ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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今気づいたけど何故か呂布眼魂の番号が57になっていました。正解は50です。過去回分も修正しています。

実は15の眼魂は使用回数をカウントしてます。どの回で使ったかも記録していて、悠河が持ってる眼魂でこれしばらく使われてないなー、使用回数少ないなーって言うのがあったらそれを優先させたりします。

Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
2.エジソン
3.ロビンフッド
4.ニュートン
5.ビリー・ザ・キッド
6.ベートーベン
7.ベンケイ
9.リョウマ
10.ヒミコ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
13.フーディーニ
23.コロンブス
31.ライト
40.ジャンヌ
41.シグルド
42.ユキムラ
43.ゲオルク
44.ハンゾウ
46.ノーベル
49.曹操
50.呂布


第176話「狂った翼」

『悠、おぬしに一か月の猶予をやろう。来月、10月末までじゃ。その間におぬしがアルルを対処できなければ、妾達は容赦なく彼女ごと奴を消す』

 

レジスタンスの目的を知らされたあの日、ポラリスさんに提示されたリミット。残すところ1週間を切るも一向に相対することができずにいた。

 

しかし、俺が求め続けた絶好の機会が、今舞い込んできた。

 

「…」

 

「深海君、落ち着いて。迂闊に飛び出すのは危険よ」

 

はやる俺の内心を察したように朱乃さんが止めてくれる。

 

「…わかってます」

 

迂闊な行動が命取りになるのはこれまでの戦いで分かっている。それに、初めて見る二人の黒ローブの男もいる。そいつらの能力も実力もわからない現状、より慎重に行動しなければならない。

 

「あなたは信長を相手に尻尾巻いて逃げたと聞いているわ、アンドロマリウス」

 

アルルの隣に立つのはすかした表情の眼鏡の男。何度も俺の前に立ちはだかって来た因縁の敵、アルギス・アンドロマリウスだ。アルルを裏切った信長と交戦し、命がけの攻撃で撃退したのだが、

 

「ええ、お陰様で酷い目に遭いましたよ。右腕右脚が消し炭になりましたが、アルル様のお力でこの通り」

 

ローブの袖をまくると、傷一つない白肌が露になった。…信長の最後の攻撃だというのに、傷一つすら残せないのか。

 

「私たちがサイラオーグと戦っている最中にもちょっかいを掛けてくれたそうね」

 

「あれは試合で弱った兵藤一誠を暗殺できればと思いまして。それを見越したラファエルが強化した結界のセキュリティに阻まれてしまいましたがね。かわいいちびっこに人気のおっぱいドラゴンが無様に死ぬ光景を悪魔の子供たちに電波に乗せて届けたかったのですが、まあ残念」

 

アルギスに問い詰める部長さん。野郎の前半の目的は知っていたが、内心そんな下衆いことまで考えていたとはな。

 

俺に同調するようにゼノヴィアが冷たく吐き捨てた。

 

「下衆だな。お前の発想には反吐が出るよ」

 

「下衆で結構、私は悪魔ですが悪魔という種と悪魔社会が嫌いでしてね。悪魔であるあなたを不快にできたなら満足ですよ」

 

「貴様!!」

 

悪びれもしないアルギスの態度にとうとうゼノヴィアの堪忍袋の緒が切れた。エクスデュランダルを持ち出すが、紫藤さんが手を掴んで必死に制止する。

 

「ダメよゼノヴィア!」

 

「奴の思うつぼだ!」

 

「くっ…」

 

紫藤さんと木場の制止により、どうにかクールダウンする。

 

「そこまでにしておけ、アルギス」

 

「はっ、失礼しました」

 

向こうも主の一言で矛を収めると、代わりに主たるアルルが俺達に手を伸ばす。

 

「…さて、単刀直入に言おう、眼魂を全て渡せ」

 

「そんな要求が通るわけねえだろ!」

 

「だったらこっちも単刀直入に言う、とっとと俺の妹を返せ」

 

「無駄だ。既に魂は深淵に沈んだ。いくら呼びかけようとも帰らぬ。前の戦いのように、我の体を動かすこともない」

 

「…」

 

…そんなことは信じない、信じてたまるか。こいつは知らないだろう、兵藤の乳技の可能性を。九重のお母さんの心を呼び覚ますことだってできたのだ。グレートレッドとオーフィスの力を得て、あの時よりも強くなったこいつなら沈んだ魂を引っ張り上げることができるはず。

 

とん。アザゼル先生は俺の肩に手を置くと、前に出た。

 

「アジトが危ねえかもしれないって時に自分からしゃしゃり出るとはな」

 

「隠す必要もほぼ失せたということだ。暴きたければ暴くがいい。貴様らがどう動こうとも、神域と竜域との接続は止められん」

 

「どういうことだ」

 

「既に我の計画は最終段階に入ったと言っているのだ。二つの世界は繋がり、真なる力を取り戻した神々が降臨する。我らの伏虎の時は終わりを迎える」

 

「そうか、なら遠慮なく特定して叩かせてもらうぜ。ガイウスが口を割るのも時間の問題だからな」

 

「そう上手くいくといいがな」

 

英雄派と絡んだりで表立った動きがないと思えばそこまでの動きを…。もっと本腰入れて奴らの動向を探っておくべきだった。

 

