ハイスクールS×S  蒼天に羽ばたく翼   作:バルバトス諸島

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タイトルの槍が意味するモノとは。

Count the eyecon!
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9. リョウマ
11.ツタンカーメン
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第74話 「一槍報いる」

〈BGM:圧倒的な力(遊戯王ゼアル)〉

 

ダメージを受けてそのまま落下を始める兵藤をすかさず部長さんは受け止める。

 

胸を大きく穿たれた兵藤。鎧よりも深い赤色の鮮血がどくどくと流れ、息が次第に小さくなっていく。

 

「アーシア、すぐに回復を!!」

 

「はい!」

 

即座に部長さんは指示を出す。後方で待機するアーシアさんが手に温かな緑色の輝きをともす。夏休みの修行で身に着けた、回復のオーラを飛ばして遠くの仲間を回復する技だ。

 

今までは近くに来て直接回復のオーラを当てることしかできなかった。しかし距離がある分、回復の効果は直接当てるよりも幾分か落ちてしまう。

 

「回復の神器だな?そちらも厄介だ…が」

 

ロキの鋭い視線が兵藤に移った。

 

「フェンリルのスピードに一瞬でも追い付いた、やはり天龍は侮りがたい。万全を期して今すぐ排除しておこう」

 

ロキが手で合図すると同時にまたフェンリルのオーラが膨れ上がる。神をも殺す獣の目線が兵藤をガッチリと捉えている。

 

次の攻撃が来る。だが今の俺ではあの狼のスピードに対抗する術はない。

 

木場でも、スピード特化のゴエモンでも間違いなく強者揃いの異形界の頂に近い力を持つあの狼には敵いやしないだろう。一瞬で致命傷を負わされた兵藤の二の舞を踏むだけだ。

 

これから間違いなく兵藤が殺される。抗いようのない死が兵藤を襲う。そうなってしまえば、もはやあいつが中心になっているとも言える俺達オカ研の士気が地の底まで落ちるのは確実だ。

 

「俺にもっと力があれば、こんな…!」

 

こんな時に自分を奮い立たせてくれた仲間を助けることができない自分の無力さを血を吐きたくなるほど痛感する。

 

「そうはさせません!」

 

一番早く動いたのはメリイさんだった。杖の輝きが強まり、結界の効果が高まる。

 

「む」

 

神器の効果が作用し、ロキとフェンリルの動きが若干鈍る。しかし両者ともに全身から凄まじいオーラを瞬間的に放出し、神器の効果を力づくで消したのか元のコンディションを取り戻した。

 

「残念だったな。仮に禁手を使ったところで、私のフェンリルは止められまい」

 

「ロキィィ!!」

 

さらに矢継ぎ早に動いた先生とバラキエルさん。宙に顕現した極太の光の槍と、光力を帯びた無数の荒ぶる雷がロキへと殺到する。

 

それを周囲に魔方陣を展開し、全てを巻き込み粉砕する嵐のごとき怒涛の魔法を以て迎撃する。

 

豪炎、烈風、極氷、猛雷、閃光、ありとあらゆる属性魔法が放たれ先生たちの攻撃の尽くを相殺してしまう。

 

「ユグドラシルの力で北欧の優れた魔法はさらなる次元へと至ったのだ。堕天使ごときが世界樹の力を手にした神に敵うとでも?」

 

「だったらこちらも!」

 

今度はロスヴァイセさんがロキと同じ様に無数の魔方陣を展開し、怒涛のラッシュを本来所属も同じ、上の存在であるはずのロキに容赦なく叩き込む。

 

「一介のヴァルキリーが俺に歯向かおうなど…」

 

呆れたように嘲笑するロキがおもむろにさっと腕を振るう。

 

たったそれだけの動作で、直接触れてもいないのに全ての魔法がそもそもなかったかのように霧散した。

 

「そんな…!?」

 

「これは…!?」

 

まさかの現象にロスヴァイセさんだけでなくこの場にいる全員が愕然とする。

 

「ユグドラシルの力を得た俺は魔法の叡智も手にした。如何なる魔法も私の前では無為と帰す」

 

魔法を触れもせずに無効化する能力だと…!?インチキ能力もいい加減にしろ!

