平和だ。
「おいハリ、 聞いているのか」
目下大きな問題であったフォルテとラウラの二つの件が片付いたことでハリものんびりすることができる。嫌われていない今もハリの多少の頭痛の種にはなっているが、長い目で見れば嫌われていた時よりマシだ。ここ数日はおかげで大変有意義な時間をハリは過ごせている。何より大きいのはフォルテと仲良くなったことだ。学園の外にはあまり知られていない更識 楯無の情報を聞くことができる。
「ハリさん聞いてますの?」
それに加えてフォルテとの訓練はハリにとってタメにもなっていた。セシリアや鈴音と違い特殊な色合いの強い兵器を使うフォルテの相手はそこそこ楽しい。戦いの場を自分の得意なものへと塗り替える戦いは経験して損はない。それに加えて対局となる能力の使い手であるダリルが混じればラファール・リヴァイブではまず勝てない。勝てないのは気に入らないが、制限があっても本気が出せる状況がハリの心を高ぶらせた。
「ちょっとハリ、返事しなさいよ」
そんな久々に充実している毎日を送っていられるのはハリをしてありがたいのだが、問題が全て片付いたわけではない。まずはシャルル。何を考えているのか分からないが、今はハリよりも一夏を気にしているらしいというのが見ればわかる。一夏の専用機が目的なのだろう。それよりも他の国の専用機を見た方がいいのではないかとハリは思うものの、敵かもしれぬ者に塩を送るハリではない。思う存分時間を無駄にしてもらおう。
「あ、あの旦那様」
「黙ってください」
そしてもう一つがコレだ。顔を上気させて上目遣いで机に張り付いているラウラにハリは思い切りデコピンを打ち込む。その威力は優しいものではなく、鈍い音と共に「うごッ⁉︎」と呻いてラウラは蹲った。心配そうな顔で箒達三人がちらりと目を向けるが、心配はないとラウラはすぐに立ち上がる。
「何をする⁉︎」
「その呼び方はやめてくださいと言ったでしょう」
「ま、まあいいじゃないだ、旦那様」
「ほう」
笑う鈴音に向けて素早くデコピンを見舞う。それも2発。恐るべき速さを持ったそれはほぼ同時に着弾し、鈴音は無様に床を転がる。同じようにからかおうと思っていたセシリアと箒は顔を青くし、そっぽを向いて誤魔化した。
「僕のところに集まって来ないでください。悪目立ちするでしょう」
「む、そういうなら早く返事を寄越せ。ハリ、今度の学年別トーナメント私と組め」
「いえハリさん、是非ともわたくしと組みましょう。わたくしとハリさんが組めば優勝間違いなしですわ!」
「ちょ、ちょっとハリは私と組むのよ! ハリはあたしの見方よね?」
「な⁉︎ 旦那様は私と組むのだ⁉︎ そうだろう、だ……じゃなくてハリ!」
「はあ」
コレだ。絶賛学園中の噂になっている学年別トーナメントで優勝すれば一夏かハリ、巻き込まれてシャルルのいずれかと付き合えるというものを間に受けた一夏親衛隊プラスワン。盲目となっていようとも誰と組めば一番勝率が高いのかということを箒達もよく分かっているらしい。それがハリにとって最も鬱陶しかった。今ハリを囲っている代表候補生軍団に遠慮して他のクラスメイト達は寄ってこないが、朝から数えるのも面倒な数の女子から組まないか? とハリは誘われている。これがモテ期というのなら一生来なくてもいいとハリは思う。
「僕よりも彼を直接誘った方がいいんじゃないですか?」
「そうだ! 貴様らはそっちへ行け! 私とハリはそんな邪な思いで挑むのではない! 果てしない望みを追って参加するのだ!」
「なんですかそれは、貴女と組むとは誰も言ってないでしょう」
「なぜだ旦那様!……うごッ⁉︎」
