ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
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3.ロビンフッド
5.ビリー・ザ・キッド
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7.ベンケイ
9.リョウマ
10.ヒミコ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
13.フーディーニ
40.ジャンヌ
46.ノーベル
50.呂布


第193話「47VS13」

〈BGM:神崎士郎(仮面ライダー龍騎)〉

 

ついにアルルと対峙した俺達。決戦衣装のつもりか、装いも新たにした彼女の背後、奥には祭壇のようなものが建てられており、心臓の鼓動のように光が渦巻いている。

 

感じる。大量の眼魂を幾重にも編み込まれ、練られた凄まじい力の脈動を。あれが恐らく、奴らの企みの中心。

 

「アレが気になるか」

 

俺達の心中を見透かしたようにアルルも視線をそれにやる。

 

「あれは新世界の扉を開くカギだ。60の眼魂の力を束ねし時、それは完成する。47の眼魂が、お前の持つ13の眼魂が加わるのを心待ちにしているぞ」

 

47個の眼魂…!あいつ、そこまでの数を集めていたのか!

 

「そんなもん完成させねえ。俺達が止めてやる!」

 

「無駄だ。既に術式は起動している。どれだけ足掻こうが止まることはない。…ああ、万が一にも、この肉体ごと我を殺せば、止まるやもしれんがな」

 

「!!」

 

変わらず何ひとつ感情の読み取れない表情で、悪意を感じる言葉を織り交ぜてくる。そんなことを俺ができないと知ってわざと言っているな。逆鱗をさらりと撫でられ、ぴくりと乱れた俺のオーラを感じ取ったらしく奴は肩をすくめた。

 

「そう殺気立つな。抗いようのない運命をただ受け入れればいい。それだけのことだ。それに今の貴様らに我を殺すことなど万が一にもできん」

 

「もう勝ち確のつもりか。だったら今更何をしゃべったところで問題ないだろ、教えろ。…お前たちは何故この世界を滅ぼそうとする?」

 

気になっていたのは奴らの行動原理。今までポラリスさんから連中の目的を聞いてはいたが、目的に関しては不明瞭だった。今、奴らに有利なこのタイミングなら隠すまでもなく奴の口から聞き出せるはずだ。

 

「至高の御方の意志。それ以外に理由が必要なのか?」

 

「あれだけ大げさに言っといて結局人の意志かよ、で、至高の御方ってのは誰なんだよ」

 

若干呆れ気味な兵藤が踏み込む。

 

「我々ディンギルにとって、上位の存在を軽々しく語るなど忌むべきこと。…と言いたいが、ここまで歯向かってきた根性に免じて少しだけ教えてやろう」

 

俺達を見据える彼女の赤く染まった瞳が、天へと向けられる。冥界の夜空ではない、更にその深奥にあるナニカに視線を投げかけるように。

 

「天空と星を統べる『裁決』のアヌと、絶対なる秩序と嵐を司る『汎慄』のエンリル。二柱こそ、神域を統治する絶対なる至上神。何者も敵わぬ二柱の意志こそがこの竜域の滅亡だ」

 

「アヌとエンリル…」

 

その名を忘れぬように、しかと記憶に刻むように俺は吐いた。こいつらが全ての黒幕。ウリエルさんが見た未曽有の脅威にさらされる未来、ポラリスさんが故郷の世界を失った全ての黒幕だ。こいつらさえ倒せばすべては救われる。

 

「じゃあ、そいつらは何で俺達の滅亡を決めたんだよ?」

 

「最上級神の意志を詮索することなどあってはならない。理由がどうあれ、貴様らにある選択肢はたった一つ。速やかに我らの齎す滅びを受け入れること、ただそれだけだ」

 

「はぁ?ふざけんな!そんな理由で滅ぼされてたまるか!大体、人に言われっぱなし指示されっぱなしで、お前自身の意志はどこにあるんだよ!?」

 

とことん自分の意志を見せないアルルについに兵藤はキレた。全く持って同感だ。自分の行動も何もかもを人のせいにして、そんなのが上級の神だとは聞いてあきれる。

 

「エンリル様とアヌ様の御意思を為し、体現することこそが我の意志だ」

 

どうやらとことん自分というものがないらしい。エンリルやアヌとやらが死ねというならこいつは喜んで命を差し出すんだろう。見上げた忠誠心とも、どこまでも他人ばかりのつまらない奴とも言える。

