戦姫絶唱シンフォギア RELOADED   作:獣護・ジェスタ

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前回のあらすじ

絶体絶命のピンチの中、ガングニールを纏った響は咲夜と共にノイズを退けた。しかし咲夜は人気アーティスト風鳴翼の裏の顔を知り、妬んだ。

その翌日の夜。海岸にて再びノイズに襲われた咲夜はノイズの後ろにいる少女に「眼を潰す。」と言われ・・・


~雑音の星~

「目を潰す。・・・それは私を殺すってことよね。」

 

「お前は運が良いぜ。ノイズ以外の死因にできるからな。

まあ殺したあとはノイズに炭素化させるけど。」

 

 

馬鹿にして・・・とは言っても今はさっさと歌うか歌わないかの決断はしなければならない。

 

 

私の周りにはノイズが取り囲んでいる。

ノイズは眼中に入った人間にすぐさま襲いかかる習性を持つ。

 

 

しかしノイズが一向に襲ってこないのはあの杖にでも操られていると思えれば察しがつく。

どういうメカニズムだか知らないけどとうとうノイズを兵器として操る人が出るなんて・・・

 

 

「ねえ!ノイズなんか操ってどうするつもりよ。」

 

「決まってる!この力で世界を平和にするんだ!」

 

 

・・・呆れた。武力で解決するなら今と全く変わらないじゃない。

 

 

「あなたがどうして世界を平和にしたい理由は私には分からない。

だから・・・私はあなたと話したい。何故そんな強い志を持てるかを。」

 

 

「ッ!知ったことを口にするんじゃねェ!!」

 

 

杖をかざすと緑色のビームを吐いた。

だがそのビームは手前で地面に落ちる。だが落ちたビームの光が消えると、

そこには新たなノイズが立っていた。

 

 

続けて2体のノイズが現れる。

なるほど・・・あの杖はノイズ製造機とも言うべきか。

 

「泣いて謝っても良いんだぜ。面を地面に当てても許す気は無いけどな!

さあ懺悔の時間は終わりだ。地獄の底で閻魔様に会釈してきなッ!!」

 

 

その合図と共にノイズが駆ける。

前は人型(ヒューマノイド)、後ろはカエル型(クロール)、空は鳥型(フライト)

完全に退路を断たれた。人前で歌うのは嫌いだけど・・・それしか道はない!

 

 

「axia Mjollnir to tron~♪」

 

 

あと一歩で触れれたノイズを吹き飛ばし、光に包まれニョルニルを纏った。

そしてその勢いでハンマー振るいノイズを一掃する。

 

 

「私は死なない。簡単にはね。」

「シンフォギア・・・!動きから見て少しは慣れてるな・・・くっ、話と違うぞ・・・!」

 

 

・・・?私の事が分かっている。どこからか情報が漏れていたのか。

 

 

「まあこれぐらいならどうでも良いけどな!むしろお前には良いハンデだ。せっかくだから少し遊んでやるぜ!」

 

 

鞭を地面に当てその反動で空に跳び、上から鞭の雨が降り注ぐ。

それにしてもかなり正確な攻撃だッ!パッと見でこちらの脆い処に当てようとしている。

 

 

「手も足も出ねぇだろ?悪いけど私も実戦には慣れてるからな!」

 

「良い自慢話ね。冥土の旅話には良いぐらいよ。」

 

「そうかよ。なら閻魔様宛のお土産だッ!」

 

 

鞭の攻撃を中断し、左の鞭から光球が形成されつつあった。そして白黒(モノクロ)の光球を打ち出した。この攻撃は殺気しかない!避けようにも弾速が思ったより速く避けたとしても後の爆風で体勢を大きく狂わされる。だったら・・・両手でハンマーの持ち手を握り、向かってくる球に叩き付けたがなんて威力だ・・・!頭は痛々しい金属音を上げ、火花が散る。押し切られる!

