ジャック×親指姫   作:サイエンティスト

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 前回、買い物デートによりうら若き恋する乙女(くらら)に精神的ダメージを与えた二人。今回は前回に比べれば控えめなんじゃないかな……。
 とりあえず「何やってんだこいつら」とか「爆発しろ」とか感じて頂ければ嬉しいです。





愛の巣

「後はこれを扉にかけて……やったわ! ひとまずこれで完成よ、ジャック!」

 

 字の記された小さな木板を部屋の扉に吊るし、達成感に溢れる眩い笑みを向けてくる親指姫。木板にはこう記されている。『ジャック&親指姫の部屋』と。要するに表札のようなものだ。

 同棲のために色々必要なものを揃え始めて約一週間。部屋の模様替えが一区切りついたのでひとまず完成ということになった。この表札を飾るのが完成させるための最後の行為である。

 ちなみに傍から見るとくだらないことかもしれないが『ジャック&親指姫の部屋』か『親指姫&ジャックの部屋』のどちらにするかを決めるのに十分くらいかかった。一応ここは元ジャックの部屋だし自分の名前が先に来る方が語呂が良いように思えたので、結果的にはこうなった。

 

(やっぱり親指姫の名前を先に持ってきた方が良かったかもしれないなぁ、これ……)

 

 ただし不満を露にした不満を露にした親指姫によって木板はピンクに塗装され、字体は丸みを帯びたとても可愛らしいものに書き換えられてしまった。このファンシーな惨状を見ると名前の順序を気にしたのはとても愚かなことだったと容易に判断できる。

 

「そうだね。まだ完全じゃないけどこれで僕らの愛の巣が完成だね?」

「忘れた頃に言うなっつーの! あんた今のは絶対わざとね!?」

「あはははっ、もちろんわざとさ――いたっ! 痛いよ、親指姫! はははっ!」

 

 せめてもの抵抗として二週間越しの恥ずかしい言葉を繰り出す。

 これにはさすがに成長した親指姫も顔を真っ赤にして怒り出し、ジャックの身体をどついてきた。最近はここまで過剰な照れ隠しを行ってくれなくなったのでとても懐かしく、どつかれながらも笑ってしまうジャックであった。

 

「と、とにかく! 部屋の模様替えは大体完了ね。後は皆にお披露目してやりたいとこだけど……」

「さすがにそんな時間じゃないよね。お披露目するなら明日にしようよ」

 

 まだ深夜というわけではないが早寝の人はすでに床についているような時間だ。さすがに模様替え完了の喜びに任せてこんな時間に無理やりお披露目するのも性質が悪い。

 

「そうね。でも皆を叩き起こして無理やり見せるのもそれはそれで面白そうよね?」

「それはやめようね、親指姫。君がそういうことすると僕が怒られるんだ。飼い主の癖に管理不行き届きとかで……」

「はあっ!? 飼い主って何よ!? てかそんなこと言ってんの誰!?」

「それは、ほら……何か親指姫があまりにも人が変わっちゃったから、僕がそういうことしたんだっていう認識が広がっちゃったせいっていうか……」

 

 初めて聞いた事実らしく驚愕に目を見開き詰問するように寄ってくる親指姫。

 ジャックを飼い主呼ばわりしているのはフードや帽子が大好きな皆のお姉さん的存在の某血式少女や、何でもしてくれる下僕を欲しがっている面倒くさがりの某血式少女だ。むしろこの二人が噂を広めた疑いすらある。

 

「……あんた、まさか私のこと可愛いって言ってんのはペットとしてとかじゃないでしょうね?」

(あははっ、機嫌悪そうな顔も可愛いなぁ。ていうか僕、いつもそんなことばっかり考えてるな……)

 

 瞳を鋭く細めご機嫌斜めに見上げてくる恋人の姿に、お約束のように癒されてしまうジャックの心。単純というか何というか、やはりバカップル呼ばわりされてしまうのも仕方ないのかもしれない。

 

「そんなことないよ。あ、でも時々妹みたいって思うことはあるかな。白雪姫たちが僕のことを時々兄様って呼ぶのと、親指姫が三姉妹の中で一番ちっちゃいからなのかたまに仲良しの兄妹に間違われるんだよね」

「……ジャック、あんた私と同じくらいの身長に縮みなさい」

「む、無茶言わないでよ、親指姫……」

 

 本当は恋人なのに妹呼ばわりされたことがよほど悔しかったのだろうか。真顔で強引かつ突飛な解決策を提案してきた。

 愛しい恋人の願いはできる限り叶えてあげたいしそのための努力も惜しまないが、さすがに骨格レベルの頑張りが必要では挑む気も起きなかった。

 

「やる前から諦めんじゃないわよ! 私はあんたの妹でも姉でも無くて恋人だっつーの!」

「だ、誰もお姉さんとは言って無いけど……うわっ!? ちょ、ちょっと親指姫、首痛いよ……」

 

 背中に飛び乗りジャックの頭を押しつぶそうと両手で圧力をかけてくる親指姫。当然それで縮みはしないので痛いだけだ。

 というか今の親指姫は傍から見ればジャックの背に負ぶさりワガママを言っているただの子供だ。こんなことをしているから身長差も相まって妹呼ばわりされるのではないだろうか。

 

(……でもそんなところも可愛いよね!)