 

だが、こいつの行動すべてが奴らの指示によるものだというなら。

 

「なら、凜の体を好き勝手に使って暗躍しているのも、そいつらの意志なのか」

 

いま彼女の体が好き勝手に使われているのも、アルルではなくアヌとエンリルによるものだとするなら。俺の怒りの鉾の向ける先は変わる。アルルを憎む気持ちは変わらないが、そいつらも本格的、絶対的に潰さなければならない敵と認定しなければならない。

 

「それを進言したのは我だ。竜域と隔てられた今、神域に人間が迷い込むなど本来ありえないこと。しかしどういうわけか彼女は現れた。これを利用しない手はない、とな」

 

「…」

 

「彼女は大いに役立ってくれたぞ。ディンギルの干渉を阻む次元の壁も、この人間の肉体でなら越えられる。おかげでいち早く竜域に辿り着き、叶えし者たちを纏め上げることができた。人間故の不便も、時に耳障りな声も内から聞こえたが、彼女の意志を押さえつければどうということはない」

 

「!!」

 

彼女の告白に、俺は思わず怒りの沸騰を感じ拳を強く握りしめた。奴は凛の体だけでなく、心までもねじ伏せ利用し、苦しめてきたというのか。

 

「そして貴様が新たな眼魂を持ち込み、プライムトリガーという未知のアイテムを手にしたおかげで、こうして接続の儀をより容易く完成させることができた。…見ろ、この祭壇はトリガーを中心に、60の眼魂の力を束ねる魔法陣が組み込まれている」

 

奴が指さす先、祭壇の中央には見覚えのある形状のデバイス…プライムトリガーが据えられていた。それから放たれる光のラインが魔法陣のように描かれ、眼魂たちを繋いでいる。

 

「プライムトリガーの複数の眼魂の力をリンク、増幅させる機能を我の力でさらに拡張させた。プライムスペクターの比ではないエネルギーによって次元の壁に穴を開け、竜域と神域を接続させる。そこを足掛かりにディンギル本隊がこの世界に降臨するのだ」

 

「なんだって…!?」

 

俺にはわかる。それがどれだけ恐ろしく強大な力を生むのか。あの時俺は15全ての眼魂でプライムスペクターへと変身し、力を存分に振るい戦った。15の眼魂だけでもパワーアップしたロキを容易に打倒でき、反動で死にかける程の力だ。それの四倍の数の眼魂が集まれば、奴の言説も絵空事ではないだろう。

 

「…それが、お前の計画の全貌か」

 

「そうだ。次元の壁を如何に破るか、永らく悩まされたぞ。黙示録の獣を利用する手も考えたが、流石の我にもあれは手に余る。それに比べれば眼魂集めなど実に容易いこと。貴様ら兄妹のおかげで、我らの大願が叶う。礼を尽くしても言葉が足りんな」

 

「貴様!」

 

黙示録の獣。気になるワードを口にするが、それの追及を吹き飛ばす程、奴の言葉は俺の神経を逆なでた。

 

「深海!」

 

兵藤が諫めるように俺の名を呼ぶが、奴の煽りは止まらない。

 

「皮肉だな。我らを倒すためにやって来た兄妹がこの上なく意図せずして我らに利することになるとは。だが深海凛だけではここまで辿り着くことは困難だった。教えてやろう。この状況を招いたのは他でもない」

 

「黙れ…!!」

 

艶やかな所作で指を向け、唯一の肉親の顔で、声で、アルルは突きつけた。

 

「貴様だ、深海悠河。お前の存在そのものが、この世界に我らという厄災を齎すのだ。お前がいたから、貴様の大切な友も、仲間も、皆死ぬ。お前はある種、ロキや天王…」

 

「もういい!!これ以上戯言をぺらぺらと垂れ流すな!!貴様ら神の傲慢は、俺がこの手で叩き潰すッ!!」

 

怒りの臨界を越え、奴の言葉を遮り宣戦を布告する。奴が何をどう言おうが知ったことではない。今、この場で叩き潰さなければ気が済まない。俺個人の感情を抜きにしても、世界の為に今こいつは倒さなければならない大敵だ。

 

ここで、全身全霊をかけて、俺が倒す!!

