ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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いよいよ戦士胎動編最終回です。遂にあの人の謎に迫ります。

それと最近パソコンで書いてることが多いので「スマホ投稿」のタグを消すことにしました。

今日のビルドやばかった(語彙力)

Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
3.ロビン(+)
4.ニュートン(+)
5.ビリーザキッド(+)
7.ベンケイ(+)
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
13.フーディーニ

貸し出されていた4つの眼魂は入部に伴い正式に譲渡。



第24話 「月光校庭のエクスカリバー」

決戦を終えた次の日の朝、俺はいつものように学校へ行く準備をしていた。

欠伸を噛み殺しながら靴紐を結ぶ。

 

昨日の戦いは体育館が吹っ飛んだり俺が最後の一撃で軽いクレーターを作ったりとやりたい放題だったがあの後駆け付けたサーゼクスさん率いる加勢と会長さんたちが修復にあたった。異空間にレプリカを作れるくらいだし一晩で修復するなんてどうってことないか。

 

靴紐を結び終え、朝日が隙間から洩れこむ玄関のドアを開けた。

 

「ん?」

 

ドアを開けると、また廊下だった。廊下ではあるが明らかに俺の家の廊下とはフローリングも壁の白さも違う。建てられてからそれなりに使われた感じがある俺の家の廊下と違い、この廊下はまるで建てられたばかりのような真新しさがある。

 

「…俺、確かに玄関を出たよな」

 

玄関を開けて外に出るはずが見ず知らずの廊下に出たという出来事に戸惑いを隠せない。

 

「…」

 

廊下の向こうには鉄でできているらしく鈍い金属光沢を放つドアがある。これも真新しさを感じるが、庶民的な家のような廊下にはそぐわないドアだ。

 

取り敢えず進んでみようと俺はドアの前まで足を運ぶ。ドアノブの付近には何やら数字を入力する機械が取り付けられている。試しにドアノブを捻るが一向に開きそうにない。

 

「…パスワードを入れろってか」

 

そんなもの、当然知るはずもなく諦めて踵を返そうとした時だった。ピーという音が機械から鳴り、ガチャンという音がドアから聞こえた。

 

「…開いたのか」

 

再びドアノブを握り、何があるかわからないドアの先を警戒しながらゆっくりと開ける。

 

が、ドアの先にいた人物を見て少し安心感を覚えた。

 

「お、来たか」

 

そこにいたのは背の高い質素なテーブルに着き優雅にくつろぐ、いつもの名も知らない銀髪の少女だった。

 

いつもと変わらない服装だが、赤ぶちの眼鏡をかけている点ではいつもと異なっている。…結構似合ってるな。

 

「あんたは…」

 

「すまんの、ドアのロック解除を忘れておったわい。まあ取り敢えず、椅子に座るといい」

 

「はあ…」

 

俺は勧められた通り、椅子に腰かける。

 

さっきの廊下とは打って変わって基盤の模様が入った部屋の床や壁、天井には青い光のラインが走り、庶民的な物とはかけ離れた近未来的なインテリアが置かれている。まるで機械が高度に発達した未来の世界を描いた映画のようだ。

 

すると今度は青、というよりは水色の髪をショートカットにした少女がそっとソーサーに乗ったティーカップを俺の前に置いた。

 

少女はピチッした白とマゼンタのサイバースーツを着ており側頭部にはそれを囲む三角形の機械、額にはXIと表示された小さな円形のスクリーン付きの機械が取り付けられていた。まるでロボット、いやサイボーグのようだ。

 

「どうぞ」

 

「あ、どうも」

 

カップを手に取り、中に注がれた紅茶を啜る。熱くもなければ冷めてもいない丁度いい温度でとても飲みやすいものだった。カップをソーサーに戻し目の前でじっと俺の様子を伺っていた銀髪の少女に話しかける。

 

「あの、俺今から学校があるしあんたにかまってる暇はないんだけど」

 

間違いなく向こうから俺を呼んだのだろうが今日は休日ではないので俺は学校に行かなくてはならない。あまりもたもたしていると遅刻するし、何より先生に怒られたり目を付けられるのは勘弁だ。俺はあくまで静かに、穏やかに過ごしたいのだ。

 

少女はやや棘のある俺の言い方に動じることなく言葉を返す。

 

「そこは心配しなくてよいぞ、この空間の時間の流れはおぬしの住む世界より早くての。向こうの一分がここでは一時間なのじゃ」

 

「まじか…」

 

要は精神と時の部屋みたいな物ってか。

 

「…というか、ここはどこなんだ?」

 

俺の家の玄関からたどり着いたこの部屋。当然俺の家にこんな近未来的な部屋はないしこの世界はこんなものができる程ここまで技術が発達しているわけでもない。

 

