NEO ULTRAMAN   作:Haganed

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ウルトラマン熱に感化された鬼の半妖(ドアホ)

こちらはゆっくり更新していきます。


本編どうぞ








始まりの巨人

 とある1つの小さな惑星()の話をしよう。

 

 

 青く澄み渡り、時に白い雲が覆ったり、黄色い砂が別の場所から別の場所へと渡ったり、面白い渦ができたりする自然豊かな惑星()

 

 

 【地球】

 

 それがこの生命()の名前。宇宙共通の星。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界に不満なんてない。何て事は無い。

 

 この世界は誰もが憧れる場所だ。という訳でも無い。

 

 この世界は矛盾が多く、世界は不平等である。

 

 唯一()()()()。ただ、それだけだ。

 

 それだけでこの世界は特別だと思うのが(地球人)だ。

 

 

 

 

 この世界は特別ではない。

 

 命が大切だと言っておきながら、争いがある。

 

 たった1つの命より、何十万、何百万の金が欲しいと言う。

 

 何物にも変え難い命より、平気で地位や権威を選ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな世界で生きている『(ニノマエ) (レイ)』という青年は、こじんまりとした小さなカフェ【夕焼ケ】で接客業に勤しんでいる。

 

 

 この青年、俗に言う“好青年”であり、この都会では珍しい心優しい()()である。

 

 

 このカフェも1980年代風の内装であり、客もまばら。昼間は偶に忙しくなるぐらいのお店である。

 

 

 そんな小さなカフェは店長とアルバイトの3()()で切り盛りされている。

 

 

 

「俺上がりま〜す」

 

 

「お疲れ様です」

「はいおっちゃれさん」

 

 

 

 黎のアルバイト仲間がカフェから出て行く。時間としては昼頃なのだが、未だに黎と店長だけは残ったままである。

 

 

 

「ホント、何時も助かってるよ黎君」

 

 

「いえいえ、こちらこそ助かってますよ」

 

 

 

 片付けが終わると、黎は制服のエプロンを脱いで白のワイシャツと青いジーパン姿で肩掛けバッグを持ってカフェ【夕焼ケ】を後にする。

 

 

 何処か懐かしいと感じる風景の中をゆっくりと歩き、その風景を楽しむ。現代の者は味わう事の無いであろう新鮮な感情を持って歩いていく。

 

 

 

「……あ、猫だ」

 

 

 

 建物と建物の隙間の道、レンガ積み式の壁の上に猫が居るのを発見する。そちらの方にフラフラと歩み寄り猫に近付いていく。

 

 

 

 

「あっ…………逃げちゃった」

 

 

 

 しかし猫は黎の方を見た途端、すぐに逃げてしまった。

 

 

 実を言うと、黎は動物に好かれない体質である。黎自身は動物は大好きのだが、動物の方が黎を嫌っている様な節を見せるのだ。

 

 

 少し寂しげな思いを持ちつつも、仕方ないと割り切るしかなかった。

 

 

 何時もこんな感じで過ごしている。既に19という年齢であるが大学には通っておらず、あのカフェ【夕焼ケ】で働き他のアルバイト先でも仕事をする日々。

 

 

 黎自身夢という物を持っていない。それどころか夢を持たない性格であり、何がしたいのかは自分でも理解できないという。ただ()()()()で生きている様な人間であった。

 

 

 1度アパートまで帰り、少し休んで再度アルバイトに向かう。部屋の扉を開けて室内に入る。玄関には黎の靴と、それと同じ大きさの靴と。

 

 

 

「ただいま、父さん」

 

 

「お帰りー」

 

 

 

 夜勤明けで帰って来ている黎の父親『一 夜月(よづき)』。椅子に座ってパラパラと新聞を捲って読んでいる公務員(警察官)であり、警視庁で働く1人の父である。

 

 

 帰ってからの黎は多少忙しくなるが、それでも苦にはならないいつもの事だと考え昼食を作る。父親である夜月は料理が壊滅的どころかインスタント食品でさえもダークマター(食えない物)と化してしまう程の腕を持っており、逆にそれしか作れない父親に黎は感心を抱いている。

