フェニックスボトルがお気に入りの幻徳マジ不死鳥おじさん
Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は……
S.スペクター
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
「ハァ、ハァ、やった……」
神器の新たな力に覚醒し、レイナーレを殴り飛ばした兵藤一誠は疲労のあまりその場にへたりこみかける。が、途中で誰かがその肩を支える。
「お疲れさま、イッセーくん」
木場が優しい笑みを浮かべて、支えてくれた。
「おう、小猫ちゃんは?」
「向こうにいるよ」
木場が地下の祭壇につながる隠し階段に目を向けると、小猫が上がってきた。服はやや汚れているが、目立った傷はない。
「まさか、堕天使を倒しちゃうなんてね」
「あぁ、でもアーシアは……」
レイナーレによって神器『聖母の微笑』を抜かれたアーシアは死んだ。神器所有者は神器を抜かれれば死ぬ。優しく微笑むように眠るアーシアは、二度と目を覚ますことはない。
「俺が…俺がもっと強かったら……」
己の無力を嘆く。レイナーレを倒してもアーシアは帰ってこない。幾千の後悔が心を焼く。
あの時フリードから無理やりにでも引き離していたら、レイナーレに連れ去られた時、レイナーレに勝っていたら。こんな結末にはならなかったかもしれない。
「ぐふっ……!!」
しんみりとした雰囲気を破るように、突如として轟音が聖堂に響いた。
先程自分が殴り飛ばしたレイナーレが壁を破壊しながら吹っ飛ばされてきたのだ。
「なっ、レイナーレ!?なんで……!?」
そして破壊された聖堂の壁の穴からもう一人現れる。全身に青く光るラインが走る、パーカーを着た戦士────
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「……」
殴り飛ばしたレイナーレを追って、月明かりが差し込む聖堂の中にずかずかと踏み込む。
まるで投げ飛ばされたように祭壇に突き刺さった長椅子、頭部を破壊された彫刻はこの聖堂で戦闘が行われたことを語る。
先制攻撃は成功した。向こうは既に消耗している。勝てる確率は一回目の時よりも大きく上がっているだろう。
「…!」
ふとこちらに視線を浴びせる存在に気付く。
別のクラスの木場君、一年の塔城さん、そして片足の太腿に痛々しい傷がある兵藤。
三人ともに驚きの中に微かに警戒の色が混ざった表情をしている。
「あれはたしかあの時の…」
そして長椅子に横たわるあの時会ったシスターさん。寝ているにしては顔に血の気がない。
「…死んでいるのか?」
「……ああ、アーシアは死んだっ…!」
俺の問いに悔しさのにじみ出るような声で答えたのは兵藤だった。
「…そうか、これもお前がやったのか…!」
「ハァ…ぐっ、そうよ!その子の癒しの力が私には必要なのよ!」
決意はさらに固まった。
何としてでも、こいつだけは倒す!
「っ!」
聖堂内を、走る。一瞬の内に堕天使の間近にまで迫り…
「フン!」
「ぎっ…!?」
立ち上がりかけたレイナーレに拳を叩き込む。
よろめき、再び倒れそうになるが…
「ほら立てよ…!」
レイナーレを掴み無理やり立ち上がらせ、腹パンの連打を叩き込む。
「ぐっ…がっ…!」
「オラァ!」
アッパーを叩き込み、レイナーレが宙を舞う。空中に弧を描き落下し、再び地に倒れ伏した。
「ハァ…ハァ…」
後先を考えない全力の攻撃のラッシュに早くから息切れし始める。
まだだ。こんなことで俺の溜めに溜めた怒りは消えやしない。
眼魂を入れ換え、新たなパーカーゴーストが出現する。
ターコイズブルーの袖の無いタイプのパーカーゴースト。
〔カイガン!ツタンカーメン!〕
〔ピラミッドは三角!王家の資格!〕
新たなパーカーゴーストを纏い変身するは、仮面ライダースペクター ツタンカーメン魂。
