モンスターハンター――ハンター黎明期――   作:らま

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第30話 歩み

 時は和也らがオオナズチと遭遇を果たす一日前にさかのぼる。

 茶色い箱が地面に置かれ、その周囲には立ち入り禁止を表す縄が張られていた。傍には男が一人、それらを指さしながらゆっくりと動かし数えていた。

 

「14,15,16……数に問題なし」

 

 彼の名はヤマト。かつてリオレウスが紅呉の里の近くに降り立った時、和也らと共に戦った戦士の一人だ。

 今行っていることは現代で言うところの棚卸である。紅呉の里の発展に従って増え続けた在庫、その中には危険なものも多い。

 特に爆薬系統は平和な現代でも取り扱いが難しい。特別な場所を用意し、取り扱うための資格者が必要になる。紅呉の里でも同様に、保管場所を他と違え知識の習得を必要としていた。その他、牙獣種の脂など火気厳禁のものもここに保存される。同じく専門の知識が必要とされた。

 品質の劣化があればいざ使うという時に困ってしまう。それに紛失があれば危険でしかない。在庫の確認はかつてからあった概念だが、発展に伴い重要視されるようになった。

 

「強度も問題なし、外殻の劣化もなし。異常なし」

 

 以上が無いことを口に出して確認する。確認作業は問題ないのならそれを声に出した方がいいと和也からの指示があったためだ。現代社会においてトップの命令が末端に行くほど浸透していないことを考えれば、紅呉の里の指示連携系統は優れているのかもしれない。

 

「よう、お疲れ。調子はどうだ?」

「剛二さん。ええ、特に問題もなく。さすがは剛二さんの作ですね」

「かかっ、そりゃそうだ。にしてもお前もえげつねえもん考えつくな」

「和也さんの発想を仕上げたに過ぎませんよ」

 

 そこに並ぶ物は見た目は通常の土器と何ら変わりはない。だが、その実剛二の言うとおりモンスターにとってえげつないものだ。

 それに対する評価を軽く流し、ヤマトは自身の疑問を口に出す。

 

「それにしても和也さんたち遅いですね」

「ん? 探索なんだしこんなものじゃないのか」

「ええ、時間がかかるのは承知ですがそれにしてもかかりすぎです。もうそろそろ食糧が尽きるのではないかと」

「ひい、ふう、みい……確かに遅いな」

 

 指を曲げながらヤマトの言葉に同調する。ヤマトの言うとおり、剛二の記憶ならば持って行った食糧はもう残り少ないはずなのだ。

 当たり前の話だが生きるために食事は必要不可欠だ。モンスターとの戦闘を想定する以上、食事を抜くなどという行為は愚行でしかない。食料が無いのなら戦えないということは当然のこと。まさに腹が減っては戦はできぬ、だ。

 力仕事をするのなら空腹というのはまずい。それはかつての紅呉の里でもわかっていたことだ。モンスターとの戦闘などという更に体力が必要なものを食事なしですることがないということは口に出すまでもなくわかりきったことである。

 

「和也さんは常に不測の事態に備える様にと常々言っていました。和也さんも当然そうしているでしょうからもう戻ろうとしているはずです。それが戻ってこない」

「つまり、不測の事態が起きた可能性があるってことか」

 

 実際はその不測の事態に備え、食料を一部現地調達しているので多少余裕があるということがあるのだが。何があるかわからないので現地で調達できたのなら先にそれを食し、保存のきくものは後回しにしているのである。

 兎にも角にもヤマトは和也らが戻ってこないことを異常事態だと考えた。故に剛二の考えを首にて肯定し、さらに考えを述べる。

 

「私たちが行っても二次遭難になるだけかもしれませんが……いえ、周辺の警戒だけでもしましょうか。通常の荷物に加え、回復薬や爆薬を多めに持つとしましょう」

「それなら早めの方がいいな。俺はちょっとお絹の所行ってくるわ」

 

 剛二は貯蔵庫より駆けて行く。自分を尻に敷く奥さんに出かける事情を話すために。一応剛二の名誉のために書いておくと、お絹は薬の管理をしているため、回復薬を多数持ちだす以上は事情の説明は不可欠であった。

