巨人が光に包まれ、そして光が収まっていく。
その姿は黒銀の巨人ではなく、赤い鎧を着た騎士の姿。
姿そのものが変わっているだけではなく、頭部は西洋兜風のものに変わっており視界は隙間の箇所のみ。それを補うかの様に腕や脚は勿論のこと、関節の殆どにも赤い装甲が装着されている。
そして頭頂部に目立つ特徴的なブレード。変身に使うデータカードに“ウルトラセブン”を使用している事から、セブンが使用する“アイスラッガー”が搭載されている。
これこそが
「『……なんか、重いし動きづらい』」
黎がそんな愚痴を零す。そもそもZETAの時は何も着けておらず、身軽な状態から繰り出されるプロレス調の戦い方をしてきた。ある意味初めての形態な故に違和感を感じるのは仕方がない。
しかし黎の頭の中にはウルトラセブンの戦い方が入ってくる。そして使われているデータカードの“キング・ジョー”の戦い方も頭に入ってくると、すぐに黎は気付いた。
「た……隊長!ウルトラマンの姿が!」
「変わってます!黒と銀から、真っ赤に!」
〔……一体、あのウルトラマンは〕
三者三様の反応を見せていると、キング・ジョーの頭部にあるアンテナが自己修復し再び4つに分離し黎に攻撃を加えていく。
「隊長!今度はキング・ジョーが復活しました!しかも分離装置が修復されています!」
〔ならば合体した瞬間、ペネトレーション・ミサイルをもう一度撃て!それまで攻撃を避け続けろ!〕
「「了解!」」
キング・ジョーがそれぞれレーザーを黎に放っていく。黎から幾つもの爆発が起こるが、怯む様子すら見せない。レーザーが撃ち終わり煙が晴れていくと、そこには傷一つ付いていない黎が佇んでいた。
「『すっごい…………傷1つ付いてない……!』」
黎がこの鎧に驚いている中、キング・ジョーが合体していく。そこを狙っていたかのようにイツキが背後を取る。
「ペネトレーション・ミサイル、発射!」
貫通性を高めたミサイルがキング・ジョーの分離装置目掛けて放たれる。もう一度破壊された事で、またも動きがぎこちなくなったキング・ジョーに向かって黎は走って向かう。
重厚感溢れる足音とフォルムから放たれる正拳突きをキング・ジョーの上体部に放つ。その重い一撃はキング・ジョーを浮かせて吹き飛ばし、道路に仰向けの状態に倒させる。
その隙に黎は全装甲を
この落下攻撃で瀕死の状態になっているキング・ジョーであったが、黎はお構い無しに馬乗りの状態で何度も何度も殴っていく。最後はトドメの一撃と謂わんばかりの両手を組んでの振り下ろしを与えて、キング・ジョーの装甲を大破させ機能を停止させる。
キング・ジョーから爆発が巻き起こる。近くに居る黎も爆発に巻き込まれるが、それを心配するのは黎の仲間達であった。
「ウルトラマン!」
ヤクモ隊員が叫んだ。しかし煙が晴れていくと、そこには何処にも傷は見当たらないウルトラマンの姿をした黎が立っていた。あの装甲は、キング・ジョーの爆発に耐えたのだ。
「『重いけど……凄いや!
そう、夜月が残した説明書には“ウルトラセブン”と“キング・ジョー”のデータカードを使用した形態【アーマード】が書かれていたのだ。この形態は防御に特化させた仕様であり、殆どの攻撃を防ぎ相手に重い一撃を与えるパワーファイタータイプである。
何処か別の場所、複数人が集まって会話をしていた。但し全員ローブを羽織っているせいか、全体像が見えない。
「素晴らしい……!やはり成功例の
「黙ってろマッハ。お前が喜ぶと騒がしい」
「なぜ?なぜ私は喜ぶことすら許されないのだ!?」
「その騒がしさが目に余るからだろぉよ」
「貴方の反応がドライなだけだ!本来なら貴方も喜びを顕にするべきだ!」
「いや他の奴等はどうすんだよ?全員お前のテンションに着いてこれねぇんだよ」
「むきぃー!言わせておけばぁ!」
「やめなさい、君達」
この場所で主に2人の人物が口論をしていた。他の者は見慣れた光景だというのか、誰も口出しせずにその場に佇んでいた。しかしそこに1人の人物が漸く話に割り込んだ。
「今ここに集まったのは、誰が『一 黎』の
「おぉっと、そうでしたそうでした!では僭越ながら私が行きましょう!」
「おーぅ行ってこい行ってこい。そんで2度と帰ってくんな」
その1人の人物は自分のローブを脱ぎ捨て、姿を現す。
紫の体色に、特徴的な両手のブレード。スタイリッシュな姿の
「スラン星人『マッハ』!彼の力を高める礎とならん!」
光に包まれると、先程名乗ったスラン星人は消えた。残された者達は皆次々に消えていくが、さきほど話していた2人の者だけは残っていた。
「……アルバス、なぜ戻らないのですか?」
「…………いんや、特に理由は無い」
「左様ですか」
「あっとすまん。1つ再確認したかったかわ」
「何です?」
「本当にウルトラマンを
「えぇ、倒せますとも」
余裕綽々な笑みを浮かべて話していた1人が消える。残された者は1人、自分の耳に手を当てて独り言を呟いていた。
キング・ジョーが倒されたことで変身を解除させようとする黎であったが、突如飛来してきたレーザーが鎧に当たり何事かとそちらの方を振り向く。時を同じくして戦闘機に乗っているイツキとヤクモ、司令室で確認しているミナト隊長とケトル爺も驚いていた。
そこには黎が初めて見る人の形をした怪獣……否
「我が名はスラン星人『マッハ』!」
巨大化した
〔スラン星人!?何故こんな所に!〕
「グレゴリさん!スラン星人とは!?」
〔ある1体のウルトラマンを執拗に狙うめんどくさい宇宙人とは聞いたことがある!〕
「ウルトラマンのストーカーですか?」
〔そこは別にどうでも良い!厄介なのは、スラン星人の持つ異常なスピード!彼奴らの右に出るものは宇宙広しとはいえ殆どおらん!〕
〔ヤクモ!コカド!今から俺がそちらに向かう!上手くいくかは分からんが、ウルトラマンと連携して“エナジートラップ”で捕らえるぞ!〕
「「了解!」」
通信が終了した頃、黎はスラン星人に対して警戒心を持ち戦闘態勢を取りながら睨みつける。そのスラン星人は今の黎の状態、アーマードの状態をじっくりと観察する様に見ていく。
「キング・ジョーを意図も容易く倒した強大なパワー、そして私の攻撃を食らっても怯んだ様子すら見せないその防御力………………やはり素晴らしい!君は最高だ!」
「『僕の事を……知ってるんですか?』」
「知っているに決まってる!
