そしてジオウにも挿入歌が…!!
Count the eyecon!
現在、スペクターの使える眼魂は…
S.スペクター
1.ムサシ
3.ロビン
5.ビリーザキッド
7.ベンケイ
11.ツタンカーメン
13.フーディーニ
グレモリー領のとある山奥にある別荘にて、俺はアザゼル先生の講義を受けていた。
眼前には見慣れた教師服を着た先生と、一面にびっしりと黒板に書かれた文字。
そして机の上にはノートと先生が持ってきた神滅具に関する教材。
この部屋は別荘の空いた一室を改造して作ったもの。改造と言っても壁に黒板を設置し学校用の机を持ってきただけの簡素なものだ。
今日の授業内容は神滅具について。先生は各神滅具に関して事細かに語ってくれた。今までの授業は他の神話についてや有名な武器について扱う物で、それぞれをアザゼル先生の部下の堕天使が授業を担当していたのだが神器に関する授業は必ずアザゼル先生が担当し、予定時間を超えて長々と解説するのだ。
なんともそういう面がマニアらしいというか。好きなものについて細かく語りたいのは俺にもわかる。
俺だってライダーについて語りたい。でもこの世界でライダーの話ができるのはポラリスさんしかいないからすごく寂しい。なんでこの世界には平成ライダーはいないんだ…。
「よっし、今回の内容を軽ーく口頭試問するぞ」
白チョークを置き、板書を黒板消しでなく魔方陣で消してしまう先生。
どの授業も最初に前回の授業内容の確認テスト、最後に授業内容の口頭試問が行われる。
「13種の神滅具の中で『聖遺物』でもある神器を三つ挙げろ」
「『黄昏の聖槍《トゥルー・ロンギヌス》』と『幽世の聖杯《セフィロト・グラール》』と…あと何だったけ」
ああ…出ない。聖槍と聖杯と聖十字架なのは覚えている。でも肝心の神器の名前が出てこない。
10秒くらいして出なかったのを見てアザゼル先生が回答を言う。
「『紫炎祭主による磔台《インシネレート・アンセム》』だ。次、狼男の真祖と言われるアルカディアの王、リュカオンと最強の十束剣『天之尾羽張』を宿す独立具現型神器は?そしてその禁手の名は?」
「『黒刃の狗神《ケイニス・リュカオン》』、そして『夜天光の乱刃狗神《ナイト・セレスティアル・スラッシュ・ドッグズ》』」
神器って名前がカッコいいからつい覚えてしまうんだな。特にこのナイト・セレスティアル・スラッシュ・ドッグズはお気に入りの一つでもある。
この神器の所有者はグリゴリに所属しているらしい。今度、会わせてもらえないだろうか、ぶっちゃけ神器の犬ってどんなものなのか気になる。
「正解だ。次、『魔獣創造』の能力を答えろ」
「木場の『魔剣創造』みたいに自分の思うが儘に様々な特性を持った魔獣を生み出すことが出来る。禁手は『禁じられし魔獣達の饗宴《アナイアレイション・パンドラ・メーカー》』」
「正解。13番目の神滅具、あり得ない可能性を生み出す能力を持つ『歴史の変革器《ヒストリー・ブレイカー》』と呼ばれる神器は?」
ヒストリー・ブレイカー…。神器の中には聖槍やらそういった二つ名を持つ物もある。『神を騙る神器』なんて言われる程のトンデモ能力を持った神器も存在し、この授業で改めて神滅具が規格外の存在であることを強く感じた。
「うーん、『蒼き革新の箱庭《イノベート・クリア》』じゃなくて…ああ『究極の羯磨《テロス・カルマ》』!」
首を縦に振った先生が正解を教えてくれる。
「『黄昏の聖槍』の禁手は?」
「えっと…あ、『真冥白夜の聖槍《トゥルー・ロンギヌス・ゲッターデメルング》』!」
「正解だ。んじゃ、今日の授業はこれで終了だ。お疲れさん」
「はぁ…終わった…」
自然と気が抜けると同時に机の上に前のめりになってため息を吐く。
「随分と疲れてるな、もう一つの方はどうだ?」
「あの先生マジで厳しいですよ…」
この20日間の修行の本命はこの授業ではない。もう一つ、アザゼル先生がグリゴリから呼んだ堕天使の先生の下で
習うとある拳だ。その拳の名は…いや、まだ秘密にしておこう。
「ま、しゃあねえな。今回は一か月もないからな、その分頑張って基本の技だけでも実戦で使えるレベルには仕上げろよ」
「はいー…」
…ま、間違いなくあれは実戦で使える技だろう。まず生身であの技は絶対に喰らいたくないな、あばらが折れること間違いなしだ。
「他のメンバーは元気にやってますか?」
修行が始まって以来、アザゼル先生以外の面子と一度も会っていない。一番心配なのは元龍王がコーチを務めている兵藤だが…まさか火に巻かれて塵になったりしてないよね?