 

「了解です。こちらでも準備をしておきます」

 

 そうして駆けて行く剛二の背にヤマトもまた準備をする意思を告げる。一人残ったヤマトは想定される状況から必要な資材の想定を始めていた。

 

◆◇◆

 さて、時は和也らとリン、ヨウの二人が別れた後だ。二人は命を燃やすかのように、ただひたすらに走り続けていた。その顔には助かった安堵はない。ただ勝てなかった、逃げるしかなかった悔しさが刻まれている。

 

「にゃあ……ニャあああああ!!!」

 

 ヨウの雄たけびが響き渡った。悔しさを吐き出す慟哭はただむなしく消えてゆく。疲労を得るだけの意味のない行為だが、それでも吐き出さずにはいられなかった。

 

「ヨウ、黙って」

「っ、リンは……リンは悔しくはないのかニャ!?」

「――走って」

 

 ヨウの問いをリンは封殺した。悔しくないはずがない。他人を犠牲にして生きることをのほほんと受容できるはずがない。それでもどうすることもできないことが悔しくないはずがない。

 それでもリンはただ走り続ける。命を懸けて逃がしてくれたのだから、自分たちが、自分たちだけがもつ情報を紅呉の里に持ち帰るために。

 走って、走って。命を燃料に体を動かし、骨も筋肉も摩耗させて走り続ける。周りの音も景色も捨て去って。何も見えず何も聞こえず。そんな状態で走り続けた結果、リンは木に気付くことなく正面激突した。

 

「リン、だいじょう――」

「――走る」

 

 大丈夫と告げる代わりにただ走ると言ってリンは体を起こす。防具をつけていても衝撃によるものなのか、額から血が流れていた。そのせいなのか、リンは起こした体を再度ふら付かせてしまう。

 

「リン!」

 

 それに気づいたヨウはリンに駆け寄った。顔には憂え気な色が浮かんでいる。

 

「僕が走るから……リンはここで待ってるにゃ!」

「――だめ。――ヨウだけじゃ……不安……。それに……」

 

 もう、ヨウだって疲れてるんでしょ?

 

 そう言おうとした声は出てこなかった。二人とも休息など無視して走った代償に限界が近かった。それでも止まらなければまだ走れたかもしれないが、一度止まってしまったことで体は休息を要求し始めた。

 オオナズチから逃げ切ることはできただろう。二人の足でももう大分走ったのだ。安全は確保されたと言っていい。紅呉の里とて周囲の警戒も準備もなしに不用意にうろつくものは恐らくいないだろう。いたとすればそいつ自身の責任だ。つまり、リンとヨウが走らなくてももういいのかもしれない。

 そんな理屈を二人は受け入れることはなかった。リンもヨウも諦めることなどなかった。何よりも命を懸けてもらって逃げたのに、自分たちが命をかけることができないなど申し訳が立たない。

 

 それは精神論に過ぎないが、それでも無理を通そうとリンは立ち上がろうとした。そう、その時だった。

 

「――っ、リン、ヨウ!」

 

 警戒しながらやってきていた剛二が二人に気付いたのは。

 

 

 リンとヨウからオオナズチというモンスターに襲われ逃げてきたという事情を聞き、警戒をしていた一同は皆口を噤んでいた。それはそうだろう、全員に和也や劉なら大丈夫だという思いがあった。その根拠のない妄想が打ち砕かれた衝撃は重い。そんな中、その事情を想定していたヤマトと剛二は冷静に事態を考察していた。

 

「そのオオナズチというモンスターは当然強いのでしょうが……和也さんはそいつについて何も知らなかったんですか?」

 

 今まで出会ったモンスターならば和也は皆知識を持っていた。まず和也が知らないということを想定しにくかったためそう尋ねた。

 

「全然……知らないってことはない……みたい。けど――あまり詳しくはないって言ってた」

 

 まだ荒い呼吸を整えながらリンが説明をする。それを聞いたヤマトには理解と不可解が同時に浮かんだ。リンもヨウもまだ苦しそうだ。しかし状況の把握は可及的速やかに努めなければならない。ヤマトは気を遣いたい気持ちを捨てさる。

