ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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2日連続更新など誰が想像できただろうか。

前回、プライムスペクターが負けましたが決してインフレの波に飲まれたわけじゃありません。悠に対処する間も与えずに必殺の一撃を食らわせる電撃作戦を仕掛けた曹操の知恵の勝ちです。

それと悠は『英雄とは何なのか』という問いに答えられなかったですが、それに答えるのも英雄集結編のテーマの一つです。

Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター



第114話 「ネクロムスペクター」

霧に飲まれ、転移先で英雄派の刺客たちと交戦したイッセー達グレモリー眷属たちは強いオーラの波動を感知し、

 

崩れ去ったビルの周辺には無造作な瓦礫の山ができており、道路は粉塵で汚れている。

 

「このあたりで悠のオーラを感じたが…」

 

「なにこの跡…凄い戦闘があったようね」

 

イリナの視線の先には崩壊したビルがあった。その先のビルも、またその先のビルも重い鉄球をぶつけられたような穴があけられ、それがいくつものビルを貫通してずっと続いているのだ。

 

そんな奇妙な光景に彼女は困惑するばかりだった。

 

「深海さん、無事でしょうか…」

 

心配そうな声をあげてどこに彼がいるのかときょろきょろ辺りを見渡すロスヴァイセ。彼らが声をあげ、名前を呼んでも悠は姿を現さない。

 

「…きっと無事さ。彼が刺客にやられるような男じゃないのは一番わかってる」

 

イリナと同じく既に制服から黒いピチピチの戦闘服姿に変わったゼノヴィアは気丈にふるまう。内心では一番心配している彼女だが、仲間にその心配を伝播させまいと押し隠していた。

 

「ゼノヴィアさん、イリナさん!」

 

瓦礫の一か所を指さし、アーシアがほかの仲間たちを呼ぶ。何事かとイッセーたちは足を運び、それを見た。

 

「これは…悠のプライムトリガー」

 

アーシアが指さす先、ゼノヴィアが瓦礫の中にうずもれていたものを拾い、被っていた汚れを手で払い取り去る。悠が持っているはずのスペクターの目の紋章が刻まれた、青と金色のデバイスに彼女たちは驚いた。

 

「どうしてここに?」

 

「…まさか、そんな」

 

見つからぬ悠、一方で見つかる彼の持ち物。そんなまさかと最悪の展開すら脳裏によぎり、彼らの胸中の不安はますます強くなっていく。

 

「…イッセー君、ここは先を急いだ方がいいと思う。奴等の実験を止めるのが先決だ」

 

姿を現さぬ仲間の心配を心の隅に追いやり、木場は冷静な提案を持ち掛ける。

 

あくまで彼らがここに来た目的は曹操の実験を止めること。悠と合流して万全の状態で突入するのが理想だが、敵が何をしているかわからない以上は悠長に時間をかけるわけにはいかない。

 

「もしかすると、悠は刺客を倒して先に二条城に向かっただけかもしれん。それなら奴等と既に交戦しているはずだ」

 

「…わかった。そうだよな、あいつがあんな連中にやられるような奴じゃないってのは俺たちが一番よくわかってる」

 

顔を俯かせながらも胸中に渦巻く感情をつぶすように拳を握るイッセー。彼は決意の光を瞳に宿し、顔を上げる。

 

「行こう、二条城へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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悠への心配をさておいて二条城に向かったイッセー達。彼らが巨大な門の前に集うや否や、ゴゴゴと震える振動を立て、ゆっくりと門が開く。まるで城の主が来客を手招くかのように。

 

すでに敵はこちらの侵入に気付いている。いつでも敵襲に対処できるよう警戒心を強めながらイッセーたちは敷地内を進む。昼の散策で二条城を巡った彼らは手間取ることなく、本丸が潜むと刺客から情報を得た本丸御殿へと走る。

 

そして彼らはそれらはレーティングゲームの技術を流用した術により本物と遜色ないレベルで完璧に再現されていた。

 

