ジョジョ5部が某チートバグ動画のせいでまともな目で見れなインザミラァー!
…最近、感想がなくて読者の反応がイマイチ読みづらい。皆さんどうですか?
Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
3.ロビン
4.ニュートン
5.ビリーザキッド
7.ベンケイ
11.ツタンカーメン
12.ノブナガ
13.フーディーニ
数日後の放課後、このオカ研の部室にいるはずのない男が一人、椅子に堂々と腰かけていた。
「よーしお前ら、今日からオカルト研究部の顧問を務めることになったアザゼルだ。アザゼル先生、総督…好きに呼べ。よろしくな」
窓から差し込む夕陽を浴びるその男こそ、今まで敵対してきた堕天使総督アザゼル。
着崩したスーツを纏うアザゼルは何事もないかのようにこの場に居座っている。
それを見る皆の反応は様々だ。困惑、驚き、そして警戒。俺の場合は困惑寄りの驚きと言ったところか。
…どうしてこうなった?和平は結ばれているから敵対しているわけでも特に問題があるわけでもないのだが。
俺、いや皆の気持ちを代弁するかのように部長さんが問うた。
「どうしてあなたがここにいるのかしら?」
「あの時言っただろ、当分この町に滞在する予定だって。それでセラフォルーの妹に頼み込んだらこれだ」
自身のスーツをポンポンと叩きながら言う。
しかしよりによって学園の先生か。一般の人は事情知らないから何とも思わないだろうけど知ってる俺たちからすれば堕天使トップの授業を受けるのはすごいと思う反面緊張する。
ふとアザゼルの左腕に目が留まった。カテレア戦で自爆に巻き込まれるのを避けるために自ら切り落としたはずの腕があるのだ。俺の視線に気づいたアザゼルが説明する。
「ああ、これか?この左腕は神器研究の過程で生み出した万能アームだ。ビームにミサイル…男のロマンを詰め込んだ夢の義手さ」
ドヤ顔を浮かべながらも手を前に突きだすと機械的な音を立ててガチャガチャと変形、五指の生えた手が一瞬でビーム砲へと変わった。
それを見て表情にはあまり出さなかったが内心カッコいいと思った。すげぇ、NARUTOの修羅道かよ。
またビーム砲へと変形した腕を変じさせ元の腕に戻した。そして後ろで組んだ手に頭を乗せ、背もたれに深く背を預けて言う。
「俺はお前らグレモリー眷属の所有する神器を正しく成長させることを条件にこの学園に滞在している。将来的な禍の団への抑止力を成長させることも兼ねてな。ま、赤龍帝がいるから中でも対『白い龍』の意味合いが強いだろうが、奴も強者を数名率いているそうだ」
「あのバカ猿のほかにもですか?」
「ああ、今のところ判明しているのは希少な妖怪『猫魈』と聖王剣コールブランドの使い手ぐらいだな。…お前らも災難だなぁ、そんな奴らの抑止力に名を挙げられるんだから」
アザゼル先生は心底同情するように言った。
うっへぇー、聖王剣コールブランドとかデュランダルやエクスカリバー以上に強そうな剣の名前が出てきた。
妖怪の方はわからないがきっとヴァーリの仲間と言うからにはアホみたいに強いんだろうな。
「だがまあ安心しろ、奴等は天界や冥界で暴れるだろうからこの町には攻めてこないさ。戦争と言うよりはせいぜい小競り合い程度だがそれでもお前らが巻き込まれない保証はない。だから俺が責任を持ってお前らを鍛えてやるよ」
堕天使総督直々に鍛えてくれるのか。この人は神器に関して相当な知識を持っているしそれ以外でも戦闘経験豊富そうだからすごく頼もしいな。
…わざわざこの町に滞在してまでそうしてくれるなんて、もしかしてこの人は面倒見のいい人なのでは?
