くっそ病弱なお兄ちゃんが旅立つ妹の為に頑張るお話 作:文月フツカ
2019/3/1 見せ場だし無い画力絞って糞絵晒して場面盛り上げるか。
2020/4/24 ??????
草も生えない。
って事で初投稿です。
騎空挺がとある場所へと進んでいる中、風が打ち付ける甲板にてその二人は居た。
カリオっさん。
俺が密かに心の中でそう呼んでいる存在は、ジータに舐め回す様な視線を送りながら、グルグルと周囲を回っている。この人は時々予測出来ない事を何の前触れもなくやりだすから怖い。
「……えぇっと」
流石のジータも無言で見つめながらグルグル回られると落ち着かないらしい。
「あ、気にしないで暫くジッとしててねっ☆」
この矛盾したセリフを猫被った声で平然と出せないと、錬金術なんて概念は作れないんだなと尊敬する。
前にこのカリオストロさんの過去を聞いた事がある。聞いたというか、ジータと四六時中居るようなものだから勝手に聞いてしまったという方が正しいが。俺のように体が弱かったらしいが、今の姿からは想像出来ない。
にしても何故急にそんな回り出したのか。もしかして存在が全く謎に包まれている紐が見えているのだろうか。
「んぅ!?」
突如として、カリオストロさんがジータの口の中に指を突っ込んだ。えぇ何してるんですか。あーあー苦しそうにして涙浮かべてる。
「はい、終ーわり。ご協力ありがとね団長さんっ☆」
後に残されたのは顔を赤らめて荒い息を上げるジータだった。兄が妹に欲情することは無いと思うが、こうも目の前で絡まれると、些か下半身に来るものがある。
そんな事があった数日後。今度はカリオストロさんの部屋にいた。この部屋は相変わらず難しい実験器具や本が所狭しと並んでいる。頭の出来が良いとは言えない俺には、見ているだけで頭が痛くなってくる代物ばかりだ。
そんな俺の気など気づくはずもなく、ジータはお勉強の時間だ。
アルケミストなんてジョブ、まさにカリオストロさんが教えるにぴったりの内容だ。
「だから違うって言ってるだろ!? その比率で混ぜると結局さっきの薬品が連鎖反応で爆発ぅぅぅぅぅ!」
体動かすの大好きジータにお勉強を根気よく教えてくれているこの人には、なんかもう頭が上がらない。
髪も服もボロボロになりながら口元を痙攣させてるけど。
「ふぇぇ」
「何がふぇぇだバカ! んな台詞俺が言いたいぜ!」
もっと怒ってあげてください。いい薬です。
暫くして、ひと段落終えた二人はティータイムになっていた。
けども誤魔化されんぞ。後でしっかりカリオストロさんに謝れ妹よ。こんな惨状生み出しても匙投げない先生って凄いありがたいんだぞー?
「さっきから気になっていたんだけど、あのカプセルに入ってるのは?」
「あぁアレか。あれは試験的に作った奴でな。近接戦闘用にカスタムした体だ。その名もカリオストロ
高機動の名の通り、いつもカリオストロさんが着ている服とは大分違った。もっと可愛さを引き立てる小物とかがくっついていたのに、取り外されている。激しい動きを阻害しそうなものは徹底的に外されていた。
「まぁそもそも、そんな近接戦に持ち込むほどカリオストロは弱く無いけどねっ☆」
「いいねぇ! 私と戦ったらどっちが強いかな」
「末恐ろしい事言ってんじゃねーよ」
末恐ろしい事言ってんじゃねーよ。
そんな実験室での一幕からまた数日後。騎空団は夕焼けの空を飛んでいた。
「痛み無き戦闘団?」
「この付近の群島で暴れまわっている奴らですね~。他の騎空団との交戦もあったのですが、生き残った方達は大分精神がやられたみたいでして」
何度も思うんだが、シェロカルテさんは一体どういう伝手でこんな依頼引っ張ってくるんだ。
「そいつらって何を目的にしてるんだろ」
「きっととにかく戦いたいって連中の集まりなのよ」
ジータやイオちゃんの憶測通りだけならいいけどな。ただ戦いたいだけならジータが暴れたり、ナルメアさんが暴れたりすればいいだけだが。
どうせ戦利品と称して畜生働きもやってるんじゃないかな。
「あ、噂をすれば~」
噂をすれば!?