 

「…少々、我も浮かれすぎたようだ。よかろう」

 

腕にメガウルオウダーを出現させ、その手にネクロム眼魂を握る。

 

「貴様らだけは私の手で直接始末する。最重要特異点と未知のイレギュラー筆頭の首を手土産に、我は新世界の扉を開く」

 

〔STAND-BY〕〔YES-SIR〕〔LOADING〕

 

ネクロム眼魂を起動させるアルル。迷いのない動作でスロットに装填、本体を操作する。

 

「変身」

 

〔TENGAN!NECROM!MEGAULORDE!CRASH THE INVADOR!〕

 

パーカーゴーストを身にまとい、仮面ライダーネクロムへと変身を遂げた。ネクロム特有の緑の霊力だけではない。底知れぬ神としての大いなるオーラをも威嚇するように滲ませている。

 

「来い」

 

〈BGM終了〉

 

言われるまでもない。一気呵成に、気合を叫び己を鼓舞しながら俺達は石畳の床を蹴り上げ疾走する。爆発的に燃えるような闘志が霊力となり、血となり全身を駆け巡る。

 

「「おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

〔BGM:魂のデュエル(遊戯王ゼアル)〕

 

ネクロムが掌から波動を放ち、俺達の良く手を阻むがごとく爆発を起こす。だがその程度の子供だましが、

今の俺達に通用するはずがない。高まり切った戦意に身を激しく焼く俺達の気勢を削ぐにも届かない。爆炎に怯まず突っ込んで駆け抜け、ネクロムの下へ到達する。

 

「はぁッ!」

 

最初に拳を振るったのは俺だった。挨拶代わりの全力の右ストレートが勢いよく空を切り奴に向かう。

 

「ふん」

 

それを腕を動かすと流水のような所作で容易くいなし、続く兵藤のアッパーをも受け流す。そこに体をひねり回転を加えた回し蹴りを放ってくる。

 

「ぐは!」

 

「うぁ!」

 

攻撃を受けた兵藤に巻き込まれる形で俺も蹴り飛ばされ、地面を転がされる。

 

「液状化を使うまでもない。曹操を倒した程度では我には勝てんぞ」

 

更には宙に無数の光球を瞬時に出現させ、こちらにダメ押しと言わんばかりに放ってくる。

 

〔アーイ!バッチリミロー!〕

 

容赦ない敵の攻撃を前に転がったままドライバーの眼魂を入れ替え、ゴーストチェンジ待機状態に入る。ドライバーから顕現したパーカーゴーストが浮遊、旋回しつつ殺到する光球を弾き返し、俺達を攻撃から守る。

 

〔カイガン!ベートーベン!曲名?運命?ジャジャジャジャーン!〕

 

「フォルティシモ!」

 

跳躍し、パーカーゴーストを身にまとう俺は霊力を解き放ち、旋律を幾重にも折り重ねた楽譜の弾幕を放つ。とめどなく放たれる光弾の雨あられにこちらも霊力を重ね続けることで、どうにか猛攻に堪えることに成功した。

 

「サンキュー、助かった!」

 

「気にするな、攻めるぞ!」

 

「応!」

 

応答は手短に。楽譜を更に重ねて重厚な旋律を生み出し、アルル目掛けて繰り出す。うねりながらも奏でるメロディーは響く空だけでなくそれを聞く者の心も打つようであるが、奴に心はない。

 

「耳障りだ」

 

変幻自在の軌道で迫り、降ってくるそれをバック転やステップで後退しつつ俊敏に回避、腕ではらう。追いすがって来る無数の楽譜を前に一切の躊躇いなく回避運動に徹している。動きのキレがこの前よりいい。刻一刻と力を取り戻しつつあるということか。

 

だが俺もただ無策に攻撃を放っているわけではない。自在に旋律を操ることで誘導したポイント、そこで一気に霊力を解放しアルルを取り囲むように放つ。前、右、左。隈なく穴はない。

 

しかし一方向だけ、穴がある。それはアルルの背後。当然奴はその穴に気を向ける。しかしそこには。

 

「逃げ場なんてやらねえよ!」

 

龍星の騎士《ウェルシュ・ソニック・ブースト・ナイト》の超速で回り込み待機していた兵藤が、龍牙の僧侶《ウェルシュ・ブラスター・ビショップ》の砲口を向けていた。チャージの為に与えられたのは短時間。チャージはそこそこだが、それでも十分だ。

