黎明の光より   作:砂門

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第二話〜早々登場

 ジークフリートside

 

 

 

 俺たちは、フラウに連れられて街を出た。ここにいる四人とも、人付き合いが悪い方ではない。まず、カルナに関してはまず断らない。断ったら大雨どころか槍が降ってくるだろう。

 

 

ジ「どこへ行く?」

 

フ「まずは、カルナとジークフリートのコスチュームが出来たっていうから、取りに来た」

 

ジ「コスチューム?」

 

フ「いつも同じだろ?」

 

 

 服に対して全くこだわりのない俺は、確かに同じ服を着ている。フレアフルールに来て、初めて貰った報酬で買った三着。それを適当に着回す程度だ。任務で戦闘許可が出たら鎧になるのだから、こだわる必要も無い。しかし、フラウは気を遣って注文してくれていたのだ。その好意には甘える。

 そして、コスチュームを繕ってくれたという店に来た。俺のは、黒と白のコートだった。羽織るだけでいいので楽だ。夏どうするの?とライトから突っ込まれたが、そのときはそのときだ。

 

 

ジ「カルナは?」

 

フ「サンスの人だって言うから」

 

 

試着室のカーテンが開いた。一見すると複雑な模様が描かれたコートのようだ。下はゆったりとした綿のズボン。店員の説明によると、複雑な模様の襟なしコートはクルタというそうだ。そしてズボンはピージャマーというらしい。

 

 

フ「うん、二人ともいいんじゃね?これから基本装備それにしよう」

 

 

カルナ、少しだけ着せられている感が否めない。フラウが良いというのだから良いのだろう。カルナも、フラウが言うから問題ないと言った。この男は基本否定しないが

 

 

ラ 「カルナのお父さんとはちょっと違うのかな」

 

カ「会ったことがないのでな」

 

フ「ねぇのか」

 

 

カルナは死後昇天し、スーリヤと一体化している。一瞬だけ目が合うくらいはしたかもしれないが。

フラウとライトは不思議そうにカルナを見つめた。分からなくもない。父親は太陽神ですとはとてもじゃないが言えない。

 

 

フ「この後はどこか行く予定はあるか?」

 

カ「オレはないが」

 

 

ライトは、ないならないでこのままブラブラしようと提案。俺たちは休日でもないのにゆったりとした時間を過ごした。

ふとカルナが立ち止まった。

 

「お前達」

 

「どうした?」

 

 

黒で塗られた木の壁と朱色の柱というあまり見かけない様式の建物を通り過ぎたとほぼ同時だった

 

 

「鍛冶屋に行ってもいいだろうか。弓を依頼していたのだ」

 

 

この不思議な様式の建物がその鍛冶屋だったのだ。

弓と言われて思い出した。そういえば、『マハーバーラタ』では弓使いだったなと。神でも手に負えないくらい強力だったと聞く。「そうか、ここではもはやセイバーやランサーなどクラスに拘らなくてもいいのだったな」と思いながらカルナに付いて行った。この鍛冶屋の鍛冶師もカルナの友人の一人だそうだ。いつの間にここまで交友を広げていたのか。

 

 

「ヨミ、いるか?」

 

「ん?おぉ、カルナさん。弓出来上がってるよ」

 

 

ヨミ一級鍛冶師。横髪は胸元あたりまで伸ばされ、耳の後ろからは肩のあたりで切りそろえられている。この髪型はいいのか。その髪は黒と赤のグラデーションとなっていた。双眸も血を思わせる。この国に誇る鍛冶師らしい。 どう見ても少年だ。

ヨミは、一瞬カルナの格好を見ると、弓を持って来た。

 

 

「ほぉ、これは」

 

 

緋色の弓だった。弓を彩る黄金色の模様が美しい。何処と無くカルナを思わせる。カルナは少しだけ微笑みながら嬉しそうにその弓を受け取った。その弓の弧を握り、しっくり来る場所を捉えた。

 

 

「ありがとう、ヨミ。一万人抜き以上出来そうだ」

 

「お褒めに預かり光栄だよ」

 

「これは・・・幾らなのだろうか」

 

