今年の12月までには13巻に入るつもりで頑張ります。
Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
2.エジソン
3.ロビンフッド
4.ニュートン
7.ベンケイ
9. リョウマ
10.ヒミコ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
13.フーディーニ
『ふっ』
烈風、斬閃、回避、そして剣光。絶え間なく瞬間移動じみた速度でガンマイザーたちをかく乱し、イレブンはその視覚に回り込んで斬りつける。ガンマイザーが反応した瞬間にはすでに剣が振り切られ、その身を斬られている。
あまりにも速すぎる。いつ、どこから来るかわからない攻撃にガンマイザーたちは対処のしようがなく一方的に攻撃されるばかりで動けずにいた。
さっきまで優勢だったのは間違いなくガンマイザーたちであった。その強力な能力と連携で彼女と渡り合い、追いつめようとしていたがしかし今は状況は一転し、たった一人のイレブンに手も足も出ずにいる。
イレブンは最初から本気を出してなどいない。開戦はデータ収集もかねての様子見、ある程度収集できて対抗策を編み出すや否やもう用済みだと言わんばかりの苛烈な攻撃で攻め立てる。
そんな中、追いつめられたクライメットが全身から真っ白な冷気を放出し、全方向から凍える風を放つ。その冷気のすさまじさたるや風に舐められた地面は凍り、木々は氷柱と化す。仲間のことなどお構いなしにと、周囲にいた2体のガンマイザーも巻き添えにし、凍り付かせた。もとより心などない彼らが仲間のことを配慮する由はない。
イレブンは咄嗟に飛び退り、冷気から逃れる。これでは近づいた瞬間に凍てつき動きを封じられてしまう。そう思ったイレブンだがこうも思った。
ならば、近づかずに攻撃すればいい。
『刻め雷陣、果てどなく』
素早く詠唱すると光をともした魔方陣から次々に雷の鎖が伸び、うねりながら冷気の中に飛び込んでいく。雷が凍るはずもなく悠々と白の中を抜けてその中心にいるクライメットに続々と突き刺さり、爆ぜるようなスパークを起こした。
たまらず悶え、両膝をついた。冷気の放出は収まり、あとはとどめだけ。
ブレードの柄頭でレイドライザーの赤いスイッチを叩く。
〔エキサイティング・ボライド!〕
音声が鳴るとエネルギー出力が急上昇して唸りを上げ、フュリアスブレードと雷の剣、二振りの刃がオレンジ色の光を帯びる。そして繰り出すのは必殺の一撃だ。
ふっと姿が消え、クライメットの背後に現れる。その時にはすべてが終わっていた。
『私と戦うには遅すぎる』
ズバン。
ガンマイザー三体の上半身と下半身が別れ、爆散したのはほぼ同時だった。命のないただの戦闘用の人形として生まれた彼らは自らの滅びを知覚することなく、この世から失せた。
強敵を討伐した余韻にに浸ることなく、一気に三体ものガンマイザーを屠ったイレブンは勢いのままアルギスたちのもとへひた走った。
「っ、ガンマイザー3体を片付けようとは…!」
気配に気づいたアルギスはイレブンの実力に舌を巻いた。かつて冥界のパーティーでグレモリー、シトリー眷属にぶつけたときよりも大きくパワーアップしているガンマイザーを三体同時に相手して単騎で倒してしまうその力は紛れもない脅威だと。
クレプスの剣を弾き、ガンガンセイバーをガンモードにして銃撃を放つ。だがイレブンには銃弾すら取るに足らぬ遅さだ。易々と銃撃を潜り抜けて跳躍、クレプスの背後に着地する。
「っ!」
危険を察知したクレプス。振り向きざまに剣を振るうが、軽い動作でイレブンは剣を弾いて回し蹴りをくびれた腹に叩きこむ。
「うぐっ」
蹴り飛ばされ、横転するクレプスは持っていた嫉妬の仮面を思わず手放してしまう。手を離れた仮面が宙に舞った。
「!」
『ふっ』
それを見逃す二人ではない。絶好の機会を逃すまいと、反応した二人が跳躍したのは同時だった。