 

「ちっ」

 

「いっけぇぇぇ!!!」

 

舌打つアルル。もうすでに遅い。一瞬の隙に兵藤が砲撃を放った。当然、ベートーベンの攻撃も迫る。360度、逃げ場のないぜんぽう位からの攻撃がアルルを間もなく襲い着弾、ド派手な爆発を巻き起こした。

 

「やったか!?」

 

「おい兵藤その台詞は…」

 

ツッコむよりも早く、もくもくと立ち上がる煙から何ともなく現れたネクロム。純白の装甲は少しすす汚れたが、呼吸も態勢も全く乱れていない。つまり、本体にはノーダメージということだ。

 

「虫けらがいくら知恵を弄したところで、象を殺すことは出来ん」

 

「無傷かよ…!」

 

「液状化を使うまでもないということか!」

 

「英雄の力で抗するというなら、我も行使しようか」

 

奴が奥の祭壇へ手を伸ばす。すると念動力によってか、眼魂の一つがひとりでに動き魔法陣の持ち場を離れて飛来する。導かれるように血のような赤い眼魂がネクロムのメガウルオウダーに装填された。

 

〔Yes-sir〕

 

メガウルオウダーのユニットを起き上がらせ、スイッチを押す。眼魂から顕現したのは鮮血のように赤いパーカーゴースト。

 

〔TENGAN!SANSON!MEGA UL-ORDE!〕

 

赤い波動を放ちながら、ネクロムは現れたパーカーゴーストを悠然と身にまとう。見たことも聞いたこともない新たなフォームに変貌を遂げた。

 

〔ROYAL EXECUTOR〕

 

召喚されたガンガンハンド 鎌モードを手に取り、気品すら感じる佇まいで彼の者は注目を浴びる。仮面ライダーネクロム サンソン魂。顔面のゴーグル、モノキュラ―ガードはギロチンを想起させる形状に変化していた。

 

「サンソン?何の英雄だ!?」

 

「俺も知らん!恐らく、変身音から察するに処刑人か何かだ」

 

未知の力に警戒を強めながらも、何も動かないわけにはいかない。凜のこともあるが、あの祭壇も気になる。恐らく発動の為に大量のエネルギーを蓄積しているはずだ。なら、長々と戦闘に時間をかけるのは不味い。

 

〔カイガン!ツタンカーメン!ピラミッドは三角!王家の資格!〕

 

こちらもゴーストチェンジを行い、ツタンカーメン魂に変身する。向こうが鎌ならこちらも鎌で応じるまでだ。

 

駆け出し、接敵は間もなく。間合いに踏み込むと同時に鎌を振り下ろし、それを迎え撃つ刃とぶつかる。

 

「…!」

 

刃に込められた霊力がぶつかり、激しくスパークを起こす。その時に感じた。得物は同じでも、変身者のスペックによる出力差が諸に出ている。こちらが霊力だけの強化に対して、向こうは霊力に加えて神のオーラでのバフが入っている。真正面からの衝突は危険だ、さもなくば押し切られる。

 

「どうした。恐怖を感じるぞ」

 

「誰が!」

 

拮抗する刃を流し、次なる剣戟を繰り出す。それを奴は鎌の腹で受けて引っかけると、棒術のようにいなして俺を

引き寄せキックを浴びせた。

 

「ぐ」

 

「くそ!」

 

入れ替わるように攻め入ったのは兵藤。ブースターを吹かして瞬時に距離を詰め、真正面から腹にパンチを撃ち込んだ。小気味いい打撃音を響かせたが、手ごたえがない。

 

「!」

 

「残念」

 

またしてもガンガンハンドで拳を受け止めていた。そしてぐいっと一歩踏み出し、すっと掌を兵藤の胸に押し当てると、至近距離で霊力を炸裂させる。即興だったためか霊力のタメがない分、威力は小さかったがそれでも凄まじい。胸部の鎧が砕け、破片が辺りに散華する。

 

「ぐぁっ!」

 

「兵藤!」

 

これ以上はやらせないという一心で飛び出し、再びアルルに斬りかかる。初撃を難なく防ぐアルルに畳みかけるように鎌を振るい、嵐のごとく互いの鎌で切り結ぶ。

 