 

「すみませんが聞いたことを全て教えてください」

「お、おいヤマト。そんなことより早く行った方がいいんじゃないのか!? 今急げば和也達だって間に合うかもしれないんだ」

「それはそうですが下手な加勢では意味がありません。私たち全員の命と引き換えに和也さんらを救えるのならまだ意味はありますが……加勢しましたがどうにもなりませんでしたじゃ無駄死にです」

 

 ヤマトの脳裏にリオレウスとの戦闘の際の記憶が蘇る。決してそこにいる意味がなかったということはない。役に立たなかったわけではない。それでも、一度劣勢を作る原因を作ってしまったことが。

 ヤマトは狩り自体よりも調合・人のまとめという方向で才能を発揮した人間だ。故にこの場で考えるべきことは熱くなって突撃をすることではないと理解している。同時に、周りがそれをしようというのなら止めねばならないということも。

 そうした事情があってのヤマトの発言は、周りを冷静にさせる効果があった。自分らが命と引き換えにして和也らを逃がす。それすら選択肢にすべき状況なのだということを理解して。

 

 命をかけることができるかどうかではない。命をかけることに意味があるかという話だ。命をかけることができるということは大前提だとヤマトは言ったのだ。

 ヤマトと剛二のそんな言葉を聞きながら、リンはただ回復に努めた。言葉を紡ぐだけの体力を取り戻すために。そうして、まとめたそれらを口にする。

 

 

「体が硬くて……動きは鈍重……舌が長くて……毒を吐く……。――あと……古龍の一種だって……」

 

「古龍じゃと!?」

「知ってるのか、竜じい」

 

 ううむ、と唸るように竜じいは返事をした。皺だらけの顔を更に皺で歪ませて。 

 

「詳しいことはわしも知らねえ。けんど、一つだけわかっとることがある。太古の昔より姿を変えずに存在し生き続ける全ての生物の頂点に立つ存在じゃと」

 

 竜じいの説明は周りをざわつかせた。言葉の意味を正確に把握できなかったとしても、太古の昔より生き続ける、生物の頂点に立つ、などと手強さを想像させる言葉が並んだのだから当然だろう。

 浮き足立つ者、恐怖におびえるもの、死の覚悟をし悲壮を浮かべるものなど多種多様。その中で剛二は焦りを、ヤマトは決断を浮かべた。

 

「おい……そんな奴が相手なら急いで行った方がいいんじゃないのか!?」

「その通りですが……しかし同時にただ加勢に行ってもやはり無駄でしょう……」

「じゃあ見捨てるってのか!?」

「そんなことは言ってないでしょう!」

 

 思わず声を荒げたヤマト。しかしすぐに冷静さを取り戻したようで言葉を一度切って頭を冷やした。冷静沈着とは言えずとも、少なくとも声だけは冷静さを取り戻し説明をする。

 

「このままただ和也さんたちの所に行っても邪魔になると言っているのです。助勢の仕方は考えなくては……」

 

 思案しながらの説明だったようでそれはすぐに決まった。

 

「急ぎ準備をしましょう。まずは――」

 

 

 ヤマトの考案した作戦とは至極単純なものだった。まずオオナズチをある場所へとおびき寄せ、その場には予め爆弾を仕掛けておく。それを来た時に爆破し爆弾によって倒す。ゲームの際でも時折取られた手である。

 ヤマトらがもってきたものは回復薬、閃光玉、土爆弾、それに数日前にヤマトが資材の確認をしていたあの土器だ。この土器を地面に一定間隔で設置しオオナズチが来た時に土爆弾を投擲した。

 土爆弾による爆撃の威力は大したことはない。そも、土爆弾でなら和也と劉もやったのだ。効果的なはずはなく、大爆発などあり得ない。では何故大爆発が起きたのか。それは一重に、土器の中身が爆薬だから、ということである。

 

 

――衝撃が危険だというのであれば丈夫な土器に予め入れておくのはどうだろうか

 

