基本はアニメと似ている個所もありますが、一部手を加えたり、完全オリジナルのものも含まれます。
~覚醒へのカウントダウン~
故郷の山はここからは見えない。
この寮から見えるのは多数のビルとその向こうの海だけ。
田舎を友人たちと出てこの寮に入ったのもはや一週間前のことだ。
今日から正式に私立リディアン音楽院高等科に入学となる。
この部屋にいるのは私だけだ。
本当は三人部屋を希望していたが抽選に落ちたので二人に配慮し、
引き当てた二人部屋を譲り一人部屋を取った。
正直一人の方が安心できる。
別に避けてるわけではないが、他人にはあまり知られたくないことがある。
鞄に教科書や財布を入れ、引き出しのペンダントを取る。
これが問題である。あの時・・・無意識ではあるが確かにこの力に救われた。
特異災害ノイズから唯一対抗できる戦力として、
国は黙ってはいないだろう。
でも・・・護身用にと鞄に詰める。
時計を見ると8時を指していた。
やば!流石に初日から遅刻は今後の風当たりが痛い。
ハンガーに掛けていた制服に袖を通し、白パンの下にスカートを履く。
朝は時間がないので抜くことにして、部屋に鍵を掛けて階段を下り、外に出た。
「うわぁー!」
こう改めてみると相変わらず都会って感じしかない。
町には人や車が行き来し、この道にも近辺の生徒らしき人たちが
流れている。
私もその流れに乗り、学校に歩き出した。
リディアンは高台に建てられている。
そこから見た光景も圧巻だ。
それが毎日見られると思うと胸の鼓動が速くなる。
しばらく歩いていると親近感しかない後ろ姿を二つ見つけた。
全く気付いていない・・・
さて、今日の挨拶は何がいいかなぁ・・?
「おーはーよッ!」
「・・・ヴェッ!?」
大胆にスカートを捲りあげた。
ほほー今日はピンクかー。
「ちょ、ちょと咲夜ちゃん!それは何時もやめてって・・・」
「やーだ。それじゃあ改めておはよう響、未来。」
「おはよう咲夜ちゃん。」
立花響と小日向未来。私と一緒に上京した親友である。
とは言っても私が絡みだしたのは中学からで元の二人の関係は小学校からなので、
大親友というのはちょっと遠慮している。
「未来、響を起こすの大変じゃなかった?」
「大変に決まってるでしょ。今日も全く起きなくて最終手段を使ってようやく起きたもん」
最終兵器・・・容易に想像できる私がなんとなく怖い。
・・・あれ?響は?
「おーい二人共ー。早く来ないと置いて行っちゃうよー。」
え、もう校門前にいる。絶対会話の中で思い出したなこいつ。
「もう、バカ。急ごう」
「そうだね。」
最後の曲がり角を曲がるとついにリディアンがその姿を現した。
思った以上にでっかい・・・
そのスケールに思わず仰け反りそうになった。
そんな私の手に暖かい手が握られた。
響の手だ。やっぱり暖かいな・・・
「みんなで校門を潜ろうよ。」
「いいよ。」
「もちろん。」
響を中心に左に私。右に未来で手を繋いだ。
今日からここで新しい生活が始まる。
その生活には一体何が待っているのだろうか。
そして新しい友達はできるかな。
そんなワクワクとドキドキを持ちながら、リディアンに足を一歩踏み出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「立花さん!これは一体どういうことですか!」
また怒鳴り声が聞こえるよ。職員室前で一緒に待っている未来からも思わずため息が漏れる。
なんで響が怒られていると言われると昼後の授業で遅れた上、猫を連れてきていたからだ。
いくら響の主義とはいえど、加減ができないのは悪い癖だ。
呆れで聞いていた説教も怒鳴り声が減り、
数分後にはなにやら気味の悪い資料を持った響が出てきた。
「お、お疲れ響・・・いきなり反省文?」
「そうだよー!」
新入生反省文第一号おめでとう。というのは流石にやめよう。
「第一同じクラスの子に教科書を貸すのもどうかしてるよ。」
「あはは・・・困っていそうだからつい。」
「それで自分の首を絞めるのもどうかと思うけど。」
響は「いいもん。」と言って教室に向かった。
「あの癖は死んでも直りそうにそうにないね。」
「でもそれが響だよ。
もちろん半分は響のドジで残り半分はお節介だけどね。自業自得よ。」
つい笑いを抑えれずに零れてしまう。
確かにあの頃と見違えるほど変わった。
そいえば今日は翼さんを見かけなかった。
流石は日本を代表するトップアーティスト。在籍しているのは悪魔でも飾りなのか。
・・・響の憧れの人。今何処で何をやっているんだろうか。
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「『自衛隊特異災害対策機動部による避難は完了しており、被害は最小限に抑えられた。』だって。」