ラウラに新たに一発を送り机の前で動く気はないという三人を見る。鈴音。ハリが本気で優勝を狙うなら鈴音と組むのが一番手っ取り早い。ハリは鈴音のことをよく知っているし、鈴音もこの中では一番ハリのことをよく知っている。連携に重きを置かれたこのトーナメント。鈴音となら全く問題はない。
続いてセシリア。鈴音と一夏の勝負のために一月一緒に訓練した仲だ。能力も分かっていることもあり、トーナメントまで詰めれば形にはなる。ただ問題として相性が最もよろしくない。BT兵器を使うセシリアのブルー・ティアーズは多対一を得意とする機体。高速で飛び回るハリからすれば邪魔なただの的だ。それを手足のように操れれば別だが、セシリアはまだそこまでのレベルではない。
次に箒。実はこの中で最もハリと相性がいいのは箒である。剣一本という悲しい装備であるが、そのピーキーさが寧ろハリにとっては都合がいい。箒はただ相手に突っ込むだけでいい。空いた多くのスペースをハリは存分に使うことができる。それに加えて箒は一夏に戦闘スタイルが近いため、連携を詰めるのも他の者と比べれば楽な方だ。ただ問題としては使うISが打鉄という点だ。どうしても性能差というものがある。
最後にラウラ。ラウラと組む唯一の利点。ハリの心労が少ない。噂なんてどこ吹く風のラウラが優勝しても誰かと付き合うなどということはないだろう。それに加えて総合的にバランスの取れた戦い方ができるラウラは、ハリと一緒でも問題は少ない。逆にラウラが敵になった場合、ハリを打ち破る銀の弾丸になりうる。AIC、停止結界。捕まってしまえばハリをして動くことは厳しい。
「一つ言っておきますが貴女達は重大な思い違いをしていますよ」
「なんですの?」
「このトーナメントという形はそれだけで僕に不利だ」
学年別トーナメントは一日で決勝まで行う。一回戦より二回戦。二回戦より三回戦。進むごとにハリが使える時間は減っていく。もし一回戦で手間取り四分も使ってしまえば次は一分しか使えない。そして普通のIS戦闘となれば五分以上使うことなど珍しくなく、ラファール・リヴァイブでは当然厳しい。
「なんだそんなこと。総戦闘時間五分で優勝すればいいんでしょ? あたしとハリなら問題ないじゃない」
「その自信がどこからくるのか教えて欲しいものですね」
「私と旦那様でも可能だ!」
「不可能です。貴女は口を閉じててください」
「わたくしとハリさんならきっと勝てますわ!」
「根拠のない勝利宣言は滑稽ですよ」
「……私は」
「おかしいですね。貴女が一番現実が見えているようだ」
「余計な御世話だ‼︎」
誰が一番ハリと組むのにふさわしいかの不毛な会話。口々に思い思いの言葉を吐くが、誰と組むのかハリは既に決めている。一夏だ。一夏の白式の単一使用能力程ハリと相性がいいものはない。ハリの動きを邪魔せず、連携も問題ない。ハリが最速で弾丸の檻に敵を纏め、一夏が纏めて薙ぎ払う。これが出来れば相手を葬るのに十秒もあればいい。優勝も男子二人となり全く問題ない。シャルル? そんなことハリの知ったことではない。
そんなことをハリが考えていれば、噂の渦中のもう一人。一夏が何やら怪しい動きをして一組の教室の入り口に張り付いている。明らかに挙動不審だ。逆に目立ってしまう。一夏はそれに気がついていないのか、多くの視線に晒される中ハリを手招きした。行きたくねえと思いながらも、言い合いに発展し始めた四人は放っておき、バレないように机から離れるとハリは一夏のそばに寄る。
「なんですか?」
「お、おうここだとちょっとアレだから屋上に行こうぜ」
「もう授業が始まりますよ。そんな内容ならメールしてください」
「あ……い、いいからとにかく行こうぜ!」
