ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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第123話 「怒れる銃口」

そこは遺跡と呼ぶにはあまりに小さく、戦時の防空壕かあるいは洞窟と呼ぶべきものだった。

 

奈良県の山間部にある遺跡。つい先月にある考古学者によって発掘され、日中は多くの学者が集って調査が進められているこの遺跡は夜間には誰もいない。

 

しかし、夜闇に紛れるような黒スーツで人知れず足を踏み入れる男女がいた。旧魔王派のエージェント、クレプスと彼女に雇われたスナイパー、天王寺大和である。

 

日はとうに暮れて夜中になり、ライトがなければ歩くこともままならない遺跡の暗闇の中を、クレプスの魔法の灯りを頼りに大和は歩く。

 

「…冷えるな」

 

時期はいよいよ10月も半ばに入り、夜は特に冷えるようになった。暖かい日の光もなく吹く冷たい風に大和は身を震わせる。

 

二人が何もない遺跡を歩くこと数分、土の壁という行き止まりに突き当たる。ここまでに何も二人が求めるものの手掛かりは何もない。

 

「行き止まりか」

 

「いいえ」

 

クレプスは手のひらに魔力を変換した風を生み出すと、土の壁に当てる。ぶわっと土の幕が払われて、隠され続けてきたものを明らかにした。

 

「これは!」

 

土に覆い隠されていたのは、古ぼけた石造りの壁。中央に刻まれた紋章が存在感を放つ。その紋章とそれがこの場にある意味を悟ったのはクレプスだった。

 

「旧レヴィアタン家の家紋。間違いないわ、アタリよ…大和、壁に手を触れなさい」

 

「?」

 

大和は指示通り、石壁に手を添える。すると壁に光のラインが一瞬走り、がらがらと扉が開いた。

 

扉が開かれた瞬間、感じ取った異様なオーラに二人の全身をひやりとした感覚が舐め上がった。

 

扉の先に会ったのは奥に台座があるだけの飾り気のない小さな部屋。台座の上には誇り被った小箱が置かれている。

 

そして小洒落た装飾が施された小箱から、二人を襲った禍々しいオーラが漏れ出ていた。

 

自分の心臓を直に掴まれたようなかつてない怖気に大和はごくりと息をのんで、クレプスと共に部屋の中へ歩を真っすぐ進める。

 

彼女は台座の上の小箱にオーラを恐れることなく触れ、ふたをゆっくりと開けた。小箱に収められていたのは、どこまでも邪悪なオーラを放つ顔半分を覆うくらいのサイズの紫色の仮面。

 

彼は感じた。これは存在そのものが許されざる禁忌であり、世界への冒涜だ。同時にこんなにもおぞましいものが世に存在していたのかと信じがたい気持ちでもあった。

 

触れたくないと大和が思うそれを躊躇いなく手に取ったクレプスは様々な角度から仮面を見る。

 

「…神祖の嫉妬の仮面。これが魔王レヴィアタンが残した遺産なのね」

 

「それがお宝とやらか」

 

ようやく目的を達成したにもかかわらず、大和には何の感慨もわかなかった。これまでの苦労が報われたことより、こんな恐ろしいものを探していたのかという恐怖が勝ったからだ。

 

紙切れだ。それは大和には読めないが、旧魔王派のアジトで度々見かけた悪魔文字だった。

 

「探し物を見つけたにしては淡白な反応だな」

 

大和は仮面を手にしたクレプスの様子をそう評する。彼女も自分と同じように感慨よりも恐怖が勝ったのか。

 

いや、彼女の表情に恐怖は微塵もない。どこかつまらなそうな表情だ。あくまで上からの任務を達成したという事務的な感情しかないのだろうか。

 

ふと彼女は仮面と一緒に箱の中にあった黄ばんだ紙切れに気付き、つまみ上げる。

 

「…これは、他の仮面の在り処につながるヒントかしら」

 

紙切れとにらめっこするクレプス。その間、大和はすることもなく小部屋を見渡す。

 

「君たち、ここで何をしている!?」

 