「奴らはどこだ…?」

 

ゼノヴィアが辺りを見渡す。するとパチパチと乾いた拍手の音が静かな庭園に響いた。

 

「やはり、禁手使いを倒してきたか。俺たちの中では下位から中堅ぐらいのレベルだったんだが…今の君たちの相手足り得ないみたいだ」

 

ゆったりとした足取りで姿を現したのは曹操。彼に続くように建物の陰から数名の構成員たちも現れる。その中にはイッセーたちが渡月橋で交戦したジークの姿もあった。

 

「母上!」

 

そしてその中には九重が探し求めた母親…八坂の姿も。端麗で誘惑的な容姿とは反対に、そのぼんやりとした相貌は何も映していない。

 

「母上、九重はここに居りまする!目を覚ましてくだされ!」

 

ようやく出会えた母に九重は懸命に呼びかける。しかし八坂は無表情を貫くばかりで、彼女の声は母の何の感情もないうつろな瞳に波紋を起こすことすらできなかった。

 

「無駄ですよ、術をかけさせてもらいました故、姫君の声は彼女には届きません。さて…」

 

曹操が槍の石突で地面をたたく。すると八坂の体がぴくんと震え。

 

「う…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

絹が裂けたような悲鳴を上げて体を輝かせる。光は次第に大きくなり、その中からやがて九本の雄々しくも美しい金毛の尾が伸びる。光が止むと、八坂は美女の姿から10mほどはある金色の狐の怪物へと姿を変えていたのだった。

 

「これが九尾の…!」

 

「母上…!」

 

9本の尾をもつ妖怪を束ねし者、九尾の狐は夜空に輝く月めがけて透き通るような遠吠えを上げた。

 

「いやはや、これが九尾の狐の真の姿か。噂に違わぬ美しい金色の毛並みだ」

 

曹操も八坂の真の姿に美しいと惜しみなく賛美の言葉を投げかける。そんな彼にどの口が言うかと九重がにらみつけた。

 

「どうせアザゼルから聞いただろうけど、京都は古き陰陽師たちによって街そのものが巨大な術式とも呼べるべるものになっている。各所のパワースポットには霊力、妖力、魔力が満ち、その力故に様々な異形を引き寄せる」

 

槍の柄で肩を叩く曹操、その所作はもはや癖と呼んでもいいほどに彼にはなじんだ感覚だった。

 

「そしてその力は京都から限りなく遠く限りなく近い次元の狭間に存在するこの疑似空間にも流れ込んでいる。俺たちは京都の力とそれをコントロールする九尾の力を使って、グレートレッドをおびき寄せるのさ」

 

「グレートレッドを!?」

 

ついに明かされた曹操たちの計画、それらを耳にしてイッセー達は驚愕した。それと同時に、彼らの中で完成形の見えない奴らの計画の断片というピースがつながり、完全な形になっていった。

 

「本当なら龍王を数匹拉致したほうがいいだろうけど…深海の底、アザゼル総督の人工神器、所在もあるが非常に強力で相当骨を折る結果になってしまう。まあ幸運にも、この場に龍王と天龍が1匹ずつ来てくれた。おかげで可能性は上がりそうだよ」

 

「グレートレッドをおびき寄せてどうするつもりだ!?あれは無害なドラゴンなんじゃないのか!?」

 

「そうとも、あれはこちらから手を出さなければ無害の存在。だがオーフィスが故郷に帰りたがっていてね、そのためにはあの赤龍神帝が邪魔になるのさ」

 

「あれを殺すって言うのか…?」

 

アザゼル曰く、グレートレッドは戦闘はしないが想定される戦闘力はオーフィスに負けずとも劣らないとされている。それだけの怪物を殺す手段など相当限られる。例え神滅具最強の聖槍といえどそれは不可能だろうとイッセー自身も認識していた。

 