完全に忘れていましたという顔をした一夏に連れられてハリは教室を離れる。面倒ごとの匂いがする。それも特別面倒臭そうな匂いだ。それが明らかにおかしな動きを見せる一夏から漂っている。帰りたい。今すぐ帰りたいが、一夏と組むのならばここで不評を買うのは不味いとハリはため息を吐くことでなんとか耐えた。屋上に着けば授業開始間近のためか人はおらず、その授業開始前の緊張感と、真面目な顔をした一夏の雰囲気にピリピリとした空気が屋上を包んだ。口を開こうとしては閉じる一夏は無駄に時間を消費し、ハリの気怠そうな視線に背中を押されようやく一夏は口を開いた。
「ハリ、実はお前に言っておきたいことがあってさ」
「なんですか?」
「あーそのシャルのことなんだけど……お前には言っておこうと思って」
「デュノアさんが女性ということなら知っていますよ」
「え?」
一夏の間抜けな声に合わせて授業開始のチャイムが鳴った。もう授業に遅刻決定である。千冬に叩かれることが確定し、今から脳天が痒くなってくる。アホ面を見せて固まる一夏をどうしようかとハリは頭を掻いて、もう帰ろうと踵を返した。
「ちょ、ちょっと待った! 帰んなって!」
「なんですか?」
「そんな顔するなって! え? いつから気づいてたんだ?」
「彼女が転入してきた時です」
「最初からじゃねえか⁉︎」
「いや見れば分かるでしょう。ボーデヴィッヒさんも織斑先生も気づいてましたよ」
「千冬姉も⁉︎ マジかよなんで言ってくれなかったんだ⁉︎」
「それはまあ貴方を泳がせて相手の思惑を知ろうということで、その様子だと知れましたか?」
「クソッ! ああ知れたよ! 千冬姉もハリも酷いぜ!」
半ばヤケクソ気味にキレだした一夏が言うには、シャルルはデュノア社の命令でIS学園に来たこと。その目的は男性操縦者のデータを盗むことであること。フランスに居場所のないシャルルはそれに従うしか他になく、学園の特記事項を用いてシャルルを守ろうとしていることを一夏はハリに伝えた。そしてそれを聞くたびにハリの目が死んでいく。
「どうだよ俺の作戦は!」
「至極どうだっていいので帰っていいですか?」
「おーーいぃ‼︎」
「はあ、わけは分かりましたけどね。貴方がそこまで心配する必要はないと思いますが」
「なんでだよ?」
いかにも不機嫌ですといった顔で一夏はハリを睨みつけ、ハリは余計に肩を落とす。困った人を放ってはおけない一夏のことはいい人なのだろうとハリも思う。だがハリは自分に利がなければ決して一夏のように手は貸さないし、見向きもしない。そういう意味ではハリは理解できないからこそ一夏のことを気に入っている。一夏は何方かと言えば感情側の人間で、ハリは理性側の人間だ。ある意味二人が揃ってようやっと一人前の人間らしくなる。だからこそこの場は少し感情が暴走している一夏を理性のハリが抑える場面だ。
「はっきり言ってデュノア社のやっていることは穴があり過ぎるんですよ。貴方も少し冷静になってもう一度考えてみてください。女性を男だと偽って転入させてです、普通ならば他の男と同部屋にされる。最初気づかなくてもバレないはずがない。そんなこと素人でも考えれば分かるでしょう。事実貴方も気がついた」
「いやでも」
「でももなにもありません。どちらかというとフランスで居場所のないデュノアさんを送り出す苦肉の策だったんじゃないですか? その方がまだ納得できる。その証拠としてすぐにでもデュノアさんの性別をバラしてもなんの問題も起こらないでしょう。クラスメイトががっかりするくらいです。後は凰さんを筆頭に不幸が貴方を襲うでしょうね」
「なんだろう……すっごいそんな気がしてきた」
「なら後は織斑先生に頼みましょう。これ以上は大人に任せた方が早い」
「……俺は空回ってただけかよ、はあ」
