今章のオリ展開はアルギスとクレプスにイレブン、ヴァーリたちにポラリスと今までになかったキャラの組み合わせでお送りします。
Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
2.エジソン
3.ロビンフッド
4.ニュートン
7.ベンケイ
9. リョウマ
10.ヒミコ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
13.フーディーニ
夜風に揺られ、木々ががさがさと茶色く染まった葉のこすれる音を立てる。まるで自然すらも新たな仮面ライダーの誕生にざわめくかのように。
叶えし者、アルギスの仮面ライダーの変身はイレブンを大いに驚かせた。
(これはポラリス様に早く報告しなければ…)
ここでの叶えし者の介入は予想外だったが、ゴーストドライバーを手に入れているのはもっと予想外だった。少しでも情報を得ようと、イレブンは相手に動揺を悟られまいと、努めて冷静に疑問を投げかけた。
『どうして、あなたが推進大使と同じベルトを持っているのですか?』
「ふ、アルル様より賜ったと言ったはずですが…これ以上を語る義理はありませんね」
白い仮面の裏で変身による力の高ぶりを感じながらアルギスは冷笑する。
「ああ、あなたも見かけない顔…イレギュラーですね。いろいろと興味はありますが、私の任務は仮面の回収ですのでそちらを優先させてもらいますよ」
イレブンにふと思い出したような反応を取り、そう言って取り出したのは三つの眼魂。もう片手に魔方陣を展開させて眼魂にかざすと黙々と煙のようなオーラが発生し、それぞれ人の形を作り始める。
「あなたの相手はこいつらです」
『ガンマイザー…』
変幻自在に気象を操る怪人、ガンマイザー・クライメット。波の意匠をスカートのようにあしらった揺蕩う青き水の怪人、ガンマイザー・リキッド。そして全身に振動のような怪人、ガンマイザー・オシレーション。
「行け」
三体の怪人はアルギスの指示と同時に、イレブンへと襲い掛かる。
「っ!」
よせ来るガンマイザーたちを、イレブンはクワガタの顎をイメージさせる形状をした双剣『フュリアス・ブレード』を冷静に構えて迎え撃つ。
先陣を切ったのはクライメット。気象を操る能力で幾つもの雷撃を飛ばしてくる。しかしこれを軽やかに舞うような動作で避けながらイレブンも接近する。
一息でクライメットへと距離を詰めたイレブンは二振りの刃で華麗な剣閃を放つ。その寸前でクライメットを突き飛ばし、横に割って入ったのはリキッドだ。
「!」
構わず剣戟を放つイレブン。しかしリキッドの体は文字通り水へと変化し、振るわれた刃はただ虚しく切り裂くことのできない液体に空ぶる結果に終わる。
そこにクライメットが多数の氷塊を生み出しては発射する。殺到するそれらをイレブンは二振りの剣から繰り出す流麗な剣技で粉みじんに斬って見せる。目にもとまらぬ一瞬の絶技。達人の域に達した者のみが繰り出せる技をイレブンは難なく放つ。
一瞬のうちに切り刻まれた細かい氷のカスが月光を浴びてイレブンを彩るように大気中に舞った。非戦闘時であれば心奪われる美しさのある光景だったが、ガンマイザーたちにはそれを感じる心はない。
ぶしつけにオシレーションが拳打を繰り出してくる。際立ったパワーやスピードもないが不思議なことにキィーンと耳障りな音を発するパンチをそれをイレブンは剣で弾いてやり過ごそうとするが。
「!」
彼女の直感が叫ぶ。受けるな、躱せと。それに従い、身をひねって避ける。しかし拳がブレードの刃を軽くかすめると、途端に粉々に砕け散ってしまった。
そこに今度はごうっと高圧水流が飛来し、驚く間も与えずイレブンに襲い掛かる。しかしヒットする寸前で彼女の姿は失せ、事なきを得る。水流はそのまま地面に着弾し、辺り一面をびしょ濡れにした。
『…』
瞬間移動と見まがうほどの速度での移動は、彼女が異界で編み出した歩法によるもの。その異界を離れて以後も、彼女は独自で研鑽を重ね、誰にも追いつくことのできないまさしく神速と呼ぶにふさわしい領域にも達した。
距離が開けた両者が、互いに静かににらみ合う。
『スキエンティアのデータが正しければ、あの灰色のガンマイザーは振動を操る能力を持っている…』
ちらりと砕けて柄だけになったブレードに視線を落とす。ほんのちょっとかすめただけでブレードがこのざまだ。もしあのままブレードでパンチを受けていればブレードごとボディの装甲までやられていたに違いない。
