現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
2.エジソン
3.ロビンフッド
4.ニュートン
6.ベートーベン
7.ベンケイ
9. リョウマ
10.ヒミコ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
23.コロンブス
悠河がリアスたちと共に信長を撃退した頃、ポラリスは変わらず屋上から眼下の駐車場で繰り広げられる戦いを眺めていた。ちょうど今、ホテルから吹っ飛んだ信長が駐車場に墜落して、一誠たちと交戦しているところだ。
「ジークフリートがイレギュラーな力を行使したが、それを撃破できそうじゃのう」
ポラリスは木場たちが英雄化を使ったジークフリートを追い詰める一連の戦いを全て見ていた。英雄化を使い、かつてない力を発揮するジークフリートにポラリスは眉をひそめるもそれを見事超えてのけた木場たちに心の中で称賛を送ったものだった。
「アルルの奴め、英雄派にいらぬ知識を吹き込みおって…。それに信長というイレギュラーも気がかりじゃ」
英雄派が手に入れた力、英雄化。眼魂を体に取り込んで力を手にするこの技法は当然のことながら眼魂が存在しない正史においてあるはずがないので、ポラリスにとって全くの想定外のパワーアップとなった。
シグルド眼魂なる眼魂の大元になる仮面ライダーゴーストにも登場しない眼魂はその強大な力はもちろんのこと、今後英雄派やアルルが未知の眼魂を使うのではという可能性の先駆けという意味でも脅威だ。
そして何より、本来の歴史に信長という男は登場しない。これも悠河というイレギュラーが現れた影響かと思ったが、中々に高い実力を持っており英雄派がグレモリーと敵対する現状では懸念すべき不確定要素だ。
しかし彼は自身の由来となるノブナガ眼魂を持つ悠河に固執しているきらいがある。それがうまく働いて悠河が強くなるための踏み台になるならよし。もし自身の思惑を超えて致命的なイレギュラーを引き起こそうというなら速やかに削除されなければならない。
「…ほう、もう復活か」
そう思案にふけっていると、ホテルの窓から悠河と朱乃が飛び出していくところを見かけた。コブラケータイに仕込んだプログラムを通じて彼の動向を探っていたのでかなりのダメージを負っていたことは把握していたが、動きを見る限りではとくに問題はなさそうだ。この短時間で戦線復帰まで回復できるアーシアの神器を引き出すポテンシャルはこの段階でもかなりのものだとポラリスは舌を巻いた。
「頑張ってくれよ。おぬしの今後のためにも、妾達の計画のためにもな」
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「そっちは順調のようだな」
朱乃さんに連れられてアーシアさんの治療を受けたことで俺はとりあえず傷を癒し出血を止めた。決着もまだついていないためおちおち休んでいられず、そのまますっ飛んで行った信長を追うように俺たちは兵藤達のもとへ駆けよった。
「おうよ、木場の奴龍殺しの聖剣を作れるようになったんだぜ!」
「マジか」
「龍の手対策で使えるかと思ったけど想像以上の効果を発揮してくれたよ」
「へえ、それなら今度は適正なしでも使える聖剣を作れるようになってくれ」
「魔剣はともかく聖剣は厳しいかな…」
俺のリクエストに木場は苦笑いした。やはり聖剣だけはゼノヴィアのように因子がなければだめなのか。
「やはり裕斗はすごいわ。龍殺しだけじゃない、ジークを追い詰めたのはあなたの実力あってのものよ。贔屓目もあるかもしれないけど、十分若手トップクラスのレベルだと思うわ」
「…それだけじゃありません。やはり普段からトレーニングに付き合ってくれるイッセー君や深海君のおかげです。二人…みんながいるから僕はもっと強くなれる」
「おいおいそんな照れること言うなよ…」
部長さんが木場の進歩に感心していると真顔で木場がそんなことを言い出すものだから気恥ずかしくてならん。そういうのは本人のいない所でやってくれ。
「…さて」
話もほどほどに、相対するジークと信長を見据える。
「おいおい、もう勝った気でいるのか?」
「まだ僕たちは戦えるよ」
ジークも信長も傷を負いはしたもののまだ決定的なダメージにはなっておらず、戦意も弱まる気配がない。ならば、ここから必殺の一撃を叩きこむまで。