「ここは次元の狭間に存在する妾の家兼秘密基地じゃ。家の玄関のドアをこの部屋の入口とリンクさせそこからおぬしはここに来たのじゃ」

 

「次元の狭間!?」

 

さらっと放たれた衝撃の事実に驚く俺に少女がもう一言付け加える。

 

「もっとわかりやすく言うならフォーゼのラビットハッチのようなものじゃな」

 

「あ!なるほど…」

 

何となく仕組みはわかった。

 

ラビットハッチとは仮面ライダーフォーゼに登場する、月面にある仮面ライダー部の秘密基地。仮面ライダー部は彼らが通う高校のゲートスイッチなるものによって空間が繋がったロッカーからそこに行けるのだ。

 

例えるならさっきの場合、家の玄関がロッカーでこの部屋がラビットハッチということか。少女は指を立てて更なる説明を加える。

 

「この部屋の入口は世界中の扉、あるいはそれに近い機能を持つものと直接繋がることができる。おぬしが思う妾の神出鬼没性はこの機能によるものじゃ」

 

「そういうことだったのか…」

 

結界の中だろうと部長さんの別荘だろうとどこに行っても現れるのはその中のドアとここを繋げていったからか。

 

つまりは世界中のどこからでも行けるラビットハッチ。逆に言えばここから世界中の

どこにでも行ける。とんでもない機能だな。その気になれば一国の大統領の私室にあっという間に侵入して暗殺したり、飛行機代なしで世界旅行すら容易に可能になるというもの。

 

便利でもあり、用途を違えれば恐ろしくもある機能だ。目の前の少女が話は終わったと一旦目を瞑り、また新たな話を切り出す。

 

「…さて、おぬしは先日、見事コカビエル討伐を成し遂げたな。厳密に言うとヴァーリが漁夫の利を掻っ攫う形で終わったが」

 

「まあな…ん?」

 

昨日の戦い。俺はオカルト研究部の皆と共にエクスカリバーの使い手・フリードや堕天使幹部コカビエルと戦い、一度は逃げ出すもこの少女の説得を受けて戦場に戻りコカビエルに打ち勝った。だが…。

 

「ヴァーリ…?もしかして白龍皇のことか?」

 

初めて聞く単語に疑問符を浮かべる。

 

漁夫の利を攫ったというのは突然現れた白龍皇が倒し損ねたコカビエルを回収したことを指しているのだろう。だとすると恐らく白龍皇=アルビオン=ヴァーリということだろうか?

 

「おっと、口が滑ったのう。まあいい」

 

両の手を組み、いつものように飄々としたものでなく真面目な表情に切り替わった。

 

「約束通り、全てを話そう。じゃがその前に一つ約束をしてほしいのじゃ」

 

「…なんだ」

 

まさか全部話し終わったら記憶を消させてもらうとかじゃないよね?

 

「妾に関することは一切、他言無用で頼む」

 

彼女は至って真剣に話している。これから知られたらまずいことも喋るということか。

 

「まあそれくらいなら…」

 

それくらいならどうってことはないし今まで助けられてきた恩がある。それくらいならどうってことはないと約束を受け入れると少女はフッと笑み、話し始める。

 

「よし、ならばまずは自己紹介からじゃの」

 

…やっと、この人のことを知れる。何度も現れては俺を助けては風のように消え、その行動の理由も自分のことも何一つ語らなかったこの人。

 

すこしドキドキするがそれを悟られまいと努めて平気な表情をする。

 

「妾の名は『ポラリス』。『レジスタンス』という組織のリーダーを務めておる者じゃ」

 

「ポラリス…」

 

それが今までふらりと俺の前に現れては俺に道を指し示した人の名前か。でもその名前は…。

 

「って偽名かよ!俺が知らないとでも思ったか!?それって星の名前だろ!!」

 

ポラリスはこぐま座を形作る星の名前だ。世間一般には北極星という名で広く知れ渡っている。当のポラリスさんは違う違うとかぶりを振る。

 

「いやいや、偽名ではない。ハンドルネームじゃ」

 

「は?コードネームじゃなくてか?」

 

ハンドルネームは確かSNSやゲームなどで使うネット上の名前のことだ。ポラリスという名前が偽名でもコードネームでもないというのは一体どういうことだろうか…?