 

 

「負けるかァ!!」

 

 

両手に力を込め、ハンマーを力いっぱい押し、ついに打ち返した。別の勢いが加わった球はしばらく飛んだ後に爆散した。だが横では二発目の準備を始めている。打って分かったがさっきのは完全に手加減をしていた。このままでは手加減をしていても次の攻撃は持たない。だったら一か八か・・・

ハンマーを地面に叩き付け、砂地を陥没させた代わりにその勢いでこちらも跳び上がる。

いきなり目の前に現れた私に困惑し、相手は動揺している。今なら!

 

 

「雷を包み込むように・・・!」

 

 

ミョルニルから発した電撃を拳に込めて

ハンマーに伝い流れる。電撃を帯びたハンマーは形成中だった光球を叩き潰し、そのまま少女に直撃する。

命名するなら[Thor・slave(トール・スレイブ)]。

 

 

渾身の一撃をもろ喰らった少女は猛スピードで砂浜に叩き付けられた。

やっば、ちょっとやりすぎたかも・・・

 

 

急いで安否確認をしようと未だ砂煙が舞っている地に降りたその時。

コンマ数秒で回避が遅れていたら唐突に煙を引き裂いて現れた毒々しいリングに首を持って行かれたであろう。

髪に少し掠ったが。

 

 

「危ねぇな・・・。耐電でも受けてなかったら真面目に殺られるところだったぜ。」

 

 

煙の切れ目からほぼ無傷の少女が立っていた。

そんな!これでも私の全力なのに・・・!それを無傷で・・・。

 

 

「これが全力?笑わせるんじゃねえよ!・・・時間を喰いすぎた。これで終わらせてやる。」

 

 

来る!そう身構えた時。世界が私を置いて速くなった。

気づけば少し離れていた場所にいた少女は目の前にいた。その右手を私の腹に置いて。

 

そして時が戻ったその時。腹部に強烈な痛みが伝い体を駆け巡る。

更に時差で後ろに吹き飛ばされる。これは発勁(はっけい)!?音速より速いなんてさっきのはどんな攻撃なのよ!

そう思っていると海に叩き付けられる。

 

 

「寒いか?痛いか?私は・・・こんなことよりももっと嫌な思いをしたんだ!だからこの世界を変える。それが・・・私の意思だ。」

 

「それじゃあ・・・ダメだよ・・・火なんて消せない。」

 

 

しかしこの声は届かず、少女はもういない。

一体・・・この出来事はなんだったのか。ゆっくりとずぶ濡れの鎧を揺らしながら陸に戻る。

陸に戻るとギアが解除され、何時もの制服姿に戻り腕には赤いペンダントが握られていた。

 

 

「狂ってるよ・・・あの子。」

 

 

そう思うと遠目で赤い警光灯が見える。おそらくあの時の花火が原因だろう。それで誰かに通報されたんだ。

響の言う二課が来るのは好ましくない。ここはばれないように静かに帰るに限る。

数分かけて海岸から離脱し、さっきまでいた場所を見ると既に警察を始め、予想通り二課を始めとした政府関係者が其処らに散らばっていた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

あの日から早一か月。

それは立花響が戦士として目覚め、ノイズと戦う道を選択してからの時間である。

 

 

この一か月で一体何度緊急出動(スクランブル)をしただろうか。

時に睡眠中に。時に食事中に。時に授業中に。時に・・・未来の前で。

そもそも原因はこのリディアン一帯のノイズの出現回数が明らかに突出しているからだ。

 

 

一か月で13件のノイズの出現が確認されている。

明らかに異常な数だ。通常ノイズと鉢合う確率は一人の東京都民が一生涯で通り魔に襲われる確率を下回る程だ。

だがその極稀(ごくまれ)な事がこの一か月で数十回起きているのは紛れもない事実だ。

 

 

しかし響の心配事はそれだけではない。

パートナー(風鳴翼)との連携が全くと言って良い程なっていない。

チームなのに連携せず、一方的に翼が蹴散らし、そのおこぼれを響が倒しているといったところだ。

一見それなら多少は連携はしていると思うが全くそうではない。なんにせよ初での共同の戦闘で翼が響に募った怒り(天ノ逆鱗)をぶつけようとしたからだ。

 

