ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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時系列は修学旅行後です。それと活動報告にパンデモニウム編の裏話を上げたので気になる人はぜひ。

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外伝 「悩める乙女よ、俺に相談するんじゃあない」

ある日の夜。白い月が天高く上り、取るに足らないような小さい星々が空を彩る。

 

気分落ち着く我が家の自室にて俺とゼノヴィアは熱く思いを重ね合った。悪魔の仕事がない日の夜はほぼ決まってこうだ。悪魔の彼女の女体に魅せられ、本能の赴くままに退廃的に行為に励む。

 

あれだけ硬い貞操観念を持ち何度も誘惑に耐えてきたのに、一回しただけで随分と堕ちたものだ。だが彼女以外にこの欲望の矛を向ける気は毛頭ない。俺の思い人はゼノヴィア一人だけだと心に決めた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「疲れた…休憩」

 

一通り行為が終わると汗を拭ってベッドから降り、流れた水分を補給しようとペットボトル飲料をぐびっと飲む。

 

そのまま念のためと机上に置かれたゴムの箱をチェックすると、その中身は全くの空っぽであった。

 

「…ゴムがなくなった」

 

箱をからからと振るが、中身が落ちてくるはずもなく。

 

「そうか」

 

しかしベッドに寝そべったままのゼノヴィアは慌てる様子もなかった。むしろ艶やかな笑みを浮かべて。

 

「せっかくなら、次は生で…」

 

「う……」

 

なんとも甘美で扇情的な誘い文句だろうか。彼女の誘いにくらりとし、ごくりと息をのむ。いっそこのまま彼女の誘いに乗ってしまいたい気分だった。

 

「…いやいや、うっかりデキちゃったらどうするんだよ。仕方ない、俺がコンビニで買ってくるから待ってて」

 

だが俺はどうにか踏みとどまる。いくら好きだからと言ってまだ高校生の彼女にそんなリスクは背負わせられない。

 

ゴムをしなかった結果、大惨事を引き起こしたライダーだっているしな。避妊は本当に大事だ。

 

「む…」

 

後ろから不満の視線を感じるが、これも彼女のためと辛い気持ちを押し殺してさっと着替えると、夜の街に繰り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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夜の街に繰り出すと言っても、近場のコンビニに足を運んだだけだ。

 

売り場にひっそりと並んだゴムをレジに持っていき、店員に見られるのは恥ずかしさ極まりない。もしかすると、店内にたまたま知り合いとばったり遭遇するなんて可能性もある。もしそうなったら次の日からクラスに来るだけでも非常につらくなってしまう。

 

でも俺がやるしかないのだ。彼女にこのような恥ずかしさを味合わせるわけにはいかない。…彼女のことだから全然気にせず買えてしまうかもだが。とはいえやはり、こんなことをさせたくはない。

 

羞恥を押し殺して会計を済ませ、ふうと一息ついて店を出たその時。

 

「あ、そこにいるのは!」

 

「深海じゃないか、夜中にこんなところでどうしたんだ?」

 

ばったり知り合いと出くわしてしまった。駒王学園の制服を着た、二人組の女子。やや緑がかった青髪のクールビューティーと、そんな彼女と比べると背の低い快活なオーラがあるツインテールの女子だ。

 

「いや、たまたま買い物で…そっちこそどうしたんです?」

 

「こっちは生徒会室の菓子が切れたから買い足しに来たんだ」

 

そう、この二人は生徒会ことシトリー眷属の『戦車』、2年の由良さんと匙と同じく『兵士』の1年、仁村さんだ。普段は会話を交わす機会のない二人とこんなところで会うとは。

 

…ん、生徒会?

 

「あ、やべ」

 

思わず心境を口に出してしまう。俺が今買ったばかりのもの、見られたらやばいんじゃね?

 

「やべ?何がやばいんですか?」

 

「ん、コンビニで包装付きの商品?いったい何を買ったんだ?」

 

当然二人は俺の言葉を怪訝に思い、手に下げたビニール袋からうっすらと透ける包装された商品を怪しむ。周りの目を避けようと箱の柄を隠すためにわざわざしてもらった包装がここで仇になる。

 

馬鹿!なぜうっかりやべとか言ってしまったんだ!!もうだめだ、二人に疑われたらもう止められん!

 

「ここで会ったのも何かの縁ですし、ちょっと見せてくださいよ!」

 

ぐいと前に出て仁村さんはビニール袋を俺からひょいととって中身の商品を取り出した。

 

軽く包装を開けて、二人そろって中身を覗くと…。

 

「「「あ」」」

 

綺麗に俺たち三人の声が重なる。

 

あ、終わったわ。はい、俺はもう…お・し・ま・い・DEATH!