「あと紀伊国悠。お前も肩書きを貰った以上、いろんな場所での戦いに駆り出されるだろうからその名に恥じないレベルに鍛え上げてやる。これといった仕事のない名ばかりの肩書だからと気を抜くんじゃねえぞ」
楽観視し始めた俺の心中を見透かすようにアザゼル先生が言った。
「了解ですっ」
俺は敬礼を取るようなポーズで返す。
数日前にサーゼクスさんたちが家に突入して俺は『駒王和平協定推進大使』の称号をもらった。一応の仕事は和平を崩さんと企む連中の鎮圧…この時世でいえば、対禍の団の色が強い。
そして和平会談の会場として重要な場所になるこの町を守ること。事実、コカビエルがサーゼクスさんの妹である部長さんを狙ったこともあるわけだしこの町を襲う輩がいないわけではない。俺としても家があったり友達が住む町だから異存はないわけだ。
「まあいきなりこんなこと言われてもあまり実感が湧かないだろうからちょちょいとアドバイスしてやるか。まず赤龍帝」
アザゼルは顎に手をやって兵藤を指名した。
「…先生なんだから赤龍帝じゃなくて兵藤一誠って呼んでくれません?」
「じゃ兵藤一誠。はっきり言ってやる、お前がヴァーリを退けられたのはアスカロンの『龍殺し』と奴が舐めプしていたのが大きい。相手がドラゴンと悪魔でない同レベルの強者だったら間違いなくお前は殺されていた」
厳しい表情で厳しい言葉を告げるアザゼル先生。
厳しいけど確かな事実だ。あの時のヴァーリの動きや態度には余裕を感じた。一か月は禁手を保てるヴァーリと補助ありで10分程度しか不完全な禁手を使えない兵藤。どちらが強いかなんて馬鹿でもわかる、差は歴然だ。
それこそアザゼルが言うように弱点を付けるアイテムと相手が舐めプしてなきゃ退けるなんてことはできない。ある意味、運が良かったから勝てたと言っても過言ではないだろう。
そしてアザゼル先生の視線が木場へ移る。
「んじゃ次、聖魔剣の。お前はどれだけ禁手を使える?」
「現状一時間ですね」
「話にならん。最低三日は持たせるようにしろ」
短い問答、バッサリと斬るようにアザゼル先生は返す。木場は動じることなく表情を引き締め、「はい」と返事をした。
「木場でもダメなのか」
「お前は論外オブ論外だ、一から鍛えなおす必要がある、覚悟しとけよ?」
ふと漏らした兵藤の言葉にしっかり反応を返すアザゼル先生。
「次はお前だ」
「…」
次にアザゼル先生の視線が向けられたのは朱乃さん。当の朱乃さんはいつものにこやかな表情と打って変わり不機嫌そのもの、敵意すら感じさせる真逆の表情だ。
和平を結んだから今までの怨恨を忘れてすぐに仲良しってわけじゃないからな。朱乃さんの気持ちにはそういう所もあるんだろう。事実、コカビエルやらレイナーレやら、俺たちが戦ってきた町を襲撃した強敵のほとんどは堕天使だった。俺だってまだ堕天使の悪いイメージを拭ったわけではない。
「まだ堕天使が憎いか?」
「当然です、私から母を奪ったのはあの人なのですから」
朱乃さんはきっぱりと言い切った。
…どうやら、俺が知らない複雑な事情があるようだ。
「そうか、でもグレモリー眷属に入ったのは正解だと思うぜ。それ以外の所だったらバラキエルもどうしていたかな」
「…」
アザゼル先生の言葉に朱乃さんは押し黙った。その表情に愛憎、悲嘆、様々な色が浮かんでは消えた。
真剣な表情をふと切り替えてアザゼル先生はさっと前髪を払う。
「まあ、目立ってアドバイスする必要があるのはこのくらいか…そうだ、兵藤一誠…いや、イッセーでいいか?」
