ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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悠河VS信長、決戦の始まりです。

大変遅ればせながらD×D DX7巻を読みました。
ヴァーリの強化が入るならやはり初代の特性の発現でしょうかね。それに初代アスモデウスって時間を操る特性だったりする…?

Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
2.エジソン
3.ロビンフッド
4.ニュートン
6.ベートーベン
7.ベンケイ
9. リョウマ
10.ヒミコ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
23.コロンブス
31.ライト
41.シグルド
42.ユキムラ
44.ハンゾウ


第156話「六天に瞬く綺羅星」

「ポラリス様、悠河が信長と戦闘を開始しました」

 

レジスタンスの拠点、NOAHの一角にある更衣室。ポラリスが着慣れた気品ある黒服をせっせと着替えているさなかにイレブンの淡々とした報告が入った。対するポラリスは何ら動揺の色をその端正な顔に浮かべることなく、着替えを続けていく。

 

「やはり動いてきたか。恐らく敵は兵藤一誠の件で焦っているであろう、となればせめて悠だけでもと考えるじゃろうな」

 

「…彼に加勢されないのですか?」

 

「妾達が加勢すべきは別にある。何、悠なら奴に勝てるじゃろうて」

 

「まだ敵の能力の突破口を編み出したという情報はありません。それでも勝てると?」

 

「うむ。あ奴を何だと思っておる?」

 

口角を吊り上げ、不敵な笑みをこの世の誰よりも信用する部下に見せるポラリス。

 

「この妾が、未知なる運命を生み出すと認めたイレギュラーじゃ。妹奪還の目的を果たせず、むざむざ敗北し死ぬような簡単な男ではあるまい」

 

ポラリスが悠河に抱く感情は二つ。

信頼と期待だ。

 

信頼とは過去と今の実績。同じ趣味を持つものとして育んだ友情的信頼。これまでの強敵との激戦を乗り越え更なる力と精神的な強さを手にした彼への信頼だ。いついかなる時も友と共に立ち上がり、強敵を打ち破って来た彼なら、今回も乗り越えられると確信している。

 

期待とは未来への希望。ポラリス達が将来的に見据えるディンギルとの全面戦争に向け、彼にはこれから起こる障害をグレモリー眷属と共に乗り越えてほしいという願いだ。彼が未来を予知できるウリエルにすら未知であるがゆえにその期待値は高い。

 

「それに、この局面を乗り越えてもらわねば妾の要求する強さには届くまい。妾はあくまで見守るだけじゃ」

 

そしてその期待を現実のものにするために時に彼に助言を与えたり特訓をつけ、また時には一歩身を引き自力での困難の打破を促す。それこそが悠自身のためにもなり、自分の利にもなると彼女は信じているからだ。

 

「…わかりました。例の準備を進めましょう」

 

彼女に絶対の忠を捧げるイレブンはこれ以上の言葉は不要と部屋を去る。一人になった更衣室でポラリスはロッカー奥に綺麗に折りたたまれたそれに視線をやる。

 

「まさか妾たちがあれを使うことになろうとはのう」

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

 

 

暗雲漂う空、周囲に散らばる砕けた瓦礫。淀んだ空気の中で奴の鎧は曇りなき光明のように輝いている。

 

「砕かれざる綺羅星の宝鎧、か…」

 

奴の禁手の名を舌で確かめるように転ばせる。アンブレイカブル、なんていかにも硬さに自信があると言わんばかりの自己主張の強い名前だ。

 

「どうした、怖気づいたか?」

 

「いや、お前の禁手がどういう変化をするのか予想ができなくてな。案外シンプルなもんだから呆気にとられただけだ」

 

元々奴の神器は戦闘向けではないとされていた。そんな神器が戦士に宿り禁手に至ったときどのような能力になるのかアザゼル先生も予想が難しいと言っていたが、

 

「そうかよ。俺の禁手がどうだろうと、お前と戦うのはこれで最後だ。この輝きを目に焼き付けてあの世に逝きな!!」

 