「あなたに一つ訊きたいことがあるわ。あなた達が世界を滅ぼす理由は何?一体何があなた達を突き動かすの?」

 

「理由、強いて言うならそれが至高の方々の意志だからだ。その他に理由など不要」

 

「至高の方々?」

 

「遍く真なる神を統べる二柱…『裁決』と『氾慄』は竜域の滅亡を強く望まれている。先の戦争で殲滅の機を逃した我ら自身の雪辱を注ぐためにも、竜域は滅ぼす。…これ以上貴様らの話に付き合う義理はない。命も眼魂も全て頂く」

 

アルルは会話の終わりを告げるがごとく、腕に装着されたメガウルオウダーを見せた。

 

『裁決』と『氾慄』。この二柱の神がディンギルの元締めか。そのどちらかがポラリスさんのいうアヌという神なんだろう。こいつらさえ倒せば、ウリエルさんが見た破滅の未来も止められるんだな。

 

倒すべき真の敵は見えた。だが今は。

 

「悠」

 

「ああ、こいつだけは俺が…!!」

 

アルルをぶちのめし、凜を助け出す。そのために俺は戦ってきた!

 

「私が憎いか。私も不穏因子である貴様を潰したくてたまらない」

 

「引導を渡して差し上げますよ」

 

〈挿入歌:Wish in the dark(仮面ライダーエグゼイド)〉

 

〔STAND-BY〕〔YES-SIR〕〔LOADING〕

 

ネクロム眼魂を起動させるアルル。メガウルオウダーのスロットに差し込み、本体を起き上がらせると、横部のスイッチを押す。

 

〔アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!〕

 

並ぶアルギスもダークゴースト眼魂を起動させるとドライバーに差し込み、変身待機状態に入る。

 

オウダー本体とドライバーから出現した二体のパーカーゴースト。フード部の暗闇に怪しい光がともる。

 

「「変身」」

 

〔TENGAN!NECROM!MEGAULORDE!CRASH THE INVADOR!〕

 

〔カイガン!ダークライダー!闇の力!悪い奴ら!〕

 

神器から解き放たれた霊力を強化スーツとしてマテリアライズし身にまとい、さらにその上からパーカーゴーストが覆い被さり変身完了した。

 

仮面ライダーネクロムに仮面ライダーダークゴースト。敵ライダーの同時変身は普段ならワクワクするところだが、現実はそう楽観的にはいかない。

 

「前座だ」

 

一声で地面が次々に盛り上がり、細腕細足の等身大サイズの土人形達が這い出生まれる。姿かたちは同じだが、獲物はファルシオン、メイス、シャムシールと様々で同じ獲物を持った個体はいない。

 

「そっちから来てくれて手間が省ける…!ここでお前を倒す!」

 

〔アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!〕

 

右に広げた手を握り、顔の近くへ持ってくるいつもの変身ポーズと共に、力強くその言葉を発す。

 

「変身!」

 

〔カイガン!ムサシ!決闘!ズバッと!超剣豪!〕

 

ムサシ魂に変身してオーラを感じ取れるようになったことでわかった。一体一体が放つオーラはあの時の数倍以上に跳ね上がっている。

 

当然、本体のアルル自身が放つ気配も。最初に戦った時とは比べ物にならない。ざっと見た感じ、ロキに匹敵するレベルだ。あの時奪ったユグドラシルの欠片が関係しているのか?

 

「ぶっちゃけ目算でもアルルは曹操以上だ、初顔の連中にアルギスもどんな眼魂を持ってるかわからん!お前ら、慎重に…」

 

「押し通る!!」

 

「深海君、待ちなさい!」

 

勢いよく飛び出した俺は二振りの刀を携え、群れの中へ突入する。ガンガンセイバー二刀流モードに加え背部のゴーストブレイドの計4つの刃で巧みに鈍重な攻撃を捌き、ひたすらに突き進む。

 

「はっ」

 

前方に立つ土人形、頭部から流麗に一線、真っ二つにする。続く後方からのメイスの一撃をゴーストブレイドで弾き返し、体をひねって回転。勢いをつけた斬閃で切り刻む。

 

「はぁぁっ!!」

 

切る斬る断つ削ぐ薙ぐ突く。土人形の残骸を増やしながら猛進。ムサシ眼魂から得られるあらゆる剣技を駆使して立ち回るが、敵の数は多く対処に気を取られ、次第に前進の勢いは鈍っていく。敵は物量で押しつぶそうとしてくる。切っても切っても次から次に湧いてくる、このままでは…。

 

「深海君!」

 

叫び。俺の焦りを切り裂くがごとく、横合いから飛び出した甲冑の騎士と一人の勇敢な『騎士』が前方の土人形を切り裂いた。

 

「木場か!」

 

「相も変わらず無茶が好きだね、君は!」

 

聖魔剣を握る木場とそれに並ぶ竜騎士たちだった。いつもと得物が違う。6体いる竜騎士の内4体は聖剣ではなくジークが使っていた魔剣を握っている。それぞれが不吉なオーラを漂わせながらも絶大な破壊力で土人形を粉砕していく。

 

俺の隣に現れた土人形も地面から突き出た太い氷柱に貫かれ、ドリルのように唸るオーラを滾らせる突きで粉みじんに砕かれた。流石は伝説の魔剣、本体が握らずとも相当なパワーだ。こんな魔剣を一人で使いこなしていたジークの恐ろしさを改めて実感した。

