「ケトル爺、あれって……!」
「怪獣……それもベムスターじゃ」
一方、黎とケトル爺はベムスターの姿を目撃する。ベムスターは街を淡々と破壊していくのだが、ケトル爺は何かが気になった様子。黎はミックスデバイスとカードを取り出し変身の準備に取り掛かる。
しかしケトル爺が何かに気付いた様子で黎にあのベムスターについての知識を教えておく。
「レイ、あの怪獣はベムスターと呼ばれておる。しかし単なるベムスターではなく【改造ベムスター】と呼ばれる怪獣じゃ」
「
「高度な文明を持った宇宙人ならば可能なんじゃ。そしてあの改造ベムスター……昔聞いたことがある。何でもヤプールと呼ばれる宇宙人が、ウルトラマンタロウに差し向けた怪獣の一体じゃ」
「……詳しいことは色々聞きたいけど、とにかく改造ベムスターを倒して来るよ」
意気込みも束の間、【P・H・S】の複合戦闘機がベムスターの背後から攻撃を加える。それに気付いたベムスターが複合戦闘機の方に向くと、ケトル爺が黎にアドバイスを出す。
「レイ!ベムスターは基本的に腹部にある五角形の“吸引アトラクタースパウト”によって光線技を吸収してしまう!しかし与えすぎれば内部から爆発するぞ!」
「過剰摂取ってワケね!行ってくる!」
黎はミックスデバイスとカードを構えて、変身プロセスを行う。
始めに赤い差し込み口にウルトラマンのカードを差し込むと、ウルトラマンのビジョンが出現する。
〈〈ウルトラマン!〉〉
次に紫の差し込み口にゼットンのカードを差し込むと、ゼットンのビジョンが出現する。
〈〈ゼットン!〉〉
そして黎はミックスデバイスを押し込む。
〈〈ザ・フュージョン!〉〉
〈〈ネオ・ウルトラマン 【ZETA】!〉〉
そして改造ベムスターが吸引アトラクタースパウトから光線を凝縮させており、それを一時的に身動きのできない複合戦闘機に発射しようとしていた。
「『ッ!危ない!』」
黎は咄嗟にゼットンの空間転移能力を使用し複合戦闘機の前に位置取ると、放たれた光線に対しゼットンシールドを展開させ守る。
光線が終了すると、シールドを解除し守っていた複合戦闘機の方に視線を向ける。3人全員とも無事な事を確認すると黎は空間転移能力を使用し改造ベムスターの背後を取る。
「『ハアッ!』」
空間転移からのドロップキックを与えると、改造ベムスターはバランスを崩し建物を倒壊しながら倒れる。80m級の大きさとあって被害も甚大であるが、暴れられるよりは幾分かマシである。
黎は起き上がり初代ウルトラマン独特のファイティングポーズを取ると、改造ベムスターを起き上がらせ右翼を掴みながら背中にラリアットを何度も与える。改造ベムスターは鬱陶しく感じたのか、力任せに右腕を振るい黎を投げ飛ばそうとする。
「『うわっ!』」
黎は投げ飛ばされるが、バランスを取りつつ停止し改造ベムスターに振り向き戦闘態勢を取る。80m級と50m級という大きさにハンデのある戦いとなり若干黎の方が不利に見える。
改造ベムスターが飛翔し黎に向かって飛んでくる。黎はゼットンの空間転移能力で背後を取り改造ベムスターを蹴って落とす。大きさによる落下エネルギーが大き過ぎるせいか、広範囲に渡って瓦礫が舞う。
空中に居る黎は八つ裂き光輪を改造ベムスターに連続して発射していく。背中に八つ裂き光輪が何度も当たりダメージを蓄積していき、改造ベムスターが抵抗しようと暴れる。
「『って、これ不味い!』」
流石に被害の規模が異常な為、一度改造ベムスターを起き上がらせようと両翼を掴むが暴れている事と体格の差で逆に黎にダメージが入っていく。
「『痛い痛い痛い痛い痛い!』」
そして改造ベムスターの吸引アトラクタースパウトから竜巻状の煙が放出され吹き飛ばされ、道路に落ち瓦礫が舞う。すると改造ベムスターが黎に近付きマウントポジションをとると両翼の先端にある爪で切りつける。
何度も何度も切りつけられ黎のエネルギーも減りつつある。しかし改造ベムスターに黙ってやられる程、黎も諦めてはいない。すぐに空間転移能力を使用し改造ベムスターの前方に出現すると、ヤクザ蹴りを改造ベムスターの頭に当てる。
蹴りを入れられ少し怯む改造ベムスター。そのとき黎のライフタイマーが黄色から白に変わり点滅し始める。一気に決めようと黎も必殺技を放とうと構えた。
