なんか変な鎧を身に纏っちゃった。
何よこれ・・・これが私なの?
本当に唐突だった。
胸に聞こえた歌を口ずさむと光に包まれて、
気づけば私の体は灰色の鎧を纏っていた。
やっぱりあのペンダントが原因なのか。
しかし考える間もない。
周囲には相当な数のノイズが私を取り囲んでいる。
ノイズに触れると共々炭素に変わるのは一般常識だ。
ならこの鎧は結局は逃走用ということか。
「・・・」
完全に戸惑って止まない私に一体のノイズが突っ込んできた。
ま、まずッ!回避は間に合わない。
「くそぉおおおおおお!!死ねるか!!!!」
半場自棄になり、ノイズに拳を繰り出す。
でも分かっている。この拳はすり抜けるか炭素になるかのどちらかとは・・・
「!?」
拳はノイズの腹に風穴をあけ、炭素に変えた。
「(え・・・)」
私、ノイズを倒したの・・・?
まさかのこの鎧はノイズに対抗できる力だと言うのか?
考える間もなく二体の
空を飛ぶノイズまでいるの!?
ほどなく鳥型ノイズは羽を折り畳み、突撃体勢を構えた。
いやいや、流石にこれは痛いやつだって!
なにかドカーン!ってあれをかっ飛ばせそうなやつは・・・
っと無意識に背中に手を伸ばす。何か棒がある。
もうバットでもいいから!
棒を抜き、両手で構えるとすぐにただの棒ではないことを教わった。
これバットじゃない。ハンマーだ!!
叫んだ直後、ハンマーは頭部が大型化する。
なるほど、背中にハンマーを小型化して収納していたのか。
さらにこれは驚いたが、ノイズが変色していた。
各自が透明な色からそれぞれ派手な色などに変わっていた。
ずいぶんと叩きやすそうな色に変わってくれた。
お礼参りでもやらなきゃね。
その言葉に反応するが如く鳥型ノイズが落下してきた。
「悪いわね、待たせちゃって。これはそのお礼よッ!!」
飛来してきたノイズを他ノイズに打ち返した。
衝突したノイズは続々と炭素に消えた。
今ので10体。
何体いるかは相変わらず分からないけどその方が面白い。
「全員まとめて!月の果てまで!ぶっ飛ばしてあげる!」
すると胸にまた歌が聞こえる。
・・・なるほど、かなりピーキーな注文だ。
ええ、やってやるわよ。唄いながらね!
「~♪」
ハンマーを地面に叩き付けてその反動で跳び上がる。
だが予想以上に高いッ!
でも、この高さから叩き付ければ!
跳び上がる過程で何かあるか探した結果、
背部と脚部のユニットにアポジモーターを。
腰部後部ユニットにバーニアがあるのを見つけた。
アポジモーターで位置を調整してバーニア一気に!!
バーニアを最大まで使い、ノイズめがけて急降下する。
「これなら・・・どうッ!」
一体のノイズの脳天を砕き、瞬時に炭素になる。
でも、これで終わりじゃない!
勢いを維持したまま地面に叩き付ける。
アスファルトは陥没し、辺りに衝撃波が走る。
そしてノイズは突如地面から這い出た別の衝撃波に
飛ばされ、続々と炭素化していく。
技を付けるならば・・・[
飛び上がったノイズの死傷率は見事に100%
全員地に戻ってこなかった。
さて、これで正面クリア。あとは・・・
反対を振り向くといまだ20体弱のノイズが残存している。
相手に不足なし。
再び唄を口ずさみながらノイズの群れに突撃する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「司令、まだ一部ですが前提の被害状況です。」
「うむ、ご苦労だ緒川。」
ノイズ襲撃から一夜が経った。
住民たちは一時の立ち退きをしており、
いまここにいるのは”特異災害対策機動部”という機密政府である。
彼らはノイズが現れた際の避難誘導。
並び、進路妨害や時間稼ぎ。そして被害処理。
これらのイメージが高く。報道でも彼らのイメージは高い。
だがこれらは一課。
同じく二課は表向きは一課とさほど変わらないが、決定的な違いがある。
それは”シンフィギアシステムの保持”である。
「叔父様。」
凛とした声が司令こと風鳴弦十郎の横耳に入った。
向くと青い髪の女性が歩いてきた
「翼か。被害状況を見てきたのか?」
「はい。防人としてこの有り様は言葉にするのは致しがたいです」
風鳴翼は険しい顔を見せる。彼女はそのシンフォギアシステムの適合者の一人である。
幼き頃よりその身を剣と心得た彼女にこの光景など
親の顔より見慣れた光景である。
「そうか。実は見せたい物がある」
弦十郎は翼を連れ、復興本部から離れた位置に移動した。
翼はそこに着くとまず絶句した。
それは他の場所よりも酷くボロボロでアスファルトの道も
凸凹になっている。
「これは・・・」
「第4号聖遺物を運搬していた車両がLOSTした付近だ。」
辺りをよく見ると車と思われる破片が散らばっている。
ノイズに襲われたのだろう・・・
「翼。このアスファルトの陥没具合をどう見る。」
翼はその陥没部を見る。まず言えるのは・・・
「これはノイズではないと思います。ノイズでもここまでできるタイプはいますが、
今回のノイズ郡の中には
聞いています。・・・!?叔父様、まさか。」
「そのまさかだ。藤尭と友里から4号聖遺物”ミョルニル”のアウフヴァッヘン波形が
検出されたとの連絡を受けている。了子も本物と言っている。」
「そんな・・・では4号聖遺物の行方は・・・」
「ノイズ殲滅後にポッと消えたそうだ。現在監視カメラでも情報を集めては
いるがこんな田舎ではな・・・」
弦次郎は頭をかき、ため息混じりで言った。
すると無線機から連絡が入った。
「ああ俺だ。・・・分かった。今すぐ戻る。翼、本部戻るぞ」
「分かりました。」
翼には強い不信感を抱いていた。
纏った者の思いは一体なんなのか。
その思いが防人として値するものなのか。
悩みながらも弦次郎に連れられ、本部に脚を動かした。
1月。中学3年生には高校への受験が始まる頃合いである。
その中、机合わせに3人で進路の大相談会を行っている女子がいた。
「ねえ未来ー。未来はどこに行くの?」
「私?実は・・・リディアンに行こうかなって思ってる。」
「リディアン?確か女子高の音楽学校だっけ。」
「うん。ピアノの教室に通っていたけど前のノイズの件で下りるそうだから紹介されて。
高いレベルで学べるそうだし学問も十分だそうだよ。」
「音楽かぁ・・・私には向いていないかな・・・」
「余談だけど響。リディアンには翼さんが在籍してるそうだよ。」
「え!?うっそぉ!!」
勢い任せに急に立ち上がった響の絶叫が教室を駆けた。
「ちょっと響うるさい。」
「いやーごめんごめん。翼さんがいるんだ・・・。決めた、私もリディアンに行く!」
「もう、それ翼さんに会いに行くってことでしょ。」
「二人ともリディアンか・・・夢を追いかける者と誰かに会う者って感じかな。」
「あー咲夜ちゃんも酷い。で、で、咲夜ちゃんはどこに行くつもりなの?」
咲夜はちょっと小馬鹿に笑って「決まってるでしょ。」と言って続けた。
「私も”私立リディアン音楽院高等科”に行くよ。」
NEXT・・・