 

「うむ。…どうせ、今更真名を名乗ったところで意味はないのでな」

 

ポラリスさんは首を縦に振ると、どこか遠い目をして小さく呟いた。

 

「?」

 

意味深な言葉に首を傾ける。「話が逸れたな」とポラリスさんは今度は隣にいるさっきの水色のショートカットの少女の方へ向いた。少女は寒色系の色の髪のようにクールな雰囲気を放ち、どこか眠たそうな表情をしている。

 

「そして隣にいるのが妾の部下、『Type.XI “Ze31Po”』。まあ、サイボーグじゃ」

 

この人本当にサイボーグだったのか!近未来感はあるけどまさかサイボーグだとは思わなかった。

 

「初めまして、気軽にイレブンと呼んでください」

 

イレブンさんはぺこりと丁寧にお辞儀をする。

 

「はい、よろしく」

 

俺も軽く会釈して返す。今度は俺から話を始める。

 

「で、あんたは悪魔なのか?」

 

どうみても顔立ちは外国人ぽいし日本語もペラペラ、さらには人よけの結界も使える。悪魔は長生きだと聞くしそれならあの老成した口調とそれに相反する若い外見も説明がつく。

 

しかしポラリスさんは俺の問いに否と返す。

 

「いや、妾は一応人間じゃ。ちっと長生きではあるがな」

 

「マジか」

 

本人はそう言うけど本当に人間か?まだまだ秘密はありそうだ。今度はポラリスさんから喋りだす。

 

「そうそう、おぬしが気になっているであろう『何故妾がおぬしの力が仮面ライダーであることを知っているのか』についてじゃが…」

 

いきなりそれか、確かに気になるな。唾をごくりと飲んで答えを待つ。

 

そしてポラリスさんは思いもよらない答えを返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「簡単な話、妾も異世界から来たから、じゃ」

 

「!!?」

 

驚きのあまり思わずガタっと立ち上がる。異世界から来た…つまり俺と同じ転生者か!?

 

ポラリスさんは「まあ落ち着け」と言って椅子に座ることを勧め、俺もティーカップの紅茶を呷って落ち着くと再び椅子に腰かけた。

 

「妾たちレジスタンスはある連中を追っていての、その中で様々な異世界を巡り、仮面ライダーについて知ったのじゃ」

 

「異世界を旅してるのか…」

 

「ああ、それもこの基地の機能の一つじゃ」

 

世界中どこにでも行けて、異世界にも行ける、この基地はとんでも機能の塊か。そしてさっきこの人は気になる言い方もした。『妾”も”異世界から来た』と。つまりそれは…。

 

「それより、俺が異世界から来たことを知ってるのか」

 

「ああ。この世界にスペクターなる仮面ライダーは存在しないしのう。それにおぬしの介入は正史にはないものじゃ」

 

ポラリスさんはビシッと俺を指さした。

 

「だとすれば、おぬしは異世界から来た者だと断言せざるを得ない」

 

「…同類ってのはそういうことか」

 

合宿で会った時の言葉はこういう意味だったのか。正史と言う言葉が引っかかるがそれより。

 

「で、俺が異世界から来たと知ってるのなら俺をどうするつもりだ?」

 

よくあるパターンは『お前は世界の異物だ』とか言って排除されるもの。…いやだよ?そんなことばら撒かれて皆から敵意や殺意の目で見られるのは。そんな千翼みたいな目に合うのはマジで勘弁。

 

ポラリスさんは俺の疑いの視線に肩をすくめながら返事した。

 

「以前にも言ったはずじゃ。妾はおぬしを強くしてスカウトするつもりじゃとな」

 

そしてポラリスさんは真っすぐに俺を見据えて話した。

 

「のうおぬし、『レジスタンス』に入る気はないか?」

 

…それが目的で俺に関わってきたのか。確かにこの人には大きな恩がある。でもそれでも…。

 

「俺はオカルト研究部のメンバーだ。仲間を裏切るつもりはない」

 

目を細くして俺は誘いを蹴った。

 

俺には一度守ると決めたものがある。一度覚悟を決めた以上、投げだす気は毛頭ない。

 

ポラリスさんは俺の拒否に動じることなく返した。

 

「まあそうなるじゃろうな。じゃがおぬしにとって悪い話ではない。おぬしに戦闘用フィールドを貸し出して妾たちが稽古を付けることもできる。妾たちはコカビエルなんて比じゃないレベルの戦闘経験を積んでおるからのう、きっとおぬしを強くできるぞ」

 

「修行ならあいつらとすれば十分だ」

 

「彼らとの模擬戦だけではおぬしの力をより伸ばすことはできんぞ。…それに、本当に妾の誘いを断っていいのか?」

 

意味深な言葉と笑み。ポラリスさんはまだ余裕のある話し方をしている。まだまだ手はあるってのか。

 

「…どういう意味だ」

 

「おぬしが入院して家を留守にしていた間、誰が家の管理と維持をしていたと思う?」

 

「…?」

 

