Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
3.ロビン(停止)
4.ニュートン(停止)
5.ビリーザキッド
7.ベンケイ(停止)
11.ツタンカーメン(停止)
12.ノブナガ
13.フーディーニ
〈BGM:GIANT STEP(仮面ライダーフォーゼ)〉
空を切り、突きだす拳を魔術師の鼻っ柱に叩きつける。
ドッと言う音を響かせて魔術師が木っ端のように吹っ飛び他の魔術師を巻き込みながら倒れていった。
矢継ぎ早に跳躍して魔術師の群れのど真ん中に飛び込む。跳躍からの落下の際、魔術師が魔法の炎や氷を飛ばし迎撃するがガンガンハンド銃モードを即座に召喚し、落下しながらも打ち落としていく。途中撃ち漏らした魔法が何度かかすったが気に留めずに攻撃を続ける。
着地と同時にロッドモードに変形、ブンと自分の周囲360度に薙ぎをかける。
後方に飛び退って回避に成功する魔術師もいればわずかに遅れ薙ぎを腹に叩き込まれる者もいた。
「ぐへっ!」
薙ぎを受けて倒れた魔術師の一人の頭を踏み抜き、銃撃を食らわせて黙らせる。
再び跳躍、薙ぎを躱して飛び退った魔術師に迫りボレーキックで頭を的確に蹴り飛ばす。
ズザザと砂を巻き上げて倒れる魔術師に目もくれず隣にいた魔術師には後ろ回し蹴りを喰らわせた。
後ろ回し蹴りの際背後から手に魔方陣を輝かせる存在に気付き、蹴りの後流れるようにガンガンハンドを変形させ構え、銃撃と共に放たれた魔法がぶつかり相殺する。俺はモクモクと生まれた煙に臆することなく突っ込み、その先にいた魔術師に出会い頭に拳打を見舞った。
やはり弱い。奴ら魔術師は遠中距離戦では魔法で攻撃できるが接近戦になれば素人に等しい。故にこうして接近戦に持ち込めばあっという間に蹂躙できてしまう。こうして実戦でしっかりと動けるのはイレブンさんとの模擬戦のおかげだな。
素早く別の眼魂を握り起動、ドライバーに差し込んでゴーストチェンジする。
〔カイガン!ノブナガ!我の生き様!桶狭間!〕
差し色の金が豪華なノブナガ魂に変身した俺はガンガンハンドを構え、辺りにいる魔術師たちに銃撃を浴びせる。もちろんただの銃撃ではなく肩部の『テンカフォースショルダー』でコピーしたガンガンハンドも本体のトリガーを引くと同時に一斉に火を噴き広い範囲で敵を撃ち倒していった。
距離を取った魔術師の魔法はバテレントコートが意思を持つかのように動き防御する。
何人か固まった魔術師たちが魔法の準備をするのを見て先んじて一斉砲火を浴びせ、吹き飛ばした。
〔ダイカイガン!ガンガンミロー!ガンガンミロー!〕
待機音と同時に銃口が紫色に輝く霊力を蓄え始める。
引き金を絞った。
〔オメガスパーク!〕
寸分違わず放たれた苛烈な霊力弾の嵐が魔術師たちを巻き込み、撃ち抜いていく。ドドドドドドドド!!とド派手な爆音と衝撃を響かせて地面を抉り、魔術師たちは爆炎に飲まれていった。
隙ありと背後から迫り至近距離で魔法を喰らわそうとする輩は振り向きざまに掌底を打ち据え黙らせる。
更なる眼魂を起動し、ドライバーに装填する。
〔アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!〕
トランジェント態になり装備が手薄になった俺を見て魔術師たちが好機を逃さんとばかりに一斉に魔法を放つ。
しかし宙に躍り出た赤いパーカーゴーストが全て斬り裂いた。
〔カイガン!ムサシ!決闘!ズバッと!超剣豪!〕
レバーを引きパーカーを纏ってムサシ魂にチェンジする。
ガンガンセイバーを召喚、刀身を分離させ展開。もう一本の剣に変えガンガンセイバー二刀流モードに移行する。