この人やっぱり腹の中真っ黒じゃないのか。
依頼説明から目標との接敵までの最短記録行ったんじゃないかコレ。むしろ今説明中だったぞ。
騎空挺で騎空挺に直接乗り込んでくる気か。にしても数は30前後とそれなりにいるな。
「急旋回掛けるぞ!」
ラカムさんの号令で、団員たちはしっかりと態勢を取る。
「畜生! ちょっと試験運用しようと甲板に出した途端コレか!」
カリオストロさんがキレながら試験的な体を物陰に隠す。なんかもうあの人可哀想すぎる。
「あいつら、相当にやばそうだぜ。全員目がやばい」
「……団長ちゃん。これはちょっと本気でいかないと不味いわ」
恐れずに騎空挺に飛び込んできやがった。目もそうだが、口元が常に笑っているのが不気味だ。操られているってわけでも無さそうだし。何より、恐怖心ってものが一切感じない。
「何でもいいよ。行くよ皆!」
ジータが駆け出したと同時に、敵も味方も戦闘を開始した。
「せいっ」
ナルメアさんの刀を受けた敵だが、斬られたというのに全く怯まない。寧ろ笑みを深めてさらに突撃してくる。
「何なのよもう!」
イオちゃんの魔法も効いていない。それどころか自分から当たりに言っている節すらある。
噂というか、名前通りというか。痛み無きの言葉通りだ。しかも厄介なのはそれだけじゃない。
「コイツも、コイツも。コイツら全員、並みの精鋭騎士団より腕が立つ!」
敵の1人1人、末端に至るまで恐ろしい練度だ。まるでジータの騎空団みたいだ。
おまけにただ強いだけじゃない。手段も一切選ばない。中には刀身に毒を塗ってるやつもチラホラ。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAh!」
「斬っても斬っても、倒れた敵は暫くしたら起き上がってくる……」
致命傷でない傷なら戦闘を続行し、致命傷であればその場で倒れ伏す。だが暫くすれば、突如として奇声を上げながら飛び起き、再び武器を振るってくる。
こっちの精神が持たない。
いくら歴戦の強者が多いこちら側でも、永遠に戦い続ける事は出来ない。
敵は夕焼けを背にしているので、環境も敵に回っている。
「アイツっ」
そんな不死の軍団の最後方、一人の大柄な人影。体も大きいが、何よりその盾が異常だ。まるで城壁を切り取ってきたかのような分厚さがある。兜で顔が見えないが、禄でもない奴だというのが良くわかる。
だがこの膠着に飽きたのか、大盾の持ち手を両手で掴み、振り上げた。
それと同時、一気にその大盾を地面に、つまり騎空挺の甲板に叩きつけた。
――――――!
凄まじい衝撃と共に、船が揺れた。騎空団の皆は衝撃に耐えきれず崩れ落ち、物陰に隠してあった人形が俺の傍に倒れてきた。
ジータが咄嗟に起き上がり、敵をすり抜けて、大盾の奴に一撃を入れる。
その攻撃も、簡単に大盾に弾かれた。
とっさにカタリナさんが援護に掛けるも、到底間に合わない。
その瞬間、周りが、突如として遅くなった。
心は思う―――おかしいな。今までだって命の危険は沢山あったじゃないか。何を心配する必要がある。
体は動く―――確信がある。今何かしなければ、今回ばかりは決定的に後悔する事になるんじゃないか。
目に映る―――あれを使う。今まで無い頭で錬金術開祖の本を盗み見ていた。恩師の為にも、諦めない。
手に掴む―――それは刀だ。傷つける武器ではあるが、手の届く範囲なら、誰にも後れを取る気は無い。
魂は叫ぶ―――妹を助ける。目に入れても痛く無い。唯一残った肉親を、こんな奴らに絶対奪わせるな。
手に取るようにわかる。少し重い着ぐるみを着る感覚だ。数瞬有ればすぐ慣れる。指の先、爪の先までピンと伸ばすように。長い袖に腕を通すように。
目は開いた。
体は動く。
音も聞こえて、力も入る。
動け! こんなガラじゃないのは分かっている。でも動け!
大切な人を失うな!
「……え?」
「ほう。どこから現れたのか、興味深い」
ふぇぇ。