確かに言われてみれば事故で両親を亡くし、俺もその事故に巻き込まれて入院していたはずなのに家や両親の遺品、財産の話など一切耳に入っていなかった。転生当初は生きていくのに必死ですっかり忘れていた。それを今、この人がこの場で切り出すということはまさか。

 

「…まさか」

 

「不審に思わなかったのか?ずっと手つかずのはずの家が何故、綺麗に掃除されていたのかも」

 

ポラリスさんはニヤリと笑い、自身を指さした。

 

「全部あんたの仕業かよ!」

 

俺の言葉に悪びれもせずポラリスさんはうんうんと首を縦に振った。

 

「そうじゃ、今でも妾が家計を援助しておるぞ。家の管理、金の管理。妾の誘いを蹴ればその瞬間全て無くなるぞ?それでもいいというなら止めはせんがな」

 

「そういうのはスカウトじゃなく脅しって言うんだよ…!」

 

クソッ、すごく断りにくくなった。金のことまで向こうの手の中ってこの人の誘いを断れば俺は生きていけないじゃないか。とんでもない弱みを握られさらには半分というよりはほぼ脅しに近いことまでされてしまった。オカ研の皆、俺は一体どうすればいいんだ…!?

 

そんな俺にポラリスさんは更なる追い打ちをかける。

 

「今なら、妾が今までの旅で収集した情報を記録したデータベースへのアクセス権も付けよう。気になるじゃろう?おぬしがこの世界に来たあとの仮面ライダーがどんなものなのかを」

 

「ッ!!!」

 

ある意味、一番心がぐらついたのはこれかもしれない。この世界には平成ライダー作品がないから好きな音楽もなく非常に困っていたところであった。

 

「ビルドの続きが…」

 

思わず心の声を漏らす。俺が死んだときは確か西都との代表戦が決着したところだった。まだビルドの最強フォームも見てないしそう言われると非常に気になるところだが…。

 

ポラリスさんは再びニヤニヤしながら話を続ける。

 

「ふふふっ…そうか、おぬしはビルドで止まっておるのか。よかったのう、妾につけばビルドの続きも好きなライダー作品も見放題じゃ。特訓、家計の管理と援助、見放題。断る理由なんてないじゃろう?」

 

「くっ…!!!」

 

無料で見放題だと…!?ア○○ンプライムなんて目じゃないほどの魅力的な特典。心がさらに揺らぐ。これが悪魔のささやきか…!!

 

ポラリスさんはふとニヤニヤ顔をやめて、今度はなだめるような声音で話す。

 

「それに安心せい、妾はグレモリー眷属に敵対するつもりは毛頭ない。彼らも連中に対抗するために必要な戦力、決して失う訳にはいかんからのう。今は表立って支援できないが、時が来れば表舞台に立ち彼らと共に戦うつもりじゃ」

 

「それならそうと最初に言えばいいのに…」

 

俺はてっきりスパイみたいな事をしろって言うことかと思ったぞ。俺はチーム鎧武とユグドラシルに板挟みにされて心がスクラップブレイクしたミッチーみたいにはなりたくない。

 

取り敢えず安堵の息を漏らし、気になっていたことを訊ねる。

 

「そもそも、あんたが言う敵って誰なんだ?」

 

この人が率いる『レジスタンス』が異世界を巡ってまで追っているという敵。一体どのような連中なのか俺は気になった。

 

「奴らの名を今出すことはできん。どこに奴らと通じているものがおるかわからんのでな。それに今下手に知ればおぬしの身が危険にさらされる可能性がある」

 

ええ…。それってもう既にこの世界にいるってことじゃないか。話を聞くにそこそこ勢力の規模もありそうだ。一体何を相手にしているというんだこの人は。

 

「そいつらってもうこの世界にいるのか?」

 

「いや、奴らの手下はいるというだけじゃ。奴らはおそらくこの世界の存在にも気づいておるじゃろう。奴らの力は強大じゃ、いずれ必ずこの世界を滅ぼしにやってくる」

 

「…?」

 

手下だけいて本体はいない…?つまり斥候か?

 

いや待て、今世界を滅ぼすって言ったな!?そんなことができるって神クラスのやつじゃないか!何てものに俺を巻き込もうとしてるんだこの人は…!