アルギスは手を伸ばし、足りぬ距離を補いいち早く仮面を確保せんと魔力の縄を放つ。にゅっと伸びた光の縄が仮面に触れ、絡めとろうと動いた瞬間粉微塵になって消失した。
「何だと!」
『自らの手で掴もうとする意志、それがあれば掴めたでしょうね』
驚くアルギスを超え、イレブンが宙へ進み出る。イレブンが魔力の縄を瞬時に切り刻んだのだ。そしてすぐに仮面をその手に掴み、イレブンは華麗に着地を決めることに成功する。
『任務完了、これより退却する』
「っ!待て!」
目の前で仮面を奪われたアルギスは叫ぶも時すでに遅し、イレブンは神速であっという間に姿を消してしまった。もはやどこにもその気配を感じることはできない。
「ここが引き時ね…」
その隙に大和を抱えたクレプスも、夜の闇に紛れて消える。仮面を奪われこの場から逃げられてしまった以上、このままアルギスとやりあっても無益と判断したからだ。
「…ハァ」
こうして一人、取り残されてしまったアルギスは大きくため息をついた。彼の周囲にはガンマイザーの攻撃やイレブンの魔法でできた傷跡ばかりが残されていた。
「ここまで来て戦後の後処理とは、損な役ですよ」
アンドロマリウスの亡霊は、憂鬱気味に月夜に向けて愚痴を吐くのだった。
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「がはっ……」
『…ハァ…ハァ』
壁や天井から、むき出しになり千切れたコードがバチバチと火花を吐き散らす。どこもかしこも穴だらけで真っ黒に焦げ付き、周囲の空間は破壊し尽くされていた。最初に戦っていた廊下の原型などどこにもなく、数倍もの面積の破壊の跡の中にぽつりと、二人がいた。
ヴァーリ・ルシファーとヘルブロスことポラリスである。ヴァーリの鎧は完全に覇龍もろとも解除されており、全身血まみれで黒い地面に突っ伏す彼から戦う力など微塵も感じることはできない。
一方のヘルブロスはヴァーリほどではないがスーツはボロボロになって装甲は一部が破損し、彼女自身も消耗により息は荒かった。
「覇龍でも…勝てない、のか」
『違うな、おぬしは戦い方を間違えた。真正面から力をぶつけるのではなく粘る戦い方をしていれば弱った妾に勝てた…かもしれぬよ』
悔しそうに顔を歪めるヴァーリを、その周辺の装甲を破損して直に外界を覗くようになったポラリスの赤い右目が見下ろす。その目から涙のように血が流れていた。
二人の戦いは熾烈を極めた。本来なら被害を最小限に抑えたいポラリスも覇龍を相手にそうは言ってられず、これまで使用を控えてきた能力を使い彼と渡り合った。もとより覇龍は使用者に相当な負担を強いる力だ。それ故、戦いの決着の時はすぐに訪れた。
「…なんなんだ、その…力は」
『妾が最初に訪れた異界で手に入れた力…あまりにも強大すぎる故、長時間の使用は大きく肉体的な負担がかかり、制御を誤れば自我すら飛びかねぬ』
「…異界…」
ごはっとヴァーリが吐血する。戦闘だけでなく、覇龍を使った影響もあって身体的負担は非常に激しかった。意識が失せるまでにそう時間はないと彼は悟る。残る力を振り絞り、彼は問いを口にする。
「お前たちは……何者…なんだ」
知りたかった。全力の自分たちを打ち破った相手の正体が。
『知る必要はない。そして知ったところで失せる記憶に意味はない。それにこれ以上喋るな。治療する前に死んでもらっては困るのじゃからな』
「なぜ…癒す」
『おぬしに死んでもらっては困る。喧嘩を吹っかけてきたのはおぬしらじゃが、喧嘩で命を奪いやせんよ。我々の計画に、おぬしは必要不可欠なのじゃからの』
「……」
視界のぼやつきが激しくなってきた。見上げるヘルブロスの輪郭が明確になってはあいまいになる。
『何はともあれ、勝ったのは妾じゃ。予定通り記憶は消させてもらう』
「くっ…」
『案ずるな。仲間ともども傷を癒して元の世界に返す。安心して妾の処置を受けるがいい』
