NEO ULTRAMAN   作:(´鋼`)

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地球旅行で

「妙な()()が、ウルトラマンになっていた?」

 

 

「マジで言ってんの?ゼロちゃん」

 

 

「この目で見たのに嘘なんてつけるかよ。てか嘘付いたことねぇだろ俺はよ」

 

 

 

 とある宇宙空間にて、5名の集団が会話をしていた。その中にはエックスと同じウルトラマンである“ウルトラマンゼロ”を中心に“グレンファイヤー”、“ミラーナイト”、“ジャンボット”に“ジャンナイン”というメンツ。

 

 

 この5名は様々な宇宙を守り続ける戦士達の集い。その名も【ウルティメイトフォースゼロ】。宇宙の平和を維持するべく幾つもの宇宙を渡り、その手で守り続けてきている。だが今は珍しくウルトラマンゼロが見た光景の事を聞いていた。

 

 

 

「ベリアル軍の残党が生き残っててよ、しかもレギオノイドまである始末だ。そんな時、空間の歪から“ウルトラマンダイナ”が出てきてな」

 

 

「ウルトラマンダイナ……過去にゼロと共に戦ったウルトラマンだったな。確かその時はバット星人『グラシエ』が操る“ハイパーゼットン”と」

 

 

「おう。で何で来てるのか知りたかったのもあってな、加勢しようとしたんだけど止めたんだよ」

 

 

「それはまた何故?」

 

 

「いや……何かこう、()()って感じがしてよ。姿とかタイプチェンジとかはダイナなんだが、雰囲気が別物って感じがした。まぁその勘は当たっててよ、今度は話しに聞いた“ウルトラマンガイア”に変わりやがった」

 

 

「ウルトラマンガイア……?」

 

 

「なにそれ?」

「なぜ代名詞なんだ?」

 

 

「聞いた話じゃ地球の意思が生んだウルトラマンって言われててよ。地球が誕生した時に存在していたらしいぜ。地球が大体46億年前に誕生したっていうから、その時から生きてるってことになるな」

 

 

「だがゼロ、君は先程ダイナからウルトラマンガイアに()()()()と」

 

 

「あぁ、あれはジードやオーブのとは丸っきり違う。自分の元の姿をベースとした変身じゃねぇ、もっと別の何かだ。しかも変身を解除した時の人間態は地球以外の惑星環境で平気だったし、何より()()()()を使うなんて怪し過ぎる。だから俺は調査に向かうぜ」

 

 

「んじゃあ、俺らはゼロちゃんが来るまで何時もどーりに!」

 

 

 

 ウルトラマンゼロは左手首の“ウルティメイトブレス”を展開し、(ノア)から授かりしバラージの盾(ウルティメイトイージス)を装着し時空に穴を開けて何処かへと旅立って行く。

 

 

 見送った4名は何時ものパトロールを再開しようとするが、ふとグレンファイヤーが何か思い出したのかその場に止まり、それをジャンナインが見かけると声を掛けられる。

 

 

 

「どうされましたか?」

 

 

「いや、どーでも良いことなんだけどよ。噂すると何とやらって言うじゃんか普通。今噂してたから、もしかしたら俺らん所来るかもーってよ」

 

 

「はぁ……?」

 

 

「……そんな目で見んなよぉ」

 

 

 

 そんな事もあって、ウルティメイトフォースゼロの4名はパトロールを再開したのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠くからその噂の()()()()()()が見ている事も知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方【P・H・S】航空機動隊所属の黎はというと、前回の戦いから早二十数日ほど経ったのだが特に気にする様子も無く事務処理であったり訓練であったりと1隊員として過ごしている。

 

 

 いつもの通り黎はイツキと互いを鍛え合い、時にお互いの隙も言い合うほどの仲となっていた。しかし未だに黎とスラン星人の戦いを引きずっている女性が1人……それを宥めようとするも何やかんやで無意味に終わる異星人が2人の様子を眺めていた。

 

 

 

「はぁ……ッ、あんなに実力をつけてるのにねぇ……」

 

 

「じゃからの、黎とて考えて」

 

 

「でも黎君が何て言ったか知ってますよね!?