二人に背後から投げかけられた男の声。反射的にクレプスが振り返りざまに魔力を放ち、男を土壁に強く叩きつけた。

 

「ぐあっ!!」

 

男が苦悶の声を短く上げて体を壁に打ち付け、うなだれる。何事かと振り向く大和は男の顔を見つめる。

 

どこかで見た顔だ。しかし記憶が古いからか思い出せそうにない。

 

「ち、仕留めそこなったわ…そうだ」

 

舌打ちするクレプスが、薄い微笑みを浮かべて大和を一瞥した。

 

「ル・シエル、その男を殺しなさい」

 

「は…?」

 

あまりにも唐突かつ理不尽な命令に絶句する大和は、思考すらも吹っ飛んでその場に立ち尽くす。怒りの感情がようやく追い付いてきたのは数秒後のことだった。

 

「お前…いつもみたく記憶の消去で十分だろう!!なぜ一般人相手にそこまでする必要がある!?」

 

従えないと言わんばかりに大和は声を張り上げる。

 

今までの調査も基本は隠密行動を取っていたが、それでも誰かに見つかった場合は気絶させてクレプスが記憶消去魔法をかけるのが普通であり、相手を殺すようなことはまずなかった。

 

「この男はだめよ、殺さないと」

 

「なぜだ!?」

 

今にも掴みかからん勢いで大和が問い詰める。それでもクレプスは変わらず涼しい顔をするばかり。むしろそれが彼の怒りをますます煽った。

 

「…そうね、しいて言うなら」

 

命令に従えないと食ってかかる大和にやや鬱陶しそうに鼻を鳴らし、視線をそらした。

 

「面倒だから」

 

「ッ!!!」

 

信じられない一言に大和は思わず後ずさる。彼を支配する怒りの中にもう一つの感情が生まれたからだ。

 

こんなことを平然と言ってのける人間がいたのか、こんなにも心を持たない人間がいたのかと。いや、彼女は元から悪魔だった。そう、種族と言う意味だけでない、心すらも本物の悪魔だ。今までは隠密の都合上で殺しをしなかっただけで、彼女の本性は人を平然と殺してしまう悪魔なのだ。

 

自らの快楽や欲求のためだけに人を殺める殺人鬼ですらここまで平然とはできまい。正真正銘の悪魔だ。

 

そしてその本性を見た彼の心に生まれたのは、恐れだった。自分は今までこんな化け物と共に行動してきたのかと信じられない一心だ。

 

「うっ…君は…まさか」

 

言い争う中で、男がゆっくりと顔を上げて大和を見つめた。

 

「飛鳥君のお兄さん…なのか?」

 

「!!」

 

自分の正体を見破られ、大和もこの男が何者なのか気づいてしまった。彼の言葉が、埋もれた記憶を掘り起こした。

 

この男は弟が幼いころから付き合いのある、上柚木綾瀬の父親だ。考古学者だとは聞いたことがあったが、まさかこんなタイミングで再会を果たすことになろうとはと大和は驚く。

 

気づいてしまった。気づきたくなかった。そう考えると恐ろしくてたまらない。汗が吹き出し、動悸が激しくなる。

 

「どうしたの、殺せないの?あなたには拒否権はないの。はいかYesと答えるしかないのよ」

 

「……」

 

大和は答えない。いや、答えられなかった。自分は今、最愛の弟の幼馴染、その父親を手にかけようとしているのだ。命令のままに彼を殺せばどうなるか、間違いなく綾瀬は悲しむだろう。そして悲しみは弟にも伝播する。

 

どの面下げて綾瀬に顔向けできるだろうか。自分が君の父を殺したなど、口が裂けても言えない。このまま永遠に外れることない十字架を背負うことになってしまう。

 

…そうなるくらいなら、いっそ。

 

彼が決心するのに数秒とかからなかった。

 

「…それなら、私が」

 

「…そうだな」

 

動くクレプスの言葉を遮る大和。素早く自分の神器『漆黒の弾丸《ナイト・ペネトレイター》』を手元に出現させ、夜の闇に溶け込みそうな黒い銃口をがちゃりと綾瀬の父ではなく、クレプスに向けるのだった。