「いや、あなたたちはここで終わりだ」
「さあ、一気に決めるわよ!」
「はい!」
〈挿入歌:Evolvi’n Storm(仮面ライダーフォーゼ)〉
仲間の掛け声に合わせ、俺はヒーローズ・リインフォースメントの真髄を発揮する。
〔プライムチャージ!〕
トリガーのボタンを押すと、プライムチャージが発動。背後に輝かしい魔方陣が浮かび上がりヒーローズ・リインフォースメントの恩恵を受けている部長さんたちが持つそれぞれの武器に溢れんばかりの霊力が宿る。
〔ムサシ!エジソン!ノブナガ!オメガ・フォーメーション!〕
「行くわよ!」
「チェックメイトですわ」
最初に飛び出したのは部長さんと朱乃さん。翼を広げて空へ羽ばたくと信長とジークの周囲を取り囲むように旋回し、霊力の影響で威力が何倍にも増した銃撃をあらゆる角度、砲口から浴びせにかかる。
「喰らってやるかよ!」
無数に降り注ぐ滅びの弾丸。範囲を抑える代わりに何倍にも破壊力が濃縮された雷光。まともに喰らえば一溜まりもない自分たちの周囲に神器の力でドームを張ろうとする。しかし奴も度重なる攻撃で消耗しているのか、先ほどの攻撃と比べて明らかに生成速度が遅い。
しかしその間、ジークが信長を守る盾になっているため時間稼ぎには十分だ。あれだけの攻撃を受けてジークの体には少しも傷がついていない。信長の神器とどちらが頑丈だろうか。
「突っ込むぞ!」
雷光の光で乱反射を起こす美しいドームが形成される最中、兵藤と木場は激しい銃撃の嵐へと駆け出す。
何度か流れ弾がこっちに飛んでくるがムサシの見切りで躱していく。味方ながら恐ろしい攻撃だが、臆する時間はない。
そして二人は徐々に形成されゆくドームの中へ滑り込むように侵入する。
「何!!」
「はぁぁぁぁ!!」
まさかと驚くジーク。ドームの中は非常に狭く、入った時にはすでにジークと信長は間合いに入っている至近距離だ。
木場が霊力を帯びて刀身煌めく二振りの龍殺しの聖魔剣と背部のゴーストブレイドを炸裂させる。
「がふぁ!!」
強烈なダメージを負って態勢を大きく崩したジークが膝をつき、信長への道が開く。
「!!」
驚愕する信長。二人に対処するには一度ドームの形成を止めるしかない。しかしそれを止めれば今度は部長さんたちの銃撃に対処できなくなる。どちらを取るか、その判断を下すのに必要な時間は奴にとって致命的な隙となった。
「喰らえええええ!!」
そんな信長の顔面にトリアイナの『戦車』に昇格し、より重厚になった右ストレートが入る。さらに撃鉄も炸裂。バゴンという重い音と同時に拳を振り抜く。
「ごはっ!!?」
拳の威力で吹っ飛んだ信長は鼻血を噴きながら自らを囲むように形成されたドームに頭を強く打ち付ける。その衝撃で意識が数秒飛んだのか神器の能力が停止してドームの形成が止まり、やがてばらばらと無残に崩壊を始める。
二人にぶちかました勢いのまま即座にその場から逃げるように走り抜けるのを見届けると、今度は自分の番だとガンガンハンド 銃モードを取り出し、複数の英雄の能力を発動させる。
〔ノブナガ!〕
〔エジソン!〕
〔ロビンフッド!〕
「これで決まりだ」
ノブナガの能力が無数の銃口の幻影を作り出し、エジソンの能力で電撃を付与する。英雄の力を複合できるプライムスペクターの力を存分に使いトリガーを引き絞ると無数の銃口が痺れる電撃を帯びた矢を一斉に撃ち出す。
さらに部長さんや朱乃さんの攻撃もそこに加わり、360度逃げようのない広範囲からくまなく銃撃を浴びせた。
「くそがぁぁぁぁ!!」
俺たち三人の集中砲火はジークと信長、二人の英雄派の猛者を巻き込んだ大爆発を起こす。爆炎が高く立ち上り、駐車場を轟かす。
そして爆炎の中から俺目掛けて飛び出してきた四つの眼魂を俺たちは見逃さず、すべてキャッチした。
「ははっ、こいつは儲けたな」
〈挿入歌終了〉
手の中で転がすのはどれも見たことのない眼魂。間違いなく奴らが新たに生み出したものだろう。あとでしっかり調べさせてもらおうか。
「くっ…」
やがて爆炎が晴れると、無残にも全身血まみれでボロボロになった信長とジークがその姿を晒した。息も絶え絶えで英雄化と業魔人も解除されているようだ。それと同時に、木場たちに施したヒーローズ・リインフォースメントも消滅する。
「これは…」
「これ以上は…持たないか」