腰を落とし二振りの刃を構える。その間に発動し打ち出された魔法の数々を切り裂きながら走り、距離を詰め接近戦に持ち込む。
一人、袈裟切りにて切り伏せる。左にいる魔術師を薙ぎで切り払い、翻る剣光。背後の敵をたたき切る。
魔術師の群れの奥へと突き進む。最中、すれ違う魔術師を有無を言わせずに切り裂く。右、左、右斜め前、左斜め前。眼前に立ちふさがる敵を全て展開する魔方陣ごとぶった斬り血華を咲かせる。一騎当千の暴れっぷり、冴えわたる剣豪の絶技。誰も止められるものはいなかった。
猛進し群れを突き抜けたところでセイバーをドライバーにかざし『アイコンタクト』する。
〔ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!〕
刃から赤い霊力が迸り輝いた。
〔オメガスラッシュ!〕
トリガーを引くと同時に滾る霊力が解放、刀を大きく振るいX状の斬撃にして飛ばす。
斬撃は真っすぐ突き進み進路にいた魔術師たちを喰らい、ある程度進んだところで派手に爆発を起こしさらに魔術師たちを吹き飛ばした。
「中々派手に暴れているな!」
魔術師たちを愛剣たるデュランダルで豪快に切り伏せながらゼノヴィアが現れた。
「派手に暴れたらこっちに目を引けると思ってね」
「ハッ!…君のその姿は剣術が得意なのかい?」
今度は木場が現れた。軽快に聖魔剣を振るい確実に敵を倒してきている。
「ああ。今の俺は彼の剣豪、宮本武蔵の力を借りている」
「へえ、あの宮本武蔵か。今度手合わせしたいものだね」
「待て、私も手合わせしたいぞ」
「おいおい今喧嘩するなよ、後でじゃんけんで決めろ」
ゼノヴィアを宥め、戦いに戻ろうとしたその時だった。ドゴンという爆音が空から聞こえ上を見上げた。
すると空中でカテレアと激闘を繰り広げていたアザゼルが背に白い波動を受け、大きく吹っ飛ばされたのだ。対峙していたカテレアは先ほどと違い絶大な黒いオーラを纏っていた。
「おい、あれはなんだ!?」
ゼノヴィアがその光景を指さす。空で派手に暴れていたはずの白龍皇ヴァーリが敵であるはずのカテレアに近づき、何か会話をすると一緒にアザゼルが飛ばされた方へと飛んで行ってしまったのだ。
「…まさか、白龍皇が裏切ったのか!?」
ここにきてまさかの、よりによって白龍皇の裏切り。俺は驚きを隠せなかった。
「奴らが向かったのは旧校舎の方だ…!」
ゼノヴィアが忌々し気に呟く。
旧校舎には兵藤と部長さん、さらにギャスパー君がいる。堕天使総督といえど旧魔王の血筋と神滅具使いを一人で御するのは至難の業だろう。最悪、兵藤たちが強者三人の激闘に巻き込まれるかもしれない。
「紀伊国君!君は白龍皇を追ってくれ!」
「でもお前ら…」
「私たちなら平気だ!先に行け!」
二人の言葉を受けて渋々頷いた。
「…わかった!」
眼魂を入れ替えフーディーニ眼魂をドライバーに装填する。
〔アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!〕
近くの地面に突然ドッと穴が開き、そこからマシンフーディーが飛び出しパーカーゴーストへと変形した。
「何でそこから出てくるんだよ…」
〔カイガン!フーディーニ!マジいいじゃん!すげぇマジシャン!〕
ツッコミを入れながらレバーを引き、パーカーゴーストを纏いフーディーニ魂へと変身する。
するとゼノヴィアがデュランダルを構え、前に進み出た。
「道を開くッ!!」
刃に輝く聖なる力を纏わせ豪快に振りぬく。ドッ!という音と共に前方にいた100はいる魔術師たちが聖なる波動によって吹き飛ばされ、あるいはぶった切られて文字通り、大きく道を切り開いた。