 ある種単純な思想だったが外からの衝撃が怖い、紛失が怖いということで丈夫な土器の中に入れておく、ということは保存方法として最初のうちに挙げられていた。それを後にヤマトが気付いたのだ。その状態で爆発させれば破片によるダメージを狙える、と。

 ある偶然の結果それに気づいたヤマトは剛二と共に実験を開始。結果、容易く使えるものではないがいざという時に役に立つ榴弾が完成した。

 

 

 もうもうと立ち込める爆煙を見つめ、成功の安堵と役に立った喜びをかみしめるヤマト。自分たちに対する危険なども承知の上の強硬手段と言っていいが、それでも自分のイメージした通りの結果を得られた。それを喜ぶなという方が無理だろう。

 自身よりやや離れた場所で爆煙を呆然として眺めている和也に気付き、ヤマトはそこへと駆け寄った。ちなみに和也はこの榴弾の構想は聞いているが、実験には立ち会ってなかったので初見である。

 

「和也さん!」

「ヤマト……、わりいな、助けられたみたいだな」

 

 それまでの呆然とした様子を少しだけ残して和也は返事をする。爆発による怪我などが無いことに安心する。

 

「そんなことはいいですよ。それよりもご無事でよかった」

「ああ、それよりも……」

 

 言葉と共に和也は煙の出所へと目を向ける。黒煙に隠されて視界など効かぬ場所を、ヤマトに見えないものを見ているかのように見つめた。

 同じ動きをヤマトもして確認をする。しかしやはり黒煙は黒煙のまま。墨を塗ったような黒い煙が天へと昇っているだけでその他には何も見えない。

 

「和也さん……? さすがにこれだけやればいくらなんでも――」

「いや……」

 

 油断なく見据える和也の目は安心するにはまだ早いと訴えている。見れば、劉も同様にじっと源を見据えていた。

 ヤマトは煙を見つめる。ただもうもうと立ち上る煙が目に写るだけだ。代わり映えのしない光景を訝しげに見続けた。やがて、風でも吹いたか煙が揺蕩う。

 

「――来る!」

 

 声が早いかそれが早いか、煙が割れて中から紫と赤、その上から黒で彩られた、四足歩行のモンスターが飛び出してきた。突出した眼を血走らせ、舐めるものもないのに舌を伸ばして。

 

「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」

「な!? あれでまだ!?」

 

 爆弾の威力は相当だったはずだ。爆風によって飛び散った土器もまた傷を与えたはずだ。しかしそれでもオオナズチは生きていた。有効打には確かになったのだろう、体から血を流し、姿を隠さずに興奮した様子で飛び出してくる。

 

「こいつは体が硬い上に体力も多い! 討伐は無理だと考え撃退を狙うぞ!」

 

 

 

 

 

 最後の決戦が始まった。

 

 

 

 

 

「っし、なんとか効く!」

 

 和也は既にできた傷を深くすべく、片手剣を裂かに持ってナイフのように扱い戦う。オオナズチはダメージのせいか、硬化能力を失った様子で剣は確かに傷を作る。それでもオオナズチは我関せずとでも言うかのようにダメージの影響は見受けられない。

 

「っ……くっ……そ!」

 

 劉は大剣を振るうがオオナズチに警戒されているようだ。長い舌に翻弄され、思うように攻撃ができなかった。それ以前に大剣を背負って逃げている分、和也以上に体力の消耗が激しいのだろう。肩を落とし大剣をぶら下げている。

 

 

「一斉斉射!」

 

 ヤマトは共に来た和也の生徒たちに指示を飛ばす。モンスターの知識という点ではまだまだだが、資材の知識という点で和也に近いレベルを持つヤマトの指示は的確と言えずとも効果があった。

 

「今度は……負けるかってんだ!」

「まだ首が痛いんだよ、この馬鹿野郎!」

 

 ジェムとイニは槍で突く。二度もオオナズチに絡まれたイニは攻撃の手も苛烈だ。

 

「にゃにゃにゃ! そんな攻撃は当たらないのニャ!」

 

 ヨウとは別のアイルー、ケイが身の丈以上の武器を振るう。ちなみにケイが当たらないと言っている攻撃は味方の爆撃である。

 

