星王が異世界から来るそうですよ?【修正中】 作:きのこの山親衛隊
今後はこんなハイペースでは投稿できない……。
「――あ、あり得ないのですよ、学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに間違いないのデス」
「いいからさっさと話せ」
あの後、三人に揉みくちゃにされた黒ウサギは疲れたようにそう呟いた。少し半泣き状態のように見える。
三人はウサ耳を堪能したのか、『聞くだけ聞こう』というスタンスを取っている。
なんとか気を取り直した黒ウサギは咳払いをして両手を広げて高らかに宣言した。
「ようこそ皆さま、〝箱庭の世界〟へ!
我々は皆様にギフトを与えれた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせて頂こうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです! 既にお気づきかもしれませんが、皆さまは皆、普通の人間ではありません!
皆さまのその特異な力は様々な修羅神仏、悪魔、精霊、星から与えられた贈り物。つまり『恩恵ギフト』でございます。『ギフトゲーム』はその恩恵を駆使して、あるいは賭けて競いあうゲームのこと。この箱庭の世界はその為のステージとして造られたものなのですよ!」
どうやら俺が青薔薇の剣の記憶解放術を使用したのに驚いた反応があまりなかったのはそういう事情があったらしい。
そして、その恩恵というものを持っていたからこの世界に召喚されたらしい。
正直、その辺のことはどうでもいい。呼ばれた経緯はどうであれ、キリトが今すべきことは元の世界に帰ることだ。
だが、今その質問をすると話が脱線してしまうと危惧し、ここではその発言を避けることにする。
「恩恵──つまり自分の力を賭けなければいけないの?」
「そうとは限りません。ゲームのチップは様々です。ギフト、金品、土地、利権、名誉、人間。賭けるチップの価値が高ければ高いほど、得られる賞品の価値も高くなるというものです。ですが当然、賞品を手に入れるためには"主催者ホスト"の提示した条件をクリアし、ゲームに勝利しなければなりません」
「"主催者"ってのはなに……?」
「ゲームを開催する存在です。彼らは暇を持て余した修羅神仏から、商店街のご主人まで様々です。
それに合わせてゲームのレベルも、命懸けの凶悪、難解なものから福引き的なものまで、さまざまなゲームがございます」
「ゲームはどうやって始めるんだ?」
少し疑問点があったので一応聞いておくことにする。
「コミュニティ同士のゲーム以外は、それぞれの期日内に登録すれば大丈夫です!
商店街でも小規模なゲームが行われているのでよかったら参加して言ってくださいな」
そう丁寧に返答してくれる。
「話を聞いただけではわからないことも多いでしょう。そこで、ここで簡単なゲームをしませんか?」
そう笑顔で可愛く小首を傾げた。
誰もが不思議そうに首をひねる。
それに答えるように、黒ウサギはひと束のトランプを取り出した。
「この世界にはコミュニティというものが存在します」
トランプをシャッフルしながら黒ウサギがそこで言葉を区切る。
「この世界の住人は必ずどこかのコミュニティに所属しなければなりません。いえ、所属しなければ生きていくことさえ困難と言っても過言ではないのです!」
黒ウサギは大仰に手を広げる。まるでこれからが本題だと言わんばかりに。
パチンッと指を鳴らす。すると突然、宙に大きなカードテーブルが現れたかと思うと大きな物音をたててドサリと地面に着地する。
「みなさんを黒ウサギの所属するコミュニティに入れてさしあげても構わないのですが……ギフトゲームで勝てないような人材では困るのです。ええ、まったく。本当に困るのです。むしろお荷物、足手まとい!」
黒ウサギは大げさにため息をついた。
その芝居かかった仕草は四人を挑発しているかのようだ。いや、事実そうなのだろう。彼らのプライドの高さを読み取ったいい手段だと言える。
「へえ……俺達を試そうってのか?」
「待ちなさいよ、私たちは一言も……」
そう言って久遠が反論しようとするが、黒ウサギは意地悪そうな笑みを浮かべる。
「自信がないのであれば断って下さっても結構ですよ?」
このようなことを言っているが、内心とても焦っていることをキリトはその慧眼でしっかりと見切っていた。その理由がまだ不明なので、黙って黒ウサギを見つめる。
その一方で、この状況で挑発と大見得を切れる黒ウサギのことを一定数評価していた。
「随分とおもしろい挑発してくれるじゃねーか」
だが、黒ウサギはその賭けに勝った。問題児三人組の瞳には好戦的な色が浮かんでいる。
彼らとてこの賭けに乗るメリットがないことは重々承知済みだが、挑発をされて平気でいられるほど大人ではなかった。
キリトはまだなにかを探るような目つきをしている。したがって結果としてその誘いには乗らなかった。
しかし、これは三人の性格を瞬時に見抜いた黒ウサギの勝利と言えるだろう。
「そうですね。今回のギフトゲームでは、みなさまは初めてですので、特別に何も賭けていただかなくて結構です。強いて言うなら、みなさまにはみなさま自身の『プライド』を賭けていただきます。賞品は……勝った方の言うことを神仏の眷属であるこの黒ウサギが一回だけ何でも聞くというのはどうでしょう?」
黒ウサギはニヤニヤと笑いながら机の上にカードを並べて答える。
なかなかに芸達者な少女だった。
「ほぅ、なんでもか」
「あっ、もちろんいやらしいことはダメですよ?」
途端、刺すような眼差しが逆廻に注がれる。当然、男性がそのような反応をすればそれ相応の反応が返ってくるのは当然であろう。
「まぁいい、そのゲームに乗ってやるよ」
「ええ、やるわ」
「私もやる」
「はぁっ、俺もやるさ」
「では、ゲーム成立ですっ!」