 

 まあそんな様子も可愛いのであえて指摘はせず、やりたいようにさせるジャックだった。首はちょっと痛いものの、親指姫があまりにも小柄なおかげで重さは全く感じないため耐えるのは苦ではなかった。

 

「折れればその分縮まるわね! ジャック、ちょっと痛いけど我慢しなさい!」

「首折れたら死んじゃうよ……とにかくこんな時間に廊下で騒いでたら迷惑だから、もう中に入ろう?」

 

 何とかジャックを縮めようと頑張る妹のような恋人を背負ったまま、扉を開けて部屋の中へと足を踏み入れる。そして目に飛び込んでくるのは模様替えが済んだ元自分の部屋、現ジャックと親指姫の部屋の内装の数々。

 薄い空色を基調に葉っぱや蔦などの植物を散りばめた感じの壁紙、テーブル近くに置いたニワトリ型のクッション、壊れていて音は鳴らないが小さなハープで時刻を教えてくれる壁掛け時計。この辺はジャックの趣味と言うか、妙に心惹かれたものを揃えた結果だ。

 そして親指姫の方は可愛い花々の模様で嫌がらせのようにファンシーな薄ピンクのカーペットを敷き、自分の部屋から持ってきたテーブルやクッション、カーテンなどを追加。他にも小物を幾つか持ってきている。

 

(居心地が良くて住みやすい部屋に仕上がって良かった。壁紙も親指姫が選んでたらこうはならなかっただろうなぁ……)

 

 都合上まだ手付かずの部分もあるが、少なくともどちらか片方の趣味嗜好に片寄ってはいない同棲にぴったりの部屋と化していた。正直最初は壁紙もカーペットもクッションも無い殺風景な部屋だったとは信じられないくらいだ。

 

「……うん、何度見ても良い感じの部屋ね!」

 

 改めて部屋の様子を目にして同じ気持ちを抱いたらしく、耳の傍で満足気な声が上がる。どうもまだ背中から降りる気はないらしい。

 

「でもまだまだ模様替えの余地はありそうだよね。良いものが見つからなくて結局手付かずの部分もあるし」

「その辺は仕方ないわ。定期的に販売所と露店行って色々探しましょ。もちろんデートも兼ねてだからね?」

「うん。くららには悪いけど仕方ないよね……」

 

 囁くように耳に届けられる、少なくとも自分たちにとっては幸せな提案。

 買い物の時は一応気を付けてはいるものの、親指姫が可愛すぎてついついとても親密な触れ合いを行ってしまうのだ。そのせいでこの一週間はくららにとっては地獄だったに違いない。そしてたぶんこれからも地獄が続く。原因の片割れが言えた台詞ではないが不憫極まる。

 

「今一番欲しいのはベッド周りのものなのよね。毎晩ここで一緒に寝るんだしやっぱ一番拘りたいとこだわ」

「あ……や、やっぱり今夜から一緒に寝るんだね……」

「き、決まってんでしょ。一緒の部屋で暮らすって事は、一緒に寝起きするってことなんだから……」

 

 寝床を共にするという事実を改めて考えてしまい、照れ臭さにジャックの顔は熱を帯びていく。背に負ぶさっているので親指姫の表情は確認できないものの、声の調子から判断して同様に照れ臭さを感じているらしい。

 最初から分かっていたが、部屋で一緒に暮らすということは当然寝る場所も同じ部屋の中だ。しかもお互い抱き合って一緒に寝たいと思っているジャックたち。当然ベッドも同じなのは暗黙の了解のようなものだった。

 

「でも僕のベッド一人用だし、一緒に寝るなら君の部屋のベッドを持ってきてくっつけたりした方が良かったんじゃないかな?」

「ベッドくっつけて寝るんじゃなくて、あんたとくっついて寝たいの! あ、あんただって、そうなんでしょ……?」

「う、うん……できれば、前みたいにぎゅっと抱きあって……」

 

 あまりにも心に素直な親指姫の言葉に加え、あの時の出来事を思い出してしまい更に顔が熱くなる。

 親指姫が初めて素直になり、心だけでなく身体すらも曝け出そうとしてくれた夜。心の準備は明らかに急ごしらえのものだったので気遣って断った結果、そのせいだけではないが結局添い寝も実現しなかった。