 

ただ翼さんと一緒に戦いたい。そう思っているはずなのに本人の態度はまるで敵対。

学校でも避けられている。まるで他人のように。

響と翼はすれ違っている。真実と理想を。

 

 

だがそんな日々を送っている響にとって、今日は楽しみの日である。

今日はこと座流星群のピーク日。響の夢のひとつに未来と咲夜の三人で流星を見ることがある。

その夢が今日叶う・・・

 

 

 

 

 

二課からノイズ出現の電話がその夢を砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ごめん未来・・・急用が出来て。・・・今夜の流星、一緒に見れそうにないかも。」

 

「(ッ・・・!)・・・また、大切なことなの?」

 

「・・・うん。」

 

「分かった。咲夜ちゃんにも知らせるね。鍵は開けておくから、あまり遅くならないでね。」

 

「ありがとう。ごめんね。」

 

 

そうやり取りをして電話を切る。

電話をポケットに入れ、後ろを振り向く。

後ろにある地下鉄の出口から多々のノイズが外に出ようと這い上がってくる。

 

 

お前たちが来なければ!

 

 

「Balwisyall nescell gungnir tron~♪」

 

 

胸の歌を唄い、シンフォギア(ガングニール)を纏う。

ノイズの色が変わったことを確認して交戦(エンゲージ)を開始する。

 

 

「響君。先程小型のノイズ群に紛れて一回り大きな反応のノイズを補足した。

それに共通してノイズの数がエンゲージ前より増加した。おそらく葡萄型(セル)ノイズがいると断定して良い。

まもなく翼も合流する。それまで耐えるだ。・・・くれぐれも深追いはしないでくれ。」

 

「分かっています。」

 

 

そう短く答え、向かってきたノイズを叩く。次いで蹴る。

数が少ないとはいえどなんとかここは全部。でもまだ内部に残っている。

階段を飛び降り、疾走して改札口に止まる。

 

 

いた。

他のノイズに紛れて人際目立つノイズがいる。これが無線にあったセルノイズ。

でも弱々しく見えるし周りのノイズも特にというほどのものではない。

私にだってノイズを倒すぐらいは!

 

 

改札を乗り上げ、そのまま人型ノイズに体当たりを叩き込む。ノイズは柱に叩き付けられて炭素化した。

次いでカエル型に浴びせ蹴りを決める。

その勢いで減らし、セルと数体を残して一掃した。

行ける!そう慢心したその時、セルノイズが動き出した。玉を転がしてきた。

と、3回跳ねた後に大爆発を引き起こした。

 

 

「嘘ォ!?」

 

 

完全にやられた・・・。見えずらいが更に4つの爆弾も転がり、爆発し、その反動で天井が抜け、残骸が私に降り注ぎ積もった。

・・・私は死んでもいい。でも・・・でも!

 

 

「見たかった。」

 

 

瓦礫を吹き飛ばし、前にいたノイズを拳が貫く。

 

 

「流れ星が、見たかった!!」

 

 

ノイズを蹴り飛ばす。

 

 

「未来と咲夜と見たかった!!!」

 

 

ノイズを叩き潰す。

 

 

「ううぅぅぅぅぅぅっぁああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

駅のホームで響に使った爆弾を再生したノイズは足音を察知し、奥に逃げる。

その直後にすれ違いで響が現れる。

 

 

ノイズ(あんた)たちが・・・。」

 

 

その言葉に続き壁を殴る。殴られた壁は小規模で陥没した。

 

 

「誰かの約束を侵して・・・」

 

 

逃げるノイズは響から発する殺気が本来感情のないはずのノイズに恐怖を感じさせたのか再生したばかりの爆弾を落とした。

爆弾は爆発せずに、新たにノイズを生み出した。

しかし響は動ずることなく、ゆっくりと前進する。

 

 