 

ポラリスさんは俺の内心の動揺なんてつゆ知らずに話を続ける。

 

「奴らが来るまで妾は戦いに備えるつもりじゃ。まあ、他にも何らかのイレギュラーがあれば妾もこっそりと介入する気じゃがな」

 

「イレギュラー?」

 

「おぬしの介入が原因で起こりうるかもしれんのじゃ。良いイレギュラーがあれば悪いイレギュラーも当然ある」

 

「…そうか」

 

元々いないはずの俺がいるからその影響でおかしなことになるってか。…もし、それで仲間が傷つくって言うなら俺はそれに立ち向かうつもりだ。自分が引き起こしたことのケジメは自分でつける。それこそ、昨日のコカビエル戦のように。

 

話が一通り終わり、ポラリスさんの表情がさらに真に迫ったものになる。

 

「…妾の身勝手な願いなのはわかっておる。じゃが妾はこの世界を守りたい。妾は多くの異世界を巡り人の醜さも知ったが、人のぬくもりも知った。それはどんな世界に行っても何ら変わりないものだったのじゃ。奴等はその温かさを無慈悲に嘲笑いながら壊す。妾はそれが許せん」

 

「…」

 

「正史に登場しないイレギュラーな存在であるおぬしこそ奴らがもたらす滅びの運命を変えるファクターになると信じておる」

 

ポラリスさんはそっと優しく俺の手を握った。

 

「頼む、妾たちに力を貸してくれ」

 

そして真剣な声色、表情で頭を下げた。

 

俺はこの人の言葉に覚悟と重みを感じた。それが何なのかはよくわからないが、ポラリスさんには目的を絶対に達成するというダイアモンドの意志がある、だからこそこんなことをあんな表情で言えるのだろうし、俺に厳しい言葉をかけれたのだろう。

 

「…ハァ、最悪だ。いきなり世界を滅ぼそうとする連中と一緒に戦ってくれと言われるなんてな」

 

「顔を上げてくれ」と言ってポラリスさんの顔を上げさせる。答えは既に決まっている。

 

「ポラリスさん、あんたには何度も助けられた。俺がくじけた時に必ずあんたは現れて叱ってくれた、励ましてくれた」

 

初めて会ったのは先月、俺がレイナーレの件で心に深い傷を負い公園で落ち込んでいた時だった。この人は見ず知らずの俺に易々と話しかけ俺を立ち直らせた。

 

昨日会った時は俺が死への恐怖に怯えていた時だ。俺を咎め、俺の感情を爆発させてそれを受け止めたうえでこの人は俺に戦士としての覚悟を決めさせた。この人がいなかったら今の俺もないだろう。

 

「…だから俺はその恩に報いたい。あんたと一緒に戦うよ」

 

まだ話してくれなかったことも色々ある。

 

でも俺は決めた、この人を助ける。俺は守りたいと思う大切な物の中にこの人も入れることにした。

 

「…決まりじゃな」

 

フッとポラリスさんが笑みを浮かべ、立ち上がった。

 

「紀伊国悠、今日からおぬしは妾たちレジスタンスの仲間じゃ。これからもよろしく頼むぞ」

 

「ああ」

 

俺も立ち上がって差し出された手にしっかりと握手で応じる。いつかは、もっといろんなことを話してくれるよな。

 

「では早速、おぬしに任務をやろう」

 

「…」

 

真剣な気構えでポラリスさんの指示する任務の内容を待つ。ポラリスさんはニヤリと笑みを浮かべ、口を開いた。

 

「ま言われなくともするじゃろうが、おぬしの大切な物をしっかり守るのじゃ。絶対に死なせるなよ」

 

「わかってるよそのくらい!」

 

当たり前すぎる内容だった。そのくらい言わなくてもいいのにな。

 

「では早速新入りの歓迎会をせねばな!イレブン、用意していたケーキを持ってくるのじゃ!」

 

ポラリスさんは俺が開けたドアとは別のドアを指さし、嬉しそうにイレブンさんに指示を飛ばす。

 

「今すぐに」

 

イレブンさんは早足にこの部屋から去っていった。

 

「いや流石にちょっと、朝からケーキは…」

 

「いいのじゃいいのじゃ。しっかり食わんと大きくなれんぞ?」

 

この後、腹いっぱいケーキを食べて昼飯が入らなくなった。

 

 

 

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数日後の放課後、俺と兵藤はオカルト研究部の部室に行くとこの場にいるはずのない人物の存在に驚いた。

 

「やあ赤龍帝、紀伊国悠」

 

緑のメッシュを入れた青髪の少女、ゼノヴィアさんがソファーに座りゆっくりとくつろいでいる。向こうはまるで何でもないかのように挨拶してきた。

 

「「って、なんでお前がここに!!?」」

 

コカビエルとの戦いが終わって以来全く見かけなかったし、エクスカリバーの任務が終わったからてっきり帰ったものだと思っていたが…。

 

バサッ

 

その時、ゼノヴィアさんの背に黒い悪魔の翼が現れた。…うそん。

 

「ええええ!!?」

 

「ゼノヴィアさん、悪魔になったのか…!?」

 

ゼノヴィアさんいつの間に!?てか教会の戦士が悪魔に転生していいのか!?