 しかし今夜からは思う存分添い寝ができる。ぎゅっと抱き合って毎晩朝まで一緒に眠りに付くことができる。それを考えるともう胸の中が幸せで溢れそうになってきてしまう。

 

「前はあんたがケダモノになりかけてたからできなかったしね……今夜からはその分まで思う存分添い寝しあうわよ? あんたを朝まで私の抱き枕にしてやるんだから!」

「うん! その代わり、親指姫は朝まで僕の抱き枕だね?」

 

 お互いがお互いの抱き枕になることを宣言し、そのおかしさに笑いあう。首を傾けて背中の親指姫の表情を覗き見ると、しっかり頬を染めていたもののとても嬉しそうに笑っていた。

 

「ならさっさとシャワー浴びて一緒に寝ましょ。ジャック、先に私が使わせてもらうわよ。あ、もの凄く時間かかるけど良い?」

「うん、大丈夫。じゃあ僕は今の内にもうちょっと小物の位置とか考えてようかな?」

「そうしときなさい……覗いたらどうなるか分かってるわよね? 一応言っとく?」

 

 ここでやっとジャックの背から降りて、表面上だけは先ほどと同じにっこり笑顔を向けてくる。しかし漂う雰囲気が明らかに異なっているため説明を聞く必要は無かった。

 

「い、言わなくても大体分かるから大丈夫……絶対覗いたりしないから、安心してシャワーを浴びて来ると良いよ」

「……あっそ。なら良いわ。着替え出すからそれまで向こう向いてなさい」

(あれ、何か逆に機嫌悪くなったような……)

 

 誠実な答えを返したというのに親指姫の態度はほんの少しだけ刺々しくなる。

 もしかすると覗く価値も無いと言われたように思えて傷ついたのかもしれない。女の子が複雑な生き物だということくらいは、親指姫と過ごした今までの日々でさすがのジャックも理解していた。複雑さそのものを理解しているかどうかは別の話だが。

 

(だけど『そんなことない! 本当は覗きたいんだ!』とか言ったら怒られるだけだよね……うん、もう間違えないぞ。僕だって学習してるんだからね、親指姫!)

 

 さすがに理不尽さにも慣れてきたので、ここで親指姫のフォローをすれば怒られてしまうのは簡単に予想が付く。フォローに失敗しても成功しても怒られるならきっとしない方が大多数だ。

 

「絶対覗かないけど、本当は覗きたいなって思ってるんだよね……」

 

 しかし親指姫が傷ついたなら全力で慰めてあげたいと思っているジャックは、分かっていながらも自分の意思で口にした。実際には紛れもなく本音でもあるから。

 直後にニワトリクッションが二、三匹顔面に飛んできたのはさすがに予測の範囲外だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふー……もう空いたわよ、ジャック。時間かかって悪かったわね」

 

 もの凄く時間がかかるという申告通り、約一時間後。恋愛指南の本を読んで時間を潰していると、洗面所への扉が開く音と共に声をかけられた。時間がかかったことを気にしているようだが親指姫は女の子なので仕方のないことだろう。まさか一時間も待たされるとは思っていなかったが。

 

「気にしないで。じゃあ僕もシャワーを――わあっ……!」

 

 なので本から顔を上げて親指姫に笑いかけたものの、予想外の光景を目にしてジャックは息を呑んだ。少しばかりの驚きと、予想外の可愛らしさに。

 

「な、何よ? 言いたいことあるならはっきり言えば?」

 

 ジャックの固まった無言の視線に晒され、頬を膨らませて睨んでくる親指姫。

 その装いは何とノースリーブのワンピース。この後はもう寝るだけなのだから正確に言えばネグリジェと言うやつだろう。清潔感溢れる純白の布地にゆったりとしたスカート、そして裾や胸元を水色のフリルによって彩られたとても可愛らしいネグリジェだ。白も水色も親指姫の深緑の瞳や赤い髪を際立たせていて実に良く似合っている。

 しかも普段は黒いリボンでツインテールに結んでいるその赤い髪も、今は下ろされていてだいぶ雰囲気が違って見える。可愛らしくもとても大人っぽい姿に、ジャックはしばらく見蕩れてしまった。

 

「……か、可愛い! 可愛いよ、親指姫! 凄く可愛い! それに髪を下ろしてるせいかな、何だか凄く大人っぽくて素敵だよ! 正直ドキドキが収まらないくらいだよ!」

 

 そして抱いた感想を感情のままに口にする。あまりにも今の親指姫が可愛すぎるせいで軽い興奮さえ覚えていた。

 

「あ、あんた無駄にはしゃぎすぎだっての。別にこの程度なら毎晩見られるんだからそんなに騒ぐんじゃないわよ、全く……」

(え? こ、こんな可愛い親指姫の姿が、毎晩見られるってこと……!?)