 

「…悪い、少し熱くなり過ぎた」

 

木場がいなければ危ういところだった。散々周りが注意を喚起し、俺自身も戒めたはずなのに戦いが始まるとなると熱くなってしまった。

 

「大丈夫、君のやりたいことはわかってるよ。ここは僕たちが引き受ける!」

 

「お前…!」

 

チームワークを乱した俺に木場は責めもせず、俺の意志を尊重してくれた。その優しさがかえって胸に刺さって一層申し訳ない気分だ。あとで皆にも平謝りしなければ。

 

そして、援護は木場だけでは終わらない。

 

「私たちも手伝いますわ!」

 

「行け、深海!」

 

雷光や滅びの魔力が戦場を駆け抜け、土人形達を次々に貫く。土人形の武器と聖剣が何度もぶつかり合い、皆、俺の思いを汲み取って道を切り開いてくれている。

 

「僕たちが君がアルルとの戦いに持ち込めるようサポートする。行くんだ!」

 

「妹を救うんだろう!行け!!」

 

「ありがとうっ…!」

 

仲間たちの好意には感謝してもしきれないくらいだ。噛み締めるように礼を言うと土人形を任せ、俺は本命の下へ駆け抜ける。

 

「行かせませんよ」

 

主を守るべくすっとアルギスが前に出るが、すかさず兵藤がタックルを決めてどかす。

 

「こいつ!」

 

「それはこっちの台詞だ!深海、こいつを片付けてすぐ戻る!」

 

バーニアを吹かし、俺から距離を離していく。ナイスすぎるアシストだ。心の中でサムズアップを送り、俺はようやく辿り着く。

 

「…」

 

〔カイガン!エジソン!エレキ!ひらめき!発明王!〕

 

俺の接近を許してなおアルルは悠然たる立ち姿を崩さない。そんな奴に飛び掛かり、開幕早々に放ったのは雷を帯びた拳打。

 

奴の能力は液状化、ならば相性のいい電気攻撃のできるエジソン魂で立ち回る。ポラリスさんから提示された残り少ない時間でようやく向こうから現れてくれたのだ。このチャンス、死んでも逃すわけにはいかない。

 

「狙いが透けて見える」

 

拳を掴み寄せると反撃に素早い拳の連打を顔に叩き込まれる。俺の目や鼻など急所を的確に狙ってきやがる。変身していなければ顔の至る所がひん曲がっていたことだろう。

 

「がぶっ…離すなよ!」

 

「!」

 

ちかちかする視界。それでも狙うべき相手はわかる。密着した状態を利用し、全身から電撃を放出し浴びせる。回避のしようもなく眩く電撃に打たれたネクロムは飛び退って俺から距離を取るのだった。

 

これで電気を帯び、奴の液状化は一時は封じることができたはず。

 

俺から離れたネクロムは電撃で焼けたパーカーをぱしぱしと払う動作を見せる。

 

「…液状化を潰したところで、貴様に勝機はない」

 

「まだまだぁ!」

 

エジソンの力はそれだけには終わらない。全身から放出した電撃を利用して生体電流を活性化。大地を踏みしめて再度接近すると、向上した身体能力を利用して高速の拳打、蹴激の嵐を放つ。

 

「はぁぁぁぁぁッ!!!」

 

「激しいな」

 

一発一発に魂を込めた全力の攻撃、しかし奴は踊り子のような滑らかで軽やかなステップを踏んで後退しながら全てを回避してしまう。まるで俺の攻撃なぞ取るに足らないそよ風だとでも言わんばかりの悠然とした動きだ。

 

「死力を尽くしてその程度か」

 

「!」

 

空を震わせる掌底。バシンと体の中心に打ち据えられたそれは俺の連撃を止め、弾き飛ばす。

 

「はぁ、はぁ…がっ」

 

神のオーラがこもった重い一撃だ。全身にインパクトが伝わって呼吸が止まるところだった。…それでも、あいつはまだ本気じゃない。

 

〔YES-SIR〕

 

当のネクロムは新たな眼魂を起動させると、メガウルオウダーに装填した。

 

〔TENGAN!SANZO!MEGAUL-ORDE!SAIYU RODE!〕

 

サンゾウ魂にチェンジしたネクロムは即座に猿、豚、河童のお供たちを召喚し、俺にけしかけてきた。

 

「まだ私と戦うには早いようだ。こいつらと遊ぶといい」

 

「!」

 

こちらは枝分かれする電撃を放って応戦。しかし分身たちは変幻自在のアクロバティックな動きで難なく躱していく。向こうの動きが読めない以上、このフォームで闘うのは向かないだろう。

 

「だったら!」

 

〔カイガン!ビリーザキッド!百発百中!ズキューン!バキューン!〕

 

接近戦がお望みならそれに応じるまで。このフォームなら距離を取られてもカバーが効くし、近接戦に持ち込まれても対応できる。

 

まずはガンガンセイバーとバットクロックでの二丁拳銃による牽制射撃。これも分身たちは軽やかな動きで躱してそのまま俺との距離を踏破する。

 