「はい…?」
また厳しい言葉を告げられると思ったのか兵藤はややうんざり気な顔で返事を返した。
「お前が変態三人組だと呼ばれているのを聞いたんだが…お前、女が好きか?」
「は、はいっ!!」
予想外の問いに驚いた表情を見せるもすぐに元気よく返事をした。
その答えに満足げに、どこかいやらし気な笑みを浮かべてさらにアザゼル先生が訊いた。
「おー、ならハーレムに興味はあるか?」
「ッ!!」
更なる問いにさっき以上の衝撃が兵藤に走った。一瞬目を瞑ってから返事を紡ぎだす。
「先生、俺には悪魔になった時からできた夢があるんです。――ハーレム王。俺は上級悪魔になってハーレム王になりたいんです」
そう語るあいつの目はどこまでも真っすぐなものだ。内容はツッコミどころ満載なのにあいつはそれを絵空事じゃなく必ず本気で叶えると言った風に語るのだ。
アザゼル先生はまるで気の合う友人を見つけたように嬉しそうな反応を返した。
「おー!いいじゃねえか、ハーレム王!なら俺がハーレムを教えてやろうか?俺は過去何度もハーレムを形成した男だ、話を聞いて損はないと思うぜ?」
「マジっすか!?」
「おうとも、俺やグリゴリの幹部たちは女の乳を揉んで堕天した身だ。だがそれを後悔したことはないぜ?男なら欲望のままに生きろ!女を喰らえ!」
「おおおお!!流石アザゼル先生!なんか急に堕天使に親近感が湧いてきた!」
さっきまで警戒の色を浮かべていた兵藤の表情は女の話に入るなりあっという間に機嫌のいいものに変わった。
周りで部長さんはげんなりとした表情を浮かべている。
「そうだ、今度童貞卒業ツアーにでも行くか?部下の美少女堕天使達を呼んでな。この年なら女の一つや二つ知っておいた方がいいだろう」
「ッ…俺、一生アンタについていきます!アザゼル先生ッ…!!」
遂には感極まった表情で天井を仰いだ。
なんか思った以上に相性良さそうだこの二人。てかあんた先生だろ。教育者として大丈夫なのかそれは?
その言葉に異議を唱える者がいた。
「ちょっとイッセー!あなた私の処女は俺の物だと言っておきながらどういうつもりかしら!?」
プンプンといった擬音が聞こえてきそうな様子の部長さんの言葉に他の皆も追随する。
「あらあら、ツアーに行ってしまったら寂しくなりますわ」
「イッセーさん、どこか遠くへ行ってしまうのですか…?」
「…イッセー先輩、最低です」
「あまり僕のことを悪く言えなくなってきたね」
「イッセー先輩大胆ですぅ…!」
うん、木場の言う通りあいつも木場がやれクソイケメンだと言えなくなったな。部長さんに朱乃さん、さらにアルジェントさん。この三人に好意を寄せられてるなんてもうハーレムできてるんじゃね?
「悠、お前も行ってきたらどうだ?子作りの練習になると思うぞ」
予想外の方向からの攻撃。ゼノヴィアの突然の提案に弾かれたように振り向いた。
「ちょっ!そこで言わなくていいだろ!?」
「紀伊国先輩も最低です」
「ぐはっ!」
塔城さんの痛烈な呟きがグサリと俺の心に突き刺さった。
俺は何もやってないんだよ!信じてくれよ!
「ハハハ!面白えじゃねえかお前ら!どうやらハーレムも俺が教えるまでもなさそうだな!」
アザゼル先生はそんな俺たちの様子を見て豪快に、それでいて楽しそうに笑った。
浮世離れした教会出身者とかドSなお姉さまとか女装癖とかとにかく個性的な面子が揃っているからな。…あれ、まともなのって俺と木場ぐらいじゃね?