 

 

 思考している内に料理が完成形を成してくる。台所を()()()()()し様々な食器類を揃え、出来上がった料理を皿に移して食卓に運ぶ。夜月は新聞を閉じて適当に空いているスペースに置いた後、黎が座るのを待つ。

 

 

 

「お待たせ」

 

 

「ん。それじゃ、いただきます」

「いただきます」

 

 

 

 箸を手に取り出来上がった料理1つ1つを食していく2人。そこに会話は特になく、ただひたすらに食べ続けていた。それが暗黙のルールというものなのだ。

 

 

 喋らなかった事で早く食事が終わった2人は、食器類を片付け始める。皿洗いの担当は夜月になっており、この時ばかりは黎も休めるというものだ。

 

 

 だが、そんな一時の合間に夜月が黎に語りかけてくる。

 

 

 

「黎」

 

 

「何?どうしたのさ、急に呼んで」

 

 

「……いや、お前はいつもカフェでバイトしてるよな?」

 

 

「うん」

 

 

「…………夢は、無いのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「無いよ」

 

 

「随分あっさりと言うんだな」

 

 

「う〜ん……何か夢って言われても、かな?よく言うじゃん、学校の先生とか“何に成りたいのか、その夢を叶える為に頑張りなさい”って。

 

 

 けど……なんだろ?()()()()()が無いっていうか。こんな風にしてても()()()()()()って終わっちゃうんだよね」

 

 

「……どうせなら黎は専門学校でも通えば良いと思っているんだがな。そこで夢でもやりたいものでも見つけてくれれば良いんだが、それでもか?」

 

 

 

 

 

 

 

「それが父さんからのお願いっていうなら()()()よ?」

 

 

「……そうか。………………そうか」

 

 

 

 どこか苦しげに応える夜月。あまりそんな様子をする事は無い父親を初めて見る黎であったが、特に()()()()()()()()()黎は父親の様子を感じ取れずにいた。

 

 

 この一黎の感性はいつもこうだ。

 

 

 特に自分の未来には興味無く、流されるまま生き続けているだけ。

 

 

 目標すら見つけられていない()()()()()()()だけの存在であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………?」

 

 

 

 突然黎がベランダの窓の方を向いた。何かに気付いた様子を見せているが、その感じているものの正体が分からない。

 

 

 

「ねぇ……父さん」

 

 

「んー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()

 

 

「来る……?」

 

 

 

 

 

 突然地面が揺れた。

 

 

 家が揺れた。家具が揺れた。自分達も揺れた。

 

 

 

「ッ……!?まさかッ……」

 

 

 

 夜月がベランダの窓を開けて外の様子を見やる。

 

 

 

 

 

 

 

「“エレキング”……ッ!」

 

 

 

 夜月はベランダから離れ、ジュラルミンケースを持って暗証番号式の金庫を操作し開く。ジュラルミンケースを開けて金庫の中身を取り出し、それらをケースに移し替える。

 

 

 

「黎!ここから逃げるぞ!」

 

 

「ん……うん」

 

 

 

 夜月が黎の手を握り急ぎ足でアパートを出ていく。黎は成すがままという形で父親に付いていくしか出来ずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 避難所に指定されている公民館に避難した夜月と黎は、外に2人で今の有り様を見ていた。

 

 

 初めて見る“怪獣”に恐れおののき、壊されていく街に悲観し、中には小さな子どもを心配する他人まで居る。

 

 

 それを見たのにも関わらず、黎の心は()()感じなかった。全て客観的に、()()()()()()

 

 

 

「……父さん」

 

 

「何だ?」

 

 

「さっき言ってた“エレキング”ってなに?」

 

 

 

 夜月は息を吐いて少し髪を掻いて黎に手招きして人があまり居ない公民館の裏側まで行く。あまり人が居ないと言っても、そこでもチラホラと見かける。

 

 

 今時珍しく建物の下に格子窓がある場所の付近まで行き、そこで座ると黎はその窓を背にして夜月の隣に座り話し始める。

 