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()って!

 

 

 普通そういう問題じゃないのにぃいいい!」

 

 

 

 不肖ヤクモ・ヒトミ。黎とスラン星人との対決に不満タラタラであるものの、正体を知っている身としては勝ってほしかったのが本音。しかしどちらかといえば、戦いに身を置いてそこまで経っていない黎にとっては誰かを危険に晒す行為を()()()()()()()()()()

 

 

 最近芽生えた感情は、名も知らない人々を守る為の選択を生み、あの結果になった。まぁこれは黎本人の感情によって決まるので、どうしようも無いのだが。

 

 

 しかし通常侵略目的で訪れるはずの宇宙人。例外として旅行であったり移住であったりはあるものの、大体の宇宙人は侵略性がある者をよく見る。そんな宇宙人を態々逃してしまったというのは今後に影響してしまう。

 

 

 だがあのスラン星人は、どちらかといえば地球侵略というよりも黎自身を狙っていた様子が見られる。でなければ早々と黎を倒して、その後に征服すれば良かった筈だ。

 

 

 そして今、黎とイツキの訓練も終わってお互い疲れている所にミナト隊長が現れる。ミナト隊長は黎とイツキの居る方を見ると駆け足でやって来る。

 

 

 

「おぉレイ、やっぱりここに居たか」

 

 

「隊長、どうされました?」

 

 

「いや、至急レイに頼みたい事があってな」

 

 

「それって何です?」

 

 

「地球旅行にやって来た“メトロン星人”の相手をして欲しいんだ。何分宇宙人との交流が深いのはレイしか居ないからな」

 

 

「それなら分かりました。僕に出来ることなら喜んで」

 

 

「よし。じゃあすまないがレイ、すぐに支度してくれ」

 

 

「了解。あと、ケトル爺も一緒に構いませんか?」

 

 

「掛け合ってはみよう。まぁ大丈夫だと思うが」

 

 

「ありがとうございます。では」

 

 

 

 敬礼の後、黎はケトル爺を連れて駆け足で訓練場を出ていく。ケトル爺も話を聞いていたので黎に着いていく。尚、ケトル爺の同行は、地球に慣れ親しんだ宇宙人が1人居ると宇宙人なりの視点で相手できるという理由で許可された。

 

 

 黎が来る前の対処は地上機動隊が行っていたのだが、大体が地球侵略系の宇宙人であるせいか逮捕する方が多い故に旅行案内という経験は無い。しかも何故ここ(P・H・S)に案内を頼んだのかも理解できない。

 

 

 しかし黎はそこまで考えておらず、案内を頼まれたらするだけの考えであった。少し変わった考えを持っている黎なのであった。

 

 

 そして支度も終えて、来ているメトロン星人の元に向かう。

 

 

 

「お待たせしてすみませーん!」

 

 

「おっ……来たか」

 

 

 

 かなりカラフルな容姿のメトロン星人。10人中10人全員がこのカラーリングを覚えている位のインパクトがあり、何処か親近感と夕日を思い浮かべそうな第一印象であった。

 

 

 

「初めまして。案内をさせて頂く一 黎です。こっちはケトル爺っていいます」

 

 

「ケトル爺は渾名じゃよ黎。儂はケットル星人のグレゴリという者、訳あって防衛隊に身を置いとる」

 

 

「はぁーっ……珍しいね。ケットル星人が地球で何もしないなんて」

 

 

「?」

 

 

「そこのレイって子は知らなさそうだけど」

 

 

「まぁ知った所で、()()()だと言い張りそうじゃがの。ほれ、地球旅行に来たんじゃろ?」

 

 

「ん、それもそうだ」

 

 

 

 メトロン星人の姿が、地球人と何ら変わらぬ姿に変化する。片手に財布を持っており、行く気満々と言った所である。

 

 

 

「さぁいざゆかん!アキバへ!」

「なぜ此処に頼んだ?」

「地理的に詳しくないし」

「理由になっとらんわい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして秋葉原でかなりの時間を過ごした後、この奇怪なメンツ3人はス○バでそれぞれ頼んで休憩していた。