 

「こ、これは…」

 

「…やることやってたんだな」

 

それとなく箱をこちらに返す二人はものすごく気まずそうだった。見てはいけないものを見てしまったと言わんばかりに、ここで会ったばかりの時と比べると露骨にテンションが下がっていく。

 

ああ…生徒会にはバレたくなかった。絶対にバレたくないと思っていた厳格な会長さんや副会長さんではなくこの二人だったのは天の情けだろうか。

 

「でも、やっぱりあなたがゼノヴィア先輩とお付き合いしているって噂は本当だったんですね!」

 

大声を出して指さす仁村さん。目がきらきらして見えるのは気のせいか。

 

「だが、生徒会として不純異性交遊は見逃せるものではないな」

 

「うっ…」

 

由良さんの厳しい言葉にのどが詰まる。制服を着ている以上は二人とも生徒会か、それとも悪魔の仕事の真っ最中だろうし駒王学園だと割れてる俺を見逃すなんてことはしないはず。

 

これは万事休すか。後輩と同級生の説教を受けなければならないのだろうかと諦めかけた矢先。

 

「あ、そうだ!」

 

何を思いついたか突然ポンと手を叩く仁村さんは、隣の由良さんにぼそぼそと耳打ちを始める。

 

「…なるほど、それは面白そうだな」

 

ふむふむと聞く由良さんが口元に薄い笑みを浮かべた。なんだなんだ、いったい何が起こるんだ?

 

「頼みがあるんです!ある人の相談に乗ってあげてください!」

 

両の手を合わせて、なんと仁村さんはお願いしてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そんなこんなで翌日の放課後、俺は昨日出会った生徒会の二人に指定された誰もいない空き教室でとある人を待つことになった。

 

なんでも今からくるという人物の恋愛相談に乗ってやるなら、昨日の買い物は見なかったことにするという。後輩に脅される先輩ってどうなんだろう…俺もあの状況で頼みを蹴ることはできなかったし、ここは気合入れて相談に乗るしかないか。

 

誰の相談に乗ればいいかは全く聞かされてないが。

 

「一体誰が来るんだ…」

 

待つこと10分、退屈そうにあくびをしたところで廊下からにぎやかな声が聞こえ始める。

 

「――さん、こっちこっち」

 

「ちょっと、ま、待ちなさい!私はなにもそこまでしてもらわなくても…!」

 

「いいから、早く!」

 

声からして例の二人か。聞こえてくるのは三人分の声、もう一人は誰だ?

 

そしてがらがらと教室のドアが開け放たれ、女子生徒が一人教室内に押し込まれる。

 

ストレートの黒髪にメガネをかけたあの人は確か…。

 

「あっ!」

 

すぐさま戻ろうと振り向く彼女、しかし再びドアはがらがらと閉じられる。放課後の教室で俺と彼女は二人ぼっちになった。

 

「はぁ…一体二人はなにを」

 

ため息をついて、追いやられた室内を見渡すその女子と、偶然俺は目が合う。何気ない立ち振る舞いから厳格さがにじみ出るあの人は。

 

「ふ、副会長さん…」

 

「あなたは…紀伊国悠、ではなく深海悠河でしたか」

 

そう、生徒会副会長にしてシトリー眷属の『女王』、真羅椿姫さんだ。どちらも普段から接点のない思わぬ人物との遭遇に驚いていた。

 

俺を深海呼びしたのでわかると思うが、シトリー眷属も俺の異世界がらみの事情を把握している。グレモリー眷属と同じ学内にいる故、関わるタイミングが多いからだ。個人での付き合いはないに等しかったが。

 

副会長さんは状況が飲み込めたのか諦めたように息をつくと、俺と向かい合うように席に座った。

 

「…まずは、先日の京都での一件、お疲れさまでした」

 

「いえいえ」

 

「匙たちはうまく活躍していましたか?」

 

「匙以外は外の防衛に出てたのでわからないですけど、匙に関してはあいつがいなかったら負けてたってくらいには活躍してくれましたね」

 

「そうですか…同じシトリー眷属として誇らしい限りです」

 

普段から硬い表情をしているイメージしかない彼女の口元がわずかに緩んだ。

 

実際、匙がヴリトラになって九尾を抑えてくれなかったら負けていた。曹操たちに加えて龍王クラスという九尾も相手にするのはまず今の俺たちには無理だ。

 

副会長さんも、彼女なりに匙を心配しているんだな。あいつがシトリー眷属内でしっかり仲間と信頼関係を築いているのが垣間見えた気がする。

 