「どれだけ足掻こうとスペック差は埋まらん」

 

「それでも、足掻き通す!」

 

気勢はこちらが勝る。だがそれ以上に向こうのパワーとスピードが圧倒的だ。差を埋めるべく一気呵成に畳みかけたが、次第に趨勢は向こうに傾き、こちらが攻めるどころか攻められる側に一転する。気合など、奴の力の前ではただの子供だましにしかならない。

 

剣戟の最中、ひと際大きな音を立てると互いに距離を取った。

 

〔ダイカイガン!ガンガンミロー!ガンガンミロー!〕

 

ドライバーにガンガンハンドをかざし、必殺の一撃を繰り出す。渾身の一振りでエネルギーの斬撃波を飛ばし、それがピラミッド型に変じる。

 

〔オメガファング!〕

 

ピラミッドの中央にぽっかりと空いた虚空に通じる穴が、猛烈な引力でアルルを吸い込まんとするが。

 

〔DAITENGAN!SANSON!OMEGA UL-ORDE!〕

 

鮮血の様なオーラを散らしながら放ったネクロムの強烈な一閃が、いともたやすくピラミッドを破壊し、その余波に俺も巻き込まれてしまう。

 

「ぐっ…!?」

 

斬撃の余波を浴びただけで直接斬られたわけではない。強化スーツの表面をなぞっただけだ。それだけで生身も斬られたかのように体中に冷たいナニカが駆け巡り、態勢がぐらつく。

 

(今のは何だ。掠めただけで…!?)

 

「シャルル=アンリ・サンソンは数多くの王族を含む著名人を処刑した死刑執行人の一族。ツタンカーメン相手には相性がいいようだな」

 

「そういうことか…!」

 

王の力に対して特攻効果を発揮する英雄眼魂、それがサンソン眼魂によるサンソン魂フォームか!かすってこれなら直撃は絶対に避けるべきだろう。竜殺し《ドラゴンスレイヤー》ならぬ、王殺し《キングスレイヤー》といったところか。

 

歩み寄るネクロムが鎌を振り上げる。その鋭利な鎌の刃は罪人の首を跳ねるギロチンのようであった。不穏なオーラを漂わせるそれが振り下ろされる寸前。

 

「させるかよ!」

 

横槍を入れるように突貫してきた兵藤の蹴りを鎌で受け止め、その余波で後退するネクロム。

 

「大丈夫か!?」

 

「ああ、あいつの能力がなんとなくわかった。王に対して竜殺しみたいな効果を発揮するらしい」

 

「マジかよ。だったらここは『兵士』の俺が前に出るぜ」

 

「わかった。なら、俺は後方支援に移ろう」

 

〔カイガン!リョウマ!目覚めよ日本!夜明けぜよ!〕

 

〈BGM終了〉

 

息を整えながら、ふらふらと立ち上がる俺。今度はリョウマ魂にゴーストチェンジ。ガンガンセイバー ガンモードを召喚し、前衛で攻める兵藤をサポートするように後方から銃撃でサポートする。

 

〈BGM:理子の捜索(呪術廻戦)〉

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「単調だな」

 

激しいインファイトを繰り広げる兵藤とネクロム。ネクロムはこちらの銃撃をステップを踏んで避けながら、兵藤の攻撃を鎌で捌き、カウンターを織り交ぜる。対する兵藤は鎌という独特な武器を相手に微塵のためらいも戸惑いもなく、果敢に踏み込み拳を放つ。死神との戦いで鎌相手の戦いには慣れたようだ。

 

「無限と夢幻の力を手に入れた貴様は第一に消さなければならん」

 

「はっ、そんなにオーフィスとグレートレッドが怖いのかよ?もしかして、凛の体を使ってるのは人の体のおかげで効果をいまひとつにできるとかか?」

 

「…我を煽るとは余程自身の苦戦を理解していないらしい」

 

ばしっとネクロムが兵藤の拳を掴んだ。凄まじい馬鹿力で腕をひねり上げ、更にはガンガンハンドの柄で兵藤の頭を叩きつける。

 

「いっ!?」

 

ぐらつく体。そこに必殺の一撃を叩き込もうと鎌を振り下ろすがそうは問屋が卸さない。こちらも銃撃を放って、アルルの手元を撃つ。

 