ならば近接戦に応じる。最初に来たのは孫悟空。弾丸のように素早いジャブ、先ほどのアルルの攻撃の余波でふらつく体で何発か食らいながらも後退。しかしそれを見越してか背後から沙悟浄に飛び掛かられて態勢を崩してしまう。

 

「おぁ!」

 

そのまま関節技に持ち込まれそうになるが、逆に背中を蹴りつけて出来た隙を利用し勢い任せに逆転。こちらが関節技をかける形になる。そして関節をキメるのではなく頭部に銃を打ちまくり、穴まみれになったところでとうとう沈黙した。

 

「くそ」

 

「キキィ!!」

 

「フガガ!!」

 

仲間を目の前でやられたことで残る二人はお冠になったようだ。猪八戒が繰り出す猛烈なタックル。それを横っ飛びして躱したところに孫悟空が追撃を仕掛けてくる。

 

猿の妖怪らしく俊敏でトリッキーな動きを繰り出してくる。一発、また一発と払いやパンチが体に打ち据えられてしまう。向こうは銃撃させる暇も与えてくれやしない。

 

「!」

 

「ブヒヒっ!」

 

俺の腰にいつのまにか後ろから手を回したのは猪八戒。その怪力で俺を持ち上げ、なんとスープレックスで地面に脳天直撃させてきた。

 

「いっ…!!!」

 

世界が砕けたかと錯覚するような衝撃が頭を駆け巡る。頭がかち割れるように痛い。目がふらふらして、頭が回らない。

 

「ああっ…いってぇ…」

 

「キキキ!」

 

「ブヒヒ」

 

表情は動かないが、してやったりという感情がありありと伝わる動きで俺をおちょくってきやがる。

 

おまけに動けない俺の懐をごそごそと探り始める。そして取り出したのはなんとプライムトリガーだった。

 

「お前…!!」

 

二匹は満足そうに小躍りすると、アルルの方へ投げてよこしやがった。

 

「あっ」

 

「ご苦労」

 

手を伸ばすも体は動けない。ぱしっと受け取ったアルルは手短に告げる。

 

プライムトリガーを奪われるなんて…くそ、勿体ぶらずに最初から使っておくべきだった。あれが無きゃあいつと勝負できないって言うのに。まずは液状化対策だと気を取られるばかりにエジソン魂から使ったのは判断ミスだった。

 

奴に遭ったことで今までため込み、押し込んだ焦りが爆発している。それが原因でこんな判断ミスを連発した。痛恨の極みだ。

 

ああ…くそ…おまけにスープレックスとか酷い一撃を貰った。これは致命的だ。頭がバカになりそうだ。もう馬鹿になってるかもしれないが。この戦闘、不運続きで嫌になる。

 

…だがお前らも致命的な動きを取ったな。調子に乗って俺に近づくなんてな!

 

脚を回して、近くにいる猪八戒に足払いをかけてすっころばす。すぐの反撃を予想できなかったのか、思った以上にうまくいった。

 

「ブヒっ!?」

 

そして転んだ猪八戒にすかさず組み付いて、沙悟浄と同じように頭部に銃撃の雨あられを見舞う。バシバシと叩かれ、抵抗されるがそれも数秒の間だけ。以降、ぐてっと脱力して押し黙るのだった。

 

「キキィ…!!」

 

残るは孫悟空一匹のみ。表情は変わらないが、動きと鳴き声に怒気を孕んでいる。

 

先手を打ったのは孫悟空。飛び出し、即座にジャブのラッシュ。脳天やられた余波でまだ満足に動けないこちらは判断が遅れ、もろに受ける。

 

「がっ、あっ!」

 

反撃の一手と蹴りを繰り出すが、奴は俺を軸に回転し、後ろに回り込むと尻に蹴りを入れてきた。振り向きざまにガンガンセイバーの銃口を向けるがぱしっと手を払われてあらぬ方向へ向けられ、容赦ない連撃が続く。

 

そして跳び上がってからの回し蹴り。しっかり俺の首元狙った一撃は俺を地面に転がした。

 

「くそ…つえぇ…」

 

何発も攻撃を貰って削られていく。お供相手にここまで手こずるようじゃアルルには…。

 

いや、弱気になってはいられない。神器使いの戦いは気持ちを強く持ち、神器の力を強く引き出した者が勝つ。プライムトリガーを奪われた今こそ俺の地力と根性、そして知恵が試される時だ。必ず乗り越える。

 

向こうがトリッキーな攻撃をするというなら、こっちも予想を超える破天荒な手を打つしかない。それは…。

 

「キキッ!?」

 

バットクロックを真上に投げる!突然の動きに孫悟空の目線は宙を舞うバットクロックに奪われ、その間攻撃が緩み隙が生まれる。

 

震脚。それは八極拳の基礎とも呼べる踏み込みの技術。まだまだ粗い練度のため動きには無駄が多いが、それでも形にはできている。

 

そして繰り出すのは肘撃ち。八極拳においては頂肘と呼ばれる。胸部を穿つ一撃は戦槌のごとし。ドゴンと大気を震わせる一撃に孫悟空の体が仰け反る。だがまだ終わらない。

 

「おらぁ!」

 

腕をがしりと掴み、そのまま一本背負い。地面に押し倒し、空から降って来たバットクロックをキャッチしてガンガンセイバーに合体、キャノンモードへと変形させる。

 