 

 

 

「ふぃー、買った買った。いやはや地球に来たら日本のアキバ!あ、これ宇宙で鉄則だぜ」

 

 

「ほぇー。そうなんですか」

「黎、そんなものはあらん。単なるマニアというものじゃよ、この若造は」

 

 

 

 このメトロン星人の名は『ミッド』。名前の方は後で知ったのだが、この宇宙人はとにかくオタク。だが何方かと言えば“日本に来たての外国人”というのが的を射ている。

 

 

 黎とケトル爺の方はそもそもアキバに行った事も無いので、地図から分かる内容で道案内という形に徹していた。そもそも2人とも、そのような場所には出入りすらしていない故にミッドのテンションについていけない。

 

 

 そんな中ミッドは、自分の頼んだカフェラテを1口飲むと2人に尋ねた。

 

 

 

「なぁ2人とも、聞いていいか?」

 

 

「何ですか?」

 

 

「夕日が綺麗に見える場所を探してんだよ。どっかないかな〜ってさ」

 

 

「なぜ夕日を?」

 

 

「ヘヘッ。恥ずかしながら、俺の祖父さんの話を聞いて見てみたくなったのさ。祖父さんからは“特に日本の黄昏時って時間帯は美しいぞ”って、俺がちっこい頃によく言ってたんだ」

 

 

「へぇ〜……あの、今お祖父さんの方は」

 

 

「あー……んまぁ、な。祖父さんはなぁ…………」

 

 

 

 少し悲観的な表情を醸し出しながら話すミッド。少しため息をついて、少し悲しげに話した。

 

 

 

「残念だけどよ、もう62年前にお天道様の所に行っちまったんだわ」

 

 

「あっ…………あの、その……」

 

 

「良いんだよ別に。けどよ、祖父さんは無茶苦茶地球人の事を好いていたんだ。特にケンちゃんって地球人と仲良くなってた事は聞いたぜ。あとよ、ウルトラマンにも会った事があるんだよ俺の祖父さん」

 

 

「ほぉ……ウルトラマンにか」

 

 

「おうよ。話だと“ウルトラセブン”と“ウルトラマンマックス”にな。祖父さんが会った時のマックスは、昔の自分に少し似てたって言ってたな」

 

 

「面白いですね。ウルトラマンも、宇宙人も」

 

 

「まぁな」

 

 

 

 休憩も終わり、勘定を終えて店から出ていく3人。かなりの量の荷物を持ち上げて背伸びをするミッドは、多少雲が垣間見える空を見上げた後に2人に向き合う。

 

 

 

「さてっと。んじゃあ2人のオススメの場所にまで、案内してもらおっかな?」

 

 

「儂らが決めるのか?」

 

 

「当たり前じゃんアゼルバイジャン。俺地球の地理そこまで詳しくねぇしよ」

 

 

「えっと、それは夕焼けが綺麗に見える場所で?」

 

 

「そうだよ」

 

 

 

 と言われたところで2人は悩む。何せ夕焼けが綺麗な場所といっても、この都会の近場でその様な場所はあったかと必死に頭を捻り続ける。

 

 

 と、そんな時にケトル爺がふと思い出した様子を見せる。そういえばと黎に耳打ちすると、黎も思い出したかの様に頷いた。とにかくそれが決まった所でミッドに話をする。

 

 

 

「ミッドさん。夕日が綺麗に見える場所なんですが、個人的な解釈で選ばせてもらって構いませんか?」

 

 

「あぁ、うん。それで良いけど……(うーん)……」

 

 

 

 行く場所も決まったところで、さぁ行こうと意気込んでいたのだが黎の通信デバイスから連絡が入る。黎は断りを入れて離れた場所で通信相手と話す。

 

 

 

「はい、こちら黎」

 

 

〔レイ君無事かね!?〕

 

 

「あれイデさん?どうされました、そんなに慌てて」

 

 

 

 通信機越しに聞こえてくる慌てた様子のイデには特に関心を示さず、黎はイデの言葉を待つ。少しすると

イデも落ち着いて話した。

 

 

 

〔良いか、落ち着いて聞いてくれ〕

 