「いてぇっ!」

「回復薬です!」

「っと、ありがと!」

 

 一人がけがをするのとほぼ同時にレイナが回復薬を差し出した。彼が飲むのも確認せず、次に回復薬が必要になるであろう人を探す。

 

「全員そのままこっちに来な! 次の罠を仕掛けた!」

 

 剛二が指示を飛ばす。それに従い全員がそちらへと流れた。オオナズチも含めて、だ。

 

「グギャア!!」

 

 次の痺れ罠にオオナズチがかかる。その足元には最初と同じ、土器が数個置かれていた。

 

「全員で投げろ! これでトドメと行こうぜ!」

 

 言われるまでもない。誰かがそんなことを言ったかもしれない。指示よりも早く土爆弾は投擲され、爆発を引き起こす。最初と同じく立ち込める煙。しかし違ったのはその煙が晴れた後、そこにオオナズチはいなかったということだ。

 

「ばらばらに……なったか?」

「いや……」

 

 誰かの独白を和也は否定する。爆心地へと近づきそこにかがみこんだ。

 

「引きずった足跡がある。どうやら逃げたようだ。痺れ罠に爆弾まであって、それでも逃げ切るだけの体力が残っていたとは驚きだが……」

 

 爆音と煙で気づきにくかった事情はあっても、それでも気づかれずに逃げたということに驚く。だが、そんなことよりもオオナズチが逃げたということは戦闘は終わったということだ。

 逃げられたということに素直に喜んでいいのか、数人の中に戸惑いが浮かぶ。それを察知した和也はなんとなく、笑いを零した。

 

「何湿気た顔してんだ。全員生き残って撃退した。俺達の勝ちだ――」

 

 

 片手剣を掲げ勝利を宣言する。疲れがあって勝鬨を上げる、とまではいかなかった。それでも、意図は伝わったようだ。戸惑いが消え、安堵と達成感に満たされる。

 

「生き残れるとは思わなかった……かな」

 

 かちゃん、と劉が大剣を和也の片手剣にぶつけながら言った。恐らくは本心だろう。逃げ切れる可能性も十分にあったが、同時に死ぬ可能性も十分にあった。死の覚悟と、生きのこった安堵がごっちゃになった現在ではもうどうだったかなどわからない。

 

「劉は僕が守るって言ったんだから生き残って当然だニャ」

「よいしょっと……僕はちょっと違うけどね。でも無事でよかった」

 

 ヨウとリンが、それぞれ劉と和也の肩に乗って片手剣と大剣の交差した部分に己の武器を重ねた。

 

「生きてもらわないと困りますよ。約束を果たすこと、きちんと確認してもらわないと」

 

 レイナが小さいナイフを同じく重ねて言った。劉の方を向いた様子から察するに、劉に向けての言葉のようだ。

 

「まだ弓もできてないんですし、教わってないことだって山ほどあるのに困りますよ」

 

 悪戯小僧のような笑みで小さな少年が槍を重ねる。

 

「まあでも生き残ったしな」

「それに仕返しもできた、と」

 

 ジェムとイニが笑って重ねる。

 

「皆さんお疲れ様でした。本当に、皆無事でよかった」

「ニャア! これで僕の強さも証明されたにゃ」

 

 ヤマトとケイが思いを告げる。ヤマトもケイもそれぞれ己の武器を重ねた。ヤマトは小さなダガーを、ケイは大きな剣を。この二人だけを見るとアンバランスだ。

 

「全員御苦労、お疲れだった。ま、こうなったらやることは決まってるな」

 

 まとめる様に剛二が言う。決まっているらしいやることとやらに、にやりと笑う者、戸惑う者といた。

 

「生き残った祝いだ! 帰って飯と酒にしようぜ!」

 

 

 

 




謝罪1
オオナズチさんの表記を誤ってオオナヅチとしていました。確認できた部分は訂正済。恥ずかしいミスです。

謝罪2
Q.オオナズチさん古龍だから罠にかからなくね?
A.作者のミスです。しかし麻痺無効も雷耐性も持っていないオオナズチさんがしびれ罠にかからないっておかしくね?とも思い、訂正はしません。

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