激戦が続いたことでそろそろ霊力が尽きかけているらしい。霊力は精神から生み出されるエネルギーだがその精神を支える肉体のコンディションも生成に必要な要素である。長期戦で疲労すれば瞬間的に生成される霊力は減り、変身の維持や戦闘に支障をきたすようになってしまう。
「…そうか。なら、これはどうかな?」
〈BGM:アンデッド(仮面ライダー剣)〉
そんなタイミングを見計らったようにジークが意味深に笑うと何かの合図を出す。
上空の空間がぐにゃりと歪む。まるで水面の波紋のような歪みから浮上するように出現したのは死神の大群だった。どの死神も手にした鎌を血に飢えたようにぎらつかせており、その数は100か数百はくだらないだろう。
「嘘だろ」
「この数はちょっと大変ですわね」
死神たちの出現した空を見上げる朱乃さんたちの表情は険しい。
全快時なら兵藤のドラゴンブラスターや俺のノブナガの一斉射撃、部長さんたちの魔力攻撃と言った広範囲攻撃を出せるためどうということはない。しかし流石の俺たちも消耗しており、あれを一掃できるくらいの攻撃を繰り出せる力は残っていない。
「ここまでうまく死神たちの攻撃を避けてきた君達でも今の疲労した状態でこの物量なら、寿命を根こそぎ刈り取ってくれるだろうね」
勝ち誇ったようにジーク達は笑っている。くそ、ここまで来てこれか…!
「だったら…」
そろそろ体がしんどいがやるしかない。意を決してプライムトリガーを操作し、三度目のヒーローズ・リインフォースメントを発動させる。
〔ムサシ!エジソン!ノブナガ!〕
「うっ!!?ごはっ!!」
しかし途中でドライバーから電撃が迸り、心臓の鼓動が強く脈打って視界がぐらつく。全身の力が抜けて変身も維持できなくなり、両膝をついて前のめりに倒れこんでしまう。同時に体の奥からこみあげてきた物を吐き出すと、真っ赤な血がアスファルトにしみこんでいった。
「深海君!?」
「深海!?どうした!?」
「仙術で誤魔化したツケが回り始めた…もう…限界だ」
俺の異変に心配した兵藤達が駆け寄る。仙術で曹操に負わされたダメージやヒーローズ・リインフォースメントの負担を一旦抑えていたが、今回の戦いで疲労が蓄積したことで一気に解放されてしまったようだ。悔しいが体に力が入らない、これ以上は戦えそうにない。
「そんな…」
「俺もドラゴンブラスターをもう撃てそうにねぇ。アレをどうにかする火力は出せないぞ…!」
いよいよ打つ手なしか。そう思った矢先のことだった。
「…ん?」
〈BGM終了〉
兵藤が突如としてあちこちに視線を泳がせ、困惑気味な声を漏らした。
「はぁ!?何を言って…」
酷く驚いた口調だ。もしや、神器に宿るドライグが何らかの打開策を見出したのか。だとすれば何を話しているのだろうか。
そう思った矢先、兵藤が唐突に空を見上げ、見るからに危険そうな死神と激しい戦いを繰り広げている先生に声をかけた。
「先生!大変だ!!」
「なんだよこんな時に!!こっちはお前らを援護する余裕なんてねえぞ!!…いや待て、このやり取り前にもあったような…」
「歴代所有者の先輩たちが、リアスの乳を次のステージに進めようとか言ってる!!」
…へ?
俺の思考は一瞬停止した。この状況で何をふざけたことを言っているのか。交戦している死神すらも動きを止めた。
それは先生も同じだったらしい。一拍置いて、先生は快哉を叫んだ。
「いよっしゃぁぁぁぁぁ!!来たぜ死神ども、英雄派共!!イッセー!今すぐ乳を揉め、つつけ、触れ!!俺たちだけの必勝パターンに突入したぞォォォォ!!!」
「…なんだって」
ジークに至っては戦慄を禁じ得ないといった顔をしていた。俺たちが起こしたおっぱいの奇跡はジーク達も耳にしているだろうし、何より一度京都で目撃している。当然、今度は何が起こるのかと警戒の度合いは最大限に引き上げられるだろう。
しかし乳を次のステージに、ねぇ…。いやそもそもおっぱいはおっぱいだし、ステージもレベルもないと思うのだが。やはり部長さんの胸は特異なモノなのか。
「リアス!あの、聞いてほしいことが…」
「…」
恐る恐ると、しかし強い決意を持ったように兵藤は部長さんに尋ねる。部長さんも今度は何を頼まれるのだろうと不安交じりの様子だ。
「そのおっぱいに…赤龍帝の力を譲渡してもいいですか?」
奴は至って真面目になんともばかげた提案を口にした。
なんでだよ。普通は攻撃に使う能力だろう。どうして攻撃もくそもない体の一部位にそれを使うのか。もっと違うものに譲渡しろ!例えば力尽きそうな俺とか!!