 

 

「……突拍子も無い話だが、エレキングとは“ピット星人”と呼ばれる宇宙人が生物兵器として利用している【怪獣】だ」

 

 

「怪…………獣……?」

 

 

「あのエレキングは体内で蓄電する仕組みを持っている。最大電流は個体差があるが50万ボルトを発生させる事なんてザラだ。さらにジャミング機能、レーダーにアンテナまで搭載している」

 

 

「要は……電気怪獣?」

 

 

「本来は“宇宙怪獣”だが……まぁ認識としては間違って無い」

 

 

「あの怪獣、宇宙から来たの?」

 

 

「まぁな。しかし、国がこれを放っておくワケが無い……特殊精鋭隊による攻撃が行われるだろうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その話、詳しく聞かせて貰えんかの?」

 

 

 

 突然窓が開かれて格子越しに高齢者特有の低い音質で黎と夜月の話に割り込んでくる老人。その姿を見た黎は少しだけ嬉しそうに微笑む。

 

 

 

「あ、ケトル爺だ」

 

 

「久しぶりじゃの、レイ」

 

 

「アンタは……いつも黎が世話になってる」

 

 

「通称“ケトル爺”、近所じゃそう言われるわい」

 

 

「…………そうか。なら、安心か」

 

 

 

 少しだけ安堵したような表情を浮かべた夜月は、持ってきていたジュラルミンケースを開けて中身のものを取る。2枚の厚みがある絵の入ったカードと、赤と紫の色が半分に別れている機械。それらを見やるとケトル爺の方に視線を向ける。

 

 

 

「ケトル爺…………いや、“ケットル星人”。アンタに頼みがある」

 

 

「……あれ?父さん、ケトル爺のこと知ってたの?」

 

 

「少し話した事があってな。で、ケットル星人」

 

 

「……話に聞いていた、あれか?」

 

 

「あぁ」

 

 

「…………()()に話をせんかい。馬鹿者」

 

 

「あぁ」

 

 

 

 夜月は黎の方を向くと、黎に先程の機械と2枚のカードを手渡し握らせる。その行動を不思議そうに見て尋ねた。

 

 

 

「父さん、これなに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黎、よく聞いてくれ。父さんは今から、あの怪獣を()()()()()

 

 

 だがもし、私が敗れた時は…………お前が戦ってくれ。コイツらを使って」

 

 

 

 聞いていて何のことかわからない様子を見せる黎は、首を傾げて夜月に尋ねる。

 

 

 

「何で?それより、これって?」

 

 

「【データカード】と【ミックスデバイス】というものだ。これを使って、お前は“ウルトラマン”になれる」

 

 

「“ウルトラマン”?」

 

 

「あぁ。もし私が()()()時、それを使って人々を守れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()……って、何で?」

 

 

 

 なんとなく雰囲気で気付いた黎は、少しだけ悲しそうな表情を浮かべる。少しだけ泣きそうな表情であった。

 

 

 

「……あれは勝ち負けというもので治まるものじゃない。

 

 

 生きるか、死ぬか。そのどっちかだ。

 

 

 私が戦うということは、そういうことだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだ…………」

 

 

 

 黎が夜月(父親)の服の袖を掴む。消えそうな声で、涙を流して、懇願した。

 

 

 

「行っちゃ、やだ…………」

 

 

「黎……」

 

 

「死んじゃ、やだ……!」

 

 

 

 そんな黎を見て、少しだけ微笑んで黎に優しく抱きつく。右手で頭を撫でながら、夜月は耳元に近付いて目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな父親で、ごめんな。

 

 

 いつか君が、幸せでありますように。黎」

 

 

 

 目を開いた夜月は黎から素早く離れて壁を飛び越える。その父親を追いかけたいが、涙で視界がボヤけて見えたためか転んだ。外に出ていたケトル爺が転んだ黎に近付き立たせようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある程度走った夜月は地面に手を付けて回し始める。光の輪が3重になっている絵が地面に広がると、後ろから巨大な機械が現れる。

 

 

 