楽し気な雰囲気もそこそこにアザゼルが話題を変える。
「さて、近日中…夏休みの間に有望な若手悪魔の会合、顔合わせがあるんだったな。一応そこで強化合宿とレーティングゲーム形式の試合をセッティングするつもりだ。お前らに直接神器の使い方と戦い方をみっちり仕込んでやるよ」
強化合宿とレーティングゲーム…ライザーのときを思い出すな。ゲーム経験のないグレモリー眷属、助っ人として呼び出された俺は10日間の強化合宿を経てからライザーとのレーティングゲームに臨んだ。
今回はあの時と状況が違うから俺は試合に参加できないだろう。それでも強化合宿くらいは参加するつもりだ。
ヴァーリ戦で俺は自分の弱さを思い知った。禍の団との戦いに備えるために俺はもっと強くならなければならない。
「…最近テロで物騒なのにそんなことして大丈夫なんですかね?」
兵藤が不意に問いを漏らした。
「だからこそさ、豊富なバトルフィールドに神器持ちや他種族からの多種多様な転生悪魔、戦闘経験を積むにはレーティングゲームはピッタリだ。むしろ良すぎて堕天使にないのが羨ましい位さ。俺もゲームのファンでこっそりチャンピオンの試合を見に行ったこともあるくらいだ」
言われてみればそうだな。レーティングゲームは普通に戦うだけじゃなく様々なルールもあるという。悪魔社会で人気を集めるというレーティングゲームは今後も競技の参加者を増やしていくことだろう。
…悪魔しか参加できないという縛りがなければ俺だって参加してみたい。もしかすると俺と同じ様なことをアザゼル先生たち堕天使や天使も思ってたりして。
「というわけでこの夏休みは冥界に行って修行と会合、そして試合だ。兎にも角にもイッセー、お前の禁手は何としてでも完全なものにする。お前らも夏休みだからと浮かれてんじゃねえぞ?」
「「「はい!」」」
部室に気合の入った声が響く。満足げにアザゼル先生は頷いた。
「んじゃ、オカ研の活動を始めるとすっか」
「ちょっとアザゼル!それは私のセリフよ!」
「いいじゃねえか、たまにはこういうときもあっていいだろ?」
食って掛かる部長さんをアザゼル先生は機嫌よく笑ってあしらう。
こうしてまた一人、個性的なオカルト研究部の仲間が増えたのだった。
…そのうち、木場や俺みたいなまともな奴が来ないかな。
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レジスタンス基地の応接間、床や壁に青い光のラインが走る近未来的な様相を見せるこの部屋の卓に腰かけて二人の存在が向かい合う。
一人は腕を組み悠々とした様子で相手を見据えるレジスタンスリーダー、ポラリス。
そしてもう一人は近未来的な内装を持つこの部屋には不釣り合いな荘厳なローブで身を包んだ特徴的な灰桜色の髪をした青年。その頭上に輝く眩い光輪は彼が天使であることの証左である。
その青年と向かい合うポラリスが口を開く。
「さて、何の用じゃ?ウリエル」
天界陣営のトップ、四大セラフの一角…ウリエルと呼ばれた青年天使が嘆息交じりに返す。
「言わずとも大体察しはついているんじゃないのか?」
「ほう」
それに対してポラリスは相も変わらずの飄々とした態度を貫く。
それを見てウリエルが話の口火を切った。小型の魔方陣…悪魔が使用するものとは全くの別物を展開し、そこから幾つかの書類を取り出し、卓上に投げ出す。その書類に共通している点は一つ、ある男の写真が載せられていることである。
「紀伊国悠の件についてだ」
ポラリスは書類を一枚摘み上げ、書面をさらりと読み込む。
「ああ、あやつか。確か和平推進大使に就任したんじゃったな」
「そうだ。彼は4月の事故以来、正史と大きく違う道を歩んでいる。本来は事故に遭うこともなく、両親を亡くすこともなく平穏を享受するはずだった。そして何よりあの神器だ。彼は本来神器持ちではなかったはずだが…」
ウリエルの話を聞きながら書類に目を通していくポラリス。そして…。
「…ふふふ」
突如意味深に笑いだす。それはどこか愉快気であり、皮肉的な面を持っていた。
向かい合うウリエルはその様に目を細くする。
「…?何が可笑しい?」
「いやはや面白いのう。一番あ奴のことを知っているはずのおぬしが今のあ奴について何も知らないとはな」