その理由がわからない。まさかの展開に俺の頭が追い付いていない。

 

「ああ、神の不在を知り半ばやけくそで悪魔に転生してね。駒は『騎士』一つ分だよ。すごいのはデュランダルで私自身はそうでもないみたいだ」

 

まじか…。やけくそで悪魔になるとかそんなんでいいのかよデュランダル使い。

 

「部長、ほんとにいいんですか?」

 

「デュランダル使いなんて戦力として破格よ。これで『騎士』が二人そろったわ」

 

そう語る部長さんは楽しそうだ。確かにあんなに強いデュランダルを使える剣士なんて味方にいたら頼もしいな。

 

「で、その制服は…」

 

今のゼノヴィアさんは先日のようにピチッとした戦闘において動きやすさ重視の黒スーツではなく見慣れた駒王学園の女子制服を着ている。今までの黒スーツに慣れていてちょっと違和感を感じる。

 

「それから、今日からこの学園に編入することになったんだ。駒王学園高等部2年、オカルト研究部所属。君たちと同じクラスだそうだ。よろしくね♡」

 

「真顔でかわいい声出すのやめろ…」

 

真顔に似合わないかわいい声。兵藤が若干引き気味にツッコミを入れる。

 

「うーん、イリナのようにはいかないか…」

 

ゼノヴィアさんはうーんと額に手を当てて「どうすれば…」と言いながら色々思案し始めた。ゼノヴィアさんと言えばもう一人相方がいたが…。

 

「そういえば紫藤さんは?」

 

俺が最後に遭ったのはフリードと戦った時に加勢に来た時だ。その後、フリードを追う際中に奴の返り討ちに遭い会長さんの家に運ばれたとは聞いている。ゼノヴィアさんは「イリナか」と言って答えた。

 

「イリナは私の物も含めた5本のエクスカリバー…内、統合されていた4本は芯となっていた『かけら』の状態とバルパーの遺体を持って本部に帰還した。かけらさえあれば錬金術で再び聖剣を作り直せるからね、一応任務は完遂したという訳だ」

 

本部に帰還したか。エクスカリバーも木場が派手にぶっ壊したからもうダメかと思っていたけど芯が無事ならまた作り直せるのか。伝説の聖剣を何度でも復活させられるって言うのは安心する反面ちょっと貴重さが落ちるような気もするが…。

 

「で、何でお前だけここにいるんだ?」

 

一緒に紫藤さんと帰還したはずなのに、何で悪魔に転生してここに来たのか。まだそこの話が語られていない。

 

ゼノヴィアさんはやや落ち込んだように語りだす。

 

「…主の不在を知った私は異端とされ追放されてしまった。イリナは戦線離脱していたから運よく知らずに済んだが…。教会は異端者を酷く嫌う。たとえそれがデュランダル使いであってもだ。こうして私はアーシア・アルジェントと同じ様に切り捨てられ、途方に暮れていたところを部長に拾われたわけだ」

 

主の不在を知っただけで追放か。俺が軽く考えてるだけで実際この事実は相当大変な物かもな。主の愛だ恵みだと教えを広めている教会も、聖剣計画のことも然り、話を聞けば内情はかなり厳しいものなんだな。

 

「そうか…折角のエクスカリバーを返してもよかったのか?」

 

「デュランダルがあるから大丈夫だ。因子のレベルの関係で私ぐらいしか使い手がいないデュランダルと違ってエクスカリバーは他にも使い手を見繕えるからね、それに返さないとそれはそれで新たな問題になる」

 

フリードのように因子の結晶があれば人工的な聖剣使いを生み出せるってか。それよりデュランダルは持ち出しOKなのか。俺の隣で話を聞いていた兵藤がふと質問をした。

 

「なあそういえば、悪魔が聖剣を使って大丈夫なのか?」

 

「言われてみればそうだな…」

 

聖剣は悪魔に必殺の効果がある。触れるだけでも危ないという代物を悪魔が使って本当に影響が出ないのだろうか?読書をしていた木場がそれに答えた。

 

「多分、聖剣使いの因子があれば大丈夫だと思うよ。事実、聖剣の効果も持っている聖魔剣を悪魔の僕が使えてるしね。流石に斬られるのはまずいと思うけど」

 

「あ!確かに!」

 

それなら納得がいくな。あの時は流れで何とも思っていなかったけど光の力も持っている聖魔剣をこいつは事も無げに使いこなしていた。

 

ゼノヴィアさんが声のトーンを落として話す。

 

「イリナは私が悪魔になったことを残念がっていた。理由を言えないし、つらい別れだったよ。…いずれ、悪魔と教会の戦士として相まみえる時が来るかもね」

 

かつての友との戦いか。…なるべくそんな悲しいことにならないよう願うばかりだ。

 