「あまり手間取らせるな…!」

 

俺が戦わないといけない相手はアルルだ。こいつらの遊びに付き合っている暇は一秒もない。

 

〔ダイカイガン!オメガ・インパクト!〕

 

増幅した霊力が刻一刻と蓄えられている銃口を腹に押し当てる。ハッとしたように腹を見下ろすがもう遅い。引き金を引いて霊力の砲撃で腹をぶち抜いた。

 

猿豚河童、三匹のお供が倒れ伏す。その消滅はほぼ同時だった。

 

「はぁ…はぁ…」

 

これでお供たちは全員倒した。残るはネクロム。こっちは疲労しているというのに奴は腕組みながら悠然と戦いを見物していたようで、俺と目が合うと「ふむ」と腕組みを解いた。

 

「少し舐めすぎたらしい。なら、この眼魂を試すとしよう」

 

奴が新たに見せたのは白と金色の入り混じる高貴さを感じさせるカラーリングの眼魂だった。あれも信長が横流しした英雄派の眼魂か?

 

〔YES-SIR〕

 

眼魂を装填すると出現したのは白と金の勇ましいプレートアーマーのようなパーカーゴースト。輝かしいオーラから他の英雄とは一線を画す存在だと理解できる。

 

〔TENGAN!ARTHUR!MEGAUL-ORDE!〕

 

〔King of round table knights〕

 

「アーサー…あの騎士王アーサーか」

 

アーサーという名の著名な英雄などこの世に一人しかいない。聖剣エクスカリバーを扱い、円卓の騎士を率いた王。ヴァーリチームのアーサーとルフェイの出身であるペンドラゴン家がその血筋を引いていると聞くが…。

 

変身完了と同時に武器も召喚される。しかしそれは通常通りのガンガンセイバーではなかった。絶大な聖なる力を宿した、惚れ惚れするような美しい聖剣。あれを一目見た人間が間違えるはずがない。

 

「それはアーサーのコールブランド…!」

 

ヴァーリチームのアーサーが愛用している聖王剣コールブランドだ。どうして奴が手にしている…?

 

「この眼魂を生み出すのに必要でな。少し手荒だが拝借させてもらった」

 

あいつらが協力したってわけではないのか。アーサーの大事な得物を奪われ、恐らくアーサーは勿論だがヴァーリチームはお冠なんじゃないだろうか。

 

しかしあのアーサー魂。堂々たる輝かしいオーラからして恐らく英雄眼魂の中でも上級のスペックを誇るだろう。それにアーサー本人の武器であるコールブランドまでそろった。カタログスペック以上の力を発揮するはずだ。

 

「アーサーに対抗するには…!」

 

プライムトリガーを奪われた今、思い浮かんだのは英雄派の幹部、ジークフリート。かつて組織内でヴァーリチームの聖剣使いアーサーに苛烈な対抗心を燃やした魔剣使いの眼魂なら。

 

〔カイガン!シグルド!指輪!すげえわ!屠龍の英雄!〕

 

仮面ライダースペクター シグルド魂。一度木場に頼んでシグルド魂とグラムを併用したことがある。本来の持ち主の力であるシグルド魂ならグラムのオーラを押さえつつ使用できるかと踏んだが、俺自身の魔剣や聖剣の素質が足りないため力を制御できず、悲惨な目に遭った。

 

だからグラムは使えない。それでも余りある程の能力とスペックを兼ね備えたフォームだ。今の手持ちの眼魂の中でもトップクラスの性能で対抗して見せる。

 

 

 

 

 

 

 

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土人形達と交戦するリアス達。戦いは終始、リアスたちが優位に運んでいた。

 

「三体目!」

 

悪魔の翼を広げて飛翔し、三次元的機動で立ち回るゼノヴィアのエクスデュランダルの一閃が土人形を上下に断つ。

 

「今よ、やっちゃって!」

 

「昇竜拳」

 

イリナが光輪で土人形を縛り上げ、跳び上がる小猫のアッパーカットが炸裂。顎はおろか頭部を木端微塵に砕いて活動を停止させた。

 

土人形の力は依然戦った時よりも遥かに増している。しかしそれはリアスたちも同様だ。英雄の魂を継ぐ者たちや悪神と戦い、それに負けじと鍛錬を重ねたことで基礎的な力は大幅に向上し、冥界で土人形と戦った時にはなかった新たな力も身に着けた。彼女らが負ける道理はどこにもない。

 

「私だって…!」

 

レイヴェルも後方から不死鳥の炎を放ち、近接戦を主体とするメンバーの死角をカバーする。自身の実力不足は理解しているが、何もせずにはいられないという貴族としてのプライドが彼女を駆り立てていた。

 

「お前ら、下がれ!俺がまとめてぶっ潰す!」

 

声を張り上げるのは空中にいるアザゼル。大量の光の槍を空に召喚し、残った土人形を一網打尽にする魂胆だ。それを見て一斉にリアスたちは後方へ退避していく。

 

仲間の退避を確認したアザゼルがその手を振り下ろす直前、懐に黒い閃光が飛び込んだ。

 

「!」

 

二人いる黒ローブの男の内の一人。男はアザゼルの胸倉を荒く掴み上げると急降下し、一気に地面に叩きつける。そのまま勢いを殺さず、引きずり回して遠ざかっていく。

 