「…やっぱりわからないわ。どうして私の胸はいつもとてつもない現象を引き起こしてしまうのか。でも、この状況をどうにかできるなら、やって頂戴!!」
部長さんも少しは断る勇気を持とうよ!!もうそのセリフは慣れてる人のセリフなんだよ!!
本人から了承を得ると、早速兵藤は能力を発動させる。
〔Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!〕
「行きます!」
兵藤は両手の鎧だけを消すと、すっと部長さんのたわわな胸に手を添えた。なんだか見ているこっちが恥ずかしくなってきたし向こうも見られたくないはずなので俺と木場はそっと後ろを向いた。
〔Transfer!〕
「いやぁぁん!!」
籠手の音声が鳴ると同時に、部長さんが嬌声を上げた。戦場のど真ん中でやることではない。
言葉にするととてもあほらしい行為が、先生たちの予想通り奇跡を呼んだ。
「私の胸が…!」
〈挿入歌:Alteration(仮面ライダーウィザード)〉
そう、赤龍帝の力を譲渡された彼女の胸が温かな紅い光を放ちだしたのだ。
〔Bust!Bust!Bust!Bust!Bust!Bust!〕
そして兵藤の籠手からは聞いたことのない音声が壊れたように鳴り響く。これ、ドライグが言ってるの?
さらに部長さんの胸から光が兵藤目掛けて放たれ、優しく包み込んでいく。全身に浴びるオーラの効果に
兵藤は驚いた。
「オーラが…回復してくぞ!」
「なに!?」
これ以上にないタイミングで起きた奇跡が、これ以上にない効果を生む。まるで意味が分からんぞ!なんで胸から出たビームでオーラが回復する?もしかして赤龍帝の譲渡の能力が部長さんの胸に宿ったのか!?
「…よし、これなら」
〔Change Fang Blast!〕
早速兵藤は背中に『僧侶』のキャノン砲を出現させ、すぐに赤いオーラを収束させていく砲口を死神の大群へ向けた。
「ドラゴンブラスターだぁぁぁぁ!!」
震動が地面を揺らし、地にはいつくばっている俺の体にダイレクトに伝わってくる。
二門の砲口から飛び出した赤い彗星はすぐに死神の群れに着弾して多くの死神を巻き込んで爆発を起こし、命を刈り取る神々の群れに大きな穴を開けた。
「心なしか普段よりも火力が出ている気がするよ」
「でもまだ残ってるわ…!」
敵の勢いが収まる気配はない。だが乳の輝きも収まらない。またも部長さんの胸から光が兵藤に照射され、籠手から奇妙な音声が鳴り響く。
〔Bust!Bust!Bust!Bust!Bust!Bust!〕
「またオーラが回復したぞ!!」
間髪入れずに再びドラゴンブラスターのチャージを開始、そのまま照射し多くの死神が吹き飛んで行った。
「フェーズ3だ!リアス、今のお前は『紅髪の魔乳姫《クリムゾン・バスト・プリンセス》』!その技の名は『おっぱいビーム』!いやもうちょっと捻るなら…『おっぱいバッテリー』だ!お前の乳は新たな境地を切り開いたぞ!」
先生もこの奇妙な現象に興奮を抑えられないと言わんばかりに叫ぶ。なんてひどい名前だろう。そろそろ本人に訴えられてもおかしくないぞ、というかこの際一度訴えられてしまえ。
「なんだあの出鱈目加減はぁ!?このままじゃ死神どもが全滅だ!!結界の維持も危ないぞ!!」
「京都の時では召喚に応じ、今度は赤龍帝のオーラを回復した…。一体あの胸は何者なんだ?いやそうか!やはり奴らの中で最も恐ろしいのはオーフィスでもアザゼルでもない、赤龍帝とリアス・グレモリーのコンビだ!あの胸がある限り、何度でも予測不可能の奇跡は起こる!!」
ジークは真面目にあの現象を分析するのやめろ。多分理屈が狂いすぎてて頭がおかしくなるぞ。
〔Bust!Bust!Bust!Bust!Bust!Bust!〕
そうする間にも籠手はおかしな音声を鳴らし続けて再びオーラが回復し、ドラゴンブラスターを放つ。
「もう、イッセーが強くなるなら私は赤龍帝の強化アイテムにしてもいいわ」
「そ、そんなこと言わないでください!リアスのおっぱいがアイテムだなんて…!!」
「いいの、あなたを助けられるならなんだっていいわ。これもきっと、あなたを助けたい思いが起こした奇跡なのね」
部長さん、あんたが諦めたらすべてが終わってしまうんだ。どうか諦めないでくれ、あんたは俺たちの『王』なんだよ、決してバッテリーじゃないんだよ!