黒ウサギがそう言って指を鳴らすと、4人の前に羊皮紙のようなものが現れる。
『ギフトゲーム名"スカウティング"
"プレイヤー"一覧
・逆廻十六夜
・久遠飛鳥
・春日部耀
・キリト
クリア条件
・トランプ54枚の中から絵札を引く。
・引けるのは"プレイヤー"一人につき一回まで。
・トランプを引く時を除き、トランプに触れてはならない。
敗北条件 降参か、"プレイヤー"が上記の勝利条件を満たせなかった場合。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
“サウザンドアイズ”』
「ほう、こういうようにしてゲームを行うのか」
「キリトさん、察しがいいですね!それは、“契約書類”──ホストマスターとプレイヤーの契約の書。そこにルールやクリア条件が記されています。
ちなみに黒ウサギは“審判権限”という特権を持っていますから、ズルは無駄ですよ。ウサギの耳と目は、箱庭の中枢部と繋がっているのです」
「OK、わかった。だが始める前にカードを調べさせてもらおうか」
「構いませんよ」
逆廻の提案を快く了承する黒ウサギ。逆廻、久遠、春日部は立ち上がると黒ウサギから受け取ったカードを一枚一枚確認していく。
カードを調べるにしては時間がかかりすぎているので何かしらの細工をしているのかもしれない。
そういうキリトは後ろの方で彼らの姿を見ているだけだった。あのルールなら穴を簡単に突くことができるからだ。
カードの確認を終えた三人から受け取ったカード。それを並び終えた黒ウサギは四人それぞれを見て言った。
「それでは、最初はどなたからになさいますか?」
「じゃあ、俺からで」
一番手として逆廻が前に出る。春日部、久遠の二名はその少し後ろにいて、俺はそのさらに後ろの引いたところにいる。
「黒ウサギ、さっきは素敵な挑発ありがとよ」
「へ……? いえいえっ!」
突然の感謝の言葉に驚いたのか黒ウサギはあたふたとして────
「これは……その御礼だっ!!!」
上に振り上げた手をそのまま垂直に振り下ろす。手のひらは勢いよくテーブルに叩きつけられ、振動と風圧で全てのカードが宙に舞う。
当然のことながら、ほぼ全てのカードが表になってしまった。
「────ええええぇぇぇっ!?」
「私はこれにさせてもらうわ」
「私はこれ」
「どうだ? 別に、何もルールには抵触してないぜ?」
逆廻はしめしめとしたひょうじょうを浮かべてそう笑う。しばし、呆然としていた黒ウサギはふと我にかえるとウサ耳をピンッと立てた。
が、すぐにへにゃりとウサ耳を垂らすと黒ウサギは観念した表情になる。
「箱庭の中枢からも、『有効である』との判定が下されました。
……飛鳥さん、耀さんはクリアです。し、しかし、まだ十六夜さんとキリトさんが残っていますよ!」
「なら俺はこれだ」
そう言って逆廻は無造作にカードをめくる。絵柄はダイヤのK。
「なっ!? い、一体どうやって……」
「覚えたんだよ。JOKER2枚を含めた計54枚のカードの位置を全てな」
なんていうか動体視力と記憶力だと感心する。これには黒ウサギもびっくりしていた。
だが、あと1人残っていたのを思い出す。
「でも、まだキリトさんが残っています!」
「そうだな、俺は。バースト・エレメント」
突如、あたりに突風が吹き荒れる。そして、まだ残っていた全てのカードが表にめくれた。
「おっ、幸運だ。なら、俺はこれで」
そう言ってめくれ上がっていたジョーカーのカードを一枚取る。
混乱と驚愕の表情を貼り付けた黒ウサギ。ウサ耳をピンッと立てて喜んでいる。
キリトは何食わぬ顔をして元の位置にへと戻る。
そこで────
「なぁ、今何かやったのか?おまえ」
「さあな、たまたまだろ」
そこにはニヤニヤしながら待ち構える逆廻がいた。今更かもしれないが追求されるのを避けるために間違えたほうがよかったかもしれない。
その目は
「おい、黒ウサギ。早速だが言う事を聞いてもらうぞ?」
キリトがこれ以上なにも言わないことを悟った逆廻は視線を外すと、口角を上げて黒ウサギにそう尋ねた。
「せっ、性的なことはダメですよ!」
そう言って黒ウサギは慌て始める。
「それも魅力的じゃあるんだが、俺の訊きたいことはただ一つ。手紙に書いてあったことだけだ」
そう言って逆廻は一旦言葉を区切る。
「この世界は────おもしろいか?」
万感の思いを込められたその言葉に久遠も春日部も黒ウサギの返事を待っていた。
召喚されたのに見合うモノを確かめるのは当然と言えるだろう。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全ての捨て、
我らの"箱庭"に来られたし』
キリトは知らないことだが、手紙にはそう書いてあった。
彼らは何かを捨て、何かを得ようとしているのだ。
「YES! ギフトゲームは人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
そう言って黒ウサギは満面の笑みで答えた。
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セキリュティクリアランス確認……オールクリア。
ようこそ、茅場晶彦様。
データを開示します。
アクセスしています……アクセスしています。
「ふふっ、ようやく発見したぞ」
データの作成中……理論値の計算中……個体名──キリトの探索中……
探知成功しました。理論値は正常なものを維持しています。
存在証明、完了。世界軸の交差地点の計算……完了。
理論検証を開始します。
ファイルの閲覧を終了します。
お疲れ様でした。
誰もいない研究室のような場所で、ファンの音だけが鳴り響く。
また何かおかしいところがあれば指摘してもらえると助かります。
今はまだプロローグみたいなものなので淡々と進めるつもりです。
次くらいで完全オリジナルが始まるので結構遅くなると思っていただいたほうがいいかと。