「いやー流石の俺も殺すのは無理かもしれないね。でも生態調査を行うだけでも十分有意義な結果になるとは思うよ。どこの勢力も基本的にあれにはノータッチだからね。例えば『龍喰者《ドラゴン・イーター》』がどれくらい効くのか、とか。まあ今回は実験だ。誰も試したことのない未知を試し、知識に変えていくのも英雄の行いさ」

 

と、曹操は頭を掻きながら苦笑する。

 

「テメエの思惑はよくわかんねえけど…ろくでもないことだってのはよくわかったぜ。グレートレッドは呼ばせない、九尾の狐も解放してもらう!」

 

「主に代わって天誅を下しちゃうわ!」

 

計画を知り、なおさら思い通りにさせるわけにはいかないと戦意を新たにするイッセーは禁手の鎧を纏い、他のメンバーも各々の武器を構え、交戦に備える。

 

「全く、お前らといるととんでもない敵ばかりに会うぜ」

 

その中で一人、シトリー眷属の匙の四肢に黒い蛇が出現ししゅるしゅると巻き付いた。匙は苦しむ様子もなく、ただ眼前の敵を見据える。大蛇の中でも一際大きな体躯を持つ一匹が匙の傍らにとぐろを巻き、鎌首をもたげた。

 

「ヴリトラ、力を貸してくれ。あいつらをぶっ潰すために思う存分暴れてやろうぜ」

 

匙の左目の白目が赤く染まり、蛇のように細い形へと変じる。傍らの大蛇は匙の声に反応して全身に黒炎をともし、チロチロと細い舌を動かす。

 

『わが分身よ…久方ぶりの顕現で我は非常に心地よい。さあ、獲物はどれだ?聖槍、狐…どうせなら眼前の鬱陶しい者ども全てを焼き払ってもいいぞ』

 

黒炎を身にまとう大蛇は地獄の底から響くようなおどろおどろしい声を発した。眼光と声が放つ圧倒的なプレッシャーにイッセーたちは味方ながらもぞくりと背筋が震える。

 

「貴様らの目的がどうであれ、敵であることには変わりない。このエクス・デュランダルで貴様らを断つ」

 

敵を討たんと構えるイッセーたちの前にゼノヴィアが一歩進み出る。

 

彼女が握るデュランダル、それを収める黄金の鞘がカシャカシャと硬い音を立ててスライドする。そして聖剣を天に向けて掲げると剣から勢いよく光の波動が噴水のように噴出して天高く、極太の光の柱が屹立する。

 

デュランダル特有の攻撃的なオーラはかつてのように漏らすことなく、完全にあの光の柱へと収束されていた。

 

「挨拶代わりだ、喰らえ!」

 

叫び、全力で光を発する剣を曹操たちめがけて振り下ろす。ブオンという音ののち、光の大樹が地面にたたきつけられ、巨大な爆発を引き起こした。風情ある庭園の景色も、二条城の先の道路も建物も何もかもを地面に横たわった光の大樹は無に帰す。

 

「おおおお…!!」

 

両腕を前方に交差して、襲い来る爆風にイッセーたちは耐える。目もあけられないくるめく閃光に目を閉じ、ただひたすらに閃光と暴風の嵐を彼らは耐え抜いた。

 

光と風の嵐から一分ほど、ようやく落ち着きイッセーたちは防御の姿勢を解き、目を開く。

 

壊滅。目の前から先の景色が綺麗に開け、数十m先まで細長いクレーターが続いている。それをなしたゼノヴィアは肩で息をし、額から汗を垂らしていた。

 

「ふぅー…辺り一帯が灰になるかもと思って…これでも調整した方だが思った以上に威力が出たな。もっとパワーを出せるとわかっただけでも嬉しいぞ」

 

「いや『騎士』要素どこ行った」

 

イッセーは突っ込まざるを得なかった。スピードが特色の『騎士』である彼女がパワー特化の『戦車』も真っ青な火力を初手からぶっ放しているのだ。

 

「というかそのデュランダルは…」

 