 

 あまりの衝撃にまたしても固まってしまうジャック。

 こんな可愛くて可愛くて撫で回したいくらい可愛らしい親指姫の姿が毎晩見られる。それはもう、何と言うか素晴らしいとしか言いようがない。しかも見られるだけではなくぎゅっと抱きしめて眠りにつくことができるのだ。今の親指姫なら頭を撫でて可愛がることだって許してくれる。とりあえずジャックの中でこれだけは確定した。同棲最高。同棲万歳。

 

「そっか……毎晩見られるんだ、毎晩……ふふふ……」

「ちょ、ちょっとジャック、大丈夫……? あんた今、無茶苦茶ヤバイ顔してるわよ……?」

「……はっ!? だ、大丈夫だよ、親指姫! 怖いことなんてしないからそんなに引かないで!」

 

 正気に戻るといつのまにか親指姫は後退りしていて、部屋の隅で怯えた顔をしてこちらを見ていた。こんな反応をされるとはさっきまでのジャックは一体どんな顔をしていたのか。しかしどんな顔をしていたとしてもそれは間違いなく親指姫の可愛さのせいだ。

 

「ま、全く……興奮しすぎだっての。こんなのただの寝るための服なのよ?」

「ご、ごめん。でも、本当に可愛くて……これが毎晩見られるなんて、僕は本当に幸せだなぁ……」

 

 まだちょっと警戒している様子だが信じて近寄ってきてくれる。改めてその姿を見るが本当に可愛らしい。

 

(ていうか……今気付いたけど露出度も高いよね、これ……)

 

 ノースリーブなので肩紐タイプ、おまけに太股半ばまでのミニスカート。寝るための服装なのでだいぶゆったりしているため、ちょっとめくれたりすれば色々見えてしまいそうな感じだ。その危険性のおかげか今度はトリップせずに正気を保つことが出来た。

 

「本当に幸せそうな顔するわねー……あんたのそういう顔見てると私も信じられないくらい幸せになってくるのよね。あーあ、やっぱあんたに調教されたのかしら?」

「だ、だからそんなことしてないよ! 本当に親指姫いつまでもそれ引っ張るよね!?」

「あんたが珍しく取り乱す話題だからよ。ていうか取り乱すってことはやっぱ自覚があんじゃないの?」

「だ、だから違うってば、もうっ……でも、そうだね。あんまりそういうこと言うなら本当に調教とかしちゃおうかな?」

 

 親指姫がしつこく意地悪なので仕返しとしてそんな鬼畜なことを言ってみる。

 もちろん本気ではなく冗談だ。恋人の性格を矯正して無理やり自分の好みに仕立てるなど正直魅力を感じない。何故ならジャックが好きなのはそのままの親指姫なのだから。調教してやるという言葉に対して『逆にこっちが調教してやるわ!』くらいのことを言う親指姫が――

 

「――あ、あんたになら……調教されたって、良いわよ?」

「……えっ?」

 

 しかし聞き間違いでなければ返ってきたのは真逆の言葉。少し顔は赤いものの、表情にはジャックの言葉に対する抵抗や反抗の意思は感じられない。まるでそれを受け入れるかのようにどこまでも大人しい表情であった。

 

「ちょ、調教って、私をあんた好みの性格にするってことよね? 色々恥ずかしいことされるんだろうけど……もっとあんたに好きになってもらえるなら、私……」

「お、親指姫……!?」

 

 耳を疑っていたところへ更に追撃の言葉をかけてくる親指姫。おまけに自らジャックの胸の中に身を寄せてきて、どことなく不安げな表情で見上げてくる。とても可愛らしいが、邪なことを考えてしまうくらい無防備に。

 

(こ、これ……下見たら、見えるんじゃないかな……!?)

 

 ゆったりとしたネグリジェは鎖骨の辺りも露になっているタイプなので、たぶんちょっと下に視線を注ぐと親指姫の胸元が上から見えてしまう。それに普段の衣服ならまだしもこれは寝るための楽な衣服。ブラをしているかどうかで言えばしていない確率が高い。

 そんな服装で調教されても構わないと口にしながら身を寄せてくる。これはもう手を出したって許されるのではないだろうか。約束とかそういうのを破ったってきっと罰は当たらない。どうせ親指姫はジャックになら何をされたって構わないと言っていたのだ。それならもう欲望に身を任せても――

 

「――あっ! そういえば僕まだシャワー浴びてなかったよ! じゃ、じゃあ僕シャワー浴びてくるね!?」

 

 しかしすんでのところでジャックは正気を取り戻し、親指姫の身体を遠ざけた。呆気に取られたような顔をされるものの、返事は聞かずに速攻でタンスから着替えを出して洗面所に飛び込む。

 そして扉に背中を預け、興奮と緊張に暴れ回る心臓の鼓動を収めようと手を当て一息ついた。

 