戦いの始まりはいつだって突然だ。信長ががちゃがちゃと鎧のこすれる音を立てながらこちらに颯爽と走って来る。スピードは変化なし、十分対応できる速度だ。ならば対処は容易い。

 

「ふん」

 

鼻を鳴らし、こちらは斥力フィールドを発生。信長を木っ端のごとく吹き飛ばし返り討ちにしてやろうとするが。

 

「そう来ると思ったぜ」

 

信長は光のマントを翻し瞬時に前方に鉱物の壁を地面から生成。襲い来る斥力に対抗する盾にしその身を隠した。明らかに禁手前と比較して生成速度が上がっている。

 

「!」

 

煌めく宝壁が斥力から信長を守る縦になっている。

 

このままフィールドを浴びせ続けても破壊できるわけではない。埒が明かないとフィールドをひっこめた隙に信長が前転しながら壁から飛び出し、再び駆け出す。今度こそと再び斥力を放つがまたも壁を生み出して阻まれてしまう。

 

「その能力、厄介だが攻撃が単調だしどっちの手から引力か、斥力が出るのか覚えてしまえばどうということはないな!」

 

「…!」

 

今まで思いもしなかった指摘をされた俺の心に動揺が走る。引力と斥力を生み出すニュートン魂の能力。

 

「付け加えるなら、その『手を前に突き出すモーション』で攻撃の方向もタイミングもバレバレだなァ!」

 

耳が痛い指摘を吐きながら俺の攻撃のことごとくを避けてついに信長が間合いに入り込む。反撃のために今度こそと斥力を放とうと手を突き出すも裏拳をぶつけられて軌道を逸らされてしまい、奴は眩い剣閃を俺の胴に叩き込む。

 

「く!」

 

「もう一発!」

 

追い打ちにと左拳に分厚い籠手を生成し、それをなんと俺のドライバーに打ち込んだ。

 

「何!?がっ!!?」

 

がごんと強い衝撃に晒されたドライバーはバチバチとスパークを起こし、内部に収められていたニュートン眼魂を強制的に排出してしまった。

 

「くっ…しまっ!」

 

「はん」

 

通常のスペクター魂に戻ってしまった身で空中に躍り出たそれに手を伸ばすも、即座に跳躍した信長にキャッチされその手中に収められてしまった。

 

「まずは一つ。この調子で全部頂くぜ」

 

ぽんぽんと眼魂で弄ぶように宙に軽く放ってはキャッチする信長。まるで俺に見せつけるかのようだ。

このままじゃ眼魂を次々に奪われておしまいだ。

 

「これ以上奪わせるか!」

 

〔ソウル・レゾナンス!〕

 

〔アーイ!ヒーローズ・ライジング!バッチリミロー!バッチリミロー!〕

 

迷わずプライムトリガーを発動しドライバーに装着。9体の英雄のパーカーゴーストが続々と出現し信長に牽制を兼ねて襲い掛かるが、それらすべて奴は刀捌きでいなしきる。

 

〔カイガン!プライムスペクター!英雄!裂空!勇壮!激闘!ブレイヴ・イグニッション!〕

 

「来やがったか、ならもう一段階ギアを上げてやらぁ」

 

鎧に覆われ奴の表情は見えないが、その昂った声は闘志にぎらついた表情を容易にイメージさせる。

 

「六天魔装、壱ノ輝!」

 

虚空を握る信長。その手に光の粒が集まり、やがて輝かしい宝石で構成された刀に変じる。元々携えていた刀と合わせ、二刀流となった信長の剣先の煌めきが獰猛な獣の眼光のように俺を貫いた。

 

向こうが二刀流というならこちらも。

 

〔ムサシ!エジソン!ヒミコ!〕

 

三人の偉人の力が発動。雷と炎を宿すガンガンセイバー 二刀流モードを携えムサシの力で精神を剣豪の境地に至らしめる。

 

研ぎ澄まされる感覚。敵を真っすぐ見据えた。俺は腰を低くしつつ、一気に馳せる。

 

〈BGM:MASURAO(機動戦士ガンダムOO)〉

 