ターコイズブルーの布地『メジャドコート』は磁力によって全身の動作を高速化し、頭部と胸部の黄金に輝く装甲『サンアメンライト』には特殊粒子がコーティングされている。ヴァリアスバイザーには黒色の二本の鎌の模様『フェイスデュアルサイス』が浮かび上がる。金と青の縞模様の『ネメスフード』は上下エジプトを表す。
「あいつの姿が変わった!?」
「変わるのは俺だけじゃないさ」
「シャー!」
物陰から様子を伺っていた相棒が飛び出す。
ガンガンハンドを召喚すると、その上を相棒が這い、手のひらに当たる部分に至ると短刀のような形状に変形、連結『シェイクハンド』して、鎌モードが完成する。
構え、刹那の溜めの後、走る。
「らぁぁぁぁ!!」
「人間風情がぁぁぁぁ!!」
互いの意地が咆哮となって聖堂内を震わせ、刃がぶつかり合う。
何度か打ち合い、膠着状態に入った。
「ぐぅぅぅ!!」
「フッ、甘いのよ!」
膠着の最中、レイナーレが一瞬槍を握る手を両手から片手に変え、もう片方の手で光の短剣を作りつばぜり合いに注意の向いた俺の胸に突き立てる。凶刃を突き立てられた装甲が火花と光を散らしながらも内にある俺の生身を防御する。
「固い…!!」
「だぁぁぁぁぁぁっ!!」
つばぜり合いと短剣の両方に意識を向けるレイナーレを押し切るのは容易かった。鎌を振り切って槍を飛ばし、鎌を思いきり振り上げ、振り下ろす。黒い羽根が、舞った。
「がっ、ギャアァァァァァァァァァ!!」
片翼を刈られ、想像を絶する痛みにのたうち回り、身をよじる。耳をつんざくような悲鳴が身を駆け回る痛みの程度を語る。
この様子を見るにもう戦えそうにない。
「はぁ…はぁ…勝負あったな……」
仮面の下の額は汗だくで、頭がくらくらする。
あいつがのたうち回っている間、回復に努めるか。
「ハァ…ハァ…」
翼の痛みもある程度落ち着いたのか、絶叫をやめ、肩で息をするレイナーレの首元に鎌の刃をそっと添える。
「最後に言い残すことはあるか」
きっとはたから見る三人には俺の姿が刑の執行を待つ処刑人に見えるだろう。
そうだ、今の俺は罪人を断罪する処刑人。罪人に情けなんていらない。
「ッ!!」
睨み殺さんとばかりに俺を睨んでくる。堕天使の象徴たる黒翼を刈られたことが余程気に触れたのだろう。
が、口角をニヤリと上げ兵藤の方へ突然振り向くと
「イッセーくん助けて!こいつに殺される!!」
「…夕麻ちゃん……!」
兵藤に助けを乞い始めた。
「お願いイッセーくん、本当にあなたを愛しているの!だから一緒にこいつを倒しましょう!」
「っ!お前はどこまで……!」
「私の下僕をたぶらかそうなんて良い度胸ね」
聖堂に第三者の声が響き渡り、この場にいる全員の注目を集める。
「部長!」
この場に現れたのは二人の少女、リアス・グレモリーと姫島先輩。
「ごきげんよう、堕ちた天使さん、私はリアス・グレモリー」
「グレモリー…魔王の一族か!」
グレモリーの名を聞き、忌々しそうに吐き捨てるレイナーレ。
リアス・グレモリーは出し抜けに視線を俺に向けた。
「イッセーを殺したのはレイナーレだったのね、あの時はいきなり攻撃して申し訳なかったわ」
リアス・グレモリーは頭を軽く下げ、謝罪を述べた。
……いきなり謝罪されるとは思わなかった。あの一件でリアス・グレモリーが敵か味方か判断しかねるようになってしまっていた。もうその心配をする必要は無さそうだ。
「イッセーもよくやったわね、その赤い籠手、龍の紋章…成る程、そういうことね」
「?」
グレモリー先輩が兵藤の腕についた赤い籠手を見て何か得心したようだ。
…あれ、あいついつの間にあんなものを着けてたんだ?戦いに夢中で全然気づかなかった。
グレモリー先輩はレイナーレに向き直り、告げる。
「レイナーレ、イッセーの神器は神をも滅ぼす十三ある神器、『神滅具』の一つ、使用者の力を一定時間ごとに倍加させる『赤龍帝の籠手《ブーステッド・ギア》』よ」
「なんですって!?」
「ええ!?これがですか!?」
神をも滅ぼす神器、神滅具か。
お前そんな凄い物騒なものを持ってたのかよ…
言われた本人も驚いている。