「そう来るとは思っていた」

 

不意打ちにもかかわらず、武器を叩き落とすことすらできない。裏拳で兵藤を払いのけるように吹っ飛ばすと、真っすぐこちらに向かってくる。

 

「ちっ」

 

速い。牽制射撃も鎌を振り回して弾きながら、勢いを微塵も落とさぬまま迫ってくる。

 

ガンガンセイバーを変形させる暇もなく奴は俺を間合いに収め、鎌を振るう。刃をどうにか銃身で受け止めるが続けて足払いが来る。あえなく転ばされ、またしてもギロチンの刃が降るかのように鎌を振り下ろしてくる。

 

「くそ」

 

転がって回避し、立ち上がって態勢を整えるが、それが十全になる前に奴は踏み込み、攻め立ててくる。何度も、何度も鎌を振い、俺の首元目掛けて必殺の一撃を叩き込まんと猛追をかける。完全に態勢を立て直し切れないまま、奴の猛襲を受ける俺の足にまたも足払いが襲う。

 

「ぐっ!」

 

たまらずすっころぶ俺。この機を逃さずネクロムも鎌を振り下ろす。文字通り首が飛びかねないこの状況下で、俺が半ば反射で選んだ選択肢は危機の回避ではなく、火中の栗を拾う前進だった。

 

ぐいと上体を起こして奴の懐にガンガンセイバーを押し当てると、トリガーをひたすらに引いて連射をありったけ浴びせた。

 

「ッ…!」

 

思わぬ反撃に奴が銃撃を浴びながらじりじりと後退していく。そこに追い打ちをかけるべく立ち上がった俺は更に前進。奴の視界を埋めつくす銃撃の火花に隠れながら距離を詰め、ドライバーのレバーを引き、必殺待機状態に入る。

 

やがて奴の間合いに入り込んだ。だが、あえて剣による近接戦に持ち込まない。銃撃の嵐がやんだほんの一瞬、奴は逃さず鎌を振り上げる。

 

それと同時に俺は跳躍、ネクロムを飛び越え、その背後に回る。一連の大胆な行動を思いつける判断力は恐らくリョウマの能力によるものだろう。

 

「!」

 

銃口を背部に押し当て、向こうが気づき対処するより早くそのトリガーを引く。

 

〔ダイカイガン!リョウマ!オメガドライブ!〕

 

「はぁ!」

 

トリガーを引き、瞬間的に高めた霊力を解放。至近距離で奴に直撃させた。当然俺も無事ではすまず、至近距離の爆発に巻き込まれ、地面を転がされることになる。

 

「いっつ…」

 

「深海!大丈夫か!?」

 

すぐに兵藤が駆け寄る。

 

「ああ、少しは削れたらいいが…」

 

「退屈だな。我の不意を突いたところで、火力が無ければな」

 

爆炎の中からやはり聞こえた冷めきった声。ぬるりと何事もなかったかのようにネクロムが現れた。

 

「プライムトリガーがなければ取るに足らんと思っていたが、少し過小評価が過ぎたらしい。でなければここまでの戦いを乗り越えられるはずがないからな」

 

「何も今までプライムトリガーに頼る戦いをしてきたわけじゃない。俺自身も強くなりたいと思い、何より皆がいたから、俺はここまで強くなれたし辿り着けた」

 

強がっては見るがやはりトリガーなしでアルルと戦うのはキツイ。何せ相手は不完全とはいえ神だ。それを太刀打ちできる手段は正直、ない。兵藤の真女王でも無理だ。本来なら他の叶えし者に対しても戦力を振りつつ、もう少し人数を増やして戦うつもりだった。ならば、やはり…。

 

「世界の異分子が仲間面など、滑稽だな」

 

「…いつになく俺を煽ってくるな。勝てると思いあがってるから余裕か?」

 

「当然だろう。我は上級神。下級悪魔と人間がどれだけ背を伸ばしたところで、届くはずがない。勝てるかもと思いあがっているのは貴様らだ」

 

「どこまで見下せば気が済むんだこいつは…!」

 

「存在そのものの格が違うからな。…そうだ、一つ教えてやろう。祭壇は何重にも結界で防護している。我の隙をついてプライムトリガーを奪い返そうなどとは思わないことだ。触れただけで身が弾け飛ぶぞ」