 

「死ぬのはお前だ、クレプス」

 

大和は初めて、クレプスへの反逆に出た。銃口は彼女の眉間を捉えいつでも彼女の命を奪える状況。

 

一瞬で彼はクレプスに対する優位を確保した。感情をおくびにも出さないクレプスも流石にこの状況には眉を僅かばかりひそめた。

 

「私を撃てばあなたは収入を失うどころか、家族の命も危険にさらすことになるのよ」

 

「構わない。飛鳥の幼馴染の未来に暗雲を運ぶほど落ちぶれちゃいない」

 

彼をこのような行動に走らせたのは、彼に宿った怒りと恐れが理由だった。もう彼女には従えない。後のことは後で考えよう、今はこの女を野放しにしておくわけにはいかない。

 

これまで彼女の企みに加担した自分が止めなければならない。怒りと恐れ、そして決意の火花が彼の瞳の奥に瞬いた。

 

今の彼に何を言っても無駄だと悟ったか、彼女は嘆息する。

 

「…いいわ」

 

両腕をバッと広げて、無抵抗の意志を見せた。

 

「撃ってみなさい、撃てるものならね」

 

「!?」

 

大和は動揺する。この状況において、なぜ彼女は余裕を保っていられるのか。

 

「どうしたの、撃たないの?あなたの覚悟はその程度?死ぬのは私じゃなかったのかしら」

 

余裕のままにクレプスはまるで大和を煽るような言葉を吐く。

 

「…そうか、ならそうさせてもらう。俺はお前を…!」

 

煽りが意志の後押しとなり、トリガーに指をかけ、いよいよ力をこめようとした瞬間。

 

「…なんだ、動かない?」

 

突然大和の体が完全に動きを停止してしまった。指に力が入らず、銃を撃てない。

 

それだけではない、急に足の力が抜けてふらりと体が揺れ、その場にどさりと倒れてしまう。

 

「からだが…」

 

彼の抱える三つの感情が、わけもわからず一瞬のうちに戸惑いに染め上げられる。

 

「あなたが私たちのもとに下ったときに呪印を仕込ませてもらったの。あなたは私には逆らえない。飼い犬に首輪をつけるのは当然でしょう?」

 

見下ろすクレぷスが冷笑する。大和はもう悟らざるを得なかった。もう自分はこの女に逆らうことなどできないと。

 

そんな彼女へのせめてもの抵抗として、思いっきり大和はこの全身を焼く怒りを込めて睨みつけた。

 

「…悪魔め」

 

憎悪の言葉を吐き捨てる。彼の心を支配する悪魔への怒り。彼女だけでなく、彼女に指示を出し自分を管理下に置く旧魔王派なる悪魔の集団にも怒りは向けられる。

 

そしてふと脳裏によぎったのは、自分の弟の学園にもいた悪魔のことだった。

 

あのリアス・グレモリーと彼女が率いる悪魔たち…クレプスという悪魔の残虐性を知ってしまった以上、彼女らにも疑念が鎌首をもたげる。

 

もしかすると、あの女たちもこの女と同じ本性を隠しているかもしれない。それが弟と同じ学園で人の皮をかぶって日常を送っていると考えると怖気がする。ひょっとすると、兵藤一誠も悪魔になったことでその善性が塗り替えられてしまった可能性もある。

 

いつかは弟も今の自分のように貶められ、悪意のままに利用されてしまうかもしれない。

 

今の自分を追い詰める悪魔という種への尽きぬ疑念と怒り。二つの感情が急速に力が抜けていく体を支配する。

 

それを受けてもクレプスはひるみもせず、むしろ三日月状の笑みを浮かべた。

 

「…いい憤怒ね」

 

そしてかがみこむと、倒れた大和の顔を覗き込むように顔を近づけた。憎い相手を間近にしながらも全く手が出せない状況、自身の無力さを恨み強く歯を食いしばる大和に微笑みかけた。

 

「…そう、その目よ。あなたのその目が見たかったの」

 

愛おしそうに頬に指を走らせる。

 