「アザゼル!」

 

「俺に構うな!まだ一人いるぞ!」

 

二人目の黒ローブの男。ローブを勢いよく脱ぎ捨てると、神父服の上から荘厳なライトアーマーに身を包んだ初老の男の姿が明らかになる。

 

「アルル様の土人形を倒すとは…見事だ、若人達よ」

 

底知れぬオーラだけではない。言葉と佇まいから滲み出る圧倒的なまでの覇気にリアスたちはごくりと息を呑んだ。曹操やシャルバとは比較にならない格上相手だと一目で理解できた。

 

「新しい叶えし者…!注意して」

 

「新しい、とは存外。私こそが最古の叶えし者だ。名をラディウス。心してかかれよ。さもなくば、足元をすくわれるぞ」

 

ラディウスがリアスたちに向ける感情は明らかに敵意や殺意の類ではない。もっと穏やかな、赤子をあやすような凪いだ感情。これまでの敵とは全く違う感覚にリアスたちは戸惑いを覚える。

 

(…いや、そもそも力量差が開きすぎて私たちを敵とすら思っていないのかしら)

 

「我も、手伝う?」

 

「待って、あなたの攻撃では一帯が吹っ飛びかねないわ。下がってて頂戴」

 

「りょ」

 

力が半減したオーフィスは自身の強大過ぎる力をコントロールしきれていない。下手な攻撃をすればかえってこちらが巻き沿いになり大打撃を受けることとなる。オーフィスの攻撃というメリットよりリスクを危険視したリアスは、オーフィスを戦闘に参加させない判断を取った。

 

「行くわよ、皆!」

 

「奔れ、雷光!」

 

〔BGM:プラシドの合体(遊戯王ファイブディーズ)〕

 

最初の攻撃はリアスと朱乃の攻撃。荒ぶる雷光と滅びの魔力がラディウス目掛け食らいつかんと迸る。上級悪魔であれば真正面から受けきれない程の威力だ。

 

しかしそれら全てラディウスに触れた途端、バシュン!と音を立て消失した。

 

「!?」

 

「何、今の」

 

「神に仇なす者の力は、私には届かん」

 

「だったら最大火力だ!!」

 

エクスデュランダルを掲げるゼノヴィア。刀身から凄まじい力が解き放たれ天に昇る極太の光の柱と化す。

7つのエクスカリバーの全てを統合し真のエクスデュランダルとなった今、最強の聖剣の名を欲さんばかりの業物となった。

 

「試してみるといい」

 

「後悔するなよッ!!」

 

光の柱をそのまま振り下ろし、回避するそぶりも見せないラディウスに叩きつけた。渾身の一撃。凄まじい攻撃の余波が周囲の木々を揺らし、駐車場の舗装を滅茶苦茶に破壊する。

 

魔王クラスでもまともに受ければ致命傷は免れないだろう聖なる力の奔流。悪魔でなくも大ダメージは必須の一撃を喰らったのだ、立っていられるはずがない。そうゼノヴィアは思っていた。

 

「…なるほど、ここまで高められた聖剣のオーラは初めて見た」

 

「…これでも無傷か」

 

そう思っていたからこそ、傷一つ負わせられないという結果に大いに歯噛みした。しかし攻撃はそれだけでは終わらない。エクスデュランダルの攻撃で巻き上がった土煙に紛れ、ラディウスへ距離を詰める影が二つ。

 

「祐斗先輩」

 

「行くよ!小猫ちゃん!」

 

危険なオーラを漂わせるグラムで突撃する木場。それを陽動に仙術を発動させた小猫は果敢に攻め立てる。

 

「ほう、これは」

 

グラムの剣戟を軽々といなすラディウス。魔剣の頂点に君臨するグラムは一太刀一太刀が余波だけで遠くの木々を破壊する威力だ。そんな大振りなグラムの攻撃の隙をカバーするように小猫の打撃が加わる。生命エネルギーに作用する仙術を込められた拳は触れるだけでも悪影響を及ぼす。

 

二人の猛攻に息つく暇もなく、ラディウスはカウンターすることも出来ず防戦一方に回るしかない。グレモリー眷属の中でも古参にあたる二人が、互いの勝手を知った見事な連携を見せる。長い付き合いと共闘経験が、二人の息の合ったコンビネーションを実現させていた。

 

だがその連携の勢いは長くはもたない。

 

「流石は魔剣の王、しかしいつまで扱えるかな?」

 

ラディウスの指摘はもっともだった。グラムを手に入れてから日の浅い木場はまだごく短時間しか力を開放することができない。体力や魔力、それ以上のものをグラムは要求し使用には激しい消耗を避けられないため、扱いは慎重でなければならない。

 

「はぁ…厳しいね…!」

 

額にびっしりと汗かく木場はグラムの攻撃も通用していないことからこれ以上は無意味、危険と判断。使い慣れ、安定性のある聖魔剣での攻撃を敢行する。

 

「妥当な判断だ。しかし、それもまた無意味」

 

袈裟切りを放つ聖魔剣の刃をなんと、ラディウスは片手でばしっと掴む。そこにぐっと力を込めると一気にひびが入り、ガラスのように音を立てて儚く砕け散ってしまう。

 

「聖魔剣を握りつぶした!?」

 