「嘘の無い言葉を・・・争いの無い世界を・・・何でもない日常を・・・剥奪すると、そうするのならッ・・・!!」

 

 

その顔は黒く染まり、不気味に輝く赤い瞳にセルノイズ同様、恐怖を感じたノイズが一歩後退下がると一体のノイズの頭部が吹き飛んだ。

更に横にいたノイズを掴み、まるで紙をビリッ、ビリッと破るかのように引き裂いた。

 

 

「!?」

 

 

ノイズも戸惑いの動きを見せるが覚悟を決めたのか四体が飛びかかる。

しかし一体が突撃体勢のままチョップにより切断される。

臆してノイズは再び様子見になったがそれよりも今度は響が飛びかかった。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

明らかに暴走気味となっている響は再びノイズを引き裂き、残った二体を上から強襲し、地にノイズは顔を叩き付けられる。

そしてグリ、グリとノイズを踏みつぶしていた。

まるで・・・ノイズと人間の関係が入れ替わったような気だ。

 

 

二体のノイズが炭素化するとその視線は再びセルノイズに向けられる。

追いかけようと飛びかかろうとした途端、再び蒲萄の実(爆弾)が転がり、爆発した。 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・はッ!

危なかった。いきなり爆弾が転がってきて咄嗟にガードをしなければ危うく殺られるところだった。

ノイズは・・・いた、ホームから線路に降りた。まさか地下線路に逃げるつもり!?

 

 

「待ちなさい!!」

 

 

しかしノイズはその声に応えず線路に・・・ではなく、天井に爆弾を投げて爆発させていた。

どういうつもりで・・・!天井は崩れ、夜空が隙間から顔を覗かせている。どうやらノイズを相手をしている間に夜になってしまったようだ。・・・流れ星、見たかったな・・・。

一方ノイズはその隙間に向かってアクロバットに天井を登りだした。

 

 

しまった。外に出したら被害が悪化するのは目に見えている。

急いで後を追おうとしたその時。

 

 

刹那。一筋の閃光が夜空に流れる。

 

 

「流れ・・・星・・・?」

 

 

その直後、流れ星から聞き覚えのある声が響き、エネルギー斬が地面に放たれ、次いで爆発音が聞こえた。

急いで登るとそこは公園だった。

その公園には斬撃の跡。そしてその中央で炭素が燃えている。先のノイズだ。

・・・結局私は引き立て役なんですね。そう見つめる。

 

 

そこにはゆっくりと地面に脚を着ける第1号聖遺物(天羽々斬)。翼さんだ。

しかし翼さんは私の方を向かず、後ろを振り向いている。

 

 

翼さんは自らをノイズから人々を護るための剣。防人と言っている。

でも・・翼さんにも護るべき理由があるなら・・・私にだって。私にだって・・・!

 

 

「私だって、護りたいものがあるんです!・・・だから!」

 

「だから?んで、どうするんだよ。一緒に戦ってくださいってか?」

 

 

突然の第三者の声に私も翼さんも固まる。

その声の方向に振り向くと・・・木の陰に誰か隠れている。

 

 

「・・・何者だ!」

 

「あたし様だ。やっと見つけたぜ。ガングニール(融合者1号)

 

 

その返答後にゆっくりと陰から声の主が現れる。

これはまさか・・・シンフォギア。

翼さんの方を見ると、翼さんは完全に固まっていた。その眼は驚愕の色に染まっている。

そして言葉を漏らした。

 

 

失われた完全聖遺物(ネフシュタンの鎧)・・・!」

 

 

それは、翼さんの思い入れの。いやそんなものでは断じてない。かつての相棒(パートナー)を引き裂いた忌々しい名前だった。




予告

突如現れたネフシュタンの鎧に激しく困惑するものの戦う翼。
その最中、ニョルニルまでも現れ、三つ巴の戦闘になってしまう。

次第に追い詰められる翼は覚悟の歌を唄った。それはかつての相棒の背中を追いかけるように。

次回「落涙」

防人の歌は戦場でしかないのか。
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