 

「…助かった、アーシア……」

 

しかし先生たちの時間稼ぎのおかげで、何とか兵藤が回復する時間は取れた。流血は収まり傷は塞がれた。だが失血による体力の流出までは戻らない。前に出て戦うのは厳しいだろう。

 

「オーディン様!?」

 

突然ロスヴァイセさんの声が聞こえた。振り向くと、馬車から離れて浮遊し前進するオーディン様の姿があった。

 

「小童たちよ、どいておれ」

 

ロスヴァイセさんに茶々を入れ、自由奔放に俺達を振り回す爺さんではなく、一神話を束ねる主神の威厳に満ちた顔つきで、ロキを睨む。

 

「爺さん…!護衛しなきゃならん相手に出てこられちゃ俺達の面子ってもんが」

 

「よい。こやつとの決着は儂がつけねばなるまい。儂が一発、お灸をすえてやる」

 

アザゼル先生の制止を振り切るオーディン様はさらりと撫でた虚空から神々しい槍を取り出す。

 

先端にルーン文字と言う魔法の紋様が彫られ、月明かりを反射して煌めく槍の名は、グングニル。

 

鋭い神槍の矛先を世界樹の力を得た悪神へと向けた。

 

「ようやく重い腰を上げたか。しかし老いた身では我を直接攻撃できまい、得意の魔法は全て我が打ち崩し、オーラは世界樹の力で吸収する。貴様は積んだのだ」

 

目下の標的たる主神の参戦に、ロキの口角が上がる。

 

「吸い取る間もなく、あるいは吸い取り切れない程途方もない量のオーラでおぬしを消し飛ばせば問題ないじゃろう?」

 

「ハッ!愚かな。なら試してみるがいい」

 

両者が浮かべるは自信に満ちた大胆不敵な笑み。フェンリルが音もなくロキの後方に下がる。

 

そしてオーディン様は動く。

 

「グングニル!!」

 

一声と同時に、槍からオーラが解放される。全てを消し飛ばさんとする極大の眩い神のオーラが空を塗りつぶしながら一直線にロキを襲う。

 

「来い!」

 

対するロキはよほど自信を置いているのか、得意の魔法を使うことなく躊躇いなしに世界樹に侵食された右腕を突き出す。

 

そして間もなく、極太のオーラがロキと激突した。

 

「ぐぅぅぅぅ…!!!」

 

その存在を跡形もなく消し飛ばさんと容赦なく身を焼き、あまりの威力に世界樹の腕もじりじりと削れ始める。しかし削られながらも確かに水を吸収するスポンジの如く眩いオーラを飲み込んでいた。

 

オーラの威力までは殺しきれず、ロキがじりじりと後ろに押される。しかしそれでもやつはオーラの吸収をやめない。

 

「おおおおおお……!!!」

 

「ぬぅぅぅぅぅぅ…!!!」

 

気の遠くなるほど神同士の力の拮抗は続き、やがてオーディン様の方が衰えによる体力の限界を迎えてしまい猛烈なオーラの照射が終わる。

 

「フゥー……」

 

オーラが止んだ後には未だ健在のロキの姿があった。とはいえ服はボロボロになり、あまりのオーラの強さに世界樹の右腕に所々抉れたような跡が残されている。

 

「これでもだめか……」

 

力を一気に解放したことによる疲労感に襲われ、オーディン様のしわの入った顔に汗がしたたる。同じ神である自分の全力の攻撃でも奴には届かない。この結果に表情が曇る。

 

「ハァ…ハァ……諦めろ、貴様らでは私とフェンリルには敵いやしない。大人しく敗北を認め、断罪を受けるがいい」

 

「儂を倒した後、おぬしは何を為すつもりじゃ…?」

 

「何を為すだと…?ふっ、知れたこと」

 

〈BGM終了〉

 