「カルナさんが思う値段でいい」

 

「では、これで」

 

 

カルナが取り出したのは、任務で手に入れたらしい超希少な純金だった。普通の金とは違うらしい。貰ったヨミが固まった。

 

 

 「えっと・・・いいの?」

 

 「ああ」

 

 

 おそらくだが、カルナなりの信頼の証なのだろう。

 

 

 「で・・・その衣装どうしたの」

 

 「フラウが注文してくれていたらしい。民族衣装のようだな」

 

 「故郷の」

 

 「ああ」

 

 

ヨミは思い出したように顔を上げた

 

 

「オレ、ヨミって言うんだ。よろしくね。大きいお兄さん」

 

・・・大きいお兄さん

フラウとライトがクスクスと笑っている。だって大きいじゃんと告げてきた。このような口調のサーヴァントがいたような気がする。同じ黒陣営に

 

 

「俺はジークフリート」

 

「えぇ!?」

 

 

よろしくと言おうとしたが、ヨミの叫び声に遮られてしまった。

 

 

「ニーベルンゲンの歌に登場する英雄だよね」

 

 

少しだけホッとした。俺の名前は知られていたようだ。これでジークフリートって誰?などと言われれば少しだけ凹む。

 

 

「今度は、俺の剣も頼んでいいだろうか?」

 

「ぜひ、ご贔屓にね」

 

「なあ武器見てもいいか?」

 

「うん、どうぞ」

 

 

壁に飾られている数々の種類の武器がある。型も十種類以上取り扱っているようだ。これを全て作ったのだ。恐ろしい腕だ

フラウは、白銀の刀身を持つ美しい剣を選び、ライトも藍色の槍を選んで買った。カルナほどのものは渡せないよ、と言って報酬を渡した。剣や槍を丁寧に布に巻き、箱に収めると紙を放った。

 

 

「欠損したりしたら無償で修復しますよっていう保証書だよ」

 

 

欠損が出た場合は、鍛冶師の責任だから無償で修復しますよというサービスだそう。カルナがいうには、これまで欠けたことは一度もないらしい。

 

 

「じゃあ、ありがとな」

 

 

俺たちは、ヨミに礼を言うと、鍛冶屋を出た。剣を注文してもいいだろうか、というと二つ返事で快諾してくれた。見た目は少年、人間とは違う気配がした

 

 

 「彼の本名はヨミ・アシュラ。鬼神アシュラの末裔らしい」

 

「鬼神って鬼のことだよね?」

 

「そうだ」

 

 

アシュラという鬼神は、なぜか昔から忌み嫌われ、差別されていたという。

 人懐っこそうな少年だったし、嫌われる要素はなさそうなのだが・・・生まれだけで差別されていたのだろう。しかし、カルナは誰かに対して侮辱したりしないだろうし、差別もしないだろう。そういう意味では、かなり励みになっているのではないだろうか。

 

 

 「優しいのだがな・・・ある組織に対しては殺したいほど憎んでいるらしい」

 

 

 鬼を差別した組織のことだろうか。カルナは、それ以上のことは話さないと言った。人の過去の話を本人の許可もなしに話すことは憚られる。

 

 

「あの少年はつよいのか?」

 

 「ああ、強かった」

 

 「手合せしてみたいものだ」

 

 

 カルナが強いというのだ。とても興味がある。鬼という種族は破壊力に長けているらしい。普通の人間ならば骨が粉々になるほどだという。レベルでいえば俺と匹敵するかもしれないとのことだ

 

 

「その弓、いつ使うの?」

 

 「次の任務のときに使うとしよう。ちなみに、この弓宝具としてはEXランク相当だぞ」

 

 

 俺が固まったことは言うまでもない。どことなく悪戯っぽく微笑むカルナが、フラウとライトを連れて帰ってしまった。俺はなぜ放って行かれたのだろう。

 

 

 

 

 




用語解説
サンス・・・インドのこと

人物解説
ヨミ・アシュラ
鬼神アシュラの末裔でかなり訳ありな少年。カルナのこの世界での武器をほぼ造っている。
ステータスは後ほど


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