先ほどの拳打は奴の体を構成する霊力が微細な高速振動を伴っていた。それをパンチとともに振動を直にぶつけることで防御不可の攻撃を繰り出すという寸法だろう。ガンマイザー・オシレーション。その名に恥じぬ、凶悪な能力を持ったガンマイザーだ・
『気象操作、液状化、振動…面倒な能力の組み合わせですね』
改めて前方に横並ぶガンマイザーを見渡し、冷静に状況を整理する。
どれも厄介な能力、特に物理攻撃を無効化する液状化は彼女の得意とする剣術の天敵ともいえる能力だ。普通の剣士ならしっぽ巻いて逃げるのが得策と言える。
だが、彼女は普通の剣士ではない。何も彼女が磨き上げてきたのは剣術だけではないのだ。
『…魔法はあまり得意ではありませんが』
ぽつりとつぶやいて、彼女は腰にがちゃりとブレードをマウントして静かに詠唱を始める。
『繋げ、秘儀糸』
あやとりのように指先から魔力でできた光の糸が伸びる。ポラリスもロキとの戦いで披露した異界の魔法だ。
それを見たガンマイザーたちが危機を察知し、三体同時にそれぞれの属性の付与された大きな光弾をイレブン目掛けて発射する。
『古雅なる雷火よ、踊り咲け』
しかし速いのは足だけではない。即座に詠唱、そして糸が魔方陣を生み出し広範囲に渡る扇状の雷を吐き出す。
放たれた大出力の雷火は容易く光弾を主のもとへ押し返して自滅させ、そこに追い打ちをかけるがごとく雷扇を叩きつけた。雷を浴びながら吹っ飛ばされて横転するガンマイザーたち、先は液状化されてダメージの通らなかったリキッドにもしっかり効いている。
出ごたえあり。そう感じたイレブンは砕けたブレードをウェポンクラウドへと戻し、更なる術を発動させる。
『空裂く刃の刃鳴りあれ』
手元にバチバチと迸る雷が発生し、束ねられて剣の形に変じる。右手にはブレードを、左手には雷の刃を。
彼女は魔法は得意ではないと言ったが、それはポラリスと比べれば、という意味だ。修練を重ねたのは何も剣だけではない。当然魔法も習得し、かつていた自分たちの世界の時と比べると比較にならないほどに戦闘能力は向上している。
『あなたたちに時間をかける余裕はありません』
刃を煌めかせ、イレブンは反撃の開始だとひた走った。
「さあ、あなたには色々聞きたいことがありましてね」
ガンマイザーたちとイレブンが交戦する一方、戦いに加わることなくアルギスはクレプスと対峙する。激しい戦いを繰り広げる向こうと違って、こちらは静かだった。
「この時代の旧魔王派は本来神祖の仮面に行き着くことなく壊滅するはずでした…なのに、突然現れたあなたは仮面の情報をもたらし、歴史を変えてしまった」
「…」
アルギスはこの世界が本来辿るはずだった歴史を主であるアルルから聞いている。
本来であれば今の旧魔王派のリーダーたるクルゼレイ・アスモデウスはディオドラ・アスタロトの起こしたテロにおいて彼も戦列に加わり、現魔王サーゼクス・ルシファーに戦いを挑み命を落とすはずだった。
カテレア、クルゼレイ、そしてシャルバと組織の支柱を失った旧魔王派は瓦解し、一部の残党がときたま暴動を起こすだけの最弱派閥になり下がる…そう、彼は聞かされていた。
しかし現実はクルゼレイは戦列に加わらず生存し、さらには本来知るはずのない神祖の仮面の情報を得て捜索に当たっている。その大きな変化の原因が目の前にいる彼女だ。本来の歴史から大きく遠ざかる結果を生み出した彼女が類されるべきカテゴリーは一つしかない。
「あなたは疑いようもなくイレギュラーだ。…ですがあなたの行動目的と素性はそこの天王寺大和を見て大体確信しました」
紀伊国悠…いや、深海悠河やロキとの戦いで助太刀した謎の戦士と同じイレギュラーと呼ぶしかない。戦闘力はまだ測れていないながらも、積極的に歴史の改変を目指そうとする彼女は悠河たちとは別の意味で危険だ。
アルギスは横たわる大和を一瞥し、クレプスを指さす。
「あなた、さては未来から来ましたね?」
「…だったらどうしたの?」
冷たい色をした彼女の瞳に憮然としたものが宿る。その態度にアルギスは図星だと苦笑する。
「なるほど、今の回答で私の確信は完全なものになりました。別にあなたがイレギュラーだから、別の時代の悪魔だから殺めようというつもりではないんですよ。ただ…」
優雅さのある態度が一転、アルギスの纏うオーラが一気に冷たくなる。