ロキがさらに浮遊し、俺達を見下ろす形になる。

 

「オーディンを断罪し、私が新たなる主神となる!屈辱と衰退の過去を運ぶ和平は、猛毒の風はいらない。世界樹と神狼の力の下、神々を束ね強き神話へと導く!」

 

そして高みから、力強い言の葉で雄然と反乱を宣言する。

 

…いよいよ大ごとになって来たぞこれは。数か月前は堕天使の反乱から、今度は神の反乱か。一神話の歴史に刻まれるような反乱の瞬間を俺は目の当たりにしている。

 

もうこれは、俺達が関わっていいレベルをとっくに超えている。護衛と言う大きな任務が、さらにまたここまで大ごとに巻き込まれるきっかけになろうとは。

 

しかし、ロキの言葉に一人屈しない者がいた。

 

「……お前がここまで頑固者じゃったとは。早いところヴィーザルに主神の座を譲ろうかと思っていたがまだまだ長生きし、主神として頑張らねばならぬようじゃ」

 

反乱という決意を宣言するロキの言葉が、オーディン様の主神としての決意を固めたのだ。

 

「イッセーさん!?」

 

「オーディン様が頑張ろうって言うんだ、若い俺達が頑張らなくてどうするんだよ…!」

 

オーディン様に続いて兵藤が根性を見せる。一番ダメージが深いはずなのにそれでも立ち上がろうというのだ。

 

この逆境においても二人だけは戦意を燃やし続ける。

 

燃える二人の意思を、高みから見下すロキは嘲笑にて一蹴する。

 

「ふっ、長生きする必要も頑張る必要もない。残念だが主神の座とおさらばするのは今日だ、今度こそ、断罪させてもら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と面白いことになってるじゃないか、俺も混ぜてもらえると嬉しいが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロキの声を遮って、新たな声が降ってくる。白い閃光が更なる上空から降り、俺達とロキの間で静止すると眩い白光を払いその正体を現した。

 

「お前は…!」

 

何度も出会った、突然の乱入者の登場に俺達は驚いた。

 

見惚れるほどに美しい純白の鎧、肩から生える光の翼。忘れるはずもないあの姿は。

 

「ほぅ。テロリストに堕ちた白龍皇のお出ましか」

 

「そうとも、俺は白龍皇ヴァーリ……貴殿を屠りに来た」

 

和平会談の際は俺達を裏切り敵対し、先日のアスタロトの件で兵藤が覇龍で暴走した時は手を貸してくれた男、白龍皇ヴァーリ・ルシファー。

 

神を前に何ら怖気づくことも動じることもなく、相も変わらずの挑発的な言動にロキも好戦的な笑みで返す。

 

「二天龍が揃って相手をしてくれるとはうれしッ!?」

 

攻撃に出ようとしたその瞬間、突然ロキの動きが止まり、苦しそうに目を見開き胸をがっと抑えた。その場で身悶えし、うめき声を上げる。

 

「おお……がっ……まだ馴染むには時間が必要か」

 

呼吸を荒げて脂汗をかき、さらには吐血もした。よく見ると、首元の木の根がうねうねと生き物のように蠢いていた。

 

奴のあの力は完全なものではないのか…?

 

いずれにせよ、今この瞬間が攻める絶好のチャンスなのは確かだ。しかし魔法やオーラ攻撃は効かないし、直接攻撃も生半可な威力では神である奴には通用しない。一体どうすれば…?

 

「…赤龍帝、儂に力を貸せい。一矢報いる策がある」

 

「わ、わかりました!」

 

そのチャンスを活かそうと真っ先に名乗りを上げたのはオーディン様だった。どこか覚悟を決めた様子で、もがくロキを見据える。

 

呼ばれた兵藤はオーディン様の声に応じ、籠手の倍加の力を高めながらさっと駆け付ける。

 

〔Transfer!〕

 

オーディン様の背中にそっと触れると倍加の力がオーディン様に流れ込む。ただでさえ強大な神の力が神をも滅ぼす具現の力によってさらに膨れ上がった。

 