イッセーたちの視線が、先のすさまじい攻撃を放ったデュランダルに集まる。見慣れたデュランダルの青と金の刀身を見慣れぬ鋭利な黄金の鞘が覆っていた。

 

「このデュランダルは教会の錬金術によって6つのエクスカリバーを鞘にしたモノだ」

 

「詳しく説明すると、デュランダルの攻撃的なオーラを漏らさず、デュランダルとエクスカリバーを共鳴させてさらに聖なる力を高めたとてつもない一撃を放つことができるのよ!」

 

「6本のエクスカリバーを?」

 

「フリード以上だね…」

 

鞘を見る木場はどこか複雑な感情を抱いていた。かつて仲間を殺し、敵の得物となり、自分が砕いたエクスカリバーが今こうして仲間の武器になるとは思いもしなかった。この状況に、言葉にしがたい感情が彼の胸中に生まれていた。

 

かつて交戦したフリードは『透明』、『天閃』、『擬態』、『夢幻』の4本のエクスカリバーを統合した聖剣を振るった。彼らが目にしているこの黄金の鞘はそれ以上の数のエクスカリバーの力が備わっているのだ。

 

「エクスデュランダル…この破壊力、気に入ったぞ」

 

どこか恍惚とした眼差しをゼノヴィアは相棒に送った。彼女もやはり一部で脳筋と揶揄されるグレモリー眷属の一員らしい脳筋だとイッセーは思うのだった。

 

「さて、奴らは…」

 

ドゴッとかつて本丸御殿があった場所の土の中から手が突き出る。そこから土をかぶって曹操たちが地中から這い出た。よく見ると彼らの全身を薄い霧が覆っていた。

 

「やはりそう簡単にやられてはくれないか」

 

「開幕からいい攻撃をしてくれるね、実に楽しいよ」

 

服をはたはたさせて茶色い土を落としながら愉快そうに笑う曹操。汚れているだけで、傷という傷は全くない。曹操以外のメンバーも同じだ。

 

「もう君たちは火力だけなら上級悪魔の上の上クラスといってもいい。レーティングゲームに参戦してもすぐに2桁台は確実だね。ホント、シャルバはよくも彼らを侮ったものだよ」

 

「結局彼も自分の地位と血筋に胡坐かく典型的な上級悪魔に過ぎなかったってことさ。おかげでヴァーリにも見放され、旧魔王派は大きく弱体化して今やクルゼレイが裏でこそこそ動くだけのみじめな有り様になってしまった」

 

ジークと曹操は揃って苦笑する。彼らの会話から、シャルバたち旧魔王派が現在はいかに失墜し、嘲りの目に晒されているかが窺い知れる。

 

「ふふっ、いきなり滾って来たところだが実験を始めなければな。ゲオルク、始めてくれ」

 

「了解した」

 

知的な雰囲気漂わせるメガネの男…ゲオルクが九尾のもとへ跳ぶ。そして両手を掲げ、周囲に無数の色とりどりの魔方陣を展開させた。魔方陣に刻まれた複雑な文字が慌ただしく回転し、輝きを発する。

 

「こんなにたくさんの術式を一度に…あの男、霧だけじゃなくて相当な魔法の手練れみたいですね」

 

イッセーたちの中で最も魔法に精通したロスヴァイセはゲオルクの魔法に舌を巻く。彼は渡月橋で神滅具の一つ、『絶霧《ディメンション・ロスト》』を使ってロスヴァイセの魔法攻撃をガードしていた。

 

神器だけでなく魔法にも長けた術者ともなれば相当な脅威だと、魔法に精通しているからこそロスヴァイセは曹操はもちろんだがゲオルクもまた驚異的な存在であると強く認識したのだった。

 

さらに九尾の足元にも大きな魔方陣が出現し、光を放つ。その魔方陣の効果なのか、九尾の狐の目に危険な光が宿り全身の毛を逆立てては、獰猛な咆哮を上げた。

 