「私が目指す世界に悪魔と言う種は不要です。ましてや旧魔王派が席巻する世界など反吐が出る。神祖の仮面は我々が管理する。あなた方には過ぎた代物だ」
刹那、敵意が爆ぜアルギスがクレプスの眼前に迫った。召喚したガンガンセイバーを振り下ろし月光のもとに赤い血の花を咲かせようと凶刃をきらめかせた。
「っ」
半ば反射でクレプスは大きく横っ飛びし、攻撃を空ぶったアルギス目掛けて魔力を変換した炎と雷撃を放つ。アルギスはそれらを躱すまでもなく、受け止めるとバチバチと激しく装甲に火花が飛び散った。
「…無駄無駄、そよ風みたいなものです」
しゅうと命中した個所から煙を上げるも焦げた跡もなく、何事もなかったかのようにけろりとするアルギス。
「私が未来から来た悪魔なら、あなたは過去の亡霊ね」
「亡霊で結構、もはやこの世界に存続するに足る価値など見出していませんよ」
「そう、なら私がこの世からあなたを消してあげるわ」
装甲を突破するためにより力を込めた紫色の魔力をクレプスは繰り出す。
対するアルギスは蛇型の魔力を放って迎撃した。アンドロマリウスという元七十二柱の血を引く上級悪魔の魔力が一悪魔の魔力に負けるはずもなく、ごくりとクレプスの魔力を丸呑みするとシャアと吼え、今度はクレプスへと俊敏に爬行する。
「…おやおや、イレギュラーだと警戒していましたがこれがあなたの限界ですか。それならついでに天王寺大和の身柄も回収させてもらいましょうか」
アルギスの余裕に満ちた嘲笑交じりの一言が、意図せず彼女のスイッチを入れた。
「誰が本気を出したと言ったかしら」
低く、凍えるような声とともに、クレプスのオーラが弾ける。オーラが彼女の手元に収束すると血のように赤黒い細身の剣が顕現し、手にするや否や迫る蛇型の魔力を一閃、破壊した。
「…ほう、これは神器ですか。驚きましたよ」
その剣の放つ力の毛色からすぐに正体を察し、興味深そうにアルギスは声を上げた。神器だと見抜けはしたが、神器に詳しいわけでもないので正確な能力や名称まではわからないが神器であることだけは確かだ。
凛然と剣を携える彼女は魔力を断ち切った剣の刀身を艶やかに撫で、切っ先を真っすぐにアルギスへ向ける。
「悪いけど、ここで成果を上げておかないといけないの。つまらない上司の機嫌取りも大変なのよ」
「尽くしたいと思えない上司を持つとは不幸ですねぇ、なら不幸のまま死んでもらいましょうか!」
その身は裏で暗躍する悪魔なれど、互いに譲れぬものを抱える者たちの戦いが幕を開けた。
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「おいおい、なんかすんげえとこに来ちまったな」
次元の狭間を航行する母艦『NOAH』。その一部に派手な穴を開けて入ってきた一団がいる。
白龍皇ヴァーリ・ルシファーをリーダーとする通称ヴァーリ・チーム。彼らは定期的に次元の狭間へと出て、そこに住まうグレートレッドやゴグマゴグの調査を行っていたのだが再び彼らは遭遇してしまった。
グレートレッド以上のサイズを持つ、3つの巨大なリングをくぐるような独特な形状をした鋼鉄の船を。
以前にも遭遇したが、その直後にシャルバによって次元の狭間に飛ばされてしまったアーシア・アルジェントを拾い何か異常を察知した彼らは調査を中断し、それ以上船を調べることはできなかった。
だが今回、偶然にも再び出会うことができた。この機を逃すまいとヴァーリたちは手荒な手段で船の装甲を破壊して侵入を果たしたところだった。
「グレートレッドの調査のつもりがとんでもないものを発見してしまいましたね」
「ああ、一体これは何者が作り、何のために稼働しているのだろうな」
「なんというか、SF作品に出てきそうな感じですね…」
ヴァーリたちはきょろきょろと興味深い目で侵入した廊下を見渡す。全て無機質な鋼鉄でできた壁や床は機械文明の発展、というワードを想起させた。
「最初に感知した生命エネルギーが3つ。うち一つはいきなり消えて今は2つだ。もしかすると気づかれたかもしれねえ」
「いやこんなダイナミックな侵入した時点でバレてるでしょ」
こんなところでも、猿と猫の軽薄なやり取りは繰り広げられる。この船の存在を感知できたのは美猴と黒歌の仙術によるところが大きい。そうでなければ彼らは船に気付くことすらなかった。
「…行くか」