すると改造ベムスターが勢いよく空に浮かんだ。改造ベムスターは吸引アトラクタースパウトから発生する竜巻状の煙を使い急上昇したのだ。さらに上昇した際の風圧と竜巻状の煙による風圧が相まって黎も複合戦闘機も耐えていた。
「『ぐぅ……!』」
空中に上昇した改造ベムスターは上空に待機した状態で吸引アトラクタースパウトの吸収能力を発動させる。その吸引力は周囲の建造物も吸い込んでいく。黎もその吸引力はウルトラマン態の黎でさえもギリギリ耐えるのが難しいほど。
だが、この吸引力に最も影響力を受けやすいのは他にあった。
「ダメです!機体が安定しません!」
「このままじゃ……あのベムスターの腹の中ですよ!」
「かくなる上は……!スペシウムエネルギー砲の蓄積エネルギーを全エンジンに回せ!」
「しかし!それでは折角の作戦が!」
「このままでは全員、ヤツの腹の中だ!生き残れば必ずチャンスはある!」
複合戦闘機が改造ベムスターの吸引力に負けそうになっていた。この指示を出したミナト隊長だが本人もこの決断には苦虫を噛み粒す心境で下している。
しかし改造ベムスターに歯が立たなかったというのもある。そして
そして機体が安定しないことで、スペシウムエネルギー砲の狙いが付きにくい。もし運良く狙いが一瞬だけ定まったとしても長時間定まっていなければ改造ベムスターに致命傷を与える事は不可能である。
誰もがその決断を行おうとしたその時、複合戦闘機の機体が急に安定した。コックピットから見えたのは巨大な者の影、ウルトラマンの影だった。
「ウルトラマン…………!」
ウルトラマンとてこの吸引力に負けそうな中、黒銀のウルトラマンは必死に複合戦闘機を逃そうとしている。どうにか逃れようと複合戦闘機も今出せる最大出力でスピードを出していく。
しかしあともう少しの所で届かない。ウルトラマンでも、これ以上は厳しいのだろう。そして何を思ったのか、ウルトラマンは複合戦闘機の最後尾を手の平で押して逃した。
代わりに、ウルトラマンが改造ベムスターの中に吸い込まれていった。
「ダアアアァッ!」
「ッ、隊長!ウルトラマンがベムスターに!」
「ウルトラマン……俺達を逃がす為に……!」
そうして改造ベムスターに吸い込まれていく。全身が吸い込まれ消えていくと改造ベムスターは地上に降りていく。先ずはウルトラマンの消化が先だと謂わんばかりに、今の改造ベムスターは何も興味を示さなかった。
ちょうどその時、複合戦闘機内でアラームが鳴る。それぞれの画面に映し出されたのは、エネルギーの蓄積が完了したという報告であった。
「ヤクモ!コカド!エネルギーが溜まった!これで撃てる!早急にウルトラマンを救出させるぞ!」
「「了解!」」
油断している改造ベムスターの真正面に陣取り、複合戦闘機の先端にある砲身に火星から採掘された“スペシウム”をエネルギーに変換させて、一気に放つ【P・H・S】の現存最強兵器を構える。
「位置、機体バランス、反動抑制操作ともに正常!エネルギーリーク無し!」
「スペシウムエネルギー砲…………発射ッ!」
ミナト隊長が操縦
「くそっ!ダメか!?」
「……!いえ、隊長!あれを!」
改造ベムスターはエネルギーを吸収し続けている。だがその改造ベムスターの体が所々膨れ上がっているのだ。そうこうしている内にスペシウムエネルギー砲が消えるが、改造ベムスターの異変は逆に増えていく。
そうして改造ベムスターも限界だったのか、体が爆発四散する。その中から黒銀のウルトラマンが姿を現すと、3人は安堵と喜びの表情を浮かべていた。
「そうか……!体内で光線技を放ち続けてベムスターの体を内側から!」
「恐らくエネルギーの方は、あのスペシウムエネルギー砲から摂取したのよね!間違い無いわ、昨日見てたもの!」
「報告にあったな、そんな能力……おっとウルトラマンもお帰りの様だ」
ウルトラマンは複合戦闘機の方に向き合い、軽く頷いた。3人もウルトラマンに対し頷くと、ウルトラマンは空へと飛んでいった。
「シュワッチ!」
改造ベムスターを倒した後の黎はケトル爺の家の中でぐっすりと寝ていた。2回目とはいえ疲労が溜まっていたのか、布団を敷くと5秒足らずで熟睡した。
あの時黎は、何故か吸引アトラクタースパウトが開いた事で戸惑っていたが向かってくる光線に目を付けて咄嗟にゼットンの吸収能力を使用し、その中で必殺技を回転しながら放ち続けていたのだ。そもそも点滅していた時点でエネルギーが切れかかっていた為、光線を吸収して放つ行為で面倒なエネルギーを使用していたというのもある。