 

「…丁寧にどうも」

 

唯一の勝ち筋をも丁寧に潰してきやがった。元々簡単にいくとは思っていなかったが、いよいよどうするべきか。

 

「それでも諦めない貴様らの勘違いを潰すために、少しギアを上げるか」

 

アルルも更なる一手に出る。またも魔法陣から新たな眼魂を呼び寄せ、ゴーストチェンジを行う。

 

夜空のように青い眼魂を差し込み出現したのは、両肩に天球儀の様なアーマーを装着したパーカーゴースト。眼魂と同じく夜空色の地に、星々の様なラメが煌めく。

 

〔TENGAN!PTOLEMAEUS!MEGA UL-ORDE!〕

 

動作に意志を感じられないパーカーゴーストをゆったりとした動作で身にまとい、ネクロムは新たな姿へと変身を遂げた。

 

〔ASTRO CONSTRUCTOR〕

 

仮面ライダーネクロム プトレマイオス魂。顔面のモノキュラーガードは星座早見盤のような形状だ。今度は

俺でも知っている大物の眼魂だ。

 

「プトレマイオス…!」

 

「どういう偉人だ!?」

 

「誕生星座とか有名な星座を多く作った有名な天文学者だ。メジャーどこを引っ張ってきたな!」

 

「信長と英雄派は実にいい働きをしてくれたな。おかげで大量の眼魂を生み出すことができた。有能なものも無能なものも、ピンキリではあったが頭数に数えられることには変わりない」

 

パーカーゴーストに刻まれた星座の文様が発光し、能力が発動する。ネクロムから星光の様なオーラが立ち上り、次々に命を象られ、群れを成す。

 

獅子、大鷲、猛牛、大蛇、様々な動物を象った星のような輝きを纏う獣たちのオーラ。どれも星座のモチーフに数えられる猛獣たちだ。見たまんま、星座に由来する能力を持っているということか。手数の多い能力とみた。

 

「やれ」

 

ネクロムの号令で、一斉に獣たちが唸りを上げて襲い掛かる。

 

「ドラゴンショット!」

 

〔カイガン!ノブナガ!我の生き様!桶狭間!〕

 

対するこちらも得意の攻撃や、ノブナガ魂へのゴーストチェンジと射撃で対抗する。神器の能力とパワーにものを言わせた大質量のドラゴンショットで一気にオーラを撃墜し。

 

「撃ち漏らしは俺が!」

 

それを躱してきた素早い動きのオーラにはノブナガ魂の分身射撃で漏れなく破壊する。第一波を凌ぎ、次はネクロム本体へ攻撃を仕掛けようと思ったが。

 

「いない?」

 

ネクロムの姿が忽然と消えている。行方を捜すべくきょろきょろと辺りを見回したその時、強大なオーラを頭上に感じた。

 

「違う、上か!」

 

気付いた時には眼前に光の翼を生やしたネクロムが迫り、ハヤブサの狩りのように俺を天井のない大広間から空へと攫う。

 

「先程のお返しだ」

 

「!?」

 

腹にぐいと押し当てられたガンガンキャッチャーの銃口。絶え間なく、乱暴に銃弾が吐き出され何度も俺の腹部や胸部を狙い撃ちにする。

 

「ぐぁぁッ!!」

 

銃撃に押される形でさらに空へ打ち上げられる。このままでは如何に変身状態とは言え、高所からの落下で死ぬ。

 

〔アーイ!バッチリミロー!〕

 

撃たれながらも眼魂を取り換え、出現したパーカーゴーストに銃撃から守ってもらいながら飛行戦に対応したフォームへとチェンジする。

 

〔カイガン!フーディーニ!マジいいじゃん!すげえマジシャン!〕

 

フーディーニ魂。15の眼魂の中でもスペックの高いこのフォームは現状持てる最高火力である。奴を相手にするには心許ないが、プライムトリガーがない現状はうだうだ言っていられない。

 

背部の4つのホイール『シュトゥルムローター』の出力を全開、高速で飛行しアルルへ迫る。

 

〈BGM終了〉

 




眼魂が勢ぞろいしているので色んなフォームを出してみました。

次回からいよいよ各戦闘も決着していきます。

次回、「聖王剣は穿つ」
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