「へぇ・・・そうなんだ。(もぐもぐ)」
「ここからそんなには離れていないね。ちょっと不安だね。」
「うん・・・そうだね。(ぽろぽろ)」
・・・なんだこの会話。ってか響はちゃんと噛んで食べなさいよ。行儀の悪いよ。
「・・・今日発売の翼さんのCD、売り切れ続出らしいよ。」
「そりゃ翼さんの―――ッてええ!?それは大変だぁッ!!」
「嘘に決まってるでしょ。噂では初期出荷分は優に100万は超えてるって聞いてるよ。」
「響が朝からCDのことで頭がいっぱいになっていたからちょっと意地悪をしてみただけ。」
「なんだ~初期出荷分の特典は充実度が高いから放課後まで残ってるか今でも不安だよ・・・」
「だからって食事中はしっかりとしないと。ほら、ご飯粒が―――」
こう見ると未来はしっかりしてるよね。絶対将来はいい嫁さんになれる。
それに引き換え・・・未来が頬のご飯粒を取ろうとしたその時。
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「ねえ、風鳴翼よ・・・」
「本当だ。でも芸人オーラが凄くて近寄り難くて・・・」
「孤高の歌姫って感じよね。」
ウソ、翼さん!?声のした方を見ると何時もテレビや雑誌。
CDジャケットで見かける顔と全く同じ人が私の眼中に映っていた。
「(本物の翼さんだぁ・・!)」
我先にと急いで席を立ち、翼さんの元に向かう。
なんだか私と2歳しか違うのに10歳は違うように思うのですけど。
幸い誰も話していなかった。思いっきって喋る。
「ああ―――ッ!ああ、その、えっと・・・あの・・・」
お、落ち着け立花響。私が聞きたいのは・・・あの時のお礼・・・いや、あのことは私から訊かないと・・・
「・・・頬、付いてる。」
「え・・・?」
「響ッ、だからご飯粒が・・・」
「やっちゃったよ・・・思いっきり。」
・・・ウェ・・・?
「ああ・・・あああッ・・・!」
すっかり忘れてたぁ!!
「食事は落ち着いて食べることだ。」
翼さんはそういうと食堂から出て行った。
あはは・・・まさかご飯に足元をすくわれるなんて・・。
「もうダメだ~・・・翼さんに完璧おかしな子だと思われた・・・」
「あながち間違っていないと思うよ。」
「そうそう。それに今に始まったことじゃないし。」
うわぁ~!やっぱり私呪われてるぅッ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夕方。冷蔵庫の中身の在庫が切れたので仕方なく買い足しに行っている。
ルームメイトがいるとさらに食費が上がるのが悩ましいが私にはその要素がない。
つまり好き勝手に買える。でもその方が食費が高くなるってテレビが言ってた。
とりあえずスーパーで4日分の食料を確保した。
あとは・・・夏に備えての私服も買っておきたい。実家から少し持ってきたとはいえど多いにこしたことはない。
電柱に背を持たれて、地図を見ていると不意に右の脇道に目が行った。
一瞬だったが響が見えたような気が・・・
疲れているんだろうな・・・服は今日は止めて明日以降にした方が良さそうだ。
袋を持って帰ろうとした時。
「響・・・?」
今度は完全に眼中に入った。
よく見るとその横には女の子がいる。迷子かな?
相変わらず人助けが・・・いや、様子がおかしいぞ。
きょろきょろしているのはともかくなんであんなにも警戒しているんだ。
その答えはすぐに分かった。響が逃げた後にやってきた者が異常だからだ。
やってきたのは・・・ノイズだった。
即座に電柱を隠れる。なんでこんなところにノイズが・・・
というかノイズに出会う確率は東京都民が一生の内に通り魔事件にあうよりも低い確率と聞く。
つまり私はこれで二回も通り魔に襲われたといっても過言ではないということだ。
確かに夕方にも関わらず不自然なほど静かだったのが頷ける。
実際にも先程から炭素交じりの風が吹いている。
ここはノイズシティですかっての。
でも響と女の子が不安だ。追いかけなきゃ・・・
ノイズ達が過ぎるのを待ち、全速力でノイズを追いかけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はぁはぁ・・・かなり・・・走った・・・
「おねえちゃん、大丈夫?」
「へいき、へっちゃら。大丈夫だからね。」
とは言ってもかなり追い詰められた・・・。ここは工場。その先は海。背水の陣ってこういうことよね。
逃げ場がもうない。ノイズ達は未だ追いかけてきている。
万事休すか・・・ごめんね。
「諦めたらダメッ!!」
不意に声が響いた。この声はまさか―――咲夜ちゃん!?