「まあフォローをするなら誰かが下手に気がつくより早く貴方が気がついたおかげで大きな問題にはならないと言ったところですか。織斑先生の心労も少なくて済む。他の生徒でも気がついている人がいたでしょうが、ボーデヴィッヒさん同様に興味がないといったところでしょう。ダリル先輩もフォルテ先輩も一組の教室に来た時に気がついたそうですし」
「……マジで?」
「あの二人が言うには匂いで分かるそうですよ」
女性のカップルである二人の女性を嗅ぎ分ける嗅覚は恐ろしい。それを聞いて一夏はみるみる肩を落としていった。中学の頃に周りに気を配れとハリが言ったことを全く忘れてしまっているらしい。だがこれはハリにとって好機だ。一夏と組むには絶好の機会。今なら指先で突っつくだけですぐに落ちるだろう。
「落ち込んでいるところ悪いんですがね。それより片付けなければならない問題があります」
「なんだよ」
「今度の学年別トーナメントのことですよ。くだらない噂を絶たなければなりません。僕と貴方が組むのが最も問題が少ない。ですから」
「ああそれなら俺シャルと組むぞ」
「は?」
「いや朝に女子達に群がられてさ、シャルのこと周りは男だと思ってるからそれが一番楽かなってさ」
「ほーなるほど……僕の敵になるわけですか」
「あ、あのーハリさん?」
「いいでしょう。今度の学年別トーナメントが楽しみですね。いい勝負をしましょう」
「あ、あのちょっと……ハリ? おいハリ⁉︎」
頭に落とされた出席簿の痛みがなかろうと、ハリの頭にはそれ以上の痛みが襲っていた。自分の思い通りには動いてくれない現状がとても気に触る。そんなだからハリは授業も上の空で、昼休みも無駄に過ごし放課後になってしまった。叩きどころが良くなかったのかとぎこちなく千冬もハリを心配し、ラウラもハリに張り付く勢いで心配するも効果なし。放課後になり女子がただ一人残った男子であるハリを手に入れようと動くのは自然な流れ。脳が再稼働しだしたハリは、軍人顔負けの身のこなしで教室を後にし、学校内に身を隠した。
(面倒ですね)
こんな事態になろうともハリが学年別トーナメントに出ないということはない。千冬に直々に頼まれたのだ。千冬がハリと手合わせしてもいいと思うように心象をよくしておく必要がある。現状ハリが見るに千冬はまだ迷っている。迷っているということは可能性があるということだ。ならばハリが学年別トーナメントに出ないという選択肢を選ぶ理由がない。
「こらーハリ、どこにいるのよ」
聞き慣れた声が近くを通り、ハリは近くにあった武道場へと身を移す。恐るべきは友人の勘というべきか。誰より早くハリに肉薄してくる鈴音はハリをして面倒な相手だ。学年別トーナメントが近いからか武道場は静かなもので、木の匂いが少しハリの心を落ち着けてくれる。ようやく落ち着けるかと肩の力を抜いたハリの耳に聞こえるのは、ハリを探し回る足音と、自分の名を呼ぶ甲高い声。そして竹刀の風切り音だ。
武道場の真ん中で、ただ一人箒が竹刀を振っている。その顔は険しく、修練のためというよりは邪念を払っているようにハリには見えた。しばらくそれを眺めていたハリに箒も気がついたようで振っていた竹刀の手を止める。
「ハリか、どうしたんだこんなところに。お前は剣道が嫌いだろう?」
「別に嫌いじゃないですよ。逃げていくうちに入ってしまっただけです」
「そうか、まあお前には特訓の礼もある。時間を潰すついでに少し相手をしてくれないか?」
「……まあいいでしょう。たまにはね」
壁に立て掛けてある竹刀の一つを手にとってハリは箒の前に出る。お手本のような綺麗な構えをする箒とは対照的に、ただ棒を持っているといったハリ。だがどちらにも隙はない。そう、どちらにも。
(これは驚いた。生身でならもう彼女は学園トップクラスかもしれませんね)