「なんてパワーなの!?」

 

「嘘!?」

 

ラディウスの驚異的なパワーに目を見開いた。聖魔剣の刃を直接握り砕くなど、未だかつてされたことがない。後方から援護の機会を伺うリアスたちも驚くしかなかった。

 

「祐斗先輩!」

 

得物を失い隙ができる木場をフォローするように小猫が繰り出した正拳突きも、身をよじって回避される。そして空を切った小猫の、細いながらもチーム内ではトップクラスの腕力を秘めた腕を掴むと軽く握る。

 

バキバキバキ。聞こえてはならない音が聞こえ、感じてはならないものを感じた。

 

「あああああぁっ!!!」

 

体の芯から迸る絶叫。たった一握りで右腕の骨が一気に砕けたのを感じた。右腕は激痛に支配され、動きを停止する。凄まじい痛みにたまらず腕を押さえてその場に崩れ落ち、蹲ってしまう。

 

「小猫ちゃん!!」

 

この光景に木場は驚愕するしかない。たったあれだけで、小猫の腕を砕けるとは到底思えないからだ。

 

「さらばだ、小さな若人よ」

 

蹲る小猫をラディウスは見逃さない。右脚を高く振り上げ、狙いを足元の小猫に定める。

 

「小猫さんが!!」

 

「まずいわ!」

 

「させないっ!」

 

あれを喰らったら死ぬ。誰もがそれを悟り叫んだ。

 

すかさずギャスパーが停止の邪眼を発動させる。しかし視界に収めたラディウスは停止しない。意にも介さず必殺の踵落としを降ろさんとする。

 

「効かない!?」

 

「!!」

 

木場は聖魔剣から聖剣に切り替え、禁手の竜騎士で小猫をリアスたちの方へ突き飛ばす。間一髪攻撃を免れた小猫だったが、代わりに攻撃を受けた竜騎士は木端微塵に粉砕された。

 

「良い機転だ」

 

がしっと襟首を捕まれる木場。速すぎる。全く気付かなかったと思うよりも早くラディウスに投げ飛ばされ、剛速で地面に叩きつけられた。

 

「っ…!!」

 

「祐斗ッ!!」

 

体中の空気と血反吐が吐き出される。意識が飛ぶような一撃、あばら骨も数本は折れた。とてつもないパワーだった。

 

どうみても威力に見合った重い動きではない。小猫の腕を砕いた攻撃もそうだ。一見普通の攻撃も全てが必殺級の威力を秘めた恐るべきものになっている。

 

「うぅっ…」

 

「アーシア、急いで!!」

 

「はい、すぐに治します!!」

 

どうにかリアスたちの下へ戻れた小猫にすぐさまアーシアの治癒が始まる。右腕は内出血して真っ赤に腫れあがり、見るも痛々しい様子だ。

 

「とんでもないパワーね…」

 

「サイラオーグ並みか、それ以上かもしれない」

 

戦慄。彼女らがラディウスに抱く感情はただそれに尽きる。あらゆる攻撃を弾き、全ての攻撃が必殺級。これを脅威と感じない人間などいない。

 

だが圧倒的に優位に立つラディウスは、歯向かう愚かさを嘲ることもなければ、余裕と涼しい顔もしない。むしろ憐れむような表情を見せるばかりだ。

 

「君たちでは私には勝てない。降伏し、我らが神の前にひれ伏すのだ。さすれば神は寛大なる御心により君たちを赦し、導きを与えるだろう」

 

〔BGM終了〕

 

 

 

 

 

 

 

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〔BGM:イリアステルバトルモード(遊戯王ファイブディーズ)〕

 

「英雄気取りの下級悪魔が…!」

 

「残念、今は中級悪魔だ!」

 

ガンガンセイバーを振りかざすダークゴーストに対し、アスカロンの刃で応戦する。剣の腕はダークゴーストが圧倒的に優位だが、その差を埋めるだけのガッツと経験で培われた戦いの勘が一誠にはある。

 

しかし、一誠は戦いをある理由から互角以上に持ち込めずにいた。

 

「紅の鎧にはならないのですか?」

 

息もつかせぬ剣戟のラッシュを一誠はアスカロンで防ぎ、あるいは小猫仕込みの体術で凌いでいく。時折刃が鎧を掠めるが、大きなダメージには至らない。

 

「使わなくたって、お前に勝てるさ!」

 

曹操との戦い以来、一誠の蘇生に力を注いだドライグは休眠状態に入ってしまった。時折目を覚ますが、すぐにまた眠ってしまう。その影響で休眠中はトリアイナも真『女王』も使用不能になっている。それらが使えればすぐに片付けることができたのにともどかしい気分だが、ないものを嘆いても仕方ない。

 

(くそ、ドライグ早く起きてくれよ…!)

