つからないはず。
「白姫って名で、呼ばないでよ。あんた達に呼ばれる為に白い衣を着てた訳じゃないの。
それに、あなた達2人位、使い魔の支援無しでも黒鉄宮に放り込んであげる。
良かったね、行先が黒い所で、あなた達、黒好きでしょ?」
ほんとは、麻痺毒付きの剣を全て避けながら、PoPの相手するなんてかなりキツイけど、
ハッタリって大事だよねっ!
「なら、やってみせて貰おうか、白姫様? イッツ・ショウ・タイム!」
「
彼らが英語を使うなら、こっちも対抗してやるよっ!
英語の勉強してて良かったねっ!
「
英語で返されちゃったよ!
「
「
「言われなくてもっ! PoP、貴方 英語上手だね、発音も。」
「貴様もな、“
「変な名前っ、付けないでよっ!」
ちなみに、この間ずっと、PoPの剣とジョニー・ブラックの剣を避け続け、隙を見て反撃・・・
を繰り返していた。
*―――――――――――――――――――――*
それからどれくらい、避けては切るを繰り返しただろうか。
私のHPは一ドットだって減ってはいない。
けど、PoPもジョニー・ブラックのHPも減っていない。
はぁ、いい加減疲れたなぁ・・・
ノーダメージで2人の相手してただけで十分なんじゃないの・・・。
だけど、私が疲れて来る位長い時間戦ってたって事は、そろそろ・・・
「セツ、妖炎!」
「ニャッ!」
ジョニー・ブラックの足元に、火柱が立ち上る。
魔法の連続使用による疲労はそこまで長くは続かない。
形成逆転だねっ!
火柱によって吹っ飛ばされたジョニー・ブラックの元へ近づき、手足を切り落とす。
「キリカ!千年桃の封!」
「・・・了解・・・」
ダメージを与えられず、ただ押さえつけるだけの技。持続時間も5分ほど。
使う事あるのか?と思ってたけど、意外なトコで役に立つのね・・・。
押さえつけられたジョニー・ブラックの元へ、
彼の投げて来ていたダガーを投げつける。
彼は毒使い。自分自身の作った毒で封じられるが良いよ。
予想通り、ダガーが当たった瞬間彼は麻痺となった。
万が一当てられてたら其処で終わってたんだろうな・・・。
セツが妖炎を当ててから、ここまで20秒ほど。
その間、PoPに背中を向けてた訳だけど・・・
彼はセツとアサギの魔法必至に避けていた。でも、魔法の撃ちすぎは良くないねっ!
「セツ、アサギ、後方待機! 私が行く!」
「ニャ!」
「ピュイ!」
じゃ、最後の大詰めと行きますかっ!
「さてと、1人は封じたよ、PoP。次は貴方よ
言いながら、PoPに剣を向ける。
「Wow! 使い魔達は使わないんじゃ無かったのか?」
「嘘はあなた達だけの専売じゃないって事だよ!」
嘘を付くのは良くない事です、嘘を付いてはいけません・・・そう言われて育ったけど。
“嘘も方便”ってね!
「っふ・・・ 白姫、またいつか楽しもう・・・」
「逃がすとでも?」
「逃げさせてもらうぜ・・・。」
そう言って、PoPは
その剣の向かった方向・・・そこにいたのは、黒いコートを着た剣士・・・っ!
「キリトっ!」
「っ!?」
声には気付いてくれたけど、その剣を彼は避ける事はできず。
なっ! 麻痺毒!?
その剣が当たった瞬間、彼のHPバーは黄色い点滅する枠で覆われた。
麻痺を示すアイコンと共に。
同時に彼の体は倒れ込む・・・その隙を、彼が戦っていた相手が逃すはずは無く。
相手の・・・ラフ・コフ幹部の1人、“
彼の持つ剣が、ソードスキルの光を纏った。
チャクラムを構え、投げるのも、
距離を詰めるタイプの技の無い片手用直剣のソードスキルを当てるのも
―――――――――間に合わない―――――――――
大丈夫。
“雪月花”、この剣は、特殊な剣。
片手用直剣でありながら、その形状らしく、レイピアとしてのスキルも発動させられる剣。
レイピアの基本剣技、“リニアー”
基本技でも、敏速値が高ければ高いほど、その剣の速度は上がる。
私の敏速値は、私自信のレベルと、剣や装備のボーナスなどで、
“閃光”と言われるアスナを大きく上回れる。
リニアーは距離を詰める事が出来る。
この、そんなに狭くない距離を、ザザの剣がキリトに当たる前に詰めて、
ザザを弾き飛ばす程度、余裕だねっ!
ザザを弾き飛ばして、ポーチから解毒結晶を取り出し、キリトに使用する。
「ごめんっ! 大丈夫?」
PoPの投擲を防げなかったのは、私の
彼の相手をしていたのは私なのに、剣を投げる隙を与えてしまって、
そのせいでキリトに危機を与えてしまったのだから。
「ああ、平気だ・・・」
一安心だね・・・良かった・・・
「白姫、なんなんだ、今のは。」
「細剣基本スキル、リニアーだよ。この剣は、片手用直剣スキルだけじゃなく、
細剣スキルも使えるからね。
さて、ジョニー・ブラックは黒鉄宮に飛んでもらったし、貴方にも飛んでもらうよ!」
「面白い、剣、だな、だが、黒鉄宮に飛ぶ、前に、お前たちに、死んでもらう。」
「断るねっ!」
「同じく。」
そして、“私とキリトVSザザ”が始まった訳ですけど・・・
訂正、“私とキリトとセツとキリカとアサギVSザザ”ですね。5対1 !
針剣だか何だか知らんけど、使ってきたソードスキルを避けて、
セツに妖炎を使って貰い、吹っ飛ばされてる所を狙って手足を切る。
私達の前じゃ、ザザなんかメじゃないね!しっかり縛り上げて、おしまいっ!
「俺、必要無いんじゃ・・・。」
「キリトがザザの相手しててくれなかったら、私に3対1とかになっちゃったか、
他の討伐メンバーに攻撃したりとかしてたかもしれないじゃん、十分役に立ってるよ!」
「・・・そうなのか?」
私達がPoP、ジョニー・ブラック、ザザの相手をしてたから、
他の前衛メンバーは後衛と一緒に攻めてきたラフ・コフメンバーを粗方捕獲してる。
PoPは、いつの間にかいないから、転移結晶で転移したんだろうな・・・。
はぁ、逃がしちゃった・・・
*―――――――――――――――――――――*
結果として、PoPは逃したものの、
幹部であるザザとジョニー・ブラックを捕らえ、
ラフ・コフメンバーの殆どを捕獲・・・そして殺せた為・・・
目的は達成できたと言う事になった。
しかし、討伐メンバーから、3人の死者が出た結果となってしまった為、
喜ぶ事が出来なかったのが悔いか・・・。
私は、結局ラフ・コフメンバーを計4人、殺していた。
仕方なかった・・・じゃ、済ませられないよね・・・。
*―――――――――――――――――――――*
ココは、第1層、始まりの街、蘇生者の間
はぁ、また来ちゃったな・・・
人の死を見た後は、決まってココにやって来る・・・何時も。
私が殺したプレイヤーの名前は知らないけど、
名前の上に二重線が引かれ、今日の日付が振ってある・・・
その人達が、今日、殺されたメンバーなのだろう・・・。
47層で取って来た花を、生命の碑の前に置いて、帰るとするか・・・。
・・・~その行為は、彼らへの懺悔、意味の無い事だけど。~・・・