「残念だけど、あなたの計画もここまでよ」
グレモリー先輩は相手の詰みを無慈悲に宣言した。
「…ふっ、これで終わったとでも思ったのかしら?私の他にも計画に賛同した堕天使達が」
「彼らならさっき"消した"わ」
「!!」
「ドーナシーク、カラワーナ…二人は冥土の土産にと色んなことを喋ってくれたわ、冥土に行ったのは向こうだったけどね」
グレモリー先輩の言葉に、今度こそレイナーレは絶句した。その証拠にと姫島先輩が羽根を二つ取り出して見せる。
ドーナシークって前に俺が戦った堕天使だよね?そうか、死んだのか…
いい人そうだったんだけどな…
「さて、他に策はあるのかしら?」
「ッ…!!イッセーくん助けて!」
「だそうだが?」
再びレイナーレは兵藤に助けを求める。
曲がりなりにもこいつは兵藤の元カノだ。
殺された兵藤にも色々思うことがあるだろう。
一応の意思確認はしておきたい。
「……もう、限界だ、やってくれ、頼む」
処刑執行のGOサインは出た。
「お前は人の恨みを買いすぎた」
レイナーレの首下から鎌を離し、ガンガンハンドの眼の紋章が描かれた部分であるエネルギー受信装置『エナジーアイクレスト』をドライバーにかざし、エネルギーの送受信『アイコンタクト』が行われる。
〔ダイカイガン!ガンガンミロー!ガンガンミロー!〕
青い霊力を刃が纏い始め、増大する。
「あの世でたっぷり後悔しろ!!」
「ひっ、ヒイッ!イヤァァァァァァ!!」
脇目も振らず逃げ出すが、もう遅い。飛んで逃げようとするが片翼だけでバランスを取れず、すぐに落下した。
「いやだ!私はこの力をアザゼル様とシェムハザ様に…!!」
「ハァッ!!」
鎌を振るい、三角形の霊力が放たれる。
放たれた霊力はレイナーレを追い抜き、ピラミッドの形に変化した。そして…
「あ、か、体が!吸い込まれる!!」
ピラミッドにぽっかりと空いた穴がレイナーレを吸い込み始める。
槍を床に突き刺し耐えようとするが、強烈な吸引力に耐えきれずあえなく吸い込まれてしまった。ピラミッドの中の無窮の闇を漂う。
「…さよならだ」
〔オメガファング!〕
トリガーを引くと同時に、レイナーレもろともピラミッドが爆発した。堕天使の黒羽がこの空間をヒラヒラと舞う。
……終わった。
そう思った瞬間、鎌を握る手の力が一気に抜けた。ガンガンハンドが重力に従い、床に落ちた。
おもむろにドライバーから眼魂を取りだし、変身を解除する。
〔オヤスミー〕
戦士としての姿は消え、生身の俺が姿を現す。
「き、紀伊国!?お前だったのか!!?」
兵藤のひどく驚いた声が聞こえる。
「彼と知り合いなのかい?」
「知り合いもなにも俺と同じクラスの友達だよ!」
「イッセー先輩と友達…」
気の抜けてゆっくりとした足取りでこの場を去ろうとしたとき、
「待ちなさい」
グレモリー先輩に呼び止められた。
「レイナーレの一件を抜きにしても聞きたいことがたくさんあるわ」
「…明日じゃだめですか?どうせ明日学校だし」
気の抜けた声で返答する。戦いが終わってから、やる気というやる気が無くなってしまった。
疲労のせいでもあるんだろうが、全てがどうでもよくなってしまった気がする。
「わかったわ、イッセー」
「は、はい部長!」
背筋を伸ばし、敬礼のポーズをとって反応する。
「明日の放課後、彼を部室に連れて行って頂戴」
「わかりました!!」
俺とは正反対に、はきはきとした声で返事をする。
あいつ、まだ元気なのか…
「さっき言った通り明日の放課後、部室で待ってるわ」
「…ああ」
今度こそ、正面の扉を破壊された聖堂を後にする。
明日の事情説明が終われば、今度こそ俺は……
「紀伊国悠…彼は本当に私たちの希望になりうるのでしょうか」
木の陰に身を潜める誰かはそっと青髪をなで、呟いた。
Q.最後に登場したキャラは誰?
A.この作品のキーパーソンです。今はまだ裏でこそこそしてます。
活動報告でアンケートやってます。
気が向いたら見ていってください。
次回、第一章最終回です。