専用機もなく、訓練機を毎日借りられることもない箒はハリに剣技が通じなかったことを機にもう一度自分の剣を見直した。勝負で真っ向から相手が来ないことをもう箒は卑怯とは言わない。だが、それでも箒には剣しかないのだ。だからこれだけで箒はどこまでも行きたい。鈴音になく、セシリアになく、ハリにもない箒が唯一持っているもの。一夏と同じもの。それではもう誰にも負けたくはないから。ただ剣を振ることを止めず人知れず箒はその腕を磨いた。ゆえに生まれる状況は拮抗。ハリも動かず箒も動かない。ハリに剣の腕はないが、総合的な体術ならばハリが上。剣技ならば箒が上。千冬との前哨戦の一つとしては申し分なさそうだとハリの口角が僅かに上がる。
勝負は一瞬だ。防具をつけていようがいまいが関係ない。どちらの実力も高ければ静かな駆け引きの後に勝負が決まる。正眼に構える箒には隙がない。ならば一度突っつき様子を見るしか手はないかと、様子見には早すぎるハリの突きが箒に迫る。
顔を顰めた箒だったが、足を半歩下げながら竹刀を擦り合わせるように打つけ、そのまま竹刀は生物のような動きを見せてハリの竹刀を巻き取った。上に竹刀を払う箒の動きに合わせてハリの手から竹刀が離れる。少しの間をおいて竹刀が床を打つ音が一つ。ハリは苦い表情をしながらも笑顔を見せ、箒もそれに応えるように笑った。
「私はやったぞ」
「……これが貴女のこれしかないですか」
「ああ……だが、これだけだ。千冬さんのようにこれで世界を取ることができるかどうか。今一度自分を見直しよく分かった。道は遠いな……剣技で勝てても、勝負には勝てない」
「……いつもそれなら彼も振り向くでしょうに」
「余計な御世話だ‼︎」
怒る箒を尻目にハリの気分は悪くない。面白い。理性で動くハリだからこそ感情で動く者は見ていて飽きない。一夏を筆頭に一夏の周りにいる者はそんな者が多い。箒の一夏の側にいたいという思いで磨かれた剣技がここまでになるとはハリも予想外だ。
「決めました。今度の学年別トーナメント。貴女と組みましょう篠ノ之さん」
「な……いいのか? おそらく勝てんぞ。お前が強いことは認める。だが私はISの戦いでは足手纏いだろう」
「本当に驚きました。貴女誰ですか?」
「おい」
「冗談です。でも元はと言えばこの噂は貴女が廊下であんな大声で告白したせいですしね。きっちり優勝してもっとはっきり彼に告白してください。貴女にはその義務がある」
「んな⁉︎」
「ちなみにライバルは多いですし、もう一歩進んでいる相手がいますよ。いち早く彼にプロポーズ紛いの告白をして待って貰っている方がいますからね」
「なに⁉︎」
「彼を見る限りおそらく貴女が告白しても同じ状況になる可能性が高いでしょう。しかし彼が貴女を意識する場所には立てる。それだけでよければ僕も今回は力を貸しましょう。彼には今回大きな貸しがあるのでね」
「……ああそれでいい! ハリ、私と組んでくれ! このトーナメントで優勝し、一夏を振り向かせてやる!」
「その意気やよし。打鉄とラファール・リヴァイブ。折角です。重要なのは機体ではなく操縦者だということを世界に教えてあげましょう」
おそらく生身でなら学園最強クラスの二人が手を組んだ。学年別トーナメントまでの残り時間。相変わらず箒は地獄を見る羽目になったが、その時間は無駄ではない。ダリル・ケイシーとフォルテ・サファイア。ハリと特訓するということはこの二人とも特訓するということ。一年生よりも多くの実戦経験を持つ二人との特訓は箒にとって非常にタメになり、また箒の近接戦の腕のおかげでフォルテとダリルにとっても悪いものではない。連携の基礎と専用機との戦い方。それをみっちり叩き込まれた箒とハリの学年別トーナメント一回戦は、ハリが動くこともなく打鉄二機を相手に箒が一人で勝利を掴むという見る者の予想を裏切る形でスタートした。