「行くぞ、“メカゴモラ”!」

 

 

 

 メカゴモラと呼ばれた機械に吸い込まれた夜月は、エレキングの居る方向に向け操る。

 

 

 

「私は私の意思で黎を守る!()()()の思い通りにはさせんぞ!」

 

 

 

 メカゴモラはエレキングに向かって行く。口から大量の熱が集い始め、エレキングがメカゴモラの存在に気付いた時はメカゴモラの口から熱線が放たれる。

 

 

 エレキングが熱線をモロに受けて吹き飛び、建物や道路が崩壊していく。だがそんな事は事はお構い無しにメカゴモラは倒れているエレキングに近付きゼロ距離の“メガ超振動波”を炸裂させる。

 

 

 これを受けたエレキングはダメージを喰らい、このままメカゴモラの勝利となる。

 

 

 

 

 

 

 突然、メカゴモラの右側に攻撃が当たる。

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 確認してみれば、特殊な戦闘機がメカゴモラを攻撃している。レーザー兵器やミサイルによって追い討ちされて、メカゴモラは倒れる。

 

 

 

「漸く来たか……!だが、このままでは…………!」

 

 

 

 街の被害を抑える為にエレキングにも攻撃を続けられていくが、倒れた状態で全身から“エレキングコレダー”を発動させて周囲に居る戦闘機やメカゴモラにも攻撃していく。

 

 

 全身が痺れる状態に成りながらも、夜月の目だけは諦めていなかった。多少なりと動けるメカゴモラを立ち上がらせ、エレキングと対峙するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さん!

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 後ろから(息子)の声が聞こえた。それだけで判断力を鈍らせて隙を生んでしまった夜月は、エレキングが連続で放電光線を放っていく。

 

 

 メカゴモラに異常が起き始めていく。システムが電撃によって著しく低下していき、夜月自身も満身創痍である。

 

 

 

「ッ……黎…………!」

 

 

 

 そんな考えをしていても、相手は待ってくれない。あの声に反応したエレキングが黎を見て体から電気を発生させていく。

 

 

 そんな夜月は、咄嗟に黎を庇うようにして覆う。近くには戦闘機と、その女性パイロットが黎を保護しようと動いていた。その女性はメカゴモラが守ってくれている事に驚きを感じて、その光景を見ることしかできなかった。

 

 

 電撃が止む。しかしメカゴモラはショート寸前、そして相手はドンドンこちらに近付いて行く。

 

 

 

「父さん!戻って来てよ!一緒に家に帰ろう!」

 

 

 

 走馬燈が見えた。夜月が黎と過ごした懐かしい日々、黎を初めて()()()と思えた時、そんな体にさせてしまった事による()()()()。夜月自身の過去。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黎………ごめんな

 

 

 

 メカゴモラが突如立ち上がり、腕のチェーンを伸ばしてエレキングを掴む。しかしエレキングも尻尾を巻き付けて電撃を放っていく。

 

 

 メカゴモラの腕のチェーンが仕舞われていく。これによって距離を稼ぎ、エレキングとの距離を無くしエレキングに力強く抱きつき拘束していく。

 

 

 

「“メガ超振動波”!」

 

 

 

 角が赤く光りエレキングにダメージを与えていく。だがエレキングも電撃を止める事は無かった。膨大な熱源反応がメカゴモラから発生されていき、メカゴモラは爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エレキングがメカゴモラを攻撃している間、黎の近くに見慣れない戦闘機が黎の近くに着陸する。その中から女性パイロットが現れ、黎を避難させようとする。

 

 

 

「民間人1名を発見!保護します!」

 

 

〔了解!〕

 

 

「早く、こっちに避難を!」

 

 

 

 女性パイロットが黎の腕を引っ張る。しかし黎の体はそこからビクとも動かずに居た。終いには手を離してメカゴモラに視線を向け続けていた。

 

 

 

「何してるんですか!?早くここから逃げて!」

 

 

〔ヤクモ隊員!エレキングの放電がくるぞ!早く避難させろ!〕

 

 

「了解!」

 

 

 