その予想を裏切らず、突然横から自転車が落ちてきた。それには咲夜ちゃんが乗っていた。
「響、大丈夫?まだ根性で動けるよね。」
「今のところは・・・それにまだなんとか」
「分かった。囮を買うから工場の奥に逃げて。」
囮って・・・咲夜ちゃんだめだよ!そんなことしたら死んじゃうよ!
「大丈夫。私には・・・歌があるから。」
ポケットから赤いペンダントを取り出した。
なんだろう・・・私はこのペンダントを知っている。
「あと・・・えっと、君の名前は?」
「愛だよ!おねえちゃん。」
「そっか、いい名前だね。響も聞いて。これから見る光景は他言。誰にも言わないで。」
・・・本気なんだ。私たちのために・・・でも愛ちゃんだけは守らないと・・・
「分かった。屍は拾うよ!」
「・・・骨ならいいね。それじゃあ・・・行くよ!」
「axia Mjollnir to tron~♪」
これって・・・あの時の歌・・・?いや、あの人とは少し違う。
すると咲夜ちゃんの体は光に包まれた。そして金属音が奏でた。
光が消えるとそこには紺色の鎧に身を包んだ咲夜ちゃんが立っていた。
さらにノイズの色が変色していく。
「咲夜ちゃん・・・それは・・・」
「よく分からないの。それに前に唄った時より色も変わってるし。
それよも、さっき言ったことを忘れたの?はやく行って。」
そうだった・・・私がここにても邪魔になる。早く逃げなきゃ。
愛ちゃんを連れて奥に行く。後ろからは重そうな音が絶えず聞こえる。
振り向くな・・・!高く、広い場所に出るとそこから咲夜ちゃんの戦いが見えた。
両手で握る鈍器がノイズを退けている。
・・・あの人と同じだ。私はまたこの光景を見ている。
と不意に轟く音が聞こえた。後ろを振り返るとばかでかいノイズが鎮座していた。
そしてそのノイズは通常サイズのノイズを吐き出した。
マズイ!周りを見るとさらに上に行ける階段を見つけた。
咲夜ちゃんも手話で登れと言っている。
登るしか・・・ない!
愛ちゃんを背負って階段を登る。
高い・・・!幸い大型ノイズからは死角のようで攻撃は飛んでこない。
今の内に登りきれば・・・!
なんとか登り切り、大の字に横になる。
ここならしばらくは安全だ。
「ねえ・・・死んじゃうの・・?」
「大丈夫だよ。お姉ちゃんたちが助けてあげるからね」
とりあえず少し休んでからまた・・・ッ!?
そんな・・・そこにはノイズたちが待ち構えていた。待ち伏せ・・・ッ。
下には別のノイズが待ち構えている。
「うわーん!」
恐怖のあまり、愛ちゃんが泣きだた。
それでも感情を変えずに迫りくるノイズたち。
「(咲夜ちゃんに頼ってばかりじゃダメだ・・・私に出来ることが・・・出来ることがきっとあるはずだ)」
あの人は私に「生きるのを諦めるな」と言った。そう、私たちはまだ生きている。だから・・・!
「生きるのを諦めないで!!」
「Balwisyall nescell gungnir tron」
「現在の状況は?」
「プラント一帯に大型ノイズを始めとした大規模のノイズの反応を探知しています。
また、4号聖遺物ミョルニルのアウフバッヘン波形も感知。」
「4号聖遺物が状況しているのか。顔の特定は?」
「ダメです、付近の監視カメラは機能停止により撮影できません。」
「・・・!?ノイズとは異なる高出力エネルギーを探知!」
「波形の照合・・・まさかこれってアウフバッヘン波形じゃない!?」
「この波形はまさか・・・出ました!」
モニターにはGUNGNIRと映し出された。
「ガングニールだとッ!?」
「!?」
「お、おい翼!」
「確かめに行きます。・・・奏のギアかどうかを!」
続く