それを見て飛行ユニットを起動、空へと飛び立つ。
「あとは任せた!」
「行け、悠!」
頼もしい聖剣使いの声を背に、俺は大急ぎで旧校舎に向かった。
〈BGM終了〉
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「先輩、手は大丈夫ですか?」
一誠の血が滲む手を見て訊ねるギャスパー。その腕にはアザゼル特性のリングが装着されている。
キャスリングにて旧校舎に転移した一誠とリアス。二人は旧校舎を占拠する魔術師たちを打倒し、ギャスパーの奪還に成功した。校舎の一室で今、リアスは魔術師たちを専用魔方陣にて冥界の役所に転送している。魔術師たちは皆、一誠の必殺技ドレスブレイクを受けて一糸まとわぬ姿になっていた。
「平気さ。堕天使に腹に風穴開けられたことに比べたらな!」
一誠は元気よく軽く自分の腹をポンポンと叩いた。
一誠は天使長ミカエルから受け取った聖剣アスカロンで己の手に切り傷を作り、刃に付着した血をギャスパーに飛ばして摂取させることで神器の力を安定、吸血鬼の力を覚醒させ不利な状況を一変させた。
「先輩…そんなにバイオレンスな経験を…!」
「全員転移させたわ。戻るわよ!」
「「はい!」」
リアスの声に二人は返事をして頷き、急ぎ旧校舎を出た。
「血を飲んでどうだ?」
「一時的に力が増しましたけど、今は元に戻っています」
現在は元の人型の姿に戻っているが一誠の血を飲んだギャスパーは本来の力を解放しコウモリの姿に変化し、己が影を自在に操って見せたのだ。
その時、不意に辺りが暗くなった。
「な、なんだ!?」
突然流星のように空から何かが降ってきた。轟音を響かせ土煙を巻き上げる。
「…まさかお前が反旗を翻すとはな、ヴァーリ」
土煙が晴れ、そこにいたのはアザゼルだった。服はやや土煙に汚れているがアザゼル自身は特に目立った外傷はなかった。
「そうだよ、アザゼル。コカビエルを本部に連行する際、オファーを受けたのさ。こっちの方が強者と戦えそうなので飲んだ」
答える声と同時に降ってきたのは白龍皇ヴァーリ。その隣にはカテレアもいる。
「そういうことです。…フッ、その姿、堕ちた天使には相応しい様ね」
髪を撫で、地に倒れるアザゼルの姿をプッと嘲笑するカテレア。当のアザゼルは気にも留めずに空を見上げた。
「さてと…もう一人来るみたいだな」
キィィィンと甲高い音を響かせて、空の向こうから高速で何かが飛んでくる。
数瞬の後、その姿がはっきりと目に移った。バイクを真っ二つにしたような機械を背負う異形の者。それが真っすぐこちらに向かってくる。
「横槍を叩き込ませてもらうッ!」
戦意を滾らせる青い流星が、飛来する。
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全速力で旧校舎へと向かい、ようやく兵藤たちの姿が見えてきた俺。
途中すれ違う魔術師は回転翼が発生させるエネルギーブレードで切り裂き、空を飛んできた。
白龍皇とカテレアの姿を認めるなり、ドライバーのレバーを引き霊力を解放する。
〔ダイカイガン!フーディーニ!〕
ユニットを分離してグライダーモードに移行、一旦グライダーに乗りヴァーリに向かって飛び降りキックをする。
「ハァァ!!」
足に霊力の光が宿る。グライダーも追随し真後ろで俺を大きく覆うように鎖を射出すると鎖がドリル状に渦巻き回転を始めた。イメージは仮面ライダーナイトのファイナルベント『飛翔斬』。
〔オメガドライブ!〕
「ほう…!」
鎖も霊力の輝きを放ち、高速で空から白龍皇に迫る。奴の目から見れば群青色に輝く大きなドリルが自分に向かって突っ込んでいるように見えるだろうか。迎撃せんと打ち出された白い魔力の波動も易々と貫いて間合いを一瞬で消し去った。