「…以前、会長から生徒会に入らないかという誘いを受けたという話を聞いたのですが」

 

「ぎくっ」

 

そんな昔のことを言われるとは。あの時は向こうも仕事があるみたいであやふやにできたが…今回はそうはいかないだろう。

 

「あなたは大変仲間思いかつ生真面目で、与えられた役割はしっかり果たす責任感を持っているとのことで是非とも生徒会に欲しい人材でした。悪魔には転生できないとはいえ、悪魔の事情も認識しているとのことですので、なおさら」

 

…面と向き合ってそこまで評価してくれると照れるな。確かに何も知らない一般生徒を入れるよりは事情を把握している俺を入れる方が向こうも気にしなくていい。そういう面でも、俺が魅力的な人材に見えるのか。

 

「…まあ、この時期から入るのはいろいろ厳しいので私からは何も言いません」

 

癖のようにメガネをくいっと上げる副会長さん。流石に学祭も控えているし、今から生徒会の仕事を覚えるのは大変だし向こうも教える余裕もないだろうな。

 

それからも軽く雑談をして、ようやくいきなり教室にぶち込まれた混乱も冷めたところで副会長さんは切り出す。

 

「ところで、あなたは木場きゅ…木場君と親しいですよね?」

 

「え?はい、まあ…」

 

あいつとはまだ一年と付き合いもないのに、もう数年の仲のようにも感じる。何度も共に死線を潜り抜け命を預け合うような経験もすれば当然ともいえるか。

 

ふいに副会長さんは顔を俺に見せまいと俯かせた。

 

「…は、恥ずかしいけど、せっかく留流子と翼紗が場を整えてくれたなら…」

 

何やらぼそぼそ言っているがはっきり聞こえているぞ。

 

すると意を決したように顔を上げ、目をキョロキョロ泳がせてまだ拭えぬ羞恥で唇を震わせながら言った。

 

「ど、どうすれば彼の気を引けるでしょうか」

 

「OH…」

 

今までのイメージから想像もつかない言葉に、言葉が詰まった。

 

なるほど、これは学内において堅物として名高い副会長さんの恋愛相談…。真面目が過ぎて恋愛からは縁遠いと言われる彼女が、まさか学園のプリンスである木場裕斗に恋をしたというのか。

 

「…副会長は木場のことが好きなんですね」

 

ズバリ言ってやると、ますます顔を赤くした。

 

「…い…あ、あの…んんん!!!」

 

荒ぶる恥ずかしさにこらえきれず両手で顔を抑えること数秒、観念したように盛大に息を吐いた。

 

「…ええ、夏のグレモリーとシトリーの一戦で彼に負けて以来、どうしても彼が気になって……どうにも私、前から年下で誠実な男子がタイプみたいで」

 

「へぇー…」

 

あの一戦がきっかけか。しかし、勝負に負けて惚れるとはこれまた変わった恋だ。この学園で木場に興味がある女子は数多く存在すれど、彼に負けて惚れたなんて女子は彼女以外にいないだろう。

 

「…経緯はさておき、確かに今のままあいつに告白してもそれとなく断られるだけですからね。なら、まずはあいつの好感度を上げるところから始めましょうか」

 

「でも、彼の周りにはグレモリー眷属といい女子が多いわ」

 

彼女らしい緩むことなくぴしっと整った姿勢で席に座る副会長さんの面持ちに憂慮の影が差す。

 

確かにあいつは学園の王子様と呼ばれるほどルックスもよく、女子人気も高い。そのうえあいつの部活は俺と兵藤、ギャスパー君以外は全員女子で構成されるオカルト研究部。

 

すでに彼女の一人や二人いてもおかしくないと思うのが当然だ。だがそんなあいつと友情を結び、騒ぐだけの女子より近くであいつを見てきた俺は知っている。

 

「いやいや、あいつらは兵藤に夢中だから無視してもいいです。多分、一般の女子生徒もキャーキャー言ってるだけで実際に関係に持ち込もうとする大胆、勇敢なやつはいないですね。現に、あいつからそういったことがあったって話は全然聞いてないので。つまり、あいつは彼女なしで、あいつと一気に距離を詰めるようなライバルはいない」

 

「!!」

 

副会長さんはがたんと立ち上がって喜びのあまりガッツポーズをしかけるも、冷静であれという理性に止められたか途中で手を止めた。

 

なにこれ、完全にキャラ崩壊してない?俺の中での副会長さんのイメージがどんどん壊れていってるんだけど。

 