君が…………ウルトラマンをッ!」
「『ッ!まずいな…… !』」
スラン星人が何か言いかけたが、遮る様に黎の額のライフタイマーが黄色から白へと点滅し始めた。どうやら使用するカードによってライフタイマーの仕様も変わる事が判明した。
スラン星人は少し不機嫌になりながらも、戦闘態勢を取りながら黎と相対する。
「時間が惜しい……さっさと始めますよ!」
「『ッ!?』」
スラン星人が高速で黎の横を通り過ぎると、背後からレーザーが発射される。しかし黎は怯まずに攻撃した方に振り向くが、スラン星人は背後をとる。同じ事を3回ほど繰り返して埒があかないと思った黎は、身に付けている装甲全てを周囲に飛ばす。
だがスラン星人は飛ばした装甲の隙間を潜り抜け、防御力が失われた黎にラリアットを加える。
「『がぁッ!』」
「さぁ、まだこんなものじゃないでしょう!?見せて下さい!君の本気を!」
「『くそっ……!いきなり何さ……!?』」
すぐさま装甲を戻そうとするが、スラン星人もタダではやらせずに高速移動による加速を加えた攻撃を何度も黎に当てていく。黎も何とか装甲を着けていくが、その分動きが遅くなっていく。
やがて黎が地面に倒れたと同時に、最後の装甲の1つが黎に装着される。だが額のライフタイマーは点滅を徐々に早くさせているので時間が殆ど残されていなかった。逆にスラン星人は余裕の表情と、
「ガッカリだ。まさか私の見当違いだったとはねぇ」
「『な…………に……?』」
「君なら、私なんて赤子の手を捻る様に倒せた筈だ。
君ならその力を真に活用して、私を容易くあしらえた筈だ。
だが今の君には……それが無い。だからだ」
黎自身、このスラン星人が何を言っているのか皆目検討も付かなかった。彼は異星人との交流は初めてではないが、
そして黎は、ケトル爺以外の他の異星人に会った事は無い。
「もう良いですね。私は帰らせてもらいますよ」
「『……帰る?』」
「このまま居たとしても、何も成果は出ない。報告だけ済ませて私は帰ります」
帰るのなら、本当はそれで良いのかもしれない。それならば街に被害は無く、単に
だが黎は、
ミナト隊長が駆け付けた時には既にスラン星人は居なくなっており、結果的に締まらない形となってしまった。
この宇宙の何処かの辺境の惑星、そこで爆発が起こる。
赤 銀の2色のウルトラマンが、この宇宙で“レギオノイド”と呼ばれる機械を倒していた。レギオノイドは片腕のドリルをそのウルトラマンに殴り掛かろうとするが、右フックで腕ごと破壊されストレートを諸に受けて破壊される。
残り32体。なぜ
このウルトラマンは辺りを見渡し、数をあらかた確認していくと光に包まれる。
〈〈ウルトラマンガイア!〉〉
右側に
〈〈アパテー!〉〉
左側に意思を持つ金属生命体が現れる。
〈〈ザ・フュージョン!〉〉
〈〈ネオ・ウルトラマン!【リキッドグランド】!〉〉
光が収まると、姿が変わった。
赤と銀、そして黒が体の殆どを占めている“ウルトラマンガイア”の姿がそこにはあった。このウルトラマンは別世界のウルトラマンであり、本来は地球の意思が具現化された存在である。
しかし今居るウルトラマンは、まるで地球の怒りを表した様な姿となっていた。何となく、何となくであるが地球が人間に失望するとなれば、ガイアはこの様な姿になるのだろうかと想像できる。
名付けるのならば
リキッドグランドが地面に拳を叩き付ける。するとこの惑星が揺れ始めた。次第にその揺れは増していき、ついには惑星にある
そのマグマの速度は誰から見ても異常であった。速い、そして冷めない。マグマがレギオノイド全てを覆い尽くすが、リキッドグランドだけは包まれていない。
少し話は逸れるが、マグマの生成条件を語ろう。これはリキッドグランドの力の本質でもあるからだ。
火山内部にあるマグマというのは、地球では内部に潜り込んでいくプレートが溶けたものである。液状化されたプレートが火山内部で溶けて、上昇すると一時的に溜まり場の様な場所に蓄積される。これをマグマ溜まりという。
リキッドグランドはプレートの溶解速度を速めてマグマ溜まりを急速に膨張させることで、一気にマグマを噴出させる力がある故にその力を見た者は
レギオノイドを全て片付けたウルトラマンは、変身を解除していく。光がこの惑星の一部を包み込むと、そのウルトラマンが居た所には
その人間は惑星から空を見上げると同時に