(あ、危ないところだった……そうだよ。冷静に考えれば親指姫があんなこと言うはずないじゃないか……)

 

 ジャックと親指姫はあの夜約束を結んだのだ。本当に心の準備を終えるまでは決して手を出さないということを。心の準備を終えたなら正直にそれを伝えてもらうことを。そして親指姫はまだ心の準備を終えたとは言っていない。

 

(つまりあれは僕をからかうためのものじゃないか。何か最近の親指姫、僕をからかうのが日課になってきてるみたいだ……)

 

 今までジャックに散々辱められたから、という理由で色々ふざけてからかってくる親指姫だ。たぶんさっきのもそういうことなのだろう。素直になる前でさえ、下着姿でベッドに忍び込むという大胆な真似をしてきたのだから。

 

(あんな可愛い姿の親指姫を毎晩見られるのは凄く嬉しいけど、うっかり手を出さないように我慢しないといけないのは地獄だなぁ……ていうか、親指姫はその辺どう思ってるんだろう……)

 

 もしも毎晩あんな魅力的な姿で先ほどのようにからかわれたら、間違いなく遠くない内にジャックは堕ちてしまう。親指姫のことが大切だからこそ、その場の雰囲気で流されて初めてを奪うことはしたくないのに。

 その想いもちゃんと伝えたはずなのに、あんな風にからかってくるとは一体何を考えているのだろうか。

 

『――ふふふっ、あはははははっ! ははははははっ!』

(あ、何となく分かった……)

 

 幸いと言って良いのか頭を悩ませる必要はすぐに無くなってくれた。背後の扉の向こうから聞こえてくる、心底面白おかしそうな笑い声のおかげで。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ふふふっ、あはははははっ! ははははははっ!」

 

 ジャックがシャワーにかこつけて洗面所に逃げ込んだ後、親指姫は我慢できずにベッドの上で笑い転げてしまった。しかしそれも仕方ない。ジャックの反応と表情があまりにもおかしかったのだから。

 

(な、何よ、あの慌てぶり! あんなに赤くなったジャック初めて見たわ! どんだけ純情なのよあいつ!)

 

 いつもにっこり笑って恥ずかしげもなく好意を言葉と行動で伝えてくる癖に、さっきの反応はまるで別人のようだった。

 恥ずかしそうに顔は真っ赤でしどろもどろ、どうすれば良いか分からないとでもいうような混乱した姿。挙句の果てには逃げ去るという腰抜け振り。これを笑うなというのは残酷に過ぎる。

 

「あはははははっ! はぁっ、はぁっ……! ふー、笑った笑った。笑いすぎてお腹痛いわ……」

 

 たっぷり笑って捩れたお腹を摩りつつ、身体を起してベッドに座り直す。

 ジャックの反応は非常に笑えたものの、どちらかと言えば期待通りとは言えない反応だった。何故なら親指姫が本当に期待していた反応は――欲望に負けて手を出すこと、だったのだから。

 

(さすがは私が惚れた男なだけはあるわね。誠実って言うか律儀っていうか、本当に私が準備できるまで手を出さない気みたいだし……やっぱ言ってやんないとダメか)

 

 実は心の準備自体はだいぶ前から出来ていた。勢いやその場の雰囲気とかではなく、今度は純粋に自分の意思でのみだ。

 別に恥ずかしくて言えなかったというわけではない。恥ずかしいは恥ずかしいが生まれ変わった親指姫的には絶対無理というほどではない。ただちょっとタイミングが掴めなかったというか、一体どんな場面のどんな状況で伝えるべきかが分からなかっただけだ。

 なので親指姫は以前からずっとその場面と状況を作り出すために頑張っていた。ジャックもまさか夢にも思わないだろう。実はこの同棲こそがその場面と状況を整えるためのものであるということを。

 

(でもまだ言わないわよ! そういうのって普通男から言ったり……さ、誘ったりするもんじゃない!)

 

 しかしまだその気持ちを伝える気は無かった。いや、もう心も身体も衣服も準備万端だし必ず伝えるが、それは一緒に寝るために二人でベッドに入った後に予定している。

 そもそも幾ら約束したといっても普通その手のことを女に言わせるべきではない。普通は男の方から口にしたり、誘ったり――手を出したりするべきこと。だから親指姫はついさっきジャックにそれをさせようとしていたのだ。要するに向こうから手を出させようと。

 

(ま、襲われないならそれはそれで構わないわ。ていうかどっちに転んでも私は嬉しいだけだしね!)