 

「はぁ」

 

 

〔落ち着きすぎやしないかねレイ君?〕

 

 

「こちらは特に現状に変わりありませんし……」

 

 

〔……まぁよく聞いてくれ。実はP・H・Sに予告状が届いたんだ〕

 

 

「予告状……ですか?」

 

 

〔あぁ。その内容が

 

 【今日の午後3時に、東京の一部を()()()参る】

 

『怪盗 ヒマラ』

 

 

 その様に来た故に我々も警戒態勢を敷いた。しかし呆気なく東京の一部、()()()が消えてしまったんだ!〕

 

 

「ゑっ!?」

 

 

 

 思い出すまでも無いだろうが、思い出してほしい。先程イデは秋葉原が()()()と言っていた。しかし今黎達が居るこの場所は秋葉原である。

 

 

 少し困惑した黎は、悩んだ後にイデに対して告げる。

 

 

 

「あの、イデさん。僕ら秋葉原に来ているんですよ」

 

 

〔!それは好都合じゃないか!〕

 

 

「ええ。1度不審な点が無いか確認して、また報告します」

 

 

 

 通信デバイスを切ると、黎は2人の元に駆け寄り現状を伝える。

 

 

 

「おぉ、何かあったか黎」

 

 

「あの2人とも、落ち着いて聞いてほしい事が」

 

 

「ん、何なに?」

 

 

「いえ。実はイデさんからの連絡で、()()()が消えたって言ってたんですよ」

 

 

「…………今儂らが居るのは、秋葉原じゃぞ?」

 

 

「うん。だから、この秋葉原に不審な点が無いか探してから連絡することにしたよ。ケトル爺はお願いだけとミッドさんと一緒に居てくれる?」

 

 

「ふむ、ならば任された」

 

 

「ありがとう。じゃあ行ってくるよ」

 

 

 

 黎はこの秋葉原の異常の捜索を開始した。場所から場所を隅々と駆け巡り不審な点が無いか探していく。秋葉原とてそこまで狭くは無い上に人混みも多い故に、かなり体力が削られていく筈だ。

 

 

 しかし何の疲れも見せずに全部走り回った黎であったが、何の異常も発見できなかった。困り果てた時、黎は時間を確認する。今の時刻は、()()3()()5()0()()

 

 

 

「…………うん?」

 

 

 

 と、ここで黎は少し疑問を覚えた。日の出ている場所で立っている黎は自分の影を見てみた。

 

 

 ()()()()()()()()()()。影が全く動いていないという事は、影を作る太陽も動いていないも同然。確信を持つ為に黎は他の人物や建物の影も見ていく。

 

 

 やはり同じように全く動いていなかった。そこに強めの風が吹き、黎の視界の上辺りに葉が舞った。そこで黎は本当に確信を得た。

 

 

 ()()()()()()()()()()のだ。早急に黎は通信デバイスを起動させてイデと話す。

 

 

 

〔こちらイデ!〕

 

 

「イデさん、確認してみましたが妙でした」

 

 

〔妙とは?〕

 

 

「この秋葉原に居る人の影や建造物の影が全く動いてませんでした。だとすると、この秋葉原だけ隔離されたと考えられます」

 

 

〔成程……よし分かった。報告感謝する。こちらも君のデバイスの電波を捜索して場所を割り当てている所だ、少しだけ辛抱してくれ〕

 

 

「了解」

 

 

 

 通信デバイスを切ると、黎は空を見上げる。全く変わらない青い空が残酷なまでに真実を突き付ける。これでは夕日を見せる事が難しそうだと考えた。

 

 

 ならばと思い、黎は手頃な建造物の裏路地に身を潜めてミックスデバイスと2枚のデータカードを用意する。赤い場所にウルトラマン、紫の場所に怪獣のカードを差し込みデバイスを押す。

 

 

 

〈〈ウルトラマン!〉〉

 

 

〈〈ゼットン!〉〉

 

 

〈〈ザ・フュージョン!〉〉

〈〈ネオ・ウルトラマン 【ZETA】!〉〉

 

 

 

 黎はZETAへと変貌を遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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