「イッセーは昨日見てきたがなんとか元気にやってたぜ、他の連中もまあそんな感じだ。だが問題は…」
先生の顔が次第に渋くなっていく。何かまずいことでもあったのか?
「どうかしたんですか?」
「小猫がオーバーワークで倒れた」
「!?」
俺は驚きを隠せなかった。
塔城さんが…?確かに修行前に集まった時、静かながらもやる気を見せていたがまさかそんなことになるなんて…。
「あいつは自分の内に眠る力を使わずに強くなろうとしている、それで自分を追い込み過ぎたのさ」
自分の内に眠る力、ね。俺はスペクターの力しか戦う力なんてないからな。俺の宿主がなんか特別な血筋だとか神器を持って生まれたとかもないらしいし。…そういう意味では俺って兵藤と同じか。
ヴァーリが言ったように神器だけの平凡な存在。神器がなければ俺は人間だから、身体能力では悪魔である兵藤にすら劣る。ある意味、兵藤以上にヴァーリの言葉が刺さる。
このグレモリー眷属では生まれながらに特別な力を持った人物が多い。
部長さんの『滅び』の力、朱乃さんが隠しているという堕天使の力、ギャスパー君の吸血鬼の力、ゼノヴィアの聖剣使いとしての適性、そして今まで知らなかったが塔城さんも。
「先生、塔城さんって何者なんですか?内に眠る力って…」
俺の問いに先生が眉を持ち上げた。
「…お前、何も聞かされてないのか?」
「え、そうですけど。それに朱乃さんのことも」
気になることは気になるが、どうやら複雑な事情があるっぽいからこちらもおいそれと聞き出せないんだよな。
朱乃さんの感情的になったり、塔城さんの沈んだ表情と言った反応もあって。
先生は難しそうに唸った。
「…朱乃のことは本人に聞いてくれ、あいつに嫌われてる俺がお前に話すのもな。小猫もまあ、こういう話を他人から話すのも悪いがこれだけは言っておくか」
先生は複雑な表情で返し、少し間を置いてから言った。
「あいつは猫の妖怪『猫又』、その中でも上の上に位置する希少な種族『猫魈』なんだよ」
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別荘周辺の森。冥界特有の紫色の空と生い茂る背の高い木で全体的に薄暗さが漂う世界にバキッ!!という大きな音が響いた。
「ふう…」
カランカランと綺麗に真っ二つに割れた木の板が転がる。断面には少しのささくれもない。一見剣で切られたように見えるが実はただの素手でこの木板は割られたのだ。
この行為を成したのは白い胴着を纏う黒髪をオールバックにした強面の男。険しい表情だけでなく何気ない所作にすら凄まじい気迫に満ちている。
この人こそ今回のコーチ。上級堕天使のオルトールさん。20日間、俺はアザゼル先生とともに大戦を戦い抜いたこ
の人の下でとある拳を習う。
今回の修行はとある拳の心構えとその拳の数ある技の中から先生が俺の戦いを見ていくつかセレクトした技を重点的に伝授してもらうというもの。そもそもこの拳法自体、会得に年単位かかるそうなので相当教えることを絞ってるそうだ。