 もう一度黎の腕を引っ張ろうとするが、またもやビクともしない。そして丁度その時、エレキングの放電から2人を守るメカゴモラの姿があった。咄嗟に目を閉じたヤクモ隊員であったが、電撃が来ない事が分かるとゆっくりと目を開けていく。

 

 

 そして驚愕した。何故そこまでして体を張ったのかが、理解しにくかったというのもある。

 

 

 

「父さん!戻って来てよ!一緒に家に帰ろう!」

 

 

 

 今度は疑問。メカゴモラに向けて父親と言ったというのは、中に人が居るのかという事と“宇宙人”の親子なのかということ。メカゴモラは近付くエレキングに抱きつき、()()の準備を整えさせていた。

 

 

 

〔!ヤクモ隊員、そこから離れろ!メカゴモラから膨大な熱源反応が確認された!〕

 

 

「ッ!了解!早く逃げて、爆発がくる!」

 

 

「ッ…………!父さん……父さん!」

 

 

 

 またもビクともしない。こうしている間にもドンドン熱量は上昇していき、そして遂に爆発が巻き起こった。

 

 

 辺りの建物が倒壊していく。逃げ遅れた2人はどうすることも出来ずにその場に佇み目を瞑るしか無かった。

 

 

 が、爆発の音はするのだがいつまで経っても焼かれる感覚が来ない事に疑問をもったヤクモ隊員が目を開けると何かの影に移動していた。影から察するに戦闘機が遮蔽物となってくれているが、どうしてここまで来たのかは分からずじまい。

 

 

 

 

 

 

「ふぅぅぅ……全く、年寄りはキツいわい」

 

 

「!?」

 

 

 

 声の方に振り向くと、そこには男の高齢者らしき人物に黎の姿。まさかこの老人が運んだのかと思うと、益々ワケが分からなくなる。

 

 

 黎の方は目を開けるとキョロキョロと辺りを見渡し、その老人に気付く。

 

 

 

「ケトル……爺…………」

 

 

「うむ。ケトル爺じゃぞ、レイ」

 

 

「……ッ!父さん!」

 

 

「……分かっておる。レイ」

 

 

 

 その老人が戦闘機の物陰からこっそりと覗く。ヤクモ隊員も同じ様に見るが、()()()()所からエレキングが出現した。

 

 

 

「2体目!?」

 

 

「全くもって面倒じゃな……レイ」

 

 

 

 戦闘機の物陰に隠れると老人は手に近くに置いていたジュラルミンケースを開けて黎に見せる。

 

 

 

「ッ…………これって……」

 

 

「……儂からは何も言わん。レイ、欲しいのなら手に取れ」

 

 

 

 ゆっくりと黎の手がジュラルミンケースの中身に伸ばされていく。黎の目付きが次第に変わり始め、少しして2枚のカードと機械を手に取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケトル爺、これ使えば……戦えるんだね?」

 

 

「ああ……そうだ」

 

 

「どうやってやるの?」

 

 

「赤い場所に巨人のカードを、紫の場所に怪獣のカードを差し込み機械を押せ。それで出来る」

 

 

「分かった…………

 

 

 

 

 僕、戦うから。見てて、父さん」

 

 

 

 

 戦闘機の物陰から一気に走り出して外に出ていく黎は、エレキングを眼前にして真剣な表情のまま、ミックスデバイスとデータカードを構える。

 

 

 

 

 まずは巨人のカードを赤い場所に差し込ませる。

 

 

 

〈〈ウルトラマン!〉〉

 

 

 

 光の巨人(始まりの戦士)のビジョンが黎の右側に現れる。

 

 

 次に紫の場所に怪獣のカードを差し込ませる。

 

 

 

〈〈ゼットン!〉〉

 

 

 

 巨人の天敵(終わりの怪獣)のビジョンが黎の左側に現れる。

 

 

 そして黎はミックスデバイスを押し込む。

 

 

 

〈〈ザ・フュージョン!〉〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈〈ネオ・ウルトラマン 【ZETA】!〉〉

 

 

 

今、動き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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