「そ、そうですか…!」

 

席に座りなおしてんんと咳払いしてそう言うが、全然顔が歓喜の色を隠せてない。

 

「…で、問題のあいつとお近づきになる方法は…」

 

「……」

 

俺の二の句が何かとごくりと息をのむ副会長さん。恋愛相談に乗るのは初めてだが、意中の相手が知っている人というのもあって、答えはすぐに出た。

 

「まずはあいつと一緒にご飯を食べることからですかね」

 

「ご飯を…?たったそれだけですか?」

 

予想に反して、あっさりとした答えだったのか彼女はきょとんとした。いやいや、ご飯を食べるという行為の大事さをよく理解していないとは。

 

「はい、飲み会、打ち上げ、社会人になっても一緒にご飯を食べて親睦を深める場ってのはあるじゃないですか。一緒にご飯を食べて、同じ時間を二人で共有するんです。もちろん、会話しなきゃだめですよ?じゃないとただ腹を満たすだけになるので」

 

「…はい、続けて」

 

副会長さんはメモを取り出して素早く書き込んだ。メモにペンを走らせるときの目がガチだ。これは下手なことはしゃべれないな。

 

ご飯に関しては我が家がまさにそうだ。悪魔に転生し、ここでの生活を始めて間もないゼノヴィアと俺をより結び付けてくれた時間。料理の味がそのまま会話の種になり、ご飯と共に会話が弾んで楽しい時間になる。そして二人の関係は親密になるのだ。

 

腹を満たし、かつ相手との距離を縮める。まさしく一石二鳥の手を使わないわけがない。

 

「会話は…そうですね、あいつは一人暮らしをしているから料理の話とかどうです?あいつはすごい料理上手だから自分の勉強にもなるし、逆にあいつの好きなものを作って胃袋を掴む作戦にも持ち込めるので」

 

そう、我が家の食卓を支える俺の料理は木場仕込みだ。一人暮らしのころ、料理のできなかった俺はいろいろ教えてもらってものすごく助かった。

 

「おお…!!」

 

「他は…まあその日の出来事だったりで他愛のない雑談をしたり、二人は悪魔だから周りに誰もいないときは悪魔の仕事の話とかでもいいんじゃないですか?あいつはいい奴だからしっかり話を聞いてくれますよ。大事なのは自分に興味を持たせるってところですかね」

 

副会長さんはひたすらにメモにペンを走らせる。とにかく俺の一言一句を聞き逃すまい、書き逃すまいという意思が見える。

 

「…とにかく、焦りは禁物です。強引に行こうとしたら逆にあいつの距離は離れてしまいます。地道に、こつこつと、確かな足取りであいつとの距離を詰めましょう。恋愛は登山と同じです、好感度を稼ぐのは大変だけど、いざゴールインして頂上に上り詰めたとき、そこから見える景色はきっと素晴らしい」

 

「……!!!」

 

思ったことを言っただけなのに、目を限界まで見開く副会長さんは感動すらしていた。まるで神を見るかのような眼差しでこちらを見てくる。

 

…俺、セミナーを開いているつもりはないんだが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから話すこと10分後。

 

「ありがとうございました!」

 

相談を終えた副会長さんは気合の入った感謝の言葉を述べ、綺麗に腰を曲げて頭を下げた。

 

色々俺の知っている木場の情報を提供してあげると、参考になるとしっかりメモに残していた。すごいやる気があるみたいだから近いうちに結果が出るといいな。

 

「ど、どういたしまして…」

 

「大変身になる話を聞かせてもらいました、失礼します!」

 

若干引くくらいの上機嫌で、そのままがらがらとドアを開けると、軽い足取りで教室を後にした。十数分前までは俺一人で静かだった教室に再び静けさが帰ってきた。

 

「…ふぅ」

 

すると再び教室の扉が開けられ、この相談の場を設けた本人である仁村さんと由良さんが入ってきた。

 

「うまくいったみたいっすね!」

 

「あんなに上機嫌な椿姫さんは初めて見たぞ」

 

相談の成功に二人も上機嫌なようだ。俺自身も、人の役に立てて本人が喜んでもらえたなら何よりだ。

 

「ところで約束は…」

 

「もちろん守る。昨日のことは見逃すよ。…まあ、ほどほどにな?」

 

「はい…」

 

今度は二人に見つからないところに買いに行こう。結果的には面白いことになったとはいえ、あんなヒヤッとする一瞬はもう勘弁だ。

 

相談も成功して今日は気分がいい。用事も終わったところで帰宅しようと思った時。

 