そして現在、寝ている黎の寝息を聞きつつケトル爺は台所で食事の準備をしていた。
そうして多少月日は流れていく。その間は怪獣も出現せず復興と一時の平穏な時間だけが流れていた。黎もケトル爺の言っていた【P・H・S】に入る為に勉強し、そして今日に至る。
この日は試験結果の発表報告がケトル爺の家に届き、黎に持っていくと2人してドキドキしながら開けていくのであった。
そしてその次の日、黎とケトル爺は2人して【P・H・S】の航空機動隊に編成となった。この機関では航空機動隊、水中機動隊、地上機動隊、宇宙探索隊という風に4つに別れており、黎の所属する航空機動隊は2番目に所属するのが難しい部隊なのである。
「そういやケトル爺さ、何で保護者として来てるのに内部に来てるのさ?」
「まぁまぁレイ。少し儂に考えがあるのでな」
「ふぅん」
そうしていく内に黎とケトル爺は航空機動隊本部内に到着すると、現れた3人が出迎えてくれていた。その内の1人、ガタイの良い男が黎に歩み寄る。
「初めまして。俺はこの航空機動隊の隊長を勤めている『ミナト・ケンヤ』だ。宜しく頼む」
「は、はい!本日付けで航空機動隊に所属になりました『一 黎』です!宜しくお願いします!」
ミナト隊長と黎が握手を交わすと、次にミナト隊長が視線を向けたのはケトル爺の方であった。
「所で……そこの御老人は保護者ですか?」
「まぁそうじゃ。じゃが
ケトル爺がヤクモ隊員に顔を向けてにこやかな表情をする。ミナト隊長はヤクモ隊員の方を見る。
「はい。その通りです隊長」
「そうか……だが、なぜ此処に?」
「儂にも用事があっての、ちょいと待っとれ」
ケトル爺が腕を胸の辺りで交差させて目を閉じて唸る。黎は何かに気付いている様子だが、他の者は何をしているのか知らない。
そうしていると、ケトル爺の目が開き
「なっ…………!?」
「嘘でしょ!?」
「……ケットル星人!?」
「如何にも。儂はケットル星人の『グレゴリ』という者じゃ」
ケトル爺が正体を現した。ケトル爺、もといケットル星人『グレゴリ』が何故こんな場所で正体を現したのかは黎でさえ知らないが黎は平然とした様子でグレゴリを見ている。
「ケトル爺、何で姿を出してんのさ?」
「なぁに、ちょいと協力を頼みたいだけじゃよ」
「協力……?」
ミナト隊長が警戒しながらもグレゴリの言った言葉に食いつく。警戒するのは、ケットル星人が人間よりも身体能力が高く敵に回れば手も足も出ないことを知っているからだ。
しかし黎だけは普段と変わらない表情でグレゴリを見ていた。すると黎が何かに気付いた様にグレゴリと話す。
「あぁ、怪獣のか」
「うむ。儂の知りうる限りの知識と儂の持つ戦力を与えれば、今後の活動が楽になると考えての」
「でもさケトル爺、腰の方は大丈夫なの?」
「跳びさえしなければ問題無いわい」
「……黎、と言ったね?そこのケットル星人と知り合いなのか?」
ミナト隊長が警戒しながら聞いてくるが、黎はあっけらかんとした表情で応える。
「えぇ、もう知り合って5年は経ったかと。この姿を見せてもらったのは2年前に」
「君も宇宙人……という訳では無いのか?」
「いえ、ちゃんと長野県の産まれですよ。母子手帳に書いてありますし」
「言っとくが嘘偽りは無いし、儂はお前さん達と争う気は毛頭ない。この地球を愛する1人の宇宙人として、儂にも協力させて欲しいだけじゃしの」
2人の態度と口調から嘘は無いと判断したミナト隊長は警戒を解き、後ろに居た2人も警戒を解いて銃を仕舞う。
「すまない。どうやら俺達が思っている様な宇宙人では無かったらしい」
「何気にすることは無い。少し慣れてしもうたからの」
「慣れちゃ駄目でしょ」
こうしてグレゴリも【P・H・S】に協力者として配属され、航空機動隊が少しばかり賑やかになっていった。
〈〈ウルトラマンダイナ!〉〉
〈〈グランスフィア!〉〉
〈〈ザ・フュージョン!〉〉
〈〈ネオ・ウルトラマン 【グランブレイブ】!〉〉
とある宇宙の何処か。その場所に一体の巨人が現れる。その巨人はその空間に穴を開けて紫の渦巻き状のものを出現させる。
その巨人はその中に入っていき、暫くすると別の場所に出る。そしてその巨人が見ていたのは……