「私が何も知らないだと…?」
冷静だったウリエルの言葉に熱が乗った。それを受けてさらに面白げに笑みを深めて手に持つ書類を卓上に戻した。
「ああそうじゃ、一応今の彼の事情はこれらの書類で知っておるじゃろう?妾が言っておるのは書類に書かれていない、この世界で片手で数えるほどしか知る者はいない…裏の話じゃよ」
そう言って彼女は虚空を指でなぞり青いスクリーンを展開する。いくつかの操作の後、スクリーンに浮かび上がったのは履歴書じみた紀伊国悠の情報が書かれたページだ。
「彼は妾達レジスタンスのメンバーじゃ。堕天使レイナーレの事件のころからアプローチを何度かかけてこちら側に引き込んだ」
「!?」
突然のカミングアウト。ウリエルの顔に衝撃が走る。
「どういうつもりだ…!?まさか君が彼を戦いに巻き込んだというのか!?」
半ば声を荒げながらウリエルがポラリスを問い詰めた。そうされてなおポラリスは飄々とした態度と表情を崩さない。
「巻き込んだとは心外じゃな、彼は彼の意志で戦うことを選んだのじゃ。優しく友達思いのあ奴が兵藤一誠たちと行動を共にし、戦いで彼らが傷つく姿を見れば否応にもあんな目に遭わせたくない、なら自分が皆を守らなきゃと思うじゃろう?」
「…その言い方はつまり、彼が戦う意思を固めるように君が色々仕組んだと捉えていいんだな?」
「それは想像にお任せするかの。何でもかんでも喋ってしまうと面白くないじゃろう?」
ウリエルの唸るような低い声での問いをさらりと流す。
元来直情型の性格であるウリエルは実に正直、誠実な態度を取る。それゆえ誰にでも立場を超えて分け隔てなく接し多くの天使から信頼を得ている。
「…ああ、ついでに言うと彼はスパイではない。基本的にあ奴の立場はグレモリー眷属の協力者。妾はあくまで彼が厳しい異形の世界を生き抜くために援助しているだけじゃ」
思い出したかのようにポラリスが話を付け加える。あくまで自分は悪いことは何一つしていないといった態度だ。
「何故彼を戦わせる!?私が今どういう思いをしているか君が知らないはずがないだろう!」
ヒートアップしていくウリエル。そんな彼の顔面にポラリスはさっと指を突き付ける。
突然の行動にウリエルは言葉を止めた。ポラリスはおもむろに突き付けた指をもう一つ増やす。
「おぬしは二つ、勘違いをしておるようじゃな」
「勘違いだと…?」
その言葉にウリエルは爆発寸前の怒りを見せていく。それを気にせずポラリスは指摘を始める。
「妾がおぬしに頼まれたのは『神祖の仮面』の捜索と破壊、そして彼の者達の討伐への協力であって天王寺兄弟と上柚木家、そして紀伊国悠を戦いに巻き込まないようにするということではない」
「っ…!しかし!」
ポラリスの指摘を受けそれでもと食って掛かるウリエル。そこから先の言葉を続けさせまいと言わんばかりにポラリスが話を続ける。
「そしておぬしは大事なことを忘れておる。我々の真に打倒すべき敵は神祖の魔王ではない。おぬしの経験上、仮面が気になって仕方ないのは知っておるがそれは二の次じゃ」
更なる指摘を受けてウリエルは苦い顔をした。
ウリエルは自身の本当の目的を心得ている。そして『神祖の仮面』は極めて自分の私情から成る目的であることも。そしてそれは本当の目的と比べれば優先順位は下に落ちてしまう。
そうだとわかっていても彼は気にせずにはいられなかった。
「そして二つ目の勘違い…あれは紀伊国悠であって紀伊国悠ではない」
「なに…?」
予想外過ぎる指摘にウリエルが怪訝な声を上げる。
「おぬしも知っておろう、本来の紀伊国悠はあの力を持っていないこと、そして本来あるはずのない事故によって紀伊国悠が意識不明の重体に陥ったこと、そして意識が戻る寸前に観測された未知の力の波動」
「…」
ウリエルは黙って彼女の話を聞く。
今並び立てられた話は全て彼の耳に入っている。未知の力の波動を除けばこれらは自身の介入によるイレギュラー…負のイレギュラーだと思っていた。それでも事故の件につい
て知った時は大いに衝撃を受けたものだった。
「紀伊国悠は意識を取り戻してから性格が大きく変わった…つまり、妾の見立てではあれは異世界から来た者の魂が紀伊国悠に乗り移っておるのじゃ」