「なるほど、これが赤龍帝の神器の力…これなら」

 

当のオーディン様もこの力の膨れ上がりように満足そうに好戦的な笑みを見せた。籠手の力で老いた身の身体能力が増したのか力強く、かつ機敏な動きと共に槍を構え、くるくると回す。

 

「後のことは知らん!」

 

そしてなんと、体を捻って大胆にも槍を投擲した。放った老体に見合わず、神の槍は凄まじい速度でロキに向かって猛進する。

 

「ごあああ!!?」

 

突然オーディン様が鶏の首を締め上げたかのような悲鳴を上げ、腰と肩をさすりながらその場にうずくまった。年老いた体で無理に大振りな動きをしたから、それが祟ったのだ。

 

何て無茶なことを…。だが、オーラ攻撃ではない直接攻撃なら…!

 

「くっ!」

 

この攻撃は大樹の力で無力化できない。まだ苦痛に呻きながらもロキは咄嗟に嵐のように激しい無数の魔法を放ち、飛来する神槍を迎撃する。

 

「この攻撃は必ず通させます!」

 

「俺も手伝うとしよう」

 

〔Harf dimension!〕

 

しかし飛んでくる魔法の弾幕は、メリィさんの神器とヴァーリの使う『半減』の能力によって圧縮されていく。

 

圧縮され、威力も二人の神器の能力で奪われた魔法は易々と槍に突破されてしまう。

 

「まだだ…!」

 

それでも諦めないロキは今度は右腕を突き出し、前面に何重もの防御魔方陣を展開し槍を防御する。

 

槍が帯びる神聖なるオーラがロキのオーラと拮抗し、激しく火花と光を散らす。

 

魔方陣にビキビキとヒビが走り、ついにはバキンと子気味のいい音を立てると粉々に砕け散った。

 

「何ィ!?」

 

魔方陣を破壊した槍は再び前進し、大樹と同一化した右肩にズシャリと抉れたような深い切り傷を入れると勢いをそのままに彼方に飛び去る。

 

「あいつにダメージを与えられたぞ!」

 

「流石爺さんだぜ!」

 

その光景に、続々と歓喜の声が上がる。俺はマスクの下で目を大きく見開いた。

 

ついに、ついにあのロキにダメージを入れた…!卓越した魔法、神の名に違わぬ戦闘力を発揮し俺達を圧倒したロキに一矢、いや一槍報いたのだ。

 

オーディン様が自らの肩と腰を犠牲にして繰り出した一撃が、苦境に立つ俺達の心に希望の光をともす。神の圧倒的な力を見せられ、今まで険しかった表情が明るくなる。

 

「グングニルも元はユグドラシルから作られた武具じゃ。ユグドラシルそのものとなったおぬしの腕を貫くにはうってつけじゃろう?」

 

オーディン様も腰と肩の痛みに声を震わせながらも満足げな笑みを見せる。やがてさっき飛び去ったばかりの槍は意思を持つかのようにこちらへと飛んでき、オーディン様の手元に戻る。

 

「やってくれたな……オーディン!貴様の企みは私が打ち砕く。会談の日が貴様の命日だ、楽しみにしているんだな」

 

忌々し気に捨て台詞を残すロキ。突然の発作のような苦痛とオーディン様のグングニルのダメージに今まで見せてきた余裕は見る影もない。

 

苦痛に息を荒げ、目を細めながらさっと周囲に転移用魔方陣を展開し、そのまま転移の光に飲まれて姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、この異世界での第二の人生において長く続くことになる神という存在との最初の戦闘だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いの後、馬車は駒王町の公園に降り立った。既に真夜中で近くの家の住人たちは寝静まっていることもあって辺りを照らすのは街灯と月明かり、そして満点の夜空を彩る星光だけだ。

 

「また会ったな、バカ」

 

出会って早々言われた言葉はバカだった。それはヴァーリが連れてきたチームメンバーの美猴から発せられた言葉だった。

 