〔ロビンフッド!〕

 

踏み込み剣を薙ぐ瞬間。ロビンフッドの能力が発動して信長を取り囲むように5体の分身が出現する。

 

霊力で作り出した実態ある短い制限時間付きの分身。連携して共に攻撃を繰り出すこともできるが、霊力の消費が英友装に次いで激しいのが欠点だ。もっと眼魂があれば数を増やせたが、ないものねだりしても仕方ない。

 

「!」

 

分身と同時、六方向から魔を滅却する炎と迸る雷を帯びた剣が信長に降りかかる。

 

ガキン!

 

刀と剣がぶつかり合い、耳を突き刺すように甲高い金属音が鳴り響く。

 

「動きは鈍重、だが!」

 

分身の剣は確かに信長の鎧に叩きつけられている。だが叩きつけただけで中身ごと斬るには至っていない。

 

「それを補うには余りある防御力!当然、禁手前より硬度は増している!」

 

刹那、分身を地面からずんと突き出た石柱が串刺しにする。突然の攻撃に反応することさえできず、胴に大穴を開けられた分身はあえなく元の霊力の光となって大気に霧散した。

 

「!」

 

その光景に危険を感じた俺は咄嗟に飛び退りながら霊力の斬撃を飛ばす。空を切り迫るそれを受けたのは信長ではなく、俺がさっきまでいた位置から勢いよく突き出た石柱だった。少しでも判断が遅れていれば重傷は避けられなかっただろう。

 

「どうした、ビビったか?」

 

「…安い挑発だな」

 

戦局の主導権を握る信長は余裕を態度に表すように人差し指をくいっと動かす。防御を太刀打ちできない俺の焦りを加速させようとする見え透いた言葉だ。

 

「さて…どう攻めるか」

 

難攻不落の相手を前に、戦いで昂る脳を回転させて策を考える。

 

奴の絶対防御は健在、いやそれ以上のものに進化している。恐らく遠距離攻撃はほぼ効かないと考えて間違いない。かといって近距離攻撃も効くかと言われたらさっきの攻撃を受けて傷一つ付けられないからそうでもない。

 

「そうだよな、お前に俺の防御は破れねえ。攻撃が効かない相手が一番戦っていて怖いよな?」

 

信長の言う通り、奴は俺の一切の攻撃でダメージを受けない。銃で撃とうが、剣で切ろうが、奴はそのすべてを弾く。

 

…弾く、弾くか。なら、弾けない攻撃ならどうなる?

 

もしかすると、いい手を思いついたかもしれない。むしろこれなら奴にダメージを与えられるのではないか?

 

「だからこっちから攻めてやるよ!!」

 

果敢にも信長は石礫を飛ばしながら迫って来る。奴の動きには一切の恐れもこちらへの警戒もない。

俺と剣を交えたくて仕方ない、戦いへの欲求以外の感情の余地などまるでないようだ。

 

「!」

 

荒々しくも的確に振るわれる宝刀を剣で防ぐ。互いのパワーがぶつかり、こすれあう激しい鍔迫り合いにこちらも歯を食いしばる。

 

キン!

 

「はぁっ!」

 

「くっ!」

 

剣戟に次ぐ剣戟。奴の性格をそのまま反映したような攻撃的な剣。悪くない筋だ、だが木場には及ばない。

あいつのセンスと研鑽が融合した剣に比べれば、恐れるに足りない。

 

剣の軌道を見切り、受け、弾く。そのたびに生まれる火花が戦いを彩った。ここぞというタイミング、俺は奴の剣に思いっきり俺の剣をぶつけて軌道を強引に逸らす。生まれた隙に片手の剣を頭上に放って信長の腕をグイっと掴んだ。

 

「何!?」

 

「ふん!!」

 

そして勢いよく一本背負い。眩い鎧をまとった信長の体を思いっきり地面に叩きつけた。その昔、ライザー戦に向けた合宿の時に塔城さんから教わった技だ。

 