「死神どもぉ!!あの二人を止めろォ!!」
これ以上は看過できないと信長が叫ぶ。それに応じて死神たちが俺たちの後ろに回り込んで攻撃せんと突撃をかけるも。
「やらせないよ!」
死神の鎌を木場が聖魔剣で受け止めた。兵藤の奇跡を全力でフォローするつもりだ。
「二人の邪魔をしようなんて無粋な死神には、お仕置きですわ」
回り込んで背後から兵藤を討たんとする死神を朱乃さんの雷光が焼き尽くす。
いい流れが来ている。恐らくジークは俺らの邪魔をできるほどの余力はないし、信長も今の力では木場を突破するのは困難だろう。ゲオルクも結界の維持で手一杯なのかこっちに手を出す様子はない。
この奇跡が無限に続くのかは知らないが見たところまだまだいけそうだ。このまま砲撃を連打すれば、勝てる。死神を一掃し、装置を破壊してそのまま脱出へとこぎつける。
「あぁぁぁぁぁ!!?リアスの胸が…!!」
しかし砲撃が続く中、兵藤が突如ひどく悲しい悲鳴を上げた。
「おいどうし…!?」
何事かと思い、憚られる気持ちがありながらも部長さんの胸へ視線を走らせる。するとどうしたことか、彼女の巨乳が普段の半分ほどのサイズに小さくなってしまっているではないか。今の彼女は、己の乳の生気を引き換えに兵藤に力を注いでいるというのか。
「これがこの現象の代償なのね…でもこのサイズならまだやれるわ」
「いやだ!やめてください!!このままじゃリアスのおっぱいが…なくなってしまう!!」
砲撃のチャージを続けながらも兵藤は大粒の涙を流して懇願する。おっぱい魔人のあいつにとって豊かな胸が風船のように縮んでいく様を見るのはどれほど痛ましい光景だろう。
「大丈夫よ。寝たら治るくらいの一時的なだけかもしれないわ」
「それでも俺は…!愛する人の乳が縮んでいく様をッ!!見たくないッ!!」
気丈に振舞う彼女に兵藤はぶんぶんと首を横に振る。確かに俺もゼノヴィアのあの胸が縮んでいくのは嫌だなぁ…。
「ありがとう。でもこれでいいのよイッセー。あなたと共に戦えるならなんだってできるわ…!イッセー、あなたを愛してる…!!」
「うぅ…!俺も愛してます!リアス!!」
「イッセー!!」
「リアス!!」
二人の愛の高まりに応じるように乳の輝きはさらに増し、兵藤にどんどんオーラを注いでいく。そして注がれたオーラはドラゴンブラスターとなって炸裂する。互いに心の通じ合った二人は完全に二人だけの世界に入り込んでいた。
あまり人のことは言えないけど、ごく身近でそれを見せられる俺の気持にもなってくれ。戦場でバカップルするのやめろ。
「教えてくれ、俺はどういう気持ちでこれを眺めたらいいんだ」
「とめろォォォォォォォォ!!このままだと本当に乳の力で全滅してしまう!!!」
「くそ…業魔人の反動か知らないがしばらく神器が使えそうにねぇ…」
俺が困惑する一方で英雄派は阿鼻叫喚の様相を呈していた。いよいよジークが狼狽も露わに全力で叫ぶ。
力尽きた今の俺にはどこにも関与できる余地はない。アーシアさんにもどうすることもできない。ただ俺はこのまま傍観するだけだ。
「イッセー!」
「リアス!」
「止めろぉぉ!!!」
愛を高め合う二人。繰り返し放たれる赤い砲撃。叫ぶ英雄派。状況はまさしく混沌そのもの。
「…俺にも力を分けてくれー」
俺もゼノヴィアのおっぱいを戦闘中に揉めばパワーアップできるだろうか。一度真面目に考えた方がいいかもしれない。
〈挿入歌終了〉
久しぶりにカウント・ジ・アイコンが変動します。何の眼魂が増えるのか、お楽しみに。
次回、「リベンジ・オブ・ベルゼブブ」