「…そうだ、せっかくなら匙の相談にも乗ってやってくれないか?あいつも会長のことでいろいろ悩んでいるみたいだしな」

 

「匙の相談!?」

 

「同じ男同士で通じるものもあるだろうしな」

 

あいつの相談もしないといけないのか!?そりゃ、あいつが兵藤と同じように『王』であり所属する組織のトップである会長さんに恋しているのは知っているが…。

 

「みんなで集まってどうしたのですか?」

 

と、開いたままのドアの間から白髪の女子が現れる。あの人は仁村さんたちと同じくシトリー眷属の『僧侶』、二年の花戒さんだ。

 

「桃!」

 

「ちょうどさっきまで、副会長が深海に恋愛相談に乗ってもらっていたんだ」

 

「恋愛相談を?」

 

彼女の反応を見る限り、この件を知っているのは俺と仁村さん、由良さんと副会長さんだけみたいだ。

 

「そうだ、先輩!私も相談していいですか!?」

 

「え!?」

 

と、いきなり元気よく自分も相談したいと言い出したのは仁村さんだった。

 

「副会長との相談をこっそり聞いてたんですけど、すごいいい感じでアドバイスしてたので!私の話も是非聞いてほしいんです!」

 

「る、留流子が言うなら私も!」

 

さらに花戒さんもやけに慌てた様子で相談希望に加わる。おいおい、あっという間に待ち人三人になってしまったよ。そこまで俺の相談ってよかったのか…?

 

「憐耶にも教えてあげた方がいいか?」

 

「そうっすね、せっかくなら呼びましょう!」

 

さらには自分は加わる気がなさそうだった由良さんが他の生徒会メンバーまで呼び出そうとする。

 

「え、え!?ま、まじかぁ……」

 

元気のいい仁村さんの流れに乗せられるまま、俺は断ることができなかった。

 

こうして、数日に分けて生徒会組の相談は続き、図らずも生徒会の恋愛事情を把握することになるのだった。

 

花戒さんは匙を、匙は会長さんを、『僧侶』の草下さんと副会長さんは木場を。話を聞いているとすごく面白いのだが、同担が同じグループにいて取り合っていると思うと怖いなと思った。

 

仁村さんは元々匙を狙っていたのだが、当の匙が会長さんを狙っているのとここまで脈なしだったことに業を煮やして別の相手を探しているのだという。誰かいい人はいないかという相談だったが、正直一番話に困った。だって周りの男子で木場はマークされてるし、兵藤は手の出しようがない。

 

え、天王寺?確かにあいつはいい奴だけど、上柚木と御影さんがいる。下手すると天王寺が某アニメみたいに刺されかねない。

 

ギャスパー君は…果たして彼女に合うだろうか。とにかく、まずは身近なクラスの男子に興味を持つところから始めようという結論しか出せなかった。むしろ結論を出せた俺をほめてほしいくらいだ。それくらい俺も悩みに悩んだ。

 

それにしても、人の色恋沙汰っていうのは面白い。恋バナは学生の花とも言うが、今回相談に乗った彼女たちの思いの行方がどうなるのか、気になって仕方がない。

 

きっかけはあれだが、普段話さない人とも話せて有意義な時間になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…その後、今回相談に乗った生徒会の女子からはきらきらとした尊敬の目で見られることになった。

 

「…最近、うちのメンバーがやけに上機嫌なのですが何か心当たりはありませんか?」

 

「いえ、何も…」

 

会長さんには絶対に言えない。この現象の原因が、俺がゴムを買い出しに行ったのがばれたところから始まっただなんて。

 




R15の限界を攻める冒頭。もしかするとアウトかもしれん。

先に椿姫の相談をさせて、どれくらいアドバイスできるか確かめてから相談しに行く仁村でした。

さて、次からライオンハート編です。ここまで続いた二次創作ってほぼない上に基本関与できないレーティングゲームが中心の章、本作ではどういうストーリーになるのか。ぜひお楽しみに。







次章予告

「…ヘタレ焼き鳥姫」

新たなライバルの登場に小猫は穏やかではない。

「さあ、その神祖の仮面を渡してもらいましょうか」

アンドロマリウスの亡霊が、旧魔王派に牙を剥く。

「なぜお前がその力を持っている…!?」

白龍皇の前に、ありうべからざる力が舞い降りる。

「お前たちに、男の一騎打ちの邪魔はさせない」

プライドと夢をかけた勝負を守るため、彼は立ち上がる。





「私を憎みなさい、そうすればあなたはもっと…」

英雄集結編《コード・アセンブリ―》第二章 学園祭のライオンハート

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