 

 堪えられなくなったジャックが襲ってくれば願ったり叶ったり。何故ならそれはジャックが誠実さと優しさをかなぐり捨てたくなるほどに親指姫のことが好きで、そして堪らなく魅力的だと思っていることになるからだ。

 ベッドに入るまで手を出してこなければそれもそれで構わない。つまりジャックが自分の欲望やその他に負けないほど親指姫を大切に想ってくれているということになるからだ。

 なのでどう転んだとしても親指姫に損は無い。むしろ喜ばしい結果しか残らない。ならばこれをからかうネタに使わないなどというもったいないことがあるだろうか。もちろん答えはノーだ。ジャックがあんな風に初めて見るくらい顔を赤くしてうろたえてくれるのだから、大いに利用して楽しまなくては。

 

(さーて、ジャックは私のためにどこまで耐えてくれんのかしらね? シャワーから上がったらもういっちょ行くわよ!)

 

 そんなわけでジャックがシャワーを終えて出てきたらもう一度大胆に迫ってみることにした。

 さっきはどうしても抑えられず笑い転げてしまったため、たぶんジャックは笑い声を聞いて親指姫にからかわれただけだと思っているに違いない。ということは続けて迫ればそれもからかいだと思われ、実は親指姫が準備万端だということには気付かれないだろう。

 それでも手を出されるならジャックが親指姫の魅力と自分の欲望に敗北した証拠。手を出されないならジャックが何よりも親指姫のことを大切に想っている証拠。どちらにしろ嬉しい限りでついつい頬が緩む。

 

(ていうか私、本当に素直に色々できるようになったわよね……やっぱ私が気が付かなかっただけで、本当はあいつに調教されたのかも……)

 

 まさか好きの一言も言えなかった自分が、襲われても構わない心持ちで色仕掛け染みた触れあいすら行うようになるとは。自分の豹変振りに親指姫はそんな疑いを抱いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、すっきりした……」

 

 親指姫のからかいから逃げる形でシャワーを浴びに行き十数分。身体と共にちょっと汚れてしまった心をしっかり綺麗にした後、洗面所を出ようと扉に手をかける。

 この扉の向こうにはジャックが慌てふためく姿に大笑いしていた、とても可愛らしく無防備な姿をした恋人がいる。その恋人は自分を辱めた復讐を虎視眈々と狙っているのだ。たぶん反応に味を占めてしまったはずなので、きっとまた先ほどと同じようなからかいをしてくるに違いない。

 

(……よし。今度は流されそうになったりしないぞ!)

 

 なので予め備えておき、決して雰囲気に飲まれて手を出したりしないように心がける。親指姫はまだ心の準備を終えていないはずなのだから絶対に手を出してはいけない。理性を投げ捨ててしまいたいくらい綺麗で可愛くても絶対ダメだ。

 そう固く心に誓ってからジャックは扉を開けた。

 

「あ、ジャック。もうシャワー浴び終わったのね?」

 

 するとベッドに腰掛け手持ち無沙汰気味に足をぶらぶらさせていた親指姫の姿が目に映る。下ろしていた髪はいつも通りに黒いリボンで結ばれツインテールになっているが、服装は変わらず白いネグリジェだ。やはり可愛い。

 

「うん。全く、親指姫ったらあんな風にからかうなんて酷いよ。凄くびっくりしたじゃないか」

「ん、何言ってんの? 誰もあれが冗談だなんて言ってないわよ?」

(――っ! い、いや、騙されちゃダメだ!)

 

 特に躊躇いも無く答える親指姫。しかし今回は騙されない。頬に朱色は射しているが顔がちょっと笑っているし、あんなに躊躇いもなく言うはずがない。これはジャックの反応を期待しての言葉だ。

 

「じゃ、じゃあそういうことにしておこうか。それより親指姫、今夜はどうしようか? 僕はもう寝る時間にしても構わないよ?」

 

 なので軽く流して応対。ちょっと呆気に取られた感じの顔をされたものの、意外にもどうでも良くなったかのようににっこりと微笑んできた。そして自らの隣をペシペシ叩いてジャックを招いてくる。

 

「やっぱせっかくの同棲初日の夜なんだしもうちょっと夜更かししましょ! つーわけでさっさとここ来て私の椅子になんなさい!」

「あははっ、本当に親指姫は膝の上に座るのが好きだよね」

 

 からかいに対して心を強く持とうと決めたのに、あっさりいつも通りの触れ合いを求められてちょっと拍子抜けしてしまう。どうやら今は甘えたりイチャイチャしたりすることの方が優先らしい。確かに今は記念すべき同棲初日の夜だ。

 促されるままベッドに腰を降ろすと、途端に親指姫は膝に乗ってジャックに背を預けてきた。

 

「あー、やっぱりこの座り心地ね。ここは私の特等席よ!」

(やっぱり親指姫は良い匂いがするなぁ。きっと食べたら甘くておいしい……って、僕何考えてるの!? 親指姫はまだ心の準備できてないんだから、手を出すのは絶対ダメだ!)