「魔方陣と贄の配置は共に良好。あとはグレートレッドが来るかどうか…曹操、悪いが俺はここから離れられそうにない。魔方陣の制御が忙しくて戦うどころじゃなさそうだ」

 

「OK、なら俺たちはそれまで楽しむことにするよ。レオナルドと信長、ほかの構成員たちには外の連合軍の相手に時間稼ぎをしてもらってる以上はそう時間はかけられないが…」

 

悠々と軽い調子でゲオルクと会話を交わす曹操。いよいよ刃を交えようかと、イッセーたちに向き直る。

 

「…そうだ、お前に訊きたいことがあった。悠はどこだ?貴様らの刺客を送ったんだろう?」

 

「ああ、彼か」

 

ゼノヴィアの問いかけに曹操はつと上空を見上げた。

 

「すぐに来るさ、すぐにね」

 

意味深な答えを返した次の瞬間、曹操の傍らに影が差す。影はそのサイズを次第に増していき、やがて彼のそばに黒と緑、青が混じった影が降ってきた。

 

忘れようもないそれのまさかの登場に、イッセーたちは愕然とする。

 

「ネクロム!あいつも英雄派の味方してやがったのか!」

 

黒地に緑のラインが入ったパーカーをまとう戦士。顔面部の中央に緑色の視覚センサーが収められた丸い防護シールドが特徴の彼らの敵が変身した姿。

 

元々曹操たちとは別勢力のはずだが、ここに現れイッセー達の行く手を阻むということはつまり協力関係を結んだのかとイッセーたちの間に戦慄の波が走った。

 

だが一人、木場だけは怪訝そうに眉を上げていた。

 

「待って、奴の姿がいつもと違う」

 

「…確かに深海君の変身した姿と混じったような感じですね」

 

そう、よく見れば彼の体はいつもの白い強化スーツと違い黒に青い心電図のようなラインが入っている。それはまさしく、悠が変身するスペクターのもの。そしてなにより、腰に巻かれたベルトは悠が使うゴーストドライバーになっている。

 

パーカーはネクロムだがそれを着る本体がスペクターといういびつな状態なのだ。だが彼の所作に悠らしさは全くない。

 

あれはアルルなのか、それとも悠なのか。理由はわからないながらもゼノヴィアだけはどっちなのかを確信していた。

 

己の得物よりも鋭いまなざしと、敵意に満ちた声をゼノヴィアは曹操めがけて発す。

 

「貴様、悠に何をした!?」

 

「なに、こちらの話を聞いてくれなかったので彼には我らの操り人形になってもらった。それだけのことだ」

 

造作もないと言わんばかりの口調にゼノヴィアたちは唖然とする。

 

「何だと…!」

 

倒されてしまったかと思いきや、操り人形にされていたなど誰も想像だにしていなかった。同時に大いに戸惑う。模擬戦とは違い命がけで仲間と戦わなければならない状況に平静を保っていられるものなど彼らの中には誰一人としていない。

 

「さて、君はかつての仲間たちと遊んでいくかい?」

 

曹操は気安く傍らのネクロムスペクターの肩を叩く。彼は頷くこともなく、ただ無言で跳躍し、手にしたガンガンハンドをかつての仲間めがけて振り下ろす。

 

強い動揺に襲われたイッセーたちはまだ立ち直れない。だが遠慮なしに襲ってくるネクロムスペクターの前に同じく跳躍し、彼の攻撃を受け止めるものがいた。

 

「!」

 

「ゼノヴィア!」

 

誰よりも早く立ち直ったゼノヴィアが荘厳な装飾が目を引く鞘に収められたエクス・デュランダルで受け止める。ガンガンハンドとエクス・デュランダル、両者の得物は数秒つばぜり合ったのち、互いに弾かれ合う。

 

「ここは私に任せろ」

 

砂煙をあげ着地してデュランダルを構え、ネクロムスペクターと向かい合うゼノヴィアが剣の切っ先を向け、決然と宣言する。

 

「悠は…私が止める!」

 




次回、「お前を止められるのはただ一人」
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