予想外の指摘、予想外の結論にウリエルは目を見開いた。
「異世界だと…!?E×Eのことか?それとも…」
「いいや、話を聞いてみたが異形の存在はさておきこの世界とほぼ同じ世界のようじゃな。特に変わった点のない普通の人間じゃよ、彼は」
「なら、本来の紀伊国悠は今どうなっている?死んだということか?」
ウリエルの問いにポラリスは難しい表情で唸る。
「うーむ、そこは妾もよく把握はしておらんがおそらく生きてはおると思うがの。とはいえ事故で意識不明の重体に陥ったから意識の深い部分で眠りについておるのではないか?」
「そうか…」
一応の確認を取れたことに安堵の息を漏らすウリエル。
ポラリスはおもむろに卓に肘を突いて両手を組む。
「ウリエル、いずれにせよ妾達には彼が必要なのじゃ。この世界の行く末にある『滅び』の運命を変えるためにこの世界に本来ないはずの力、因子がな。あの者達の想像を超えるジョーカーは多いに越したことはない」
「本来この世界にないはずのものなら君だってそうだ。君の持つ異世界の技術と力は十分奴らに対抗しうるものだと思うが」
「じゃがそれだけでは奴等には勝てん。一度面識のある我々と違い、彼は彼奴等にとって完全に想定外の存在となる。…いずれにせよ、この戦いはおぬしとラファエル、レジスタンスがどれだけ戦に備えられるかがキーとなる。なに、彼を悪いようにはせんよ。あまり説得度はないじゃろうが妾は彼が間違った道を歩まぬよう裏方で導くつもりじゃ。表方ではグレモリー眷属がいいようにしてくれるじゃろう。だからおぬしは安心して表方で戦に備えるといい」
ポラリスはいつもの飄々とした態度の色を薄め、それが本心だと言わんばかりの切実な様子でウリエルに語り掛けた。
彼女は自身がしてきたことの意味を理解している。戦いを望まぬ者に戦いを強いるようなやり方。時に心を痛めたこともあった。それでも彼女はそうするしかなかった。それこそが己の長年の悲願の達成に繋がると信じて。
「…信じていいのだな?」
胡乱気なウリエルの問いに瞑目して、銀色の髪を持つ頭で深々と頷いた。
「ああ、もし彼が妾達あるいはこの世界に牙を剥く存在となった時は大人しくおぬしの咎を受けよう」
数秒、視線が交錯する。本心だと訴える赤い目とその奥にある心中を窺う灰桜色の目。
やがてウリエルの方が目を瞑り、深々と息を吐いた。
「ハァ…わかった、君を信じよう。今は我々がいがみ合っている場合ではない。協力こそが生き残るための道だ」
「うむ…本当にな」
過去の体験による実感を伴う返事。
話がひと段落付きウリエルが再び魔方陣を開いて書類を戻したのを見届けてから、ポラリスはさらに話を切り出す。
「さて、和平を結んだということは『御使い』の制度が導入されるのじゃな」
「ああ、すでに私とラファエルで制度の骨組みを作っている。ある程度候補も見繕って後は札の完成を待つだけだ」
「早いのう、してヴァスコ・ストラーダをAにするつもりかの?」
「いいや、ネロにするつもりだ。あの人は人のまま生を全うするつもりなのは知っているからな」
落ち着きを取り戻したウリエルはポラリスの問いにかぶりを振った。そして今度はウリエルの方から質問をぶつけた。より一層の真剣な表情で。
「それはさておきだ。我々の作戦の要…例の魔道具に関してはどうなっている?」
その質問にふぅーとため息を吐きながらポラリスは答えた。その動作から深い苦労が伺えた。
「うむ、エネルギーの制御に思った以上に難航しておるよ。『蛇』の入手からしばらくするが、今だに完成できずにおるわい。実験を重ねてある程度の形にはなったが完璧には至らない。やはり兵藤一誠の生体データが必要じゃ」
「一誠の…それは”今の”ではないのだろう?」
「勿論じゃよ、あの事件が起こるまで待たねばなるまい。それまではなるべく正史、あるいはそれに準ずる結果を辿るようイレギュラーに対処せねばな」
そう返すポラリスの表情にはどこか厳しさが宿っていた。
歴史を変えるのは簡単なことではない。それを為し得るのは『特異点』によってのみ。如何に自分が異世界の者と言っても運命力を持たねばこの世界の運命を変えようもない。異世界からの使者、紀伊国悠は彼を取り巻く環境があってこそ『特異点』になり得たのだ。ポラリスは過去のある出来事によって自身が『特異点』でないことを自覚している。だからこそ求めた。『特異点』の彼を。