 

一気に押し込むには相棒たるドライグの復活は必要不可欠だ。アルギスをフリーにさせるわけにもいかない以上は悠河に気のいいことを言った手前申し訳ないが、ここは時間をかけてでも自力で突破するしかない。

 

「英雄様は余裕満々なようで」

 

それを見透かしてか、ダークゴーストは面の裏でにやりと笑む。アスカロンの刃をガンガンセイバーで押さえ、頭突きを見舞う。

 

「おわっ!」

 

「しかし私には手札がまだまだあります」

 

そう言って取り出して見せたのは、赤い眼魂。起動するや否やドライバーに差し込み、内包された霊力と英雄の情報からパーカーゴーストを顕現させる。

 

〔アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!〕

 

パーカーゴーストの荒い動きがアルギス本体から兵藤を引きはがす。

 

「おわ、何の英雄だ!?」

 

「あなたも知っている英雄ですよ」

 

〔カイガン!関羽!長いぜ!顎鬚!舐めるな!忠誠!〕

 

胸部から右肩にかけて馬型の鎧と一体になった赤いローブを身にまとい、ダークゴーストは関羽魂へと変身を遂げた。英雄の威風堂々たるオーラを得たアルギスに一誠は一段と警戒のギアを引き上げる。

 

「呂布の次は関羽って…三国志系が流行ってんのか?」

 

「曹操の意向なのか、横流しされた眼魂のいくつかは三国志に由来する人物でしてね。どれも強力な」

 

「戦場を切り裂くこと、武人のごとし…」

 

瞬時にガンガンセイバーをナギナタモードに変形。荒々しく刃を薙ぎ払い、霊力と魔力をミックスした斬撃を繰り出す。オーラの厚み、質からざっと上級悪魔クラス以上はあると一誠は見た。

 

「ドラゴンショット!!」

 

咄嗟の判断で一誠はドラゴンショットを放ち、斬撃にぶつける。それは撃ち落すためではなく、軌道を逸らすための一手。角度をつけてドラゴンショットをぶつけられたことで、斬撃はあらぬ方向へ飛び、虚空で爆散した。

 

「危ねえ!」

 

「まだまだ!」

 

その隙に猛スピードで一直線を走り抜け、ダークゴーストが繰り出したのは何とドロップキックだった。

 

「大地を馳せ蹴ること、馬のごとし!」

 

「っ!?」

 

突き刺すような重い蹴撃。蹴りの威力に驚嘆するより早く、一誠は吹き飛んでいった。

 

〔BGM終了〕

 

 

 

 

 

 

 

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〔BGM:フィジカルギフテッド(呪術廻戦)〕

 

突如攫う様に突撃してきた黒ローブの男はアザゼルに引けを取らない実力の持ち主だった。的確ながらも荒々しい攻撃の数々は禁手を発動させる隙も与えず、未だ解放前の小型の槍のまま攻撃を受ける。

 

(やりにくい相手だなオイ)

 

内心舌打ちするアザゼル。敵の挙動はまるでこちらの動きがわかっているかのようだ。何らかの能力を使っているかは定かではないが、戦いにくいことこの上ない。

 

「く」

 

その上向こうの技量は相当なものだ。優れた体術、戦闘センス、オーラはローブの効果で阻害されているようで読めないが、わざわざ単身で堕天使のリーダーである自分に立ち向かうことから最上級悪魔クラスは難いだろう。

 

「やるな!」

 

光槍で放つ神速の突き。過去の戦争を潜り抜けた経験に裏打ちされたその一撃は男を串刺しにするかと思われたが、その軌道はとっくに読んでいると言わんばかりに余裕ある体捌きと手の動きでやり過ごされる。

 

「!」

 

短槍を逆手に持ち、ナイフのごとく一閃を繰り出そうとする。しかし握る手を掴まれ、鋭いパンチをアザゼルの顎に入れた。

 

「いっ…!」

 

脳が揺れ、世界が揺れる。構わず男が身をよじり、首目掛け回し蹴りを繰り出す。回らぬ頭をどうにか回転させて絞り出した判断によって右腕で受ける。

 

「ぐっ…!」

 

相手の激しい攻めに押され、呻くアザゼルだが、痛みと同時に彼の脳に脈打つ感覚があった。

 

懐旧。ローブの陰に隠れ顔を見せないこの男との戦いは否応にもその感覚を覚えさせる。だが男と打ち合う度にその感覚は確信へと変わっていく。

 

「この動き、スピード…いや、まさかな!!」

 

脳裏によぎるは同じ堕天使の幹部。数か月前に三大勢力の戦争を誘発すべくクーデターを起こすも鎮圧され、地獄の氷獄で永遠に幽閉されることになった。

 

戻ってくるはずがない。ここにいるはずがない。しかし、敵の動きが過去に見たその男の動きとダブって見える。

 

「!」

 

心の拒絶に否を突き付けるがごとく、男の手に光の槍が出現する。その唯一無二の光力は、何よりの証拠だった。

 

「そのまさかだ」

 

男がローブを脱ぎ去る。瞬間、自身の格を証明するように10枚の堕天使の翼が背から生える。長い艶やかな黒髪に、血走った白目。その顔を、アザゼルは過去を戒めるべく生涯忘れないと誓っていた。

 

「逢いたかったぞ、アザゼルッ!!」

 

「コカビエル…!!」

 

〔BGM終了〕




初登場の47話以来となるネクロムの変身シーンです。こんなはずでは…

八極拳も習得させたのは良いですが能力バトルを優先させるせいで出番が少なくなってしまいました。これは反省してます。

そして最強の叶えし者、ラディウスも初戦闘。現時点では一番理不尽な敵です。詳細は伏せますが、概念系の能力とだけ言っておきましょう。

次回、「アーサー魂の脅威」
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