それを聞いた時は心配だったが先生もスパルタながら要点要点をしっかり伝えることを心掛けて教えてくれるので少しずつでもしっかり身についてきている。
「…一旦休憩を入れようか」
「はい」
先生に礼をし、木の下に置いたペットボトルを手に取って木の幹に背を預け、水を呷る。
先生は近くの切り株にゆっくり腰を下ろし、タオルで汗を拭っていた。
ここ数日、朝起きては走り込み等の体力づくり、授業、そして夜まで先生の下での稽古、それを繰り返している。先生の指導は中々スパルタでどれほどライザー戦の強化合宿が優しい物だったかを思い知った。
「最初にも言った通り、私の拳は連撃より一撃を重視する。…私に言わせてみれば昨今の拳は一撃で相手を沈められぬから連撃と言う愚行に走るのだ、それは未熟さの露呈に他ならん」
ふと先生は不満を露わに語る。自分が懸命に努力を重ね体得したからこそ最近の『なんちゃって』が許せないらしい。
所謂『最近の若者は…』という奴だ。そういう所は人間らしいと思う。人間の欲を抱いて地に堕ちた天使と人間の俗欲と共に生きてきた悪魔、どっちが人間らしいんだろうな。
「無論、奥義には連撃も存在する。だがこの拳の神髄は一撃だ、伝承者の中には一撃で相手を打ち倒した者もいる。奥義とは基礎の積み重ねを経て到達するもの、それを忘れて我らが拳を語るなど侮辱もいいところだ」
己の拳を見つめ、力強く握った。
先生は初心、基礎を大事にする。『初心忘るべからず』と言う言葉が座右の銘だと初めて会った時の自己紹介でも言ってたくらいだ。俺もあの時決めた『大切な者を守る』という初心を忘れたことはない。
俺に赤い瞳を向けるといつもの固い表情が少しばかり緩んだ。
「君のひたむきに稽古に打ち込む姿を見ていると、若かりし頃を思い出す」
「…先生はどうしてこの拳を会得しようと思ったんですか?」
俺の質問に一拍間を開け、冥界の紫空を仰いだ。
「かつては私も他の堕天使と同じ様な戦闘スタイルを取っていたのだが、ある日上級悪魔の多くが魔力や『特性』を主体にした戦い方をしていることに気付いてな」
…言われてみれば、部長さんも先生の言う通り『滅び』の力をメインにした戦いをしている。
七十二柱を主に名家の悪魔は何かしら『特性』と呼ばれる能力を持っているそうだ。ライザーのフェニックス家で言えば『不死身』、部長さんの滅びは本来グレモリー家の物ではなくバアル家のものらしい。お母さんのヴェネラナさんがバアルの出らしくそこから部長さんやサーゼクスさんに遺伝したのだとか。
「若かりし私の考えは短絡的だった。『相手が魔力砲撃や特性に頼った戦い方をするのなら魔力攻撃をしにくい至近距離に一瞬で詰め寄り、特性を使われる前に一撃で相手を殺せばいい』と」
やや自嘲気味の笑いも混ぜて先生は語る。
うーん、失礼な言い方だがなんとも脳筋な…。先生絶対に格闘ゲームでハメ技したりするタイプだ。あれ、研究者が多いと言われるグリゴリにしては珍しい武闘派タイプなのでは?