こちとらへとへとだというのにこいつは…。アスタロトの時と言い俺がふらふらな状態な時に限って現れて調子こいた発言をしてくれる。

 

舐められるのも嫌なので、ここはきついながらも強がっておくとしよう。

 

「…ここに来るまでに語彙力を無くしてきたのか?俺を罵倒したいならもっと学を積んでこい」

 

「やかましいわッ!」

 

このうるさいカカ〇ットはさておき、ヴァーリの連れの中に初めて見る顔がいるな。艶やかな髪と同じ黒い着物に身を包み、豊満な胸を隠しきれていない妖艶な魅力のある女。何より目を引くのは黒髪から飛び出す猫耳だ。

 

猫耳でヴァーリチームということはこいつが…。

 

「あら、あなたと会うのは初めてね」

 

女は俺の視線に気づくと、艶やかな笑みを返した。

 

「黒歌よ、かわいい妹がお世話になってるにゃん♪それと、バカ猿と漫才コンビ組んでって聞いたけどホントみたいね」

 

「「組んでねえよ」」

 

こいつと漫才コンビ組んだ覚えはないし、今後組むつもりもないからな。

 

というか、こいつが話に聞いていた塔城さんの姉か。悪魔に転生したことで目覚めた力に溺れ、はぐれ悪魔へと身をやつした猫又。妹と違って何ともグラマラスな…。

 

「先輩…?」

 

はっ、後方から殺気!これ以上考えるのはやめておこう…。

 

「実はあの二人仲いいだろ」

 

「さあ」

 

俺達とは別に話をしていたはずの先生とヴァーリも俺と美猴のやり取りを見ていた。

 

いや、本当に仲良しじゃないからな?

 

「それはさておきだ。会談を成功させるために、ロキの撃退は必須なのだろう?」

 

美猴とのやり取りで脱線しかけた話をヴァーリが元に戻す。対する先生は渋い顔で答える。

 

「まあな、だがパワーアップした奴とフェンリルの相手は正直このメンバーでは無理だ、増援を呼ぼうにも英雄派のテロ騒ぎでどこの勢力も警戒して戦力は割けない。特にヴァルハラはロキの独断行動でさらに混乱状態に陥るだろうさ」

 

いよいよまずい状況になって来たな。こんなに厳しい状況はコカビエル以来だ。あの時は町が吹き飛ぶ制限時間には間に合わないが増援が来るようにはなっていた。しかし今回はそれもなし、挙句に相手は堕天使幹部を越えて神だ。もうこれ、詰んだんじゃないか?

 

「イッセー!大丈夫なの!?」

 

「平気です…それより」

 

声の聞こえた方を見れば、馬車から兵藤が出てきていた。あの戦いで一番ダメージが酷かったため休んではいたが大量出血の影響でまだ足取りはおぼつかないながらも真っすぐにヴァーリの方へ向かった。

 

「ヴァーリ…お前があいつを倒すっていうのかよ?」

 

「いや、流石の俺でも奴らの相手は荷が重い」

 

ふっと笑みを交えて奴はかぶりを振る。

 

だろうな。いくら魔王と天龍の力を持っているといっても、神と異形界トップレベルの力の持ち主であるフェンリルには勝てないか。

 

「…が、二天龍が組めばどうなるだろうな?」

 

しかしヴァーリは、意味深な言葉を放つ。奴の意図を読めない兵藤の眉が上がる。

 

「…何?」

 

「今回の一戦、俺の力を貸してもいい。神と一戦交える機会は滅多にないからな」

 

禍の団の一員となった白龍皇は大胆不敵な笑みを浮かべて、俺達との共闘を提案したのだった。

 




ロキの能力をまとめると。

・本来の神としての戦闘力の高さ
・世界樹の右腕でオーラ、魔力攻撃は何でも吸い取って自身の力に変える
・世界樹に秘められた叡智でさらに高められた魔法。ヴァリエーションも増加。
・相手の魔法は触れずとも計算式を理解し、崩すことができる。

次話もそこそこ書いておいたので早い可能性大。

次回、「紅白共闘戦線」

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