今度は部屋の奥の卓に付いていた部長さんが話を始めた。

 

「今回の一件、堕天使総督のアザゼルがこの事件はコカビエルの独断によるもの、捕らえたコカビエルは地獄の最下層、コキュートスで永久冷凍の刑が執行されたと公表したわ」

 

あれはコカビエルの独断だったのか。逆にそうじゃなかったらもっと大変なことになってたな。加勢に来たサーゼクスさんと真の黒幕の総督アザゼルが駒王町の残骸で鉢合わせになり、それこそ戦争が起こる。

 

「そして近いうちにセラフ、魔王、アザゼルが集まって会談を開くそうよ。教会側もバルパーの件で非があるとの謝罪もあるしアザゼルも何やら言いたいことがあるらしいわ」

 

へぇ、首脳会談ってか。コカビエルの上司だった総督アザゼルはもちろん教会も聖剣計画なんて無茶苦茶なことをしてこっちに迷惑をかけたんだから謝罪の一言くらいは欲しいしな。

 

「事件に関わった私たちも会談に参加するよう要請が来たわ。事の顛末を首脳陣の前で説明するの」

 

「マジっすか!?」

 

堕天使幹部との戦いの次は各勢力のトップが集まる首脳会談に参加か。ポラリスさんのこともそうだが最近気付いたらとんでもないことに巻き込まれていることが多いような…。

 

ふとゼノヴィアさんがアルジェントさんの方を向いた。

 

「…アーシア・アルジェント。君を『魔女』と呼んですまなかった。主がいなければ愛も救いもなかったわけだからね…。本当に悪いことをした」

 

ゼノヴィアさんが深々と頭を下げて謝罪した。

 

…そこらへんの話は初耳なんだけど。一体どういう流れでそんなことになったの?

 

「ゼノヴィアさん、私は悪魔になってたくさんの大切な人に出会えました。そんな人たちとの出会いと生活があれば…それだけで十分です」

 

本当に優しいんだなアルジェントさんは。天使の方が絶対似合ってるよ。

 

顔を上げてその言葉を聞いたゼノヴィアさんはより申し訳なさそうに顔をしかめた。

 

「そうだね…私は主の不在を知り、異端とされ追放された。その時の上層部の人たちの目が忘れられないよ。もう君を断罪しようなんて言えないな」

 

ふと部長さんがゼノヴィアさんに声をかけた。

 

「…そういえばゼノヴィア。彼に話は通したかしら?」

 

「おっと、忘れる所だった」

 

ゼノヴィアさんが俺の方を向く。

 

…俺?

 

「部長とアーシア・アルジェントは赤龍帝の家にホームステイというものをしていると聞いた。部長にアパートの一室を用意してもらったが…よければ、君の家にホームステイさせてもらえないだろうか?」

 

「え?」

 

思いもよらぬ申し出、声が漏れた。

 

「「えええええええ!!?」」

 

旧校舎中に俺と兵藤の叫びが響いた。ってお前は関係ないだろ!!

 

「私はコカビエルを倒したただの神器持ちの人間である君をもっと知りたいと思っている。それに…主の不在を知って心のバランスを崩し、死を望んだ私を守り『生きろ』と言ったんだ。…その責任は取ってもらおう」

 

こいつそんなことを考えていたのか…。自殺なんて穏やかじゃないな。でも主の教えを基に生きるという生き方しか知らなかったゼノヴィアさんには相当ショックだったのだろう。そうしようと考えられなくなるのも当然だろうな。

 

責任ね。俺が望んで得た力の責任を取ると決めたらすぐこれか…。

 

自分の頭をわしゃわしゃと掻きながら返事する。

 

「…だーっ!わかったよ!その責任もきっちり取る!」

 

それに静かな家に同居人ができるのは嬉しい。ゼノヴィアさんが俺の返事にニコッと笑い告げる。

 

「というわけで、今日から君の家で世話になる。よろしくね、紀伊国君♡」

 

「無理しなくていいぞ」

 

無理に紫藤さんの真似する必要はないぞ…。…ちょっとだけ、今の表情を見て可愛いと思ってしまった。

 

「ふふっ…さあ、部活動を始めるわよ!」

 

「「「はいっ!!」」」

 

部長さんが手を叩き、掛け声に皆が元気よく返事する。

その後、俺とゼノヴィアさんを加えた新オカルト研究部の皆と談笑したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

「~♪~♪~♪~♪」

 

週末の休日、俺は天王寺や上柚木、桐生さん、いつもの三バカ、アルジェントさん、塔城さんと木場と一緒にカラオケをしていた。今しがた歌い終えたのは俺の十八番『儚くも永久のカナシ』。ま、仮面ライダーはなくてもガンダムならあるからな。『ダンガム』と言う風にちょっとだけ名前が違うが。