「次は…勝つ」
『二度目はない。次に会う時は、共に肩を並べて戦う時であることを願っておるよ』
「ぐっ…!」
最後まで敗北を悔しがりながら、ヴァーリはついに意識を闇の中に沈めた。
『ごふ』
その数秒後、吐血しながらがくりと片膝をついてポラリスは変身を解除する。両目から垂れ流す血と吐いた血が黒焦げた床に赤い血だまりを作った。
「やはり自力での制御は難しいな…早く完成形のドライバーと一緒に外部補助装置を完成させねば」
痛む目を抑えながら、思案にふけり始めた彼女の耳に信頼する部下の声が飛び込んできた。
「ポラリス様、私が留守の間に何が?」
颯爽と現れたイレブンが、派手に壊れた船内を見渡して言う。彼女の帰還に安心を覚え、苦痛にゆがむ彼女の表情が少しばかり和らいだ。
「イレブンか…なに、ネズミ退治をしていただけじゃよ」
「その消耗具合…まさか、アレを使ったのですか!?」
「うむ、そうでもしなければ今の妾ではヴァーリの覇龍に勝てなかった」
と、倒れ伏すヴァーリを二人は一瞥する。意識を失った彼はぐったりと横たわったままで動く気配は全くない。
「ヴァーリ・ルシファー…ポラリス様をそこまで追いつめるとは。ルシファーの末裔、二天龍の力は侮れませんね」
『だが逆に言えば、シナリオ通りに彼が味方になればディンギルたちとの戦いで頼もしい戦力になる』
と、割り込む男の声。龍のような機械の翼を展開するドレイクが現れた。
「そうじゃ…むしろアレを使わせるまで追いつめてくれて嬉しいまであるわい。現時点でここまでの力があるのじゃからな。今後の成長が楽しみじゃのう…それに、いい戦利品も得られた」
そう意味深な笑みを浮かべるポラリスが視線をやったのはヴァーリの周囲に散らばる白い破片と青い宝玉。どれも戦いの中で破損したヴァーリの鎧の一部だ。
「イレブン、例の物は?」
「ここに」
そっとポラリスに見せたのは形容しがたい禍々しさを放つ仮面。それを視界に入れた瞬間、無事にイレブンが任務を達成してくれたという喜びに勝って沸き立つ不快感にポラリスは眉をひそめた。
「これが神祖の仮面…ウリエルから聞いていた通り不吉なオーラを放っておるな」
『……』
その仮面を、ドレイクは言葉を発することなく見つめていた。それに気付いたポラリスはふと笑う。
「欲しいのか?」
『いや、今の僕には無用の長物だ』
「じゃろうな、おぬしもよくやってくれた。戦闘データも集まったし、なにより試作品の段階であのパワーじゃ。完成品を使う時が楽しみでならんよ」
ドレイクが使ったドライバーはまだ試作型でしかない。これから試作型の戦闘データをフィードバック、スキエンティアのデータでさらにブラッシュアップをかけて完成形を目指していく。
「妾達の旅の集大成、妾達の世界にあったパワードスーツ『バトルドレス』をベースにスキエンティアに蓄積させた異界の技術やデータを使って完成させた究極のバトルドレスシステム…『ゼクスドライバー』。そして使用者に応じた特性をバトルドレスに付与するための『ステラ・ギア』。実戦投入は初めてじゃが、うまく成功したのう」
ポラリスはドレイクが腰につけているドライバーに満足げな笑みを見せた。真っ白なボディの中央に青い円形のクリアパーツが輝き、両サイドには歯車型のデバイス、ステラ・ギアをはめ込むためのスロットが備えられている。
このドライバーの完成は彼女の描くシナリオにおいて大きな意味を持つ。いずれは自分たちも使うベルトだ、完成までに一切の妥協を許すつもりはない。
「仮面の解析、戦闘データのフィードバック、やりたいことは山々じゃが…」
言葉を止め、天を仰ぐ。ヴァーリと自分の攻撃の余波で数フロアは貫通する勢いで大きな穴が開いてしまった。
「まずはこれをどうにかせねばな」
伏すヴァーリ、そして被害を被った船内。辺りの惨状を見ると、やれやれというため息しかつけなかった。
次回、「見出し、誤解、やばし」