戦車のパワーで強引に相手をねじ伏せるのがその時の塔城さんの戦闘スタイルだったが、彼女は柔よく剛を制すこともまた心得ていた。まさか、ここでこの技が大いに

 

「ごは」

 

背を強く打ち付けた信長は息を吐き出す。その追撃で俺は奴を蹴りつけるが。

 

「硬ッ!!痛ってぇ!!」

 

カツーン!という子気味いい音が響く。スーツを通り越してくる鋭い衝撃で反射的に俺は信長から足を引っ込めた。あまりの固さに逆にこちらの足が砕けるところだった。

 

それならと今度は関節技ならどうかと奴に組み付こうとするが、すぐさま奴は体を転がして俺から距離を取った。

 

「くっそ…その手の攻撃を思いついてくるのはラディウスと曹操に続いて三人目だ」

 

「お前は一切の攻撃を弾くんだろう?なら、弾けない攻撃を繰り出せばいい。例えばさっきの一本背負いや関節技みたいな攻撃でな」

 

空に放って落下してくるガンガンセイバーの一振りをノールックでキャッチし、さっきのニュートン魂の意趣返しと言わんばかりに指摘してやる。

 

直接的な攻撃が効かない以上、攻め手は奴に間接的にダメージを与える方法に限られてくる。今の俺ではそれに類される攻撃手段は限られてるし、オメガドライブで増幅した霊力をキックや斬撃に乗せてぶつけるような決め手には遠いが、それでも何もできないよりはましだ。

 

少しばかりだが、希望の光が見えた気がする。この強敵を倒す可能性が。

 

「はん、だったらこっちも遠距離攻撃で攻めりゃいい」

 

だが奴はそれを無情にも壊さんとする。ばっと右手を天に掲げた。

 

「六天魔装、弐ノ輝」

 

次に生み出されたのは軍配だ。刀に続いて軍配という武将が用いるイメージはあれど直接的な戦闘に用いられるイメージがない物のチョイスに若干の戸惑いを覚えた。

 

「そらぁ!」

 

信長はそれを勢いよく振ると、たちまちに輝く突風が吹き荒れた。広範囲に渡る攻撃に胸に沸いた戸惑いもあっという間に消え失せる。

 

反応と足がやや遅れて風に飲み込まれるが、風自体はこの身体能力でこらえきれないほどのものじゃない。

しかし動きを鈍らせるには十分な強風。

 

全身から霊力を発して一息で突風を払おうとした矢先だった。

 

ずがががががが!!!

 

「…!?」

 

全身に何か小さなものがこつけられるかのような衝撃を受ける。それの何十、何百、何千という回数を絶え間なく襲ってくるのだ。

 

「突風に宝石の刃を乗せているのか!」

 

「そうだ!変身していて正解だったな、さもなきゃお前は今頃原形を留めていないくらい無残になってたぜ!」

 

両の拳に大きな拳型の鉱石を生み出した信長が勢いよく拳を突き出す。その勢いに従うがごとく拳型の鉱石は発射され、さながらロケットパンチのごとく俺に炸裂した。

 

「ごあっ!?」

 

純粋な質量の暴力に押され、のけぞり倒れこむ。

 

「六天魔装、肆ノ輝」

 

追い打ちをかけるような宣言と発動は同時だった。信長の傍らにみしみしと大きな鉱石が生成され、鉱石は

誰の手も加えられていないのに砕かれ、研磨され、一つの形を成していく。

 

「これは…」

 

信長のマント同様に光の粒子を放出するたてがみと尾、細いながらも力強さと気品を感じる四本足、ごつごつしていながらも本物さながらの流麗なシルエット。壮麗なる宝石でできた白馬が誕生した。

 

「馬だと…!?」

 

「よっと」

 

驚く俺をよそに軽々と跳躍した信長は馬の背にまたがる。

 

「戦国の合戦といえば馬だろう?」

 

〈BGM終了〉




ぶっちゃけると信長の禁手はウィザード インフィニティースタイルの速くないVerといっても過言ではないです。

次回、「終ノ輝」
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