激突の間際、光翼と同じ青い丸い障壁が展開し防がれた。ドリルと激突する障壁がインパクトと同時にキィィィンと甲高い音を上げ始める。
「ぬぅぅぅ…!!」
障壁を展開する白龍皇が苦悶の声を上げる。障壁が徐々に削られ激しい火花と青い光の粒をまき散らす。
そして徐々に、ヒビが入り始めた。
「ハァァァァ!!」
烈叫と同時にドリルの勢いを上げ、ついにヒビが大きく拡大。ガシャアアアンと音を立て粉々に砕いた。
しかし受ける寸でのところで白龍皇はさらりと受け流し、横合いから痛烈な打撃で俺を吹っ飛ばした。
「ガッ…!?」
鎖が引っ込みながら地面を横転する。
「中々いい一撃だ」
その様を見る白龍皇が殴ったであろう右手をスナップを利かせて言う。
先制一発は失敗に終わったか…。少しばかり残念に感じた。
するとどたどたと兵藤たちが駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか先輩!」
「お前、来てくれたのか!」
「…ああ、そっちが気になって文字通り飛んできた。無事助け出せたみたいで何よりだ。それより…」
よろよろと立ち上がりながら兵藤たちの声に頷き、白龍皇の方を見据える。
「お前…強者と戦いたいとか言ってた時からおかしいなと思っていたが本当にそうだったとはな」
「そうだ。向こうからオファーが来たんだよ。『アースガルズ』と戦ってみないか…とね。強者との戦いを求める俺が飲まないはずがないだろう?」
奴は悪びれる様子もなく、むしろ楽しそうに答えた。
アースガルズが何だか知らないが和平を求める俺らとは反りが合わなかったということだ。
俺の近くで地に尻をつくアザゼルがヴァーリに言う。
「…ヴァーリ、俺は強くなれとは言ったが『世界を滅ぼす要因を作れ』とは言っていないぞ」
「関係ない…俺は永遠に戦えればそれでいい」
「そうかよ…今まで育ててきたもんとして、本当に残念だ」
アザゼルはどこか寂しげな様子で最後の言葉を呟いた。二人の間には上司と部下と言う関係だけではないものがあったのだろう。
…しかし、コカビエルもそうだがこいつも戦闘狂って奴か。相手にするこちらとしては勘弁してほしいものだ。
「今回の情報提供と下準備はヴァーリのおかげです。和平が決まった瞬間に拉致したハーフヴァンパイアの神器を暴走させ、頃合いを見て私とヴァーリが暴れる。首脳陣の首を一人でも取れたら儲けもの、つまり会談を壊せれば何でもよかったのです。…しかし、今回の一件はあなたの落ち度ですよ。彼の本質を理解しておきながら手元に置いてきたあなたのね」
アザゼルの様を見て嘲笑うカテレア。…全部あいつが仕組んだってことかよ。
白龍皇が自分の胸にそっと手を当てた。
「俺の真の名はヴァーリ…ヴァーリ・ルシファーだ」
突然奴が自己紹介を始め…ルシファー?
「何ですって!?」
「ルシファー!?」
「そう、俺はルシファーの血筋であり白龍皇なのさ。人間と悪魔のハーフ、人間の血があったからこそ白龍皇の力を手にできた…奇跡の存在」
マジかよ…俺は内心、戦慄した。
旧ルシファー…つまり本当のルシファーの血を引いていているのか。まさか、この学園に旧現レヴィアタンとルシファー両方が鉢合わせることになるなんてな。サーゼクスさんがこれを知ったら肝を抜かすだろう。それにしてもギャスパー君といいこの世界のハーフは強すぎないか?
「冗談が過ぎるな…」
「あいつこそ冗談の様な存在さ…あいつは過去未来全ての白龍皇の中で最強の白龍皇になるだろう」
最強の白龍皇ね。やはり俺の異世界生活は開始三か月でハードモードに移行してしまったのか?