 

 流されないと決心したはずなのにすでにちょっと動き始めるジャックの心。

 先ほど大人なことを考えてしまった罰だろうか。心癒されるはずの親指姫の甘い匂いに胸は不届きな高鳴りを覚えていた。

 

「さてと、せっかくだしこのままおやすみの挨拶でもしようかしらね。確か今日はあんたからだったっけ?」

「う、うん。そうだよ」

「じゃあ、ほら……あ、でもこのままだとちょっとキスしにくいわね。よっと」

 

 可愛らしい掛け声を口にしつつ、膝の上で親指姫が座り方を変える。普通に腰かける形から横座りへと。膝の下と背中に腕を回し抱え上げればたちまちお姫様抱っこが完成する状態だ。

 

(か、顔、近いよ……あと、やっぱり何か凄く良い匂いがする……)

 

 そして何より顔が近い。身長差があるため親指姫の顔は少し下にあるが、お互いの鼻先が触れ合いそうになるほどの距離だ。それと親指姫の前髪に鼻先をくすぐられる距離。これがまた良い香りがして心臓と理性に悪い。

 

「さ、これでキスしやすくなったわね。ほら、ジャック?」

 

 そんな状態で親指姫は目蓋を閉じ、顔を上向けてキスを待つ。

 思わず悪いことを考えてしまいたくなるほどに無防備な表情。そして姿だ。少し視線を移動させれば、ゆったりしたネグリジェの隙間から間違いなくその胸元が覗ける。今親指姫は目蓋を閉じているのでちょっとくらい見たってバレはしない。

 

(う、うぅ……し、下を見ちゃダメだ……見たいけどダメだ……)

「ん――」

 

 しかしジャックは必死に誘惑に抗い、硬く目蓋を閉じて視線を遮った上で唇を重ねた。バレないからといってして良いわけではない。親指姫だってそんなことをする悪い男は願い下げだろう。

 

「っ……ん……ふ、ぁ……」

 

 重ねた唇を開いて閉じてを繰り返し、親指姫の唇を食む。相変わらずの柔らかく瑞々しい感触。当然ながらその感触はジャックの胸を否応なく高鳴らせ、興奮を煽って行く。

 普段なら心地良い胸の痛みと幸福感だけが訪れるものの、今回は散々変なことを意識してしまったのが原因に違いない。

 

(そ、外に赤ずきんさんたちがいるかもしれない……いや、きっといる! だから変なことしちゃ駄目だ!)

 

 昂ぶる気持ちを抑えるため、部屋の外にでばがめがいる状況を思い浮かべて必死に堪える。前例があったため絶対にいないとは言い切れず、心を落ち着ける効果はかなりのものだった。

 

「はぁ……こ、これで良いよね?」

「あれ……もう、終わり……?」

 

 そして丹念に唇を味わった後、キスを止める。ジャックの方は顔が熱くて妙に息が乱れてしまったものの、親指姫の方はうっとり幸せそうに頬を染めて微笑みを浮かべているだけ。性別が違うとはいえこの反応の差。ちょっと不公平に過ぎる。

 

「……ねえ、ジャック。同棲初日の記念に今日は、その……もっと特別なキスするってのはどうよ?」

「と、特別なキスって……!」

 

 今度は恥じらいに頬を染め、少し躊躇いがちにそんな要求を突きつけてきた。よりにもよって今、このタイミングで。

 

(あ、アレしかないよね……? すっごく、ディープな……)

 

 考えられるのはそれだけだ。唇で噛みあうキスならもう二人で数え切れないほど経験を積んできた。確かにそろそろ先へ進んでも良い頃合だとは思う。というかジャックも最近そう考えていた。しかし果てしなくタイミングが悪い。いや、確かに同棲初日という点自体はタイミングは良いのだが。

 

「あ、あんたの言う通りキスも段階踏んで練習してきたし、そろそろ次の段階行っても良い頃でしょ?」

「えっ、そ、そうかな? もうちょっと練習してからでも良いんじゃないかな?」

(ていうか今はさすがにマズイよ、親指姫……)

 

 微笑んでやんわり否定する裏で冷や汗をかくジャック。さすがに今あんなキスを行えば堪えきれる自信はなかった。仮に外にでばがめ血式少女隊がいたとしても、だ。

 

「……そうね。だったら今ここでもうちょっと練習してからやってみましょ! あんたが練習したいならもちろん付き合ってやるわよ!」

(あ、可愛い笑顔……じゃなくて! つまりここでもっとキスしてから更にディープキスもするってこと……!?)