「私を憎みなさい。そうすれば、あなたはもっと……」

 

全身から失われる感覚にそれでもと燦燦と輝いていた意思の光もいよいよ消え、大和は完全に呪印の効果で気絶してしまった。

 

「ふふ、いい感じに追い詰められたわ」

 

大和の気絶を確認した彼女は薄ら笑いを浮かべる。そして壁によりかかったままの綾瀬の父に目を向けた。

 

どこまでも冷たい色をした瞳に父は怯んだ。

 

「それと、あなたには死んでもらうわ」

 

指をきれいにそろえて手刀の形を作り出す。綾瀬の父は最初の攻撃で肋骨を折ってしまい、激痛という枷が彼をその場に縛り付けていた。

 

「…君は」

 

「さようなら」

 

そして真っ暗闇の洞窟が血で染まった。誰に知られることもなく、孤独に最期を迎えた彼が最後に思い浮かべたのはもはや得ることのない妻と娘の幸せな笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上柚木博士を始末した彼女は気絶した大和の体を持ち上げて遺跡の外に出た。あの場所は狭く、転移魔方陣を開くためのスペースを確保できなかったからだ。

 

気絶し、力の入っていない人間の体は重いが身体能力が人間よりも上のクレプスにとっては何も気にするところではない。ただ、わざわざ大和を外に連れて行かなければならないのを面倒だと感じはしたが。

 

大和の体を地面に下ろすクレプス。大和は死んだわけではないが、先ほどまでの怒りが嘘だったかのように安らかな顔をしている。

 

「…さて、魔方陣の準備を」

 

『一足遅かったようですね』

 

魔方陣を展開しようとした矢先、付近の林からがさがさと現れた怪人。

 

二振りのクワガタの顎を模したような片手剣を携えた、オレンジ色のラインが入ったどこかヒロイックなパワードスーツの怪人だ。

 

腰に巻かれた赤いスイッチのついた黒いベルトにはクワガタがデザインされたオレンジ色のデバイスが装填されている。

 

クレプスには知る由もないが、それは任務を受けたイレブンがレジスタンスの目指す最終兵器開発の一環で開発されたベルト、『レイドライザー』で変身した姿であった。

 

「…何者?」

 

二人目の目撃者の登場に、クレプスは任務終了に水を差された若干の苛立ちを含んだ口調で問う。

 

『あなたが知る必要はありません』

 

「あなたの狙いはこの仮面?」

 

クレプスが先ほど手に入れたばかりの神祖の嫉妬の仮面を見せる。初めて見た仮面の異様な感じに驚きながらも、敵に動揺は悟られまいとイレブンはいつものように感情を押し殺して、言葉を返す。

 

『そうだと言ったら?』

 

「あなたには渡さない。クルゼレイの手前、成果は上げないといけないもの」

 

「いえ、それを手にするのは私です」

 

さらに会話を遮ったのは第三者の男の声。二人の注目を受け、ふわふわとした茶髪のインテリ感ある男が現れた。

 

「…アルギス・アンドロマリウス」

 

警戒を込めてクレプスはその男の名を呼ぶ。クレプスにとっては旧魔王派の名を騙り、冥界でときたまテロを起こす旧魔王派にとって厄介な男。

 

『叶えし者まで…』

 

イレブンは静かながらも怒気を孕んだ声を発す。イレブンにとっては怨敵の眷属であり、彼女たちの計画に支障をきたすイレギュラーだ。

 

パチパチパチ。

 

突然アルギスが拍手を始めた。夜の静けさに乾いた拍手の音が溶けて消えていく。

 

「さて、まずはおめでとうと言うべきでしょうか」

 

拍手をやめたアルギスがクレプスへと視線を移す。

 

「旧魔王派の起死回生をかけた神祖の仮面…努力が実を結び、ようやく7つあるうちの一つを手に入れた。素晴らしいことじゃないですか」

 

「…」

 

「旧魔王派が現政権から魔王の座を奪還するのにその仮面が必要不可欠であることはよーく知ってますよ。だからこそ、反吐が出るほど嫌いな旧魔王派の邪魔をしようかと思いましてね」

