トンネルの事故から数日後、湖のログハウスの2階。
ビーバーとプレーリーが隣合って立ち、その向かい側に、アフリカオオコノハズク(はかせ)とワシミミズク(助手)が立っていた。4人は、階下へ下りる穴から下を見下ろしていた。そこから見えるトンネルには、水が満ちていた。
はかせ 「水が多い場所にトンネルを掘るのは、危険なのです」
助 手 「調べてみたのですが、ヒトもトンネルの水もれには悩まされていたようなのです」
ビーバー 「残念だけど、この穴は、あきらめるしかないッスね……」
プレーリー 「あきらめたくないであります! なにかいいやり方が……」
はかせ 「あれだけの目にあってまだ懲りていないのですか。ビーバーとハンターが近くにいなかったら死んでいたですよ」
プレーリー 「死んだ仲間に、まだくるなって言われたであります……」
ビーバー 「本当にギリギリだったんスね……」
プレーリー 「ビーバーどのと、この家でいっしょに暮らしたいであります!」
ビーバー 「橋や船を使うと、プレーリーさんの家じゃなくなっちゃうんスよね」
助手がはかせの方を向き、小声で言った。
助 手 「技術が確立されれば、ジャングルの川の下にトンネルが掘れるのでは?」
はかせが助手の方を向き、小声で返した。
はかせ 「ほかの島に渡るトンネルも掘れるかもしれないのです」
助 手 「さすがにそれは……」
プレーリー 「ほかの島ってなんでありますか?」
はかせと助手が、プレーリーとビーバーの方に向き直った
はかせ 「……どうしても湖の下にトンネルを掘りたいというなら、方法はあるのです」
助 手 「水の影響を受けにくい所にトンネルを掘ること、水がもれないようにトンネルの壁を固めること、水の逃げ場を作ること、たまった水をくみだすこと、これが重要なのです」
ビーバー 「もっと大事なのは、少しでもあぶないと感じたら、穴……トンネルから出ることッス。戻って入っちゃダメッスよ」
ビーバーはプレーリーの方をちらりと見た。
ビーバー 「まず、掘る場所ッスね……今のトンネルは、粘土の層の下を通っているんスけど、完全には水を防げていないみたいッス」
助 手 「上に粘土の層があっても、横から水が流れ込んでくる可能性があるのです」
ビーバー 「水の影響を受けにくい所……調べるのは難しいッスね。調べるために下手に穴を掘ると、あぶないかもしれないッス」
助 手 「このトンネルは、島と岸を最短でむすべる場所に掘ったのですね?」
プレーリー 「そのつもりであります」
はかせ 「この長さなら、トンネルの壁を固めるだけで、なんとかなるかもしれないのです」
ビーバー 「トンネルの位置は今のまま、ってことッスね、でも、木で固めても水がもれちゃうし、腐っちゃうかもしれないッスね」
助 手 「粘土の層がある、と言いましたね」
ビーバーはハッとなった。
ビーバー 「木と粘土を組み合わせれば、防水できるかもしれないッス!」
助 手 「完全ではありませんが」
はかせ 「ヒトの知恵を借りるのです。コンクリートというものがあるのです」
助 手 「製造は難しいようですが、参考には」
助手は大きな肩掛けバッグから本を取り出した。
ビーバー 「まず、水もれを粘土でふさいで、たまっている水を抜くッス」
はかせ 「水中で作業する気なのですか?」
プレーリー 「あぶないであります!」
ビーバー 「オレっち、そういうの得意ッスから。泥は沈んだみたいだし、プレーリーさんみたいな無茶はしないッスよ」
助 手 「あとは水をどうやって抜くか、ですね」
プレーリー 「温泉にあった桶とかで、水をくみ出すであります」
ビーバー 「大変そうッスね……」
はかせ 「ヒトは、“ポンプ”というものを使っていたのです。助手」
助手は肩掛けバッグから本を取り出した。
助 手 「これです。簡単なものなら作れるかもしれないのです。ただ、これには動力が必要なのです」
ビーバー 「ずいぶんしっかり調べてくれたんスね……ここまでわかれば、何とかなりそうッス」
つづく