ウリエルはポラリスの回答を聞き、この場にいない者に同情するような目で呟く。
「…一誠の仲間になった悠には酷な仕打ちだな」
「致し方あるまい。…あれが完成しなければこの世界も終わるのじゃからな、それに比べれば些末事じゃ」
そう言って何もない宙にスクリーンを展開し、指を走らせると映像が浮かび上がる。
そこにあったのは透明なケースに入れられた無窮の闇のような体色をした細い『蛇』だった。
その後も話し合いを続ける二人の目には遥か未来への憂慮が映っていた。二人の記憶に刻まれた過去の風景、それこそが彼らの行動の原動力である。
――もう二度と、あの光景を繰り返したくない。
だから絶対に、傲岸不遜たるあの者たちを許さない。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
冥界のこじんまりとした田舎町、そこに構える小さな館は旧魔王時代から続く名家の別荘である。
かつかつと靴音を立てて廊下を歩くのはふわふわとした茶髪の青年悪魔。整った身なりから彼が名家の出であることがうかがえる。
青年は客室の前に足を止めると軽くノックする。部屋の中から「入れ」という声が聞こえた。
それを確認してドアノブを捻りドアを開ける。
「失礼します」
足を踏み入れた客室の壁には名のある芸術家の澄み渡る空と花々の中に佇む神殿が描かれた絵画が飾られ、床にはいかにも高級なカーペットが敷かれている。ここが身分の高い者を招き入れるための部屋であることは一目瞭然だ。
「アルギスか」
透き通るような声が、先に客室で待機していた者から放たれる。
来室者へと振り向くのは白を基調に薄緑と金色のラインが入ったローブに身を包む少女。フードを目深にかぶっているためその表情は伺えない。少女は装飾の施された古椅子に腰かけ、どこか退屈そうにラメの入った深緑色の球状のアイテムを手慰んでいる。
アルギスと呼ばれた青年悪魔は恭しく礼をした。
「はい。…報告があります」
「話せ」
少女は手短に返す。
「三大勢力が正式に和平を結びました。紀伊国悠は駒王和平協定推進大使に就任したそうです」
「そうか。…和平は妨害できれば儲けもの程度のものだ、そこまで気にするものではない。だが問題は…」
アルギスの報告を聞いた少女は表情一つ変えずに話し始める。
少女の言葉に続くようにアルギスは警戒の色を交えた表情で話す。
「紀伊国悠ですが、やはり彼は歴史に大きく干渉しています。イレギュラーを超え、特異点と言っても過言ではないでしょう。あの時私があの者を抹殺できていれば…」
後半の言葉には申し訳なさそうな声色が乗っていた。『もしも』の話に踏み込み始める前に少女はかぶりを振った。
「Y.Tの介入があった以上仕方ない。…だが明らかに奴は仮面ライダースペクターの力を得て本来の道から大きく外れている。この世界に存在しないはずの仮面ライダーの力、そして力の波動。あれは間違いなく紀伊国悠ではなく異世界からの使者だ。危険度は兵藤一誠を超えるやもしれん」
手慰んでいたアイテムを近くの棚の上に置き静かに話を続ける。その目に憂慮の色を乗せて。
「スペクター、神器所有者となったY.T、そして現ウリエルとラファエル…既にイレギュラーは歴史の表舞台に出始めている。ウリエルとラファエルの抹殺は確定事項だがスペクターという不確定要素も残しておけば後々面倒になりそうだ」
綺麗なローブを揺らしておもむろに少女が腰を上げる。
「危険因子は早めに摘んでおいた方がいい」
少女がローブの内ポケットから取り出したのは人の眼球を思わせるような形状、しかし機械が融合したようなデティールとフォルムの中央に緑色の瞳が映るアイテムだった。
そして両端に突きだした黒いスイッチを押し込む。
〔STAND-BY〕
遂に初登場、現ウリエル、そしてようやく名だしした青年悪魔アルギスの言う『あの方』。
ウリエルの本格的な出番は当分先ですが『あの方』は次章から暴れます。
次回は外伝、「ラブハンター ル・シエル」
次章予告もありますのでお楽しみに。