堕天使幹部に続いて今度はルシファー+神滅具ってマジかよ。一年経つ頃には一体どんなレベルになっているのだろうか。
「さて、覚悟を決めてもらいましょうかアザゼル。今の私には世界最強のオーフィスの力を受け、あなたに並ぶほどの力を手にした。勝てるとは思わないことですね」
カテレアが軽快に回した杖をアザゼルに向ける。
レヴィアタン+ウロボロスのオーフィスってか。さっきの異様なオーラはオーフィスの力か。堕天使総督と言えどもこれは勝ち目あるのか?
「そうかい…なら、俺もとっておきを披露するとしますかね」
アザゼルが腰を上げて、手元に小型の魔方陣を展開する。そこから現れたのは小さな黄金の槍だった。石突には紫の宝玉が嵌められている。
「それは…」
「神器マニアが過ぎてな、自分で神器を作ってしまったのさ。こんなとんでもないものを数え切れないほど作った聖書の神は本当にすげえよ。俺が唯一奴を尊敬するところだ。だが神滅具という世界の均衡を揺るがすバグを残して死んじまったがな。でもだからこそ、神器は面白い」
話もそこそこにアザゼルが槍を握り、力強く言葉を紡いだ。
「禁手化…!」
「そんな…まさか…!」
宝玉がくるめく光を放ち溢れるオーラがアザゼルに纏わりつくと、それは黄金の鎧へと変化していく。金をメインにして黒のラインが入る鎧、形状はどこか白龍皇の鎧に似ている。最後に顔を覆うとその背に12枚の黒い翼が現れた。
見る者を圧倒し、魅了する金と黒のオーラを漂わせる全身に鎧を纏う戦士。それが今ここに誕生した。
「五大龍王の一匹『黄金龍君《ギガンティス・ドラゴン》ファーブニル』を封印して作り出した人工神器『堕天龍の閃光槍《ダウン・フォール・ドラゴン・スピア》』、そして二天龍を参考に完成させた疑似禁手『堕天龍の鎧《ダウン・フォール・ドラゴン・アナザー・アーマー》』…現時点では成功といったところだな」
「五大龍王だと…!?」
人工神器ってそんなものも作れるのか…!しかもドラゴンを宿した!
確か、匙君の神器にもヴリトラとかいう龍王が宿っているんだったか。ていうか堕天使の長+龍王も反則じゃないのか?最近、ポンポン強いもの+強いものが出てきてかなわないよ。こちとら特典をまだ揃えていないというのに。
「そうだ…我ながらかっこいいな。どうだ、すごいだろ?天才だろ?最っ高だろう!?」
自分の鎧を見て子供のようにはしゃぎ自画自賛するアザゼル。
…ま、俺もカッコいいとは思う。
「ハハハ!!やはりすごいな、アザゼル!」
ヴァーリはアザゼルの圧倒的なプレッシャーを見ても緊張どころかむしろ楽しんでさえいた。それは新しいおもちゃを得た子供のようだった。
「てめえとも相手してやりたいところだが、まあ赤龍帝と遊んでくれや」
「ふん、遊び相手にしてはつまらないな。…そうだ、そこの君」
「何だ」
マスクを被ったヴァーリの顔が俺に向く。
「アザゼルがカテレアと遊んでいる間、俺の相手をしてくれ。君とは一度戦いたいと思っていたところだ。コカビエルとやりあった君の実力を存分に見せてくれよ」
不敵にそう告げるヴァーリ。悠々とした口調の中には燃え盛る戦意に満ちていた。
やっぱりこうなるんだな。喧嘩売られたくないなと思っていたが世の中そう上手くはいかないみたいで。
「…そうかい、なら」
ザッと一歩前に踏み出す。拳を握り、呼吸する。
…間違いなく、向こうの方が格上だろう。でもこちらには譲れないものがある。そのためには戦うしかない。
「貴様を葬り、新世界創造の第一歩にするッ!!」
ヴァーリの隣で魔力を滾らせるカテレアが吼える。
「来いよ」
俺の隣で巨大な光槍を生成し、金と黒が混ざり合ったオーラを静かに放ち不敵に構える堕天使総督。
「期待に応えるッ!!」
俺の声を皮切りに聖書にしるされし異形達と、白と青の戦士がぶつかり合った。、
次回、「天龍激闘」