いやいや!先生があの戦争狂のコカビエルと一緒にするのはダメだ。もっと敬意を持って接さないと。
「そこで出会ったのがこの拳だった。運命すら感じたよ。人間の伝承者に地に額をつけて教えを乞うた。無我夢中で修行し、戦場でその成果を発揮する。自身の血の力に頼り切った連中ほど私の拳はよく効いたものだ」
昔の暴れっぷりを思い出したか声色に楽し気な色が乗った。
「今の悪魔界もたいして変わらぬ風潮があるらしいではないか。一切の努力をせず、家柄と血の力だけで上級悪魔になった有象無象の跋扈する悪魔社会。それを如実に反映しているのがレーティングゲームと言えよう」
随分と辛辣なことを言うなぁ。ま、つい最近までは敵対していたから仕方ないといえば仕方ないな。
「しかしだ、最近の若手悪魔は面白い。特にサイラオーグ・バアル。大王バアル家の『滅び』を持たず、己の肉体を苛め抜いて手にした圧倒的なパワー…今まで多くのゲームを見てきた中で一番気にいった悪魔だ。今後が楽しみで仕方ない」
「堕天使にもゲームのファンっているんですね」
「アザゼル総督もそうだが、こっそり悪魔陣営の領土に忍び込んで観戦しに行く者もいる。かく言う私もその一人だがな」
先生はニヤリと口角を上げて見せる。堕天使がそうならもしかして、天使にもファンがいたりして。
ファンが他勢力にも結構いるのなら案外、レーティングゲームへの天使・堕天使の参戦もそう遠い未来の話ではなさそうだ。
「君の所のリアス・グレモリーやソーナ・シトリーも修行をする悪魔なのだろう?」
「そうですね」
実際ライザー戦の前は合宿をしたしな。ちなみにシトリー眷属はグリゴリ副総督のシェムハザさんとなんと濃密なスケジュールの合間を縫って四大セラフのラファエルさんがコーチをするらしい。
なんか俺達はアザゼル先生だけってずるくないかって思うが、こっちの戦力が赤龍帝やらデュランダルと過剰ってのとラファエルさん自身が名乗りを上げたというのが重なってこういうことになったとか。
これは今度の試合、一筋縄ではいかなくなりそうだ。
「だとしたら、間違いなく伸びる。上級悪魔は努力こそしないが素養自体はしっかりと持っているのだからな。もしかするとバアルかグレモリー、あるいはシトリーの誰かが王者に打ち勝つかもしれんな」
そう語る先生の表情は期待に満ちていた。古い物を尊重しながらもよりよい新しい物は受け入れていくのが先生。そこのところが会長さんの夢を虚仮にした悪魔の上役とは違う点だ。
思ったんだけど、総督より部下の方がよほど先生らしいのはどういうことだろうか。アザゼル先生は確かに神器の知識は凄まじいけど兵藤と同じ女好きが少し過ぎる所が難点だが…なんでこんな真面目な人が堕天使なの?
「君を鍛えられるのが20日間しかないというのが残念だよ…話が過ぎたな。稽古を再開するぞ」
「はい!」
リラックスしていた気を引き締め、立ち上がる。
この20日間、多くの堕天使に囲まれながら多くのことを学んだ。厳しいながらも修行に付き合ってくれたオルトール先生、そして異形について様々な知識を授けてくれた堕天使の先生たち。
この夏は堕天使と共に過ごしたといっても過言ではないだろう。そして彼らと言葉を交わす中で次第に内心抱いていた堕天使への敵意も消えていった。
今まで敵意を持っても仕方ないレベルで堕天使絡みでろくな目に遭ってなかった。だが今こうして堕天使への敵意が消えたのも和平のおかげなのだろう。世俗的な物を楽しむことはなかったがその分、俺は多くのことを学んだ有意義な夏を経験した。こんなこと、望んでできるようなものではない。
修行への充足感を得たその時は、予期せぬ壁が立ちはだかることになるなんて思いもしなかった。
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「ポラリス様、紀伊国君が言っていた十字架もどきというのは…」
「うむ、間違いなくあの連中の紋章。つまりアルギス・アンドロマリウスはあ奴らの眷属ということになるな」
「しかしなぜ彼は紀伊国君をつけ狙うのでしょうか?」
「奴らも紀伊国悠がイレギュラーであることに気付いてるやもしれぬ。それとも何か別の理由があるのか…あわよくば『降臨』の時を早めるつもりか」
「…もし降臨が早まれば、まだ対抗手段を確立できていない我々ではどうにも」
「ああ…紀伊国悠が現れてから間違いなく歴史は変わりつつある。戦力が増えたのは喜ばしいがそれだけでは終わらんということか」
「我々が表舞台に立つのは思った以上に早くなりそうですね」
「うむ。しかしこちらはまだ準備万端ではないのじゃ。正史通りに進めば35年後…奴らが来るまでには全ての準備を終わらせねば」
今回のおまけは休みです。最近疲れからか筆が進まなくて…。
小猫と朱乃の過去に関しては別の機会に。
この回だけで悠が何を体得しようとしてるのか分かった人…答え合わせは次々回です。
多分次が今年最後の更新になります。
次回、「第一印象は大事」