ヴァーリたちは慎重に行動を開始し鋼鉄の廊下を歩き始める。かつかつと乾いた靴音がどこに続いているかもわからない廊下に響き渡る。
しばらく歩く中でいくつかの部屋に入ったりした。しかしほぼすべてが何もない空き部屋で、厳重にロックがかけられた『高重力室』という部屋だけは入ることはかなわなかった。
「なーんかここまで来て何もねえのはつまんねえな」
「お宝とかないのかしらね、ていうか私たちが来たのに歓迎の挨拶もないなんてここの住人は冷たすぎにゃい?」
「そうでもないみたいだぞ」
ふとヴァーリ一行は歩みを止める。行く先に人の気配を感じたからだ。
『君たちは人の家に玄関からではなく窓を割って入る強盗か何かかね』
突き当りの角からおもむろに現れたのは、歯車のような装甲を各部に身に着けたパワードスーツの戦士。彼らはそれを知っている。
「お前はポラリス…!」
「ここはあなたの船だったのですか」
予期せぬ再会に彼らは驚く。ロキの事件で交わした言葉は片手で数えるほどしかなかったが、使う武器や技術、魔法などが彼らにとって未知のものであったため内心大きな興味を抱いたものだった。
『ああ、だがまだここを知られるのはまずいのでね。来て早々、生憎だがここに関する記憶は入場料代わりに削除させてもらう』
彼女の発する戦意により、場が凍てつく。戦意はヴァーリたちを圧倒し、間違いなくこの場の支配権を彼女は得た。
「なるほど、だが俺たちが「はいそうですか」と大人しく引き下がるタマだと思っているのか?」
しかしヴァーリたちは不敵な笑みを浮かべた。そう、強さを求めるヴァーリたちは脅しに屈するような輩ではない。むしろ戦いとは彼らが望むものだ。そして支配とは自由の簒奪。そんなものを彼らが認めようはずもない。
「ロキ戦で派手に暴れていたな。ちょうどいい機会だ、この場で手合わせ願おうか!」
リーダーたるヴァーリも戦意を昂らせたことで、アーサーたちもそれに追随して剣を抜き放ち、オーラを高める。
『…ハァ。だろうと思った』
「6対1だ、俺ら全員を一度に相手にするのは骨が折れると思うぜ」
「泣いて誤れば許してやってもいいにゃん」
自分たちの優位を確信し、それをポラリスに示すようにいつでも攻撃を仕掛けられるよう構える黒歌たちは不敵に笑む。
ヴァーリ、美猴、黒歌、アーサー、ルフェイ、そしてフェンリル。世界に喧嘩を売る禍の団の中でもトップクラスの戦力である彼らを一人で相手取ろうなど常人には無謀も甚だしい行為だ。
『流す涙ならもう枯れた。お前たちに屈するつもりは毛頭ない。それに…』
だがポラリスが彼らに屈することはなかった。それどころか冷静を崩さず、むしろそちらも戦闘の構えを
取りいつでも戦える様子を見せていた。
『いつからお前たちの相手をするのが妾だけだと錯覚していた?』
瞬間、ヴァーリたちの背後から荒々しくも赤い閃光が駆け抜ける。
「ッ!?」
咄嗟に振り向いた時にはすでに通り抜け、オーラの波動がヴァーリたちを軽く吹き飛ばす。
「きゃっ!?」
「くっ…なんだ!?」
閃光はヘルブロスの隣に並び立つと、迸るオーラと炎のような光が赫赫とした渦を巻く。その身に覚えのあるオーラに、ヴァーリたちは驚愕した。
「ヴァーリ、この力は…!」
「嘘でしょ…!?」
「まじかよ!?」
「馬鹿な…」
ヴァーリチームの誰もが驚きを隠せずにいた。
そんなことがあるはずがない。あれはこの世に二つとない唯一無二の存在のはず。なのになぜと驚愕と疑問の念が激しく胸中で叫びを上げる。
「なぜお前がその力を持っている!?」
ヴァーリが半ば叫ぶように問う。同時に赤い渦がはじけ、その発生源の姿が露わになる。
赤いラインが入った白と灰色の装甲を各部に装着した、パワードスーツの男。腰には悠河のゴーストドライバーのように歯車のようなデバイスのついたベルトが巻かれていて、そのシルエットはヴァーリや彼のライバルである兵藤一誠の禁手の鎧をよりスタイリッシュにしたものだ。
ベルトを中心に胴や四肢に赤いラインが伸び、背部からは絶えず赤いキラキラした粒子を放出している。
体格からして男だと認識はできるがその顔は龍をイメージさせるようなアンテナのついたフルフェイス型のマスクで覆われているためその正体を見破ることはかなわなかった。
目の前の戦士が纏う赤いオーラはまさしく、彼のライバル。
赤龍帝の持つそれと同じものだったからだ。
一応言っておきますが、最後のはライダーではないです。
次回、「ELTANIN」