 

ホームステイ中のゼノヴィアは部長さんや姫島先輩と一緒にショッピングに出かけた。主に服の調達を目的に二人に誘われたんだと。あいつ持ってる服が戦闘用の黒スーツと制服しかなかったからな…。今までオシャレに気を使わなかったというのもあるんだろう。

 

ちなみに今までのようにさん付けしないのはホームステイ生活一日目で「折角同じ屋根の下で暮らすんだから他人行儀な呼び方はやめてくれ」と言われたからだ。そしてこっちも「じゃあ俺をフルネーム呼びするのはやめてくれ」と言ったら向こうは下の名前で俺を呼び始めた。

 

…なんかくすぐったい感じがした。

 

モニターにカラオケの採点の結果が表示される。点数は何と…92!?

 

「92点!?悠くんごっつ上手いな!」

 

「紀伊国さっすがぁ!」

 

天王寺と松田がはやし立てる。そう言われると照れるじゃないか…。

 

「次は私が歌うわ!」

 

「よっ!待ってました!」

 

元浜が盛り上げ、俺の斜め前に座る桐生さんが意気揚々とマイクを握る。ちなみに桐生さんの隣では上柚木がアルジェントさんのためにと聖歌のカラオケを探している。…おいおい、悪魔なのに聖歌を歌って大丈夫なのか?

 

ちなみに現在の最高得点は94点をたたき出した塔城さんの『OH MY シュガーフィーリング!!』。普段の物静かな雰囲気とは打って変わってはきはきと明るく歌う様に皆肝を抜かした。

 

俺の隣に座っていた木場がトントンと俺の肩を叩いた。

 

「ん?どうした?」

 

「ちょっとついてきてくれるかい?」

 

「まあ別にいいけど…」

 

頷くと木場が立ち上がりドアを開けて店の廊下へ出ていき、俺もその後に続く。

ついていくとやがてトイレの前に来た。丁度、トイレに行っていた兵藤が入口から出てきた所だった。

 

俺たちに気付いた兵藤が声をかけてきた。

 

「お、木場、紀伊国」

 

すると木場は俺と兵藤に向き直った。そして神妙な表情で話す。

 

「イッセー君、紀伊国君、二人に言いたかったことがあるんだ―――ありがとう」

 

木場の奴、それを言うためだけに俺たちを集めたのか…。

 

兵藤が明るく笑って木場の肩をポンと叩いた。

 

「木場、お前の同士も部長も皆許してくれた。それでいいじゃねえか」

 

「今更言葉にしなくたっていいよ、俺たちは過去のことじゃなく今と明日のことを考えればいいんだよ」

 

「イッセー君、紀伊国君…」

 

木場が瞳を潤ませながら俺たちを見る。俺たちに救われたんだな、こいつは。

 

そんな中、兵藤が新たな話を切り出す。

 

「そうだ木場、次デュエットやろうぜ」

 

「いいね、何を歌う?」

 

「俺の十八番、『ドラグソボール』だ!」

 

話を聞いた俺はニヤニヤと二人の方を向いて言う。

 

「へぇ、お前らのデュエット楽しみにしておくか」

 

「あまりハードルを上げないで…」

 

「ハハッ!わかってるよ」

 

こうして俺たちは喉が嗄れるまで歌いつくした。

 

でも楽しかった。俺が力と向き合って選んだ道がこんなに笑顔溢れる未来へと続いている。

 

なら俺はこの他愛のない、皆が笑って過ごせる日常を守るために一生懸命になって戦おう。逃げて現状に甘んじるのではなくよりよくしようと立ち向かう。それこそがたどり着いた俺だけの『答え』だ。

 

そう再び、固く俺は誓った。

 

 

 




この戦士胎動編も今回で最終回です。
この作品が始まってから約4か月。長かったですね。悠が覚悟を決めるまでこんなくよくよした主人公の作品、きっと飽きられるよな…、すぐ切られるよな…と思いながらもめげずに書き続け23話、覚悟を決める回まで来てからはもう書くのが楽しくて楽しくて仕方なかったです。こんなヘタレなキャラが主人公の作品に付き合ってくださった皆様、本当にありがとうございました。

こんなことを書いていますがこの作品はまだまだ終わりません。今回は戦士胎動編という一区切りがついただけです。戦う覚悟を決めた悠がこれから先どんな道を歩むのか?残る眼魂のありかは?ポラリスの言う敵とは?これからも「あ!」とか「おお!」と言わせるような展開を予定しているので楽しみにしていてください!


次回はゆるりとした日常で外伝をします。一話完結ですが内容は実質24.5話です。
次章予告もそっちでやります。

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