 

悪意のある笑みを浮かべ、アルギスは透明なカバーとレバーがついたドライバーを取り出した。

 

『それは…!』

 

イレブンは軽く目を見張る。アルギスが手にしているそれはこの世界では深海悠河以外に所有しているはずのない、ゴーストドライバーだからだ。

 

なぜそれを持っているのかと驚くイレブンをよそに、アルギスはそのまま自分の腹部にあてるとオレンジ色のベルトが巻き付いた。

 

〔ゴーストドライバー!〕

 

「アルル様より賜りし力…とくと見るがいい」

 

続けて眼魂を手にしてスイッチを押し、カバーを開けたドライバーに差し込んだ。

 

〔アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!〕

 

軽快な音楽と共にドライバーから白と黒のパーカーゴーストが出現する。闇に溶け込むように怪しくふわふわと舞った。

 

「変身」

 

〔カイガン!ダークライダー!〕

 

レバーを引き、全身を覆うスーツという形で物質化した霊力を纏い、さらに浮遊するパーカーゴーストも纏って変身を完了する。

 

〔闇の力、悪い奴ら!〕

 

漆黒のスーツとその上を覆うアーマーには白のラインが伸び、胸部には赤い一つ目の紋章が刻まれている。顔面部の真っ白なヴァリアスバイザーには鬼火のような黒の模様が浮かび上がり、額には揺らめく炎のような形状をしたウィスプホーンが立つ。

 

かの戦士の名は仮面ライダーダークゴースト。平成ライダーの存在しないこの世界に、新たなライダーが誕生した瞬間であった。

 

「さあ、その神祖の仮面を渡してもらいましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…イレブンはうまくやっているじゃろうな」

 

一人残されたポラリスは独り言を吐きつつも、船室でスキエンティアが収集した情報を確認する。世界中のコンピューターに接続できるスキエンティアが集める情報は彼女を飽きさせない。故に暇があれば彼女は集めた情報を覗くことにしている。最も、最近はそうする暇もないほど働きづめていたが。

 

ゴォォォン!!

 

突如、船体が大きく揺れる。誰にも所在を知られず、攻撃されることのなかったため久しく感じなかったこの船の揺れに彼女は怯んだ。

 

「何事!?」

 

すぐさま彼女はスキエンティアにアクセスして船内の異変を調べ上げる。船内各所に仕掛けられたカメラの映像を一気に調べ上げ、異変の発生源を特定する。

 

カメラがある男たちを映していた。

 

白い鎧を纏う男と剣士、黒い猫又に魔女っ娘、孫悟空を思わせる軽薄な雰囲気の男の一団。ポラリスは彼らのことを知っている。

 

「これは…ヴァーリ・ルシファーか」

 

彼らのすぐ隣には縁にバチバチと電気が弾ける大きな穴が開いており、彼らが船を攻撃して侵入してきたのは明白だ。

 

「悠から聞いていたが、まさかこんな形で入ってこようとは…」

 

ディオドラの事件ののち、ヴァーリがこの船の存在に気付いたと報告は受けていた。それ以来光学迷彩の強化などで対策をしてきたつもりだったが、まさか攻撃を受けることになるとは思いもしなかった。

 

「…仙術か」

 

ポラリスはすぐに原因に思い至る。黒歌か美猴が仙術で自分の生命エネルギーを探知したのだろう、考えられる限り原因はそれしかない。

 

「…致し方ない。入場料がてら、妾の家を壊したお仕置きをしてやらねばな」

 

ポラリスはウェポンクラウドから取り出したネビュラスチームガンを握り、ヴァーリたちのもとへ向かう。




はい、アルギスのダークゴーストが三人目のライダーでした。自分以外のライダーが全員敵になってしまった悠河…。

レイダーは…言うなればヘルブロスと同じ疑似ライダーというべきポジションなのでライダーにはカウントしません。なんのレイダーかわかったでしょうか?一応原作にもちょっとだけ出たプログライズキーを使っています。

次回、「牙は舞う」

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