 

 親指姫の満面の笑みに一瞬見蕩れ、即座に残酷な現実を思い出し理解する。

 それはもう無理というか無謀というか無茶というか。とにかくやれば絶対にアウトだ。それならまだ素直にディープキスのみを行った方が遥かにマシである。

 

「あ、や、やっぱり練習は良いかな? どれだけ練習しても本番で通用するとは限らないし、当たって砕けろの精神で行って見ようよ!」

「なかなか男らしいこと言うじゃない! だったら今度もあんたからやりなさい!」

「う、うん……!」

 

 なので素直にディープキスを行うことにした。

 本当は危険を冒してまでキスをするならキスそのものを断るのが賢い選択だとは分かっている。しかしあの親指姫が自らキスを求めてくれている以上断る気にはなれない。今まで好きの一言すら口に出来なかった親指姫が、大好きなジャックの唇を素直に求めているのだから。

 それに断れば理由はどうあれ傷つけてしまうだろう。断るという選択肢を選ぶのは最後の最後、本当に危ないと思った時だけだ。

 

(あ、あんなキスして、僕の理性は耐えられるかな……で、でも親指姫は僕のこと信頼してるんだ。耐えろ、僕……!)

「――っ」

 

 かつてないほどに心を強く持ち、唇を重ねる。そして微かな隙間から舌先を滑り込ませ、親指姫の舌先と触れ合わせた。

 

「んっ……!」

 

 腕の中でその小柄な体がびくっと震える。しかしそれは一瞬のことで、すぐにジャックの胸元に手を添え口付けに応えてきた。触れ合わせた舌先を互いに擦り付けあうような卑猥な動きで。

 

「ちゅ……っ、ぅ……ふぁ……」

 

 唾液が混ざり合う淫らな水音、親指姫の小さな喘ぎ。それらがお互いの唇の隙間から零れ、二人きりの部屋の中で唯一の音として広がっていく。

 今度はお互いに舌を噛む残念な結果にはならなかった。唇を重ね合わせた状態で舌先を繋ぎ合わせ、少しずつ少しずつ絡めていく。まるで互いに繋いだ手の指先を絡めるように。

 

(や、やっぱり……ダメだ……!)

 

 しかし伝わる温もりはどこまでも生々しく、感覚も癖になりそうな痺れる刺激。残念ながら今のジャックにはそれらを耐え切ることはできなかった。

 

「ふぁ……ジャック……?」

 

 故に親指姫の身体を抱いていた腕を解き、静かに身体を押しやって口付けを止めた。夢心地の表情で幸せに浸っているところを悪いがそれを気にしている余裕はなかった。

 

「さ、さすがにこれ以上は我慢できなくなるから今日はやめとこう? 意味とか理由は、もう言わなくても分かってくれるよね……?」

「……わ、分かってるわよ、それくらい」

 

 ジャックの情けない言葉に対し、親指姫は極めて複雑そうな表情で答える。残念そうな、それでいて嬉しそうな表情だ。キスが続けられなくて残念に思いつつ、ジャックに魅力的に思われていることを感じられて嬉しく思っているのかもしれない。

 

「親指姫はもっとキスしたかったんだろうけど……今夜は寝る場所も同じなんだし、これ以上は、その……」

「そ、そうね……」

 

 大人な話題のせいか頬を染めて言葉少なに頷いてくる。

 お互いに抱き合って一緒に眠りたいとずっと前から思っていたのに、せっかくの機会を一度逃してしまったのだ。それも主にジャックのせいで。さすがに今回も同じ理由で逃したくはないし、記念すべき同棲初日の夜だ。ちゃんと二人で抱き合って幸せな気分で眠りに付き、一緒に朝を迎えたい。

 

「う、うん。じゃあそろそろ一緒に寝ようか? ごめんね、僕のせいで……」

「気にしなくて良いわよ……そ、その代わり! 後でいっぱい続きしてもらうんだからね! 後でいっぱいよ!」

(何でわざわざ二回言ったんだろう。ていうかそこは後でじゃなくて明日って言うとこじゃないかな?)

 

 何故か顔を真っ赤にして言い放つ親指姫の言葉に、ジャックはそんな疑問を抱きつつ頷いた。

 しかしどちらかと言えば言葉よりも表情の方が気になった。先ほどまでは嬉しさ半分落胆半分といった面持ちだったのに、何故か今は落胆の色の方が濃かったからだ。まるでジャックに襲いかかって欲しかったと思っているかのように。

 

 

 





 何やら前の章の三話に似た怪しい雰囲気に。
 賢い人なら次のお話がどうなるかは分かりますね。余章があるかもしれないとはいえ次で最終話ですし。恋獄塔も最低でもこれくらいはイチャイチャして欲しいなぁ。

 ところでメアリスケルター2の幻日譚を読んで気付いたのですが、どうも親指姫は16歳未満の可能性があるっぽいです。三つ子である以上、白雪姫も眠り姫も。
 ということは親指姫は普通に違法ロリ……